引き続き安保法案のデモについてです。(※繰り返し言いますが、安保法案についてデマをまき散らす愛国カルトを紹介しているのであり、「安保法案賛成者=カルト」と言っているのではありません)

前回「警察発表は6千人なのに、主催者発表10万人なんて捏造乙ww」というのがデマだと紹介しました(そもそも警察は発表さえしていない)。今回はもっと非論理的なデモ捏造論を紹介します。

衆議院特別委員会での採決前日、7月14日に行われたデモは主催者発表で2万人でした。これについて、井上太郎信者である@tokyo_taxi_1という人の主張を見てみましょう(本当にこの人井上太郎のデマを鵜呑みにしまくるんだ…)。
2015y07m23d_004029741
参照

スポンサードリンク


この人は「2万人」という数字が「捏造」だと言っていますが、その根拠がすさまじい。「2万人は武道館2回分。そんなにいたら道が塞がって歩けない」とのこと。

そもそも参加人数2万というのは、途中参加や途中抜けが沢山いるので、2万人が同時に同じ場所にいたという意味ではないのですが、仮に2万人が同時にいたとしたって、この人はプロ野球の試合を見に行ったことがないのでしょうか? 見に行ったことがなくても、プロスポーツの試合の様子なんかをテレビで見たことがないのでしょうか? 巨人戦なんか平均で4万人集まるんですが。(NPB公式サイト参照

2万人で歩けなくなるんだったら試合終了直後の東京ドームなんて死人が出そうですね。

こちらの@gohan0604という人もなかなかすさまじいです。まず主催者発表を捏造と決めつけます。
2015y07m23d_010107600
参照

2万という数字を捏造と決めつけた上で、実際の参加者人数を「たかだか数百人」と根拠なく決めつけます。うーん、どっから出てきたんだ、この「数百人」って数字。

それで2万人が捏造だという根拠がこれまたすごい。
2015y07m23d_010443099
なんと「2万人は捏造」という根拠が日比谷野音の収容人数!

ちょっとくらくらするレベルですね。この人の脳内ではデモ隊というのは観客席に座ってコンサートを聴くものなのでしょうか?

先ほども述べました通り、2万人は総人数だから同時に2万人いたわけじゃないですし、2万人が同時にいたって、音楽ホールにおとなしく座ってるわけじゃありません。さらに言えば日比谷野音とは、日比谷公園の中のほんの一部です。下の写真の赤く囲った部分が日比谷公園。野音は青い丸の部分です。
2015y07m23d_010814025
この青丸の部分に2万人は入れないから「デモ2万人は捏造」って、どこをどうやったらそうなるのだ…。

こういう人が、デモ隊を「ただお祭り騒ぎしたいだけ」なんて侮辱するわけです。お祭り騒ぎしたいなら何かもっと別のことしますよ。誰が好き好んでくそ面白くもないのに暑い中練り歩いてシュプレヒコール挙げますか。やりたくないけど黙っていられないからやってるんでしょうに。
2015y07m23d_011746051
(↑よくもまあ自分の無知を棚上げしてこんな侮辱ができるものである。参照

あれが「お祭り騒ぎをしたいだけ」だろうと思うのは、自分がそういう人間だから他人の行動もそのようにそうだと思い込んでいるからなのでしょう。

さらにこの人は自分の間違いを認めることができず、「2万人なら2万人という証拠を出せ」「(証拠がないなら)いっそ3兆人と発表しろ」「3兆人集めたって言っても誰も相手にしない」とさっぱり意味の分からないことを言いだします。
2015y07m23d_012355924
2015y07m23d_012143473
この人が何を言っているかというと、
「証拠を出さなくていいなら3兆人集めたと言うことも出来る」
「だが3兆人なんてありえない。だから2万人もありえない

ということのようなのです。何を言っているのかさっぱりわかりませんが、この辺が自分の過ちを一切認めることも出来ないカルトのカルトたる所以でしょう。

さて、このように2万人でも「そんなにいるはずない」「捏造だ」という人がいるわけなので、翌日7月15日のデモの主催者発表10万人になると当然もっとそういう輩が出てくるわけです。例えば@sazanka287という人物は「数字モリモリ工作」と言い、そんなに多くのデモ隊が集まったら「交通機関が大パニックになるはず」と言って10万人という数字を否定します。(※何故か彼は「11万人」とツイートしていますが、1万人がどこからやってきたのかは不明)
2015y07m22d_140637269
しかし10万人を超える人数が集まるなんて珍しいことではありません。例えばサッカーのスペインリーグ(リーガ・エスパニョーラ)のバルセロナのホームスタジアム(カンプ・ノウ)は約10万人収容で、毎週のようにそこで試合が行われています。もし10万人で交通機関が「大パニック」になるならバルセロナは試合できません。

