前回、ネットで出回っているこのチラシがどうしようもないデタラメだということを紹介しました。今回はその続きです。

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2兆3000億円もの生活保護が韓国人に使われていると書かれていますが、平成23年の総務省統計局のデータ(これの15番)では在日韓国朝鮮人の生活保護受給世帯数は28,796世帯なので、合計2兆3000億円を受給するためには1世帯当たり年間8000万円ももらっていることになるという、あまりにありえない大嘘だということを紹介しました。

この2兆3000億というのは、恐らく無職46万人全員に500万円ずつ支給されていると勝手に妄想して出した数字なのでしょうが、そもそもこの在日韓国人64万人とか無職46万人とかの数字はどこから持ってきたのでしょうか?

実際は在日朝鮮人は64万人もいません。このチラシがいつつくられたのか解りませんが、2013年12月時点ですと、在日韓国朝鮮人は51万9737人(総務省統計局←これの1番参照)。64万もいたのは2000年まで遡ります。

なんでこんな古いデータを出しているのかわかりかねたのですが、恐らくこのチラシの元ネタと思われるページを発見しました。こちらです。

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在日が64万とか、無職が46万とか数字が一致しますので、恐らくこのチラシはこのサイトをそのまんま鵜呑みにしたのでしょう。このサイトの記事が書かれたのは平成15年らしいので、64万という数字も納得できます。逆に言えば、チラシ製作者は自分ではなんも調べてないわけですね。在日特権リストの情報ソースが「2ちゃんねるの噂」と恥ずかしげもなくかける連中ですから仕方ありませんが(前回の記事参照)

では、この無職46万という数字を検証してみましょう。一体どこからこの数字を持ってきたのでしょうか?

このサイトは、2000年の国勢調査を基に、こんな表を載せています。

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ごらんのとおり、「労働力人口総数」を278,851人としています。当時の在日朝鮮人はおよそ64万ですので、無職は最大でも約36万のはずなんですが、どういうわけか本文には「無職462,611」と書いてあります。どういうことなのでしょう?

どうもこの「無職462,611」という数字は、民団のHPに載っていることだったらしく、リンク切れで見ることができません。しかし、少し調べてみたら、基となったページの魚拓がありました。こちらです。

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たしかに無職462,611と書いてありますね。全体が636,548なので、労働人口が174,063人になってしまい、国勢調査の278,851人と大きくずれてしまいます。国勢調査がおかしいと言うのは考えづらいので、これはどういうことなのでしょう?

民団の統計の取り方が書いていないのではっきりしたことが言えないのですが、おそらく民団は、パートやアルバイトを「無職」と扱っているのではないでしょうか? 国勢調査はパートやアルバイト、さらには「完全失業者」も労働力人口に含みますので、それでズレが生じているとしか、この統計のズレを説明する手段がありません。

特に、女性のところを見てみると、33万人中29万人が無職になっているので、女性のパートを無職として計算していると考えるのがおそらくは正解でしょう。もちろん、専業主婦や、0歳児も無職として扱っているわけですね。

これで「無職46万」の元ネタはわかりました。無職が36万にしろ、46万にしろ、いずれにしろ、これは1999年ないしは2000年の古いデータなので、現在の状況を調べてみましょう。最新平成22年の国勢調査を見てみましょう。

最新国勢調査(これの41番参照)を見るとこうなっています。

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↑日本人
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↑韓国朝鮮人

日本人の15歳以上の人口は108,220,368人。労働力人口は62,764,117人(うち就業者58,754,208、完全失業者4,009,909)。
韓国朝鮮人の15歳以上の人口が391,335人。労働力人口219,492(うち就業者195,298、完全失業者24,194人)
(※労働力人口には、働く意思はあるけど失業している完全失業者も含むのである)

で、これが非常のややこしいんですが、国勢調査での在日韓国朝鮮人の数と、法務省統計局の在日韓国朝鮮人の数がえらくズレるんです。

法務省統計局の2012年12月の調査(これの1番参照)では、在日韓国朝鮮人の数は530,046人となっているのに、国勢調査(これの58番参照)では423,273人で、なんと10万人以上もの開きがあるのです。

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↑総務省の数字

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↑国勢調査の数字

実は中国なんてもっとひどくって、法務省の統計だと65万人なのに、国勢調査だと46万人しかおらず、20万人もの開きがあるんです。どういうことなんでしょ、これ?

徳山大学のHPの解説によれば、国勢調査は調査時期に実際にそこに3か月以上暮らしているかどうかで判断するのに対し、統計局の数字は住民登録の数字なので、移動しても住民票がある限り、統計に出てくるわけです。

つまり、日本に住民票がある韓国朝鮮人は53万人であるのに対し、そのうち実際に日本に住んでいるのは42万人である、ということだと思います。約11万人の方々は、恐らく日本に住民票を置いたまま、本国なり海外なりにいるんでしょう。(そういえば、私も某A国に1年滞在して帰国したとき、何の手続きもしなかったけど、よかったんかいな…?)

