非常に久しぶりの更新です。愛国カルトを相手にしていると、相手の気持ち悪いまでの差別発言や、頭がどうかしているんじゃないかと思えるほどの妄想ぶりに、見ていてかなり精神的に疲れてしまうので、海外出張で更新できなかったのを機に更新を止めていたのですが、また自分にできる範囲で少しずつ更新していこうと思います。

さて、今回は「左翼」について。ネットで活動する愛国カルトのことは「ネット右翼」と呼ばれることもあるように、思想を右か左かに分類すれば、言うまでもなく「右」ということになります。当然、彼らは自分たちと対立する「左翼」が大嫌いであり、ことあるごとに「左翼」を批判します。そうですねえ、右翼も怖いですが、左翼も怖いですねえ。

しかし! 彼らの左翼批判を見ていると、現実には存在しない人間相手にシャドーボクシングをしているようにしか見えないのです! 言い換えれば、現実の「左翼」ではなく、脳内で勝手に作り上げた「左翼」のイメージを根拠に批判を展開しているのです。

具体歴な例を見てみましょう。
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井上太郎が集団的自衛権について、「(日本相手ではなく)戦争を仕掛けてきそうな国に向かって戦争反対を叫べ、左翼ども!」といつも通り見当はずれなことを言っていますが、これに対するコメントにこんなものがありました。
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参照

なんと、この人によれば、日本の左翼は中国を平和の使者とみなし、北朝鮮拉致被害者早期返還を叫ばず、人命なんてどうでもいい輩らしいです。

そんなやついるか!!!!

彼(彼女?)がどこまで本気でどこまで冗談で言っているのかわかりませんが、中国を「平和の使者」と見なしている左翼って誰ですか? そんな人がいるなら見せてほしいものです。中国の、特に東シナ海、南シナ海における膨張は誰が見ても平和を脅かすものであることは明らか。それに対し、「強い武力を持って抑止力を持とう」という派と、「抑止力の名で逆に緊張を高める行為は自粛するべきだ」という派とに分かれるのはわかりますが、一体どこの誰が中国を平和の使者なんて歓迎していると言うのか! そんなのは愛国カルトの脳内にしか存在しません。

また、北朝鮮の拉致問題で叫ばない左翼って誰ですか? 確かに、社民党(旧社会党)など「左派」「左翼」と呼ばれる政党は、拉致問題が明るみに出るまでこの問題に消極的で、特に社民党は拉致なんかないという立場だったと聞きます。例えば『月刊社会民主』1997年7月号では、拉致事件を「根拠のない」捏造だとする記事を掲載しています(参照)。今見ればとんでもない話です。

一方、同様に「左派」と呼ばれる共産党は兵本達吉橋本敦のように拉致問題に積極的な人がいて、特に橋本は1988年に参院で拉致について質問し、「北朝鮮の関与が濃厚」という国会答弁を引き出した功績があります(参照)。(しかし一枚岩ではなかったらしく、兵本はスパイ疑惑で共産党を除名された後、反共主義に転じて「日本共産党こそ拉致調査を妨害した元凶である」と主張するようになります(これについての共産党の意見はこれ))

とにかく、拉致に関して同じ「左派」でも社民党と共産党では対応が違ったわけで、「左派」「左翼」が「拉致問題で騒がない」などというのは大嘘であることがわかります。それに、拉致は1980年代から疑惑が持たれていた事件です。そこから2002年の日朝交渉まで、政権を握っていたのはどこですか? 自民党です。自民党はずっと政権を握っていたにもかかわらず、20年間積極的に動いていなかったのは周知の事実です。拉致を騒いだのも騒がなかったのも、右派左派関係なかったのです。

そして、拉致が明るみになった今現在、拉致被害者早期返還を叫ばない左派とは誰ですか? 拉致問題は右派左派関係ない日本全体の一大関心事項です。彼(彼女?)が考えている左翼とは、彼(彼女)の脳内にしか存在しない架空の生き物です

まして、「集団的自衛権反対」=「左派」=「中国・北朝鮮シンパ」みたいな言い方をしていますが、とんでもないデタラメです。中には「集団的自衛権に反対する者は反日」とまで言う人もいます。
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集団的自衛権は、世論調査によって差はあるものの、国民の3割~5割程度が反対していて、今回の閣議決定に限って言えば、NHKの世論調査では6割弱が反対なのです。彼(彼女)の言い方では、国民の3割~5割が「反日」で「日本人の敵」になってしまいますね(笑)。そりゃ大変だw

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↑各社の世論調査。彼らの理論では国民の5割前後が「左翼」で「反日」になるんだろうか?
(TBS『サンデーモーニング』2014年7月6日)

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 ↑閣議決定についての世論調査(参照

愛国カルトが考える「左翼」が現実とかけ離れているという例として、こんなのもあります。毎度おなじみの井上太郎です。

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参照

井上太郎は相変わらず日本語がド下手くそで(「自衛権を行使できない権利はない」とかどういう日本語だよw)、内容も間違えまくりですが(助けないだけで共犯になんかなるはずがない。もしその通りなら事件目撃者は全員共犯になってしまうww)、問題はここ。

>>革命のためには暴力もいとわない左翼が、平和のためには手段を否定しています。矛盾だろ!

