<ざっくり言うと>
  • 「生活保護不正受給の95%が在日韓国朝鮮人」は、言うまでもなくデマである。
  • 不正受給件数は年間約4万5000件。その95%だと4万2000件ほどだが、韓国朝鮮人の生活保護受給世帯は3万世帯なので、不正受給の95%が韓国朝鮮人だと、不正受給世帯数が受給世帯数全体を大きく上回ってしまう(笑)。
  • このデマを信じるやつは、小学生レベルの分数が理解できないか、差別意識で目が曇ってこの程度のデマも見抜けなくなった思考停止くんかのどちらか。
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このブログでは、これまで何度も外国人生活保護について取り上げてきました。

在日韓国朝鮮人の生活保護が2兆3千億円という大嘘。有名デマチラシを検証する1

在日韓国朝鮮人46万人が無職という嘘 有名デマチラシを検証する2

外国人生活保護は「非常識」で「違憲」?:愛国カルトのデマを斬る

外国人生活保護に関するデマは、上記リンクで検証したものが最も多いのではないかと思います。「2兆3000億円」デマ「46万人無職」デマ「諸外国では外国籍の人間には生活保護を与えない」デマ「外国人の生活保護は違憲」デマ。全部嘘です。詳しくはリンク先を見てください。


こんなことを言ってる奴を見たら、その瞬間に、そいつの言うことは信ずるに値しない馬鹿だと判断して大丈夫です。まともな知能のある人間は、こんなデマに騙されませんから。


そして、今回さらに頭の悪いデマを発見しました。「不正受給の95%が在日韓国朝鮮人によるもの」というものです。
この人たちがツイートしているサイト()を見てみると、「在日朝鮮人64万人中46万人が無職」とか「外国人への生活保護支給は違憲」とか、このブログで何年も前に紹介したデマが書かれていますので、この時点でこれらのサイトは全く信頼できないことがわかります。

生活保護と不正受給に対するネット上の誤解


生活保護不正受給は、これらに並んでデマが多いものですね。何故か日本のネット上では「貧困叩き」が横行しており、「生活保護」=「不正受給」というようなイメージを持っているような人たちまで少なくないようす。


そもそも生活保護の支給額は、国が定める最低生活費によって決められます。詳しい計算方法はこちらのサイトに書かれているので参照してもらいたいですが、一家四人で一か月余り20万円ちょっとという感じです。独り暮らしなら10万円ちょっと。ネットでは「生活保護でいい生活」みたいなこと言ってる人たちがいますが、出鱈目もいいところです。


そして、生活保護の支給額は、アルバイトなどで働いて得た収入や年金の収入などを最低生活費から差し引いた額です。生活保護受給世帯は収入が「最低生活費」に達しないから受給されているわけで、「生活保護でいい生活」なんて大嘘なわけです。


その不正受給者についても、内訳を見てみると、働いて得た収入の無申告が2万800件(46.8%)で最多。年金などの無申告が7632件(17.2%)、働いて得た収入の過少申告が5632件(12.7%)となっております。


「働いて得た収入の無申告」ですが、現在テレビドラマも放送中の『健康で文化的な最低限度の生活』でも描かれていますが、例えば月数万円の高校生のアルバイト代を申告していなかっただけでも、意図的でなくても「不正受給」になってしまいます。


実際、不正受給の金額は1件当たり平均で37万7千円です(日経新聞)。1ヶ月で37万円も多く貰ってたわけじゃないですよ。例えば1年間、毎月3万円ほどの多く支給されていて37万円不正受給になった、みたいなことですからね。高校生や大学生がアルバイトで月3万円もらっていたのを申告していなかった、みたいなケース感じが多いんじゃないですかね。


不正受給の金額が一軒当たり37万7千円という点からも、「不正受給」=「生活保護で悠々自適ないい生活」みたいなイメージは相当偏ったものであり、そんなのはよほど特殊な場合だということがわかります。


