前回井上太郎のトンデモツイートを紹介しました。今回はその続きです。
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参照)  
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井上太郎は、実際に戦争が起きていないにもかかわらず、「竹島が侵略された」というのをあたかも「韓国と戦争した」かのように見せかけ、「9条は戦争抑止に役に立っていない」という論理を展開しています。ですが実際に戦争は起きていないのですから、井上太郎の言っていることが全く論理性がないことは小学生でもわかることですね。詳しくは前回のエントリーを読んでください。

そこで気になったのですが、どうも井上太郎や百田尚樹氏あたりは、護憲論者が「9条があれば相手は攻めてこない」と主張していると思い込んでいる節があります。

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参照

しかし、そんなことを言っている人がいるなら紹介してほしいです。少なくとも私はそんなアホな護憲論者を見たことがない。どうも彼らは、護憲論者は9条を水戸黄門の印籠のように使うつもりだと妄想しているようです。

日本の憲法は日本の権力者を縛っているものです。外国の権力者を縛っているんじゃありません。当たり前のことですね。そんなことわかってないアホはいません。では、護憲論者の言う「9条による戦争抑止」というのは何を意味しているのでしょうか? 集団的自衛権容認閣議決定の反対運動の発言を見ればわかります。

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参照
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「日本を海外で戦争をしてしまう国にしてしまうかどうかの大事な局面」
「『戦争をする国づくり』を許すな」
「戦争ができる国づくりにSTOP!」
「閣議決定で『戦争する国』にするな!」


お分かりだと思いますが、9条が抑止しているのは、日本が自ら行う戦争なのです。外国が攻めてくることを抑止しているんじゃありません。こんな当たり前すぎることを、なぜか井上太郎や百田尚樹やそれを信じる人たちはわかっていない。

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↑そもそも根本的に勘違いしていらっしゃる井上太郎ファンの皆様。

日本国憲法は日本の権力者を縛るものです。例えばベトナム戦争では、台湾、韓国、オーストラリア、NZ、フィリピン、タイなども米国の同盟国として派兵しています。アフガニスタンでも多くの国が派兵し、イタリアなんて憲法第11条に「国際紛争解決としての戦争を放棄する」と書いてあるにもかかわらず、拡大解釈により派兵を行い戦死者を出しています。

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↑イタリアでは憲法で戦争を放棄しておきながらアフガンで戦死者を出している(参照

護憲論者が恐れているのは、改憲によって、アメリカやその多くの同盟国のように、日本が戦争をするようになることなのであって、「9条があれば他国は侵略してこない」なんて絵空事を言っているのではありません。(井上太郎や百田尚樹は、どこをどう勘違いしてそんな発想が生まれたんだろう…?)

アフガンで人道支援活動をしている中村哲氏は、「9条のおかげでアフガンでも自分たち日本人は攻撃されない」と言っていますが、それは「9条があるから攻撃されない」ではなく、「日本が9条にのっとって、戦争をしないで平和的な活動をしてきたから、『平和国家』の人間として信頼される」と言っているのです。
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↑中村哲医師のインタビュー(参照

つまり、「憲法9条が海外からの侵略から日本を守ってくれている」なんて主張は、井上太郎や百田尚樹氏のような人たちの脳内に存在する脳内左翼の主張であり、実際の護憲派の主張ではないのです。

護憲改憲の議論をするのは結構なことですが、井上太郎のように言葉のすり替えによってミスリードを誘う卑怯な論を使う者や、百田氏のように脳内左翼の主張を根拠に論理を展開するようなことをやってはいけませんね。

(ただし、多分井上太郎は自分が言葉のすり替えによってミスリードを誘っていることに気がついてもいない。あのどう見てもおかしい論を本気で信じているんだと思う…)

==愛国カルトに騙されないための今日の心得== 
・相手の主張をまず知ろう。
 勝手に相手の主張を作ってはいけない


・脳内左翼を飼っている人を信じてはならない。
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===追記===

コメント欄で、「『9条があれば侵略されない』と言っている人はいる」という指摘があったので、補足しておきたいと思います。

例えば、福島瑞穂氏は産経新聞のインタビューに、以下のように答えたとのこと。

>>--9条の意義とは
>>「9条がなければ戦争ができる国になっていた。
>>韓国の若者がベトナムに従軍したように日本も戦地に若者を送ったはずだ。
>>韓国軍はベトナムで憎まれている。
>>戦後の日本が戦争で人を殺さなかったことは誇ってよい。
>>日本が今後、米国の利害に引っ張られて戦争への加担を強いられたときに、
>>『NO』と断れるのが9条の効用だ」

