<ざっくり言うと>
  • 「共産党はほとんどの国で非合法」というのはデマ。
  • いわゆる先進国の多くで共産党やそれに相当する政党が存在しており、フランス共産党やスペイン共産党やブラジル共産党など、国会に議席を持っている政党も少なくない。
  • これぐらいのことはウィキペディアを見るだけでも調べられるので、自分に都合がいいことにすぐ飛びつかず、事実を見極める慎重さを持とう。

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このデマは以前も取り上げたのですが、百田尚樹氏がまたも同じデマを吐いているので、またも否定しておこうと思います。モグラたたきのようで切りがありませんね。


百田氏が2ちゃんねるまとめサイト『もえるあじあ』をRTしたうえで、「共産党が合法な国は中華人民共和国や北朝鮮など、わずかしかない」と言っていました。

そもそも『もえるあじあ』なんてデマと差別にまみれたサイトをRTする時点でどうかと思うんですが、「共産党が合法な国は中華人民共和国や北朝鮮など、わずかしかない」というのは、言うまでもなくデマです。これ、信じている人が本当に大勢いるんですよね…。このツイートも、投稿から1日たってないのに、この記事を執筆している時点で1400件以上のRTと4000件以上の「いいね」がついていますから。


むしろ、事実は真逆で、「共産党が合法な国はわずかしかない」どころか、「先進国」と言われるような国には大体共産党が存在しています。


ご覧の通り、G7すべての国に共産党が存在し、フランス共産党は国会に24席を持っています。


G20やEU加盟国ですと、中国共産党とロシア共産党は言わずもがな、他に

スペイン共産党

ギリシャ共産党

ポルトガル共産党

インド共産党

トルコ共産党

メキシコ共産党

アルゼンチン共産党

ブラジル共産党

オーストラリア共産党

南アフリカ共産党
 
が存在していて、そのうちスペイン共産党、ギリシャ共産党、ポルトガル共産党、ブラジル共産党、インド共産党、ロシア共産党は国会に議席を持っています。


他にも世界では、ベトナム共産党キューバ共産党は言うまでもありませんが、

イラク共産党
イスラエル共産党
カザフスタン共産党
モルドバ共産党
ネパール共産党
シリア共産党
タジキスタン共産党
ベネズエラ共産党

などが国会に議席を持っています。「共産党」ではなく「労働党」などと名乗っている政党もありますので、それを入れるともっと増えます。こちらに一覧がありますのでご覧ください。


というわけで、百田尚樹氏の言う、「共産党が合法な国は、中国や北朝鮮などわずかしかない」というのは、100%完全にデマです。そもそも、言論の自由が認められている国で、共産党の存在自体を非合法化する方がどうかしています。自分の言論の自由を主張する一方で、他人の言論の自由は法的に取り締まってしまおうという百田氏の思考がよくわかりますね。


ついでに言うと、百田氏のこの発言↓

>>なんでGHQは共産党を非合法にしなかったのだろうかと思うね。
>>本国アメリカでは非合法だったのに…。


これは内容的にも時系列的にも間違っています。


まず、「なんでGHQは共産党を非合法にしなかったのだろう」と言っていますが、事実は真逆。戦前に非合法とされた共産党が、戦後言論の自由が回復されたことによって合法になったのです。「なんで共産党を非合法にしなかった」どころか、戦前に言論弾圧によって非合法とされた共産党を、GHQは言論の自由の下、合法としたのです。


そして、「本国アメリカでは非合法だったのに…」と言っていますが、言うまでもなくデマで、時系列的に間違っています。


たしかに、アメリカには共産党を非合法化する「共産主義者取締法」というものがありました。しかし、これが成立したのはマッカーシズム吹き荒れる1954年です。つまり、アメリカでマッカーシズムにより共産党が非合法化されたのは、GHQによる日本の占領が終了した後です。百田氏の言う、「どうしてアメリカ本国では共産党は非合法だったのに、GHQは共産党を非合法化しなかったんだろう」という発言は、この点でも間違っています。本当にこの人の発言は間違いだらけですね。