「不正受給」=「税金をだまし取っていい生活をしている奴ら」みたいなイメージは相当偏ったものと言わざるを得ませんし、まして「生活保護受給者」=「不正受給」というイメージや、「働かずにいい生活をしている奴ら」というようなイメージは言うまでもなく誤っています。

「不正受給の95%が在日韓国朝鮮人」だと、不正受給数が受給数全体を上回る(笑)


さて、前置きが長くなりましたが、最初のトピックであった「不正受給の95%が在日韓国朝鮮人」というデマについてみてみましょう。


日本政府のHPだと、生活保護の細かいデータが載っているのは2015年のものが最新のようなので、そちらを参照してみますと、保護世帯数は全体で1,602,551件でした。一方、2015年の不正受給数は4万3938件でした(日経新聞参照)。


4万3989件の95%は4万1789件ですが、2015年の在日韓国朝鮮人の受給世帯数は全体で2万9482件です(このページの1-26参照)。不正受給の95%が在日韓国朝鮮人だとすると、不正受給世帯数が受給世帯数全体を1万件以上抜いてしまいます(笑)。低レベルすぎるデマだということがよくわかりますね。


いくらなんでも不正受給の95%が在日とか、瞬間的にデマだと直感できそうなものですけどね。よくもまあ、こんなデマに騙されるやつがいるなあと驚かされます。ネットで言われている「〇〇のxxパーセントが在日!」みたいなのは、9割9分デマだと思っていいです。


というわけで、不正受給の95%が在日なんてのは、デマの中のデマ。正直検証の必要さえないレベルのデマでした。なんで騙される人がいるのかわからないレベルのデマです。


なお、こういうことを言うと、「そもそも外国人への生活保護支給は違憲だ!」とか言うバカが出てきますが、外国人への生活保護支給は違憲でもなんでもないですからね。詳しくはこちら

「外国人が生活保護目当てで日本に押し寄せている」という、差別的かつ低レベルなデマ


こういう知能レベルの異常に低いデマを拡散するようなバカは、他に言うこともバカ丸出しで、「海外には『日本で何もしなくて過ごす方法』という書籍がある」あって、「その手引きを貧困層の外国人たちが日本国に殺到しています!!」とか書いてあります。もちろん情報ソースはなし

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高山長房とか言う信じがたい差別的で下劣なバカのサイトより引用)

言うまでもありませんが、生活保護は外国人旅行者などには適応されません。厚労省HPに細かく要件が出ていますが、「活動に制限を受けない永住、定住などの在留資格を有する外国人」に限定されています。

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「生活保護が受けたい!」って言って日本にやってきて生活保護が受けられるようなもんじゃありません。「生活保護を求めてアジアの貧困層が日本に殺到」なんて大嘘もいいところです。


さらに、もしも生活保護を求めてアジアから貧困層が日本に殺到しているのなら、そういうアジア圏の人の不正受給が多くなるはずで、「不正受給の95%が在日朝鮮人」という主張と矛盾します。在日朝鮮人を攻撃すると同時に、外国人の生活保護受給者全体を攻撃しようとして、結果的に話が通らない意味不明な主張になっています。やっぱり嘘を吐くと、必ずほころびが出るんですね。


「海外では『日本で何もしなくても過ごす方法』という書籍がある」とか、「アジアの貧困層が生活保護を求めて日本に殺到している」とか、よくもまあこんな差別的で卑怯なデマを流せる奴がいるものです。ちなみに、上で引用したデマHPを作っている高山長房とかいう男、調べてみたら、こんなセミナーやってる奴でした。もうヤバい奴だって丸わかりですね。

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(↑外国人生活保護デマが描かれているHPに掲載されていたセミナー情報)


ツイッターで「生活保護 95% 在日」で検索して出てくる連中は、小学生レベルの算数ができないほど頭が弱いか、差別意識で目が曇って程度のデマも見抜けなくなった思考停止くんかのどちらかでしょう。

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