以上のことを踏まえ、実態にもっとも近い数字である国勢調査を基にして考えますと、このようになります。

在日韓国朝鮮人(a)  423,273人
そのうち15歳以上の就業者(b)  195,298人(46.1%)
無職(a-b)(専業主婦・子供なども含む)  227,960人(53.9%)

2010年の国勢調査に基づけば、主婦も子供もお年寄りも全て含めた在日朝鮮人の無職の数は約23万人。チラシに書いてある46万人の半分にしかなりませんね(^^)

これらをもとにデータを出すとこうなります。

国籍

15歳以上人口(a)

就業者(b)

15歳以上の
就業率(b/a)

日本人

108,220,368人

58,754,208人

54.3%

韓国朝鮮人

391,335人

195,298人

49.9%

その他の外国人

1,023,098人

564,065人

55.1%


一見すると在日韓国朝鮮人の就業率がとびぬけて低く見えますが、生産年齢人口(15-65歳)のみに限定するとこうなります。

国籍

生産年齢人口(a)

就業者(b)

生産年齢人口の
就業率(b/a)

日本人

79,726,293人

52,927,346人

66.4%

韓国朝鮮人

308,518人

174,245人

56.5%

その他の外国人

996,989人

557,717人

56.0%


生産年齢人口だと在日韓国朝鮮人とその他の外国人の就業率にあまり差はないことがわかりますので、在日コリアンの就業率の低さの要因の一つは高齢者の多さにあることがわかります。

ついでに完全失業率についても見てみましょう。

国籍

労働力人口

完全失業者

完全失業率

日本人

62,764,117人

4,009,909人

6.4%

韓国朝鮮人

219,492人

24,194人

11.0%

その他の外国人

609,374人

45,309人

7.4%


日本人に比べて外国人の就業率が低い理由ははっきりとはわかりませんが、外国人の完全失業率、特に韓国朝鮮人の完全失業率が日本人に比べてかなり高いことを考えると、就職差別という問題の存在も考えられます。

いずれにしろ、64万人中46万人(71.9%)もの人が無職で生活保護をもらっているなどというのが、どこをどうやっても大嘘であることははっきりしました。

それでは、肝心な生活保護についてみてみましょう。

どういうわけかわからないのですが、平成24年の最新データだと国籍別の統計がなくなってしまいました。仕方がないので、国籍別統計がある中では最新の平成23年のデータを参照することにします。

平成23年の被保護世帯数は1,469,290世帯。そのうち外国人世帯が43,479世帯。在日韓国朝鮮人世帯が28796世帯です。(※あくまで世帯主の国籍です。日本人世帯に外国人がいる場合も、外国人世帯に日本人がいる場合もあります)

日本全体での被保護人員数は2,024,089人。外国人世帯の被保護人員数までは正確にわからないのですが、世帯人員毎の数字がが出ていますのでそれで計算しますと、外国人世帯の被保護人数は71,422人。そのうち韓国朝鮮人は38,046人でした。

(※「6人以上世帯」は6人として計算したので、実際の数字とは数人から数十人程度のずれがある可能性があります。
 また、世帯主が外国人の場合、その世帯構成員全員を外国人と仮定して計算しています。
 実際には外国人と日本人が同居している世帯が数多くあるため、多少のずれが生じます。あくまで参考地としてください)


これをグラフにするとこんな感じになります。
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外国人全体の被保護世帯が約3%、在日韓国朝鮮人が2%ほどと出ました。

あのチラシのように、生活保護の全体の6、7割が外国人、特に在日韓国朝鮮人へ支給されているかのような言説は大嘘であることがわかります。しばしば、外国人への生活保護費が財政圧迫の原因の一つであるかのように言われることがありますが、相当に誇張された言い方だと言わざるを得ないでしょう。打ち切っても3%しか減らん。

人口割りで見ると、たしかに在日韓国朝鮮人の生活保護受給率は日本人の6倍近くになるんですが、ただし、これは国民年金に加入できなかった「無年金世代」が最大の原因だと言われています産経新聞参照)。(外国人が国民年金に加入できるようになったのは1982年から) 制度上年金に加入できずに現在生活保護に頼らざるを得ない状況になっているのが「特権」なんですか? 逆じゃないの?
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(※世帯主の国籍と世帯構成員の国籍を同一のものと見なしているので、実際の数値とは誤差が生じています。あくまで参考地としてください)

第一、普通に考えれば生活保護受給率が6倍も高いというのは、生活困窮者が6倍も多いということです。実際先ほど見た通り、在日韓国朝鮮人の完全失業率は日本人よりも5%近く高いのです。これが特権なら、生活困窮者は特権階級ってことになりますね。結局生活保護をどうこねくり回したって、「在日特権」にはなりようがありません。


まして、
64万人中46万人が無職だとか、
2兆3000億円在日韓国朝鮮人の生活保護費に使われているとか、
日本人差別だとか
そんな大嘘までつくなど言語道断。

見方を変えれば、そんな大嘘をつかないと「在日特権」なんてものの存在を主張できないと言えるかもしれませんね。

センター試験在日特権論にしろ、生活保護在日特権論にしろ、他の「あれが無料だ」「これが無料だ」というものにしろ、「在日特権」と呼ばれるもののほとんどが、恣意的な解釈や、ゆがんだデータの見方に支えられています。中には日本人や他の外国人と同じ扱いを受けただけで「在日特権」なんて呼ばれてしまうこともあります(「朝鮮大学校出身者の司法試験一次試験免除」なんてのがその典型)。

ネットの根拠のない在日特権認定を信じてはいけません。そのほとんどはただの「2ちゃんねるに書かれていた噂」にすぎず、ちゃんと数字を見てみれば、彼らが主張する「日本人差別」など、デマをもとにした被害妄想以外の何物でもないことがわかります。


==愛国カルトに騙されないための心得==

・できる限り新しい統計を確認しよう。
 (今頃「在日朝鮮人64万人」なんて言ってるのはアホだけだ!)

・外国人を日本人と区別していないことを
 「日本人差別」と言い換える人に注意しよう。
 (生活保護もセンター試験も司法試験も外国人を区別してないだけ。優遇はしてない)

・自分で調べずにネットのコピペで
 記事やチラシを作って拡散するような人を信じてはいけない
 (こいつらのことね)

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