久しぶりの更新で少し時期を逸してしまいましたが、このブログで何度も取り上げてきた百田尚樹は、年が明けても 変わらずネトウヨの親玉をやり続けることでしょう。


ネット上で右翼的な発言をする者の中でも知性を感じさせない人物が「ネトウヨ」 と呼ばれており、今年の「流行語大賞」で「保育園落ちた、日本死ね」が選ばれた時には、彼らによる知性を感じさせない批判がネットに山ほどあふれました


その典型的なものが、 「山尾志桜里による自作自演」というものです。 


ネトウヨ界隈では、「保育園落ちた、日本死ね」が、民進党の山尾議員が自分で投稿して自分で国会で取り上げた自作自演だ、という主張が横行し、保守速報などは「確定」と言って、知性のなさをさらけ出しています。


もちろん、時系列を見ればそんな可能性はゼロであり、以前このブログでも取り上げたのですが、何と百田氏はこのネトウヨの妄想を信じているらしいのです。

2016y12m30d_093336696

>>「(「日本死ね」に対しては)今も自作自演という疑念が晴れません。
>>つまり、山尾さんが勝手にそういうブログを立ち上げて、
>>政府に対して何か批判したいがためにブログを書いて、
>>それで(国会で)言うたとも言われています」との疑念を述べたのだ。

ライブドアニュース

「言うたとも言われています」って、
2ちゃんねるや保守速報のデマは普通「言われています」って言わねえよ!(笑)



さらに、百田氏は「自作自演」「確定」とした記事をリツイートもしています。


↑百田氏がリツイートしたツイート


こんなんをRTするって、本気ですか、百田先生?
(スポンサードリンク)

改めて、この「保育園落ちた、日本死ね」の時系列を確認してみましょう。


ブログが投稿されたのは今年の2月15です。


もし、この直後に山尾氏が国会で取り上げたのなら自作自演を疑うのもわかりますが、2月16日にはネットで話題になっています。ライブドアニュースによれば、「16日16時の時点で、はてなブックマーク1600件以上、フェイスブックの「いいね!」が1万6000以上を集めるなど、ネット上で話題となっている」とのことで、ブログ投稿からわずか1日で既に大きな反響があったことが分かります。


2月17日には「キャリコネ」というサイトでも取り上げられ、さらにハフィントンポストでも取り上げられ、ニコニコニュースにも掲載され、さらにはTBSのニュース23でも取り上げられました。


つまり、投稿翌日にはネットで話題になり、2日後にはテレビのニュースでも取り上げられているのです。その後、各局のワイドショーでも取り上げられました。その後も新聞などでも取り上げられています。そして、山尾氏が国会でこれを取り上げたのは、ブログがとっくの昔にネットやテレビ等で話題になっていた2月29日です。 

 
これで自作自演なんてあり得るわけがない!



山尾氏が国会で取り上げてからネットやテレビで話題になったのなら自作自演を疑うのもわかります。しかし、今回は全く逆で、ブログは投稿後すぐに話題になり、話題になった方こそ山尾氏が国会で取り上げたのです。


もしもこれで山尾氏が自作自演したのであれば、山尾氏が書いたブログが、山尾氏の思惑通り、または予想を超えて、ネット上で1万人以上に「いいね!」されるほど話題になり、各ネット記事で取り上げられ、テレビでも取り上げられるほどの反響を得たことになります。それほどの世論操作能力があるのなら、民進党はとっくの昔に選挙でも世論操作に成功して与党になっているでしょうね。


さらに、このブログ投稿者は産経新聞フジテレビのインタビューに答えています。さて、山尾氏の自作自演だとしたら、産経新聞やフジテレビは山尾氏にインタビューしたのでしょうか? それとも、山尾氏がスケープゴートを立てて、産経やフジは騙されたのでしょうか? すると、産経やフジは何の裏も取らずにインタビューしたってことですかね?


以上のことから、山尾氏が自作自演などあり得るわけがないことは明白です。自作自演説を唱えている人は、自分で時系列を調べることさえできない知性しか持ち合わせていないのでしょう。


百田氏はいつも通り「事実は分かりません」と断りを入れているらしいですが、ちょっと調べれば事実でないことは明白であり、2ちゃんねるレベルの噂話を「事実は分かりません」と断りを入れれば拡散して良いと考えているところがあまりにも卑怯です。


田母神氏もイラクで殺害された後藤健二氏が在日だという2ちゃんねるレベルのうわさを「事実は分かりません」と断りを入れてツイートしていましたし、百田氏は先日も強姦事件の犯人を根拠なしに「在日外国人ではないかという気がする」と述べ、「推測だから問題なし」という見解を示していました。このように根拠のないことを言って、「推測しただけです」と述べるのは、この手の人たちの常套手段です。卑怯極まりない。



