<ざっくり言うと>
  • フジテレビ上席解説委員平井文夫や、もと自民党北海道議会議員の小野寺まさるなど、沖縄の県民投票で「辺野古基地建設反対」が71%の票を取っても、有権者全体の38%にしかならないから民意とは言えない、と言う者がいる。
  • その理屈で言えば、衆議院選挙で、小選挙区で全有権者の26%、比例代表では18%しかとっていない自民党政権が決めた辺野古基地建設にはもっと正当性がない。
  • 「住民投票はアンケートに過ぎない」「選挙が民意」というのなら、玉城氏が勝った時点で沖縄の民意は示されていることになり、なおのこと辺野古反対が沖縄の民意だということになる。
  • 「辺野古反対」を沖縄の民意と認めない一方で、「民意で選ばれた政権の意見に従え」という小野寺まさるらの言は、典型的ダブルスタンダードで卑怯極まりない。

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沖縄の県民投票で、7割超の圧倒的多数で「辺野古基地建設反対」の意思が示されました。


投票率が52.48%で、有権者全体に占める反対票の割合は37.65%でした。そのため、「立った38%。民意ではない」などと言っている連中が大勢います。その一人がフジテレビの上席解説委員平井文夫です。「『7割が反対』はフェイクニュースだ」などと言っており、「民意ではない」と主張していますが、だったら辺野古基地移設に賛成票は全体の10.0%に過ぎないわけですが、そっちは都合よく無視。フジテレビはよくもまあこんなのを上席解説委員なんかにしているなあと呆れるしかありません。


しかし、これに増して酷いのが小野寺まさる。なんと、こんなことを言いだしました。

>>日本国民の民意で総理大臣になった安倍首相
>>怪しげな沖縄の民意


もう、本当にだめですね、この男。日本に小学校の落第制度があれば、この男はきっと卒業できなかったでしょうね。本当に知能の程度があまりにも低い。


投票率の低さを指摘するのはわかります。しかし、その理屈で言えば、2017年の衆議院議員選の投票率は53.68%で、自民党の得票率は小選挙区で47.82%、比例代表では33.28%しかなかったのです。(参照


つまり、自民党の得票は、小選挙区では全有権者の25.67%、比例代表では17.78%しかなかったのです。小選挙区と比例代表の総数と得票数を足して割合を出すと、自民党の得票率は40.53%ですので、53.64%×40.53%で、自民党が獲得した票は全有権者の21.74%しかないのです。


辺野古反対が全有権者の38%しかないから民意ではない、無視していいというのなら、全有権者の22%の票しかとっていない自民党政権と、日本人でさえない米国政府が進める辺野古基地建設に正当性など全くなくなるわ!!


投票率が低いことを問題視し、民意と言えるのかどうかという議論が起こるのは解ります。


しかし、辺野古基地移設が沖縄全有権者の38%だから民意ではない、聞かなくていい、なんて言うのであれば、全有権者の22%の票しかとっていない自民党政権が推し進める辺野古基地建設に正当性など欠片ほどもなくなります。辺野古反対が民意でないのなら、辺野古建設はもっと民意ではなくなります。というか政権自体に正当性がなくなっちゃうんですが、平井とか小野寺とか、そういうことわかって言ってるんですかね?


さらに、自民党は全有権者の22%の票を取っていますが、安倍晋三は違います。小野寺まさるは「日本国民の民意で総理大臣になった安倍首相」などと言っていますが、安倍晋三は、大統領みたいな国民の投票で選ばれたわけではなく、自民党の投票で選ばれています。自民党総裁選での安倍晋三の得票数は553票、石破茂の得票は254票で、安倍晋三の得票率は68.53%でした(産経新聞参照)。


沖縄の県民投票が「怪しげな民意」なら、有権者全体の21.7%の票で与党に自民党の党員の68.5%しかとっていない安倍晋三が首相であることの一体どの辺に民意があるんでしょうか? 小野寺まさるはそのへん何にも考えていないんでしょうね。そして、小野寺まさるのツイートにぶら下がっている数々の沖縄に対するヘイトツイート。吐き気がします。「辺野古反対」=「反日」、「住民投票尊重」=「馬鹿」という意見であふれていて、本当に信じがたいほどひどい。


第一、自民党に投票した21.7%の有権者だって、「辺野古基地建設続行賛成」と言って自民党に投票したわけじゃないでしょうに。事実、全国の世論調査でも、6割以上が「安倍政権は県民投票の結果を尊重すべき」が62%で、尊重すべきだと思わないの19%をトリプルスコアで圧倒しています。自民党支持者だって、「辺野古基地建設を進めるべき」と思っていないのに、小野寺まさるが言う「民意」ってのは一体何なんですかね?

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ANN世論調査2月25日

大体、菅義偉が、翁長知事が勝った時には「選挙は色々な政策が総合されて結果が出るから、辺野古基地反対の民意ではない」と言い、名護市長選で自民推薦市長が勝った時は「選挙は結果が全て。相手候補は基地反対を必死に訴えた。(だから基地反対は民意ではない)」などと言うから(参照)、「国が、どんな選挙結果が出ても『辺野古基地反対は民意ではない』と言うなら、辺野古基地の賛否だけ問いましょう」ということになったわけです。選挙結果をもとに「辺野古基地反対の民意」というのを否定して辺野古を進めてきたのだから、辺野古基地の賛否だけを聞いた今回の県民投票の結果は、むしろ選挙結果よりも重く受け止めるべきでしょう。


「国全体の国防のためだから」と言って沖縄の県民投票を無視したがっている皆さんは、自分の街に原発の放射線廃棄物の最終処分場ができたっていいんですよね? だって、どこかには作らないといけないんですから。「日本国全体の国防のために辺野古が必要」というのなら、「日本国全体の安全のために、最終処分場が必要」なのですから、貴方の街に作ってもいいはずですよね? 反対なんかするわけありませんよね? 国が決めたら従うはずですよね? 日本全体のためですもんね。住民投票なんかやりませんよね? 住民投票をやって、反対が圧倒的多数を占めても、「国のためだから」って無視されて、自分の家のすぐ近くに最終処分場ができたって、構わないわけですよね。


いつかはどこかに作らなければならない最終処分場は、今回の県民投票を無視することを主張している方々の庭先にでも作っていただきたいです。だって、絶対反対しないはずですから。日本国全体のためですものね。

==補足==

どうやら今回の県民投票を否定している人たちは、「全体の38%しかないから民意でない」の他に、「住民投票なんてアンケートに過ぎないから民意ではない」「法的拘束力がないからどうでもいい」「選挙が民意」と言っているようです。


「選挙が民意」だったら、玉城氏が勝った時点で沖縄の民意は示されてることになるだろが!!


選挙で玉城氏が勝ってもそれを民意と認めなかったから仕方なく住民投票やったのに、なにが「怪しげな民意」だ。バカも休み休み言え、ダブスタ卑怯者が。

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