>>●9条守れば攻撃されず
>>--他国からの攻撃にはどう対応するか
>>「9条で『世界を侵略しない』と表明している国を攻撃する国があるとは思えない
>>攻撃する国があれば世界中から非難される」


この赤字の部分だけ読めば、あたかも福島氏が「9条があれば侵略されない」と、百田氏の言うような「9条教」のように見えるのかも知れませんが、その前に「9条があれば戦争ができる国になっていた」「韓国軍はベトナムで憎まれている」などの言葉から解る通り、「9条を守って日本が他国を攻撃しなかったから、憎しみや攻撃の対象になってこなかった」という意味であることは明白です。

北朝鮮でさえ、朝鮮戦争の際には、「韓国が先に攻撃したから、自衛の措置としてやり返した」という嘘をついて戦争を行いました(これが嘘だと証明されるまでには何十年もかかりました)。

日本の場合は、日本が9条を守った行動をとっていて、それを世界が認知している限り、そのような嘘をついて日本を侵略することは不可能だ、だから他国は日本を侵略することができない、と言っているわけです。

これを「楽観主義だ」「幼稚だ」と言って非難するのは理解できます。福島氏は、「日本を攻撃するような国があれば、世界中から非難されるから、日本を攻撃することは出来ない」と主張しているわけですが、「世界中からの非難」を何とも思わない国なら、その理屈は通らないわけですからね。

しかし、百田氏のいう「9条教」は、日本に攻めてきた軍隊に対して、水戸黄門の印籠のように9条を出せば、相手が「へへー!」と引き上げる、と言っているわけです。そんな主張をしている人は、どこにもいません。「9条が日本を守ってくれている」という主張は、9条が魔法のように相手を食い止めると言っているのではなく、9条を日本が守って他国に手を出さないという「行動」が、他国の日本侵略を抑止している、という意味であることは明白です。

だからこそ、彼らは9条の「解釈改憲」に反対なのです。もしも、9条が魔法のように相手を追い返せると思っているのならば、9条が残ってさえいれば、解釈改憲がなされて、外国に自衛隊を送っても平気なはずです。彼らが解釈改憲に反対なのは、自衛隊を海外に派遣すれば、日本が米国の仲間と見なされ、他国を侵略していると認識され、相手国の攻撃対象になり得てしまう、ということを恐れてのことでしょう。

百田氏の発言の問題は2点あります。

1点は、百田氏の考えるような、9条を水戸黄門の印籠のように捉えている護憲派などいない、という点。

もう1点は、仮にそのような護憲派がいたとして、9条の印籠のような効果が否定されようと、そもそも9条の意図はそんなところにないのだから、9条の意味が否定されたことにはならない、という点。


私は「『憲法9条が海外からの侵略から日本を守ってくれている』なんて主張」の存在を否定しましたが、それは百田氏が考える「こっちには9条があるぞ、立ち去れ」というような、9条が水戸黄門の印籠のように海外からの侵略から守ってくれる、という主張は存在しないという意味であり、「日本が9条に基づいた行動をしていれば、米国のように他国から恨みを買うこともなく、日本侵略のための言いがかりをつけることもできないから、他国から侵略されない」という意味で、「9条が海外からの侵略から日本を守ってくれている」という主張なら、もちろん存在します。そのような主張の一例として引用したのが、中村哲氏です。

先ほど述べました通り、これを「楽観主義」「幼稚」「非現実的」と非難するのは理解できます。しかし、護憲派は百田氏の主張するような形の「9条教」を主張しているわけでもなければ、その9条教を否定したところで、9条が否定されることにはならないのです。

福島氏の発言を、「宗教みたいに9条を信仰して、呪文のように侵略者を追い返せると考えている」と解釈するのは、イデオロギーに頭脳を支配されて、健全な読解力を失った読み方だと言うほかありません。

護憲・改憲の議論をするのは結構ですが、このような形で相手の主張を否定しようというのは、卑怯なミスリードと言わざるを得ません。この記事で述べているのは、そういう意味です。

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