政府が言うところの「テロ等準備罪」、いわゆる「共謀罪」が衆院を通過しました。


自民党はこれを「テロ対策だ」と言い、それを無邪気に信じている人も大勢いるようですが、これがテロ対策でないことは、法案に当初「テロ」の文言がなかったことからも明らかです。

2017y05m28d_132456787
東京新聞2月28日

このことを批判された自民は、「テロリズム集団その他の」という文言を追加。ところが、この「テロリズム集団その他の」という文言を加わえたことに意味はないことを金田法務大臣自身が明言しています。この文言があろうがなかろうが、犯罪の成立範囲は変わらない、とはっきり言っているわけですから、これがテロ対策でないことは明らかです。

7868
日刊ゲンダイ4月27日

4月20日に報道されたテレビ朝日『モーニングショー』では、自民党の法務部会長である古川俊治議員が、この法案がテロ対策でないことを明言

top
BUZZAP)(リテラ

この法案がテロ対策でないことは、これ以上ないぐらい明らかです。

(スポンサードリンク)

自民党は共謀罪が「パレルモ条約」に入るために必要だと言っていますが、そのパレルモ条約もテロ対策ではないことをパレルモ条約を作った張本人である米ノースイースタン大学のニコス・パッサン教授は明言しています。(テレビ朝日5月16日

2017y05m28d_134750095

教授は日本のテロ対策について、「テロなどの犯罪に対して、現在の法体系で対応できないものは見当たらない」と述べ、共謀罪法案がパレルモ条約批准に必要な条件ではないとも言っています。自民が言う「テロ等準備罪」がテロ対策でないことは、これらの点からも明らかです。


そもそも、担当の金田大臣が、テロを準備した段階で現行法で対処できない事例があるのか問われ、答えられなかったという事実が存在するのです。金田大臣は、「判例を見ると、現行法で対処できないものがある」と答えておきながら、「具体的な判例を教えてくれ」と言われたら「判例はありません」と答えるという、超絶アクロバティックな答弁を見せています。これでテロ対策だという政府の答弁を信じる人は、よっぽどのお人好しでしょう。

2017y05m28d_145949853
テレビ朝日1月30日


共謀罪に反対している人たちは、テロ対策に反対しているのではなく、これが「テロ対策」という看板が付いただけの、テロ対策では全くない別物であるから反対しているわけです。だからこそ、国連人権委員会特別報告者のケナタッチ氏も、「範囲が広すぎる」「『計画』の定義があいまい」「プライバシーの権利が侵される」などと批判しているわけです(参照)。


しかし、「テロ対策だ」と言われると、「そうか、必要なのか」と思ってしまう人が大勢いることもまた事実。そういう「テロ等準備罪」の賛同者の中で、最も恐ろしいのが、「テロ対策に反対するやつはテロリスト」という意見です。



>>テロを未然に防止しよとするのに反対するのはテロリストとしか思えない。



>>もはや「デモ」ではない。「押し寄せる」の異常行動こそ…
>>「テロ等準備罪」が必要である証である。



>>テロ共謀罪反対って本当ですかね?
>>日本国をテロ天国にしたいんですか?




>>反対の人はホントにテロしたいか情弱か暴れたいだけの人だ



>>共謀罪反対してる市民はなに?
>>お前らはテロしたいから見んなって言ってんのか?w




>>テロ等準備罪に反対しているって言う人は自分たちが捕まるかもしれないから反対するんだよね?
>>つまり自分たちがテロをするかもしれない、テロしたいって思っているってことだよね?
>>と言うことは国会前に押し寄せている人たちは全員テロリスト予備軍ってことかな?



これこそが共謀罪の真の姿です。


「テロ対策に反対するやつはテロリスト」、これは「国が考える治安維持に反対するやつはテロリストだ」という意味に他なりません。


「これはテロ対策だ、治安維持のためだ」と言われたらそれを甘んじて受け入れねばならず、それに反対する者はテロリスト扱いわれる、これが共謀罪の真の姿です。共謀罪支持者が言っていることが、まさにそのまま共謀罪の恐ろしさを物語っています。だからこそ、共謀罪は「平成の治安維持法」と呼ばれているのです。


テロ対策の名のもとに監視され、何かをしたわけでもないのに「計画したな」と言われて逮捕。自分自身は何もしてないのに、計画した組織に関わっていただけで逮捕。共産党も日弁連も、政府方針に逆らえば監視されて、何か言いがかりをつけられて逮捕。




今でさえ、辺野古移設反対活動を行っていた山城博治氏が逮捕・拘束され、長期の拘束に対し、国連人権委員会特別報告者4人が「人権上問題がある」として、政府に是正を求めています。


2017y05m28d_143642649
東京新聞5月28日


これが、実行していなくても逮捕できるとなると、どんな言いがかりをつけられることか。そもそも「計画」の定義があいまいだから、どんなことで「計画した」と言われることか。


はっきり言って、この国の警察や検察は、犯人でっち上げぐらいのことはやります。袴田事件の証拠でっち上げや、凛の会事件での調書捏造や証拠捏造をみればわかるでしょう。言ってもいないことを言ったことにされ、やってもいないことをやったことにされる。なんたって、この国はマイナスドライバーを持っていると逮捕される国ですからね。そんなことは今でさえ行われているのに、共謀罪施行後はどうなるか分かったもんじゃありません。


逮捕されなくても、「監視社会になる」という懸念を持つ人もいます。ところが、中にはこんなことを言う人までいます。



>>万が一監視されたとしてなんか不都合あるんか?って感じ

この人は監視されても平気なんですかね? 自分の行動を警察が見張ってたり、カメラを取り付けられたリ、メールやLINEを見られたとしても、平気なんですかね? プライバシーの権利って言葉を知らないんでしょうか?