さらに百田氏は「日本死ね」は「中韓の言葉」だとして、今回のことと全く関係ない中韓を批判すると同時に、あたかもこの「保育園落ちた、日本死ね」に共感した人たちを、中韓の手先であるかのように非難しました。


2016y12m30d_100024473

そして、ネトウヨさんのおなじみの、「左翼マスコミ」や「日教組」批判へとつなげています。日教組だの共産党だの社会党だの左翼マスコミだの反日市民団体だの、ネトウヨが大好きな言葉が連呼されていますが、戦後ほとんどの期間、与党だったのは自民党なんですけどねえ。そういうことは考えないんでしょうね。




もしかしたら、百田氏は「保育園落ちた、日本死ね」の記事を読んでいないのではないでしょうか。


前回石平氏を批判した記事でも書きましたが、「日本死ね」だけに注目するとヘイトスピーチに見えますが、これは「保育園落ちた、日本死ね」であり、内容は完全に行政批判です。


日本人や、日本という国が亡びることを望んでいるのではなく、五輪エンブレムだとか国立競技場だとか国会議員の不倫だとか、目の前の生活に関係ないことばかりに金が使われ、マスコミが取り上げ、待機児童問題が後回しにされている状況に憤っている内容です。


まったく「反日」ではなく、中国韓国の「反日」による「日本死ね」とは似ても似つかないのですが、百田氏はそんなことも理解せず、ただわがままな子供のように「日本死ね」という言葉に感情的に怒っているだけです。


百田氏の「保育園落ちた、日本死ね」に対する批判は、知性のかけらも感じさせないほど、稚拙で幼稚なものですが、彼のように自民党の勉強会で講演するほど、政治にも影響力を持ちうる人物が、こんな頭の悪いデマに騙されているということは、実に憂慮すべき事態です。

さらに、百田氏は、流行語大賞の審査員だった俵万智氏について、このように述べています。



140字以内でいっつも驚くほど情けない発言をしまくっているお前が言うな(笑)



さらに「日本死ね」は「世の中を少しも動かしていない」と言っていますが、あれだけ保守的な産経新聞でさえ、「保育園落ちた」のブログが「安倍首相にスイッチを入れた」と表現しています。

2016y12m31d_230112303
産経新聞 2016年5月4日


「保育園落ちた、日本死ね」が「世の中を少しも動かしていない」と本気で思っているのなら、百田氏はよほど浮世離れした生活をしているか、我々が住んでいる世界とは別の百田ワールドにでも住んでいるのでしょう。



世界一権威がある英語辞典とされるオックスフォードは、「今年の英単語」にPost-Truthを選びました。これは truth(真実)の先(post) からきている単語で、「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」を示しています(参照)。


まさに、日本のネットの状況はこれにあたるでしょう。


ちょっと考えれば、「保育園落ちた、日本死ね」が山尾氏の自作自演などということはありえないのに、百田氏ほどの影響力がある人物がそれを平気で拡散する。


事件が起こると、すぐに「在日ガー!」と騒ぐ。実際の犯罪の統計なんて調べようともしない。この10年間、一貫して外国人犯罪は減り続けているのに、平気で「外国人犯罪の増加」なんていうことを言うやつがいる。いまだに麻原彰晃は在日だなんて言っているバカが腐るほどいる。


気に食わないことがあると、「反日」認定して、すぐに日教組だの共産党だののせいにする。そして、なんでもすぐに中国韓国に結び付ける。保育園なんて一切中国韓国と関係ないにもかかわらず。


そして、適当なことを言っても、「事実は分かりません」「推測です」と断っておけばデマにならないと思っている。上の百田のツイートは以下のように正されるべきでしょう。


ネトウヨや、日本会議に所属するような自称保守の人間は、「日本サイコー」「中韓死ね」というキャンペーンを続けてきた。彼らは中国人、韓国人、外国人を憎めと国民に言い続けてきた。百田氏のようなPost-Truthの人物が影響力を持っているのは、そのたゆまぬ努力の成果である。


この方がよほどtruthに近い表現だと思いますね。

 
我々はtruthよりも感情を優先するような人間を信じてはいけません、そのような人間になってはいけません。そのためには、2ちゃんまとめサイトをうのみにするような「ネットde真実」から脱却し、客観的な事実を自分で調べる癖をつける必要があります。それは難しいことではなく、今回のように、ブログがいつ投稿され、いつネットで話題になったのか、まとめサイトをうのみにせず、自分で調べるだけでいいのです。


自分の頭を使う癖を身に着け、post-truthから脱却することが、現在のネットでデマが拡散される状況から身を守る大切な手段です。

にほんブログ村 政治ブログへ 
にほんブログ村 政治 ブログランキング
(スポンサードリンク)