そして、日本ではさらに大きなイベントがあります。コミケ(コミック・マーケット)です。昨年のコミケ3日目は21万人が参加しました(J-Castニュース参照)。11万人で「交通機関大パニック」なら、その倍の人数を集めたコミケはどうやって開催したのでしょうか? 実に謎です。

先ほども2万人を否定した人もそうでしたが、この人らはどうして自分の勝手な推測だけで話をして、まともな数字を見ないのでしょう? 勝手に脳内で「2万人もいたら歩けない」なんて決めつけたり、「11万人もいたら交通機関大パニック」と決めつけたり。主催者発表の数字を否定する一方で、その否定の根拠が自分のただの脆弱な推測なのだから嫌になります。2万人で歩けないと思うなら東京ドーム見てこいや…。

こういう脆弱な情報に基づいたデタラメな批判も、ただのネット上の匿名ユーザーが呟いているだけなら害は小さいですが、議員バッジをつけるような人間がそうでは困ります。そう、大阪14区選出の衆議院議員長尾敬もその一人です。

彼は自身のブログにて、「10万人」という数字を「捏造」という言葉を用いて否定しました。その根拠の一つである「警察発表が5000人」だというのは間違いだということは前回お話ししました(前回の記事参照)。

長尾議員がもう一つ出してきた根拠がこの2枚の写真です。

23ced0752afdac518b6fd149c215456e
01b74b7ace5c78f3321e23d058d51ec4

上の写真は1960年6月18日の安保闘争の時の写真で、下は今回のデモの写真です。「10万人もいたら上の写真のようになるはず。だから10万人なんて嘘」というのが長尾氏の主張です。

この衆議院議員が根本的に勘違いしている点として、10万人というのは同時にいた人数ではありません。繰り返し述べていますが、これは一日の延べ人数の主催者発表です。途中参加途中抜けが大勢おり、平日だったので昼休みだけ顔を出した、みたいな人もいるかも知れません。写真の出典が描かれていないので下の写真が何時ごろ撮られた写真なのかわかりませんが(長尾氏自身把握していないことをtwitter上で白状しています)、
朝早くでまだ人数が少なかった可能性もありますし、国会前の交差点の一角を映していないのでもっと奥に大勢いるのかもしれません。

どうもこの長尾氏は10万人が延べ人数だと本気でわかってなかったようで、ツイッター上でこのような事実を指摘されると「でも10万人はちょっと…」と、ただの推測で逃げをうちました。「ちょっと…」何なんですかね?2015y07m23d_015709678
参照

少なくともこの写真を根拠に「10万人なんて嘘」というのは全く論理性がありません

そして、もう一つ間違えているのが上の60年安保の写真の人数が「10万人」だという点。長尾氏は自分で主張しておきながら、60年安保の時のデモの人数を調べることもしないようです。Googleという存在を教えてあげた方がよいでしょうか?

1960年6月18日のデモは主催者発表で33万人もいたのです(東京新聞参照)。つまり、長尾氏が「10万人いたらこうなるはず」と言って出してきた写真は33万人の例なのです。警察への聞き取り調査では13万人だったらしいですが、主催者発表10万人というのを否定するために主催者発表33万人のデモの写真を持ってくるというのは完全なミスリード、いえデマだと言っていいです。

10万人という主催者発表の数字も、かなり推測が入っているので数万やそこらの差はあっても全然おかしくなく、正確な人数については「わからない」と言わざるを得ませんが、自分の勝手な推測で「2万人もいたら道が塞がって歩けない」とか「11万人もいたら交通機関大パニック」とか批判をする人たちの主張は全くのでたらめ以外の何ものでもないです。

なんかこういう人たちを見るたびに思うのが、「アポロは月に言っていない」と主張する人たちです。「こんな宇宙船では強度が足りない」とか「1960年代にそんな計算できっこない」とか勝手な推測でアポロ11号の月着陸を否定するのです(副島孝彦の『人類の月面着陸はなかったろう論』が典型。リンク先がかなり笑えます)。

自分勝手な推測は必ずどこかで破綻します。現実と整合性が取れなくなる。じゃあどうするか。自分の推測に合わないものは「捏造」ってことにしてしまえばいいのです。

こうやってアポロ11号を否定したり、安保法案に対する反対もなかったことにしてしまうのです。その辺のおじさんならまだしも、衆議院議員にこんなことをされてはたまらんですね。毎度同じ結論になりますが、中途半端な情報に基づいた自分勝手な想像で自分に都合のいい解釈をしてはいけませんね。

にほんブログ村 政治ブログへ 
にほんブログ村 政治 ブログランキング