はっきり言いましょう。

アホか。今どき暴力革命を目指す左翼がどこにいる。

井上太郎は1970年代にでも住んでいるのでしょうか? 少なくとも彼の中の「左翼」のイメージが冷戦時代かそれ以前のものであることは間違いないでしょう。

第一、「集団的自衛権行使に反対」=「左翼」なんて言えないことは先ほどの世論調査で紹介しましたね。さらに内閣府の世論調査で自衛隊に「良い印象を持っている」と答えた人が9割を超えた(参照)ことからも想像できるように、集団的自衛権反対派でも個別的自衛権なら容認する人はいくらでもいることでしょう。

井上の言い方だと、「集団的自衛権反対派」=「左派」=「暴力革命派」ということになってしまいますが、卑怯極まりない印象操作です。

また、社民党についてこんな発言をしている人も。

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参照

そんな主張してるやついねーよ!

「軍備を抑えろ」はともかく、他は社民党だって全く主張していない。妄想にすぎません。誰が「夫婦は別れろ!」なんて言ってるわけ? 「日本を愛すな!」なんてのは、この人が自分の愛国の仕方が絶対的に正しい愛国の仕方だと思い込んでいるから、それ以外が反日に見えているだけの話です。

以上のように、愛国カルト(ネトウヨ)の考える左翼はフィクションであり、彼らの脳内にしか存在しないのです

彼らはその架空の存在相手に、「中国を平和の使者扱いしながら日本を悪く言いやがって!」とか「暴力革命を主張しながら自衛権を否定しやがって」とか「『日本を愛すな』とか言いやがって!」と怒って戦っているのです。存在しない幻相手に戦い続けるピエロ、それが愛国カルトです

しかし、彼らが卑怯なことに、その架空のとんでもない存在をあたかも存在するかのように主張し、現実と結び付けて印象操作をします。例えば今回の場合、「中国を平和の使者と見なすと奴」とか「暴力革命を主張する奴」とか、誰もが嫌悪感を抱くであろう異常な左翼を脳内で作り上げ、あたかも集団的自衛権に反対しているものがそのような異常な左翼であるかのような主張をするわけです。それにより、集団的自衛権反対は、異常な左翼が主張している異常な左翼思想である、という方向に持っていこうとするのです。卑怯極まりないですな。

つまり、敵(脳内左翼)を極端な「悪」にすることで、それと戦っている(と本人は妄想している)自分たちが正義であるとアピールしているわけです。

これは「左翼」に関する発言に留まらず、言うまでもなく「在日」や「韓国人(朝鮮人)」「反日日本人」などにも流用されます。逆の立場からは、「右翼」や「ネトウヨ」に対して用いられることもあります。(中国政府や韓国政府の「反日」も、日本を悪者にすることでそれと戦う自分たちの政権の正統性を主張するという点がありますので、同じ手法と言っていいでしょうね)

誰かが「左翼って…」「在日って…」「ネトウヨって…」みたいな発言をしたときは、その主張を支える具体的な人物や事件、発言等の引用があるかどうかに注意しましょう。具体性がない場合、その人の脳内にしか存在しない架空の「左翼」や「在日」や「ネトウヨ」である可能性が高いです。

極端な悪をでっち上げて、それと戦う自分たちを正義だと主張する詐欺師に騙されないように気をつけましょう。彼らは脳内にしか存在しない敵相手にシャドーボクシングを続けているピエロに過ぎないのです。

(このサイトでの愛国カルト批判は、ちゃんと全て具体的な発言を引用しているので妄想シャドーボクシングじゃありませんよ(^_^)/ )

この記事の続きはこちら

===愛国カルトに騙されないための今日の心得===
・情報ソース無しに「○○はこう主張している」と言う人を
 信じてはいけない

 (「○○」には「左翼」「在日」などが入ることが多い。
  逆の立場からは「自民党」などの主張が捏造されることもあるので注意)


・世論調査も見ないで「○○と主張している奴は左翼(右翼)」と言う
 人を信じてはいけない。

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