安保法案の強行採決から2か月少し経ちました。安保法案を支持した人たちの中には、あれが「強行採決ではない」とか「『強行採決』という言葉は定義のない左翼の造語」など言う人も少なくないようですが、その人たちは辞書を引いていないのでしょう。
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(「コトバンク」より)

>>与野党による採決の合意を得ずに,委員長や議長の職権の下で突発的に行なう採決

>>国会などで、少数派が審議の継続を求めているにもかかわらず、多数派が一方的に審議を打ち切り、採決を行うこと

 
というわけで、是非はともかくとして、あれが「強行採決」であること自体は否定のしようがありません。せめて辞書の定義ぐらい見てもらいたいものですね。

さて、そんな与党の強行採決を支持する人の多くは、こちらの人と似たような意見の持ち主なのではないでしょうか。典型例の一つとして紹介します。

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本人のツイート
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「前の選挙で安保のついては明言」というのが大嘘であることは以前こちらの記事で紹介しました。2014年末の選挙は、「アベノミクス解散」と明言し、自民党の公約一覧で安保が登場するのは296項目中271番目です。まして、選挙の段階ではどのような法案になるのか分からないわけで、あの選挙で「アベノミクスが支持された」と言うのはまだわかりますが、「安保法案が支持された」などとはとても言えるものではありません。

さて、そのように「選挙で支持されたんだから強行採決ではない」と言う人の考え方がよく表れているが、

>>国会審議が始まった途端に騒ぎ出すのがおかしい

というこの一文でしょう。

これは言い換えると、「選挙公約に掲げて勝ったんだからごちゃごちゃ言うな」ということです。

しかし、この考えに則ると、国会には何の意味があるのでしょうか?

民主主義とは、選挙で独裁者を選ぶ制度ではありません。選挙で勝てば、公約に掲げていれば、何をしてもいい、というのは民主主義国家ではありません。だからこそ国会があり、野党があり、与党の権力が暴走しないように議論が行われるのです。そして、その議論の過程で、初めて国民が「おかしいんじゃないか」と気が付くこともあります。

「公約に掲げて選挙に勝ったんだから文句を言うな」というのは国会の否定であり、さらには民主主義の否定に他なりません。自由民主党員はもちろんのこと、今回安保法案で自由民主党を支持し、さらには「強行採決ではない」と言う人たちは、「自由」と「民主」という言葉の意味を知らないのではないかと思えてなりません。

「公約に掲げて選挙に勝ったんだから文句を言うな」という考えは、安保法案の中身に対する賛否に関わらず否定されねばなりません。まして、今回の選挙で自民党は大敗した2009年より得票数を落としており、投票率52%の選挙で、自公は5割未満の得票しかとっていません。しかも小選挙区は48%が死に票という有様です。

得票数(小選挙区)
2009年
2014年
自民党27,301,98225,461,448
公明党782,984765,390

得票数(比例代表)
2009年
2014年
自民党18,810,21717,658,916
公明党8,054,0077,314,236

得票率(小選挙区)
得票率
議席数
与党(自公)49.54%232(78.64%
野党(その他)50.46%63(21.36%

得票率(比例代表)
得票率
議席数
与党(自公)46.82%94(52.22%
野党(その他)53.18%86(47.78%
(以上の数字はWikipedia参照⇒2009年2014年

我々は法案の中身に対する賛否に関わらず、民主主義は守らねばなりません。そのためには私たち一人一人がしっかりと選挙に行くことが必要ですし、私たちが選挙に行こう、という気になるような、民主主義と立憲主義を守るしっかりとした政治家の存在が求められているのだと思います。

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