さらに言っておくと、この共産主義者取締法というのは、成立したものの、施行はされていないらしく、実際にアメリカ共産党は現在も存在しています。


さて、ここまでで十分お分かりの通り、「世界では共産党は違法」というのは真っ赤な嘘なわけです。逆に共産党が違法な国ってどこにあるんですかね? 上記の通り、アメリカの共産主義者取締法は実際には運用されたことがなくてアメリカ共産党は現在も存続しています。共産党が違法の国って、私は韓国しか知らないんですが。


それにしても、どういうわけか、自分では全く調べずに、このデマを鵜呑みにして拡散している人の多いこと…。百田氏のツイートにぶら下がっているリプを見ると本当に驚かされます。どうしてツイッター情報をこうも鵜呑みにできるんでしょう…? 言論の自由がある国で、共産党の存在自体が非合法化されているって、おかしいと思わないんですかねえ? 彼らが言論の自由というものを理解していないということが想像できます。


中には百田氏の間違いを指摘したツイートもあります。しかし、百田氏の反応がまた驚き。

>>そうでしたか。知らないうちにG7にも共産党が侵食してるんですね。


いや、「知らないうちに」どころか、あんたが生まれる前からあったよ…。


百田尚樹…1956年生まれ

アメリカ共産党…1919年設立

イギリス共産党…1920年成立(1988年再編成)

イタリア共産党…1921年成立(※1991年解散)

フランス共産党…1921年成立

カナダ共産党…1921年成立


これでも「知らないうちに」G7に共産党が侵食していたって言うのか、百田さん…。


(※このイタリア共産党は、現在存在しているマイナー政党のイタリア共産党ではなく、かつて得票率30%という大きな勢力を誇った別のイタリア共産党。ちなみに、ドイツ共産党1968年成立。百田氏が12歳のころからありますね)


なんで百田先生は「知らないうちにG7にも共産党が侵食してるんですね」なんて言っちゃうんでしょうか…。ちょっと調べれば、自分が生まれる前からあることがわかるだろうに…。


さらに問題なのは、この百田氏のデマツイートを鵜呑みにして拡散してしまう人ですが、その一人である長谷川豊はこんなことを言っていました。
うーん、事実の指摘に対して「相手にしないでおきましょう」ですか…。長谷川豊が、事実かどうかを気にせず、自分に都合がいいかどうかで判断する人間だということがよくわかりますね。自分が認めたくない事実の指摘は相手にしない、目をふさぐ、耳をふさぐ。これが長谷川豊という男ですね。


そのうえ、長谷川氏のNYでの経験が事実だとしても、どうしてたった一人のアメリカ人の反応から、「先進諸国ではみんなその反応ではないかと思います」ってなっちゃうんですかねえ…。この手の人たちって、本当に自分の狭い経験を一般化しようとしますよね…。


百田氏はこれでも作家ですので、物事を調べる能力が一般人よりも劣っているとは思えません。少なくともウィキペディアを調べる能力があることはわかっています。それなのに、ウィキペディアさえ調べないで「共産党は世界で違法」というデマを鵜呑みにしているというのは、思うに、百田氏も百田氏を支持している人たちも、事実かどうかはあまり関係なく、「自分に都合がいいことを事実だと思い込む」タイプの人間のようですね。


この「世界では共産党は違法が常識」というデマは、ネットでは何度ももぐらたたきのように復活しますが、以上の通り、完全にデマです。現在、言論の自由が認められている国でありながら共産主義を取り締まる法律が存在しているのなんて、韓国ぐらいのもんじゃないんですかね?


これを読まれた皆さんは、百田氏のように、自分の都合がいいことを事実だと思い込んで拡散してしまうようなみっともない真似はやめて、都合がいいか悪いかではなく、事実かどうか、ちゃんと自分で調べて判断する慎重さを持ちましょう。

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