<ざっくり言うと>
  • 「日本の教育勅語や修身を元ネタにした『The Book of Virtues』という本が、世界で聖書に次ぐほどのベストセラーになった」というのはデマ。
  • 『The Book of Virtues』は聖書やギリシャ神話やイソップやオー・ヘンリー等から子供の道徳教育に役に立つ話を集めたものであり、教育勅語も修身も一切関係ない。
  • 『The Book of Virtues』の売り上げは200万部超であり、聖書に次ぐようなベストセラーでも全然ない。
  • 教育勅語や修身が世界から絶賛されたなどという事実は存在しない。

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前の記事にこんなコメントが来ました。

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>>教育勅語を参考にした道徳副読本が、アメリカ、イギリス、ドイツでベストセラーだそうです。

これ、愛国カルト界隈では結構有名なデマでして、同じこと言ってる人をこれまで何度も目撃しました。どうやら一部の人達の間で、「教育勅語が英訳されて聖書に次ぐベストセラーになった」という話が信じられているらしいです。検索するとゴロゴロ出てきます。

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(↑その手のサイトの例
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(↑その手のサイトの例
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(↑その手のサイトの例
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(↑その手のサイトの例

こんなのを理由に「教育勅語は世界で認められている正しい教え!」とか言う奴がゴロゴロいるから呆れてしまう。お前らボーッと生きてんじゃねえよ!! なんでこんなデマに騙される…。


多分、この手のデマに騙されてるやつのほとんどは、教育勅語を知らないと思う。というのも、教育勅語ってたったの315文字しかない短いもので、しかも序盤は「日本は天皇が始めた」という、道徳を天皇が諭すことの正当性を示すための前置き。終盤は「以上のことを守るのが臣民の義務」という趣旨のまとめ。道徳的な部分は中盤のわずか112字に書いてあるだけにすぎません。それも細かい実践法なんかじゃなく、「親孝行しろ」とか「兄弟仲良くしろ」とか「永遠に続く皇室の繁栄をお助けしろ」とか羅列してあるだけ。そんなん読んで「すげえ!」って驚くアメリカ人がいるわけがない。こんな短いのをどうやって本にしてベストセラーにするの? 何で騙されるわけ?


また、こっちのサイトによると、『教育勅語』がそのまま翻訳されてベストセラーになったのではなく、小池松次という人が書いた『修身・日本と世界』という本がウィリアム・ジョン・ベネットが書いた『The Book of Virtues』という本の元ネタになっている…ということになっているらしい。

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もちろん大嘘です。これで「日本の失われた道徳教育は正しいものであったことが証明された」とか、バカも休み休み言え。


この『The Book of Virtues』という本は、日本でもアマゾンで買うことができます

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この本が教育勅語や、小池松次の『修身・日本と世界』を元ネタにしているなんて、もちろん嘘。最初の何ページ分かはAmazonで閲覧可能なので読んでもらえばわかりますが、一言も日本のことなんて書いてありません。


この本は、子供の道徳教育に役に立つ話を数百編集めたものです。その内容は聖書、アメリカ史、ギリシャ神話、イソップ、英語詩、おとぎ話、オー・ヘンリーなどで、日本の教育勅語や修身を元ネタにしたなど大嘘も甚だしい。当然この本には教育勅語や日本の修身に関する言及は一切ありません


『The Book of Virtues』が教育勅語や修身を元ネタにしているなどというデマがどこから出てきたのかわかりませんが、こっちのサイトは、『The Book of Virtues』の目次の10項目と教育勅語の「12の徳目」が似てると主張しています。

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似てねえよ!!


別のサイトでも、教育勅語と『The Book of Virtues』の目次を並べて「ほら、似てる」ってやってますので、多分、この程度の「似てる」ってな理由で、教育勅語が『The Book of Virtues』の元ネタだって言いだした奴がいたんだと思います(小池松次自身かもしれない)。「友情」とか「勤勉」とかありゃ「似てる」って言うんだったら、「少年ジャンプ」の「努力・友情・勝利」も『The Book of Virtues』と似てるって言えちゃうよ! 


また、『The Book of Virtues』がアメリカで3000万部を売り上げたというのも大嘘。「3000万部を売り上げた」なんてのは、元ネタだと言い張ってる小池松次や、その話を鵜呑みにした本に書いてあるだけで、英語版Wikipediaのベストセラー本一覧を見ても、この本への言及はありません。英語のサイトを調べると、どれも「220万部」とか「230万部」とか書いてあります。発行2年で200万部を突破したのは本当みたいなんで、3000万部という数字は、1993年の初版以来、「毎年100万部ペースで売れ続けている」と仮定して勝手にでっち上げた数字ではないかと想像されます。


ついでに言っておくと、3000万部を売り上げたとしても、その程度じゃ聖書に次ぐベストセラーにはなりません。『星の王子様』や『ハリーポッターと賢者の石』が世界で1億部以上売れています。一番売れているのはドン・キホーテの5億冊みたいですね。どうやって数えたのか知りませんけど。


結論を言いますと、この『The Book of Virtues』は、日本の教育勅語とも修身とも全く関係ありませんし、聖書に次ぐベストセラーでもなければ、3000万部を売り上げてもいません。


なのに、このデマをもとに、「世界の模範となった日本の修身教育」だとか「レーガンが、サッチャーが大絶賛」とかデマを堂々と吐いて、小池の自称「種本」を売る始末。あきれて開いた口がふさがらん。この本が『The Book of Virtues』の種本というより、『ドラえもん』が『ハリー・ポッター』の種本だって言う方がまだ真実味がある。

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この帯に書いてあることは100%嘘。公取委案件じゃねえの?


そもそもどうして「教育勅語がアメリカでベストセラーになった」なんて話をあるわけない話を信じてしまえるのか私にはわかりませんが、このデマはかなり広がっているみたいなので気を付けましょう。「アメリカで認められた!」とか言われるとすぐに信じて「世界から認められた! すげえ!」みたいになりがちですからね。最近テレビでもその手の「日本すごい!」番組が多くて辟易させられますが。「アメリカで大ヒット!」をうたい文句にする、ハイパーヨーヨーみたいな子供のおもちゃみたい。


このブログと似たような検証を行っているサイトも複数ありますので、そちらもご参照ください。

『道徳読本』と『The Book of Virtues』を巡るデマについて

教育勅語は海外でベストセラーになっていると嘘を言って擁護するネトウヨたち

教育勅語が英訳されて、聖書に次ぐバカ売れだって?なウソ

Togetter

ネトウヨさんは、韓国が起源主張をするいわゆる「韓国起源説」を笑ったり怒ったりするけど、アメリカの『The Book of Virtues』の起源が日本の教育勅語だなんて主張する日本も大して変わりねえよ…。

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