岐阜県大垣市では、実際に警察が市民を監視していることが発覚しています。風力発電建設についての勉強会を開いていた市民が警察に監視され、警察はその個人情報を風力発電建設を進めていた中部電力に渡していました西日本新聞4月27日)。何ら犯罪に手を染めていたわけではないのに監視され、その後も誰が自分のことを密告したのかと疑心暗鬼になり、精神的苦痛を受けたとして現在裁判中です。


さらに、岐阜県警は中部電力に対し、「平穏な大垣市を維持したいので協力を願いたい」と述べています(中日新聞2014年7月24日)。風力発電建設に反対する行為は、平穏を乱す行為だと警察は判断したわけです。これだとデモ活動なんかはどうなってしまうのでしょうね。沖縄の基地建設反対活動のようなものが、どれだけ委縮させられるかわかりません。市民の監視が強まることは、自民党の平沢氏が認めています。




上のツイートにあったような、「国会前に押し寄せている人たちはテロリスト予備軍」という判断を、本当に政府や警察がするかもしれません。そうなれば、べつに逮捕までする必要なんてありません。「政府に逆らわないものは警察に監視されることはないが、政府に逆らうものは警察に監視される」この事実だけで十分です。そうなれば、言うまでもなく政府を応援する勢力は堂々と活動できる一方で、政府に反対する活動は委縮することでしょう。


実際に監視しなくても、逮捕しなくても、
「もしかしたら監視されるかも」
「もしかしたら逮捕されるかも」
こういう気持ちにさせるだけで、委縮させるには十分なんです。


CIAによる市民監視の実態をリークして亡命しているスノーデン氏は、「『隠すことがないなら恐れる必要はない』というのはナチスのプロパガンダと同じ」と述べています。まさに、現在共謀罪支持者が言っていることは、大日本帝国やナチスがやった、自由のない、政府に逆らえない社会を作るため第一歩だと言えるでしょう。本人たちにその自覚がないのが恐ろしい。

C8UPFUrUIAE6Fz5_Rr
C8UPF3vVYAAwmWb_Rr
C8UPHIVUAAAXAI1_Rr
C8UPI2jUIAAe5PW_Rr


・「テロ対策」の看板をかけて、反対すればテロリスト扱い

・「隠すことがないならいいだろ」と言って監視を行いプライバシーの権利を侵す


共謀罪に賛成している人たちの言論を見ると、共謀罪がいかに危険な法案か見えてきます。政府や警察の権力を強くして、反対意見を抑えることで治安維持を図る。それが共謀罪の本質だと言うことがわかります。


自民党の、特に安倍政権の非常に狡猾なところは、ネーミングの仕方だと思います。自衛隊が米軍を守るための法案を「平和安全法制」と呼び、共謀罪を「テロ等準備罪」と呼ぶ。


ネーミングというのは非常に重要で、「フレッシュライフ」という靴下を「通勤快足」という名前に変えたら、同じ商品なのに売り上げが10倍になったり、「モイスチャーティシュ」を「鼻セレブ」という名前に変えただけで売り上げが4倍になった事例などがあります。


「テロ等準備罪」も、「共謀罪」ではイメージが悪いので「テロ等準備罪」に名前を買えたら、驚くべきことに、法案を「理解している」が31%、「理解していない」が65%なのに、「賛成」が32%もいるという結果に(テレビ朝日5月22日


あんたら、理解していないのに賛成してるの???? 


「テロ対策」という看板さえつければ、内容を理解していないのに賛成してくれる人が大勢いるということがわかります。まあ、金田法務大臣でさえ中身を理解していないのに、一般人に理解しろってのが無理なわけですが。


東洋には「羊頭狗肉」という言葉がありますし、英語には Don't judge a book by its cover.(表紙で本を判断するな)という諺があります。羊の看板を掲げても犬の肉が羊の肉になりはしないのと同様に、「テロ対策」の看板を掲げても、共謀罪がテロ対策になったりはしません。


名前ではなく、内容を理解して判断しないと、後でえらいことになります。少なくとも、これほどの重要案件なのですから、賛成する人は法案を理解してから賛成してもらいたいです。私は「テロ対策に反対するやつはテロリスト」ということになりかねないこの法案には断固として反対します。賛成している人は、金田の答弁を見て、あんなので賛成していいのかちゃんと考えてもらいたいです。


ついでに、「自由民主党」という名前が内容と合致しているのかも、ちゃんと考えてもらいたいです。あの政党のどこに「自由」と「民主」があるのか。実態に合うように、「安倍晋三と仲間たち」とか、「唯我独尊党」とか改名してほしいです。


にほんブログ村 政治ブログへ 
にほんブログ村 政治 ブログランキング
(スポンサードリンク)