ざっくり言うと
  • 「豊中市の国有地は売れない土地だったので、森友学園が手を挙げてきて渡りに船で売った」という、田崎史郎や八幡和郎らが主張する擁護論は事実関係からして間違い。2010年には豊中市が、2011年には大阪音楽大学が購入を希望し、金銭面で折り合わず断念している。
  • 八幡和郎は「(本来とっくの昔に売りたかった土地が)手違いで売れ残っていた」と主張するが、どんな手違いがあったのかは全く説明しない。具体性がなく極めてあいまいな説明の上、大阪音大など、都合の悪いことには言及していない。
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徳島文理大学教授の八幡和郎は、先日の記事で触れた通り、公文書改竄問題について「朝日新聞などは何言っても公正な報道などしないだろうし、コアな野党支持者は歪曲してしかものをみないだろう」と言っていました。そんな八幡氏が公文書改竄について解説するというので、さぞかし公正で歪曲していない解説をしてくれるのだろうと思いきや、彼がその解説を寄稿した先は、何と『夕刊フジ』…。このブログでも何度かデマを取り上げた、公正さもなければ歪曲しまくりのタブロイド紙です。一体そこで何を言うかと思いきや、予想通り、使い古された周回遅れの擁護にすぎませんでした。以下、紹介します。

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(↑夕刊フジの記事の一部)

まず、タイトルからして「ああ、やっぱりこういう主張か」と思わせてくれます。


>>森友「8億円値引き」は官僚のミス隠し
 

8億円値引きが「官僚のミス隠し」だという主張は、高橋洋一などの安倍政権応援団がこぞって言っている主張です。しかし、その内容はお粗末極まりない。以前高橋洋一センセについて書いた記事とかなりの部分重複してしまいますが、八幡氏の主張を読んでみましょう。

・昭恵夫人が影響を与える余地がなかったことが確定!?

 財務省が19日に公表した削除文書と、参院予算委員会で同日行われた集中審議で、大幅値引きは大阪航空局主導で、安倍昭恵首相夫人側が影響を与える余地はなかったことが確定的になった。
もう、出だしていきなり「お前何言ってんの!?」と思わざるを得ません.。


今月19日に、ごみの撤去費用を大幅に値引きする方法は、土地を所有する国土交通省大阪航空局が近畿財務局に提案していたことが明らかになりました(NHK参照)。

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どういうわけか、この期に及んで政権擁護をしている皆様方は、このニュースで「安倍昭恵氏の関与がなかったことが明らかになった」と主張しますが、論理が全く全然ちっとも少しも成立していません。


そもそも、この問題を追及している誰一人として、安倍昭恵氏が「地中からゴミが見つかったことにして8億円値引きしてください」なんて大阪航空局や近畿財務局に頼んだなんてことは思ってないわけです。あるとしたら、秘書を通じて財務省や国交省に、お願いをすることでしょう(事実、秘書を通じて土地の定借に関するお願いをしている)。


仮に安倍昭恵氏から土地の値引きのお願いがあったとしたって、そりゃあゴミの撤去費用という名目で土地を大幅に値引きするなんてアイディアは、近財なり大阪航空局なりから出てきているってのは、最初っからわかりきってたことです。この文書は、土地の値引きが妥当ではなかったということを裏付けはしても、安倍昭恵氏の関与の有無の判断には全く影響を与えません。


「削除文書から昭恵氏の関与の証拠は出なかった」というのならわかりますが、どうして「削除文書から、昭恵氏の関与の余地がないことが確定的になった」となるのか、私には理解できません。


まあ、この文書の解釈は、人によって違うのかもしれませんが、次の主張は完全に出鱈目でした。

・大阪音大のことを完全に隠して論を展開する八幡和郎

もともと、大阪航空局はあの土地を「早く処分したい」と焦っていた。騒音訴訟などで購入した多くの土地は売却が進んでいたが、手違いがあって残っていたのだ。そこに森友学園が現れた。渡りに船で、いささか拙速に話を進めた
この「大阪航空局があの土地を早く処分したいと思っていた」という主張は、先日田崎史郎氏もテレビ朝日の『モーニングショー』で披露し、番組内で反論されていましたが(こちらの記事参照)、いつまでこれ言い続けるんですかね? 第一、「大阪航空局はあの土地を早く処分したいと焦っていた」なんてこと、大阪航空局自身主張してないんですよ。何の根拠もなく、田崎や八幡などの猛烈な安倍政権支持者が、勝手に都合よく大阪航空局を忖度しただけです。


そもそも、この問題がどうして露見したのか、八幡氏は忘れてるんじゃないでしょうか。この土地は豊中市が2010年に隣接地と一緒に購入しようとしましたが、予算が足りずに、東側半分だけを購入したんです(それが現在の野田中央公園)。豊中市が購入を断念した残り半分の土地が、金額非公表で売却され、金額開示請求をしたら異常な値引きが行われていたため、「これはおかしい」と露見したんです。「早く処分したい」と思っていて、購入者が現れるのが「渡りに船」なら、豊中市に売却してるはずでしょ。


また、豊中市だけでなく、あの土地は2012年に大阪音楽大学が購入を希望していたんです。しかし、国は9億円超を要求し、7億円までしか出せなかった大阪音大はあきらめたんです。この一点を見ても、「大阪航空局があの土地を早く処分したいと焦っていた」「森友学園が現れたのは渡りに船」という八幡和郎の主張が、全く事実と異なることがわかります。なんでこんな周回遅れのデマに今頃乗っかってるんですかね、八幡氏は。


しかも、森友学園の土地が「手違いがあって残っていた」などと言っていましたが、どんな手違いがあったと言うのか、八幡和郎は何の説明もしていません。そりゃあ説明できるわけありませんよね。八幡氏の勝手な妄想なんですから。


10年に豊中市が、12年に大阪音大が購入希望をしていたのに、「手違いがあって残っていた」なんて説明通用するわけがない。どんな手違いがあったと言うのか、説明できるのならしてもらいたいものですが、そこは八幡氏は説明しないわけです。


大阪音大のような都合の悪い情報は隠す。理屈に合わないところは「手違い」などというあいまいな言葉で逃げる。実に八幡氏らしい論法です。こんな公平性の全くない歪曲したものの見方、なかなか真似しようとしてもできないと思いますけどね。


このあとの説明も、全く論理性を感じられない、自分に都合の悪い情報は隠したまま、都合のいい情報をツギハギした論調が続きます。次回に続きます。

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