<ざっくり言うと>
  • 丸山穂高の「国会議員は他国でも議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開される」という発言はデマ。
  • アメリカでは、議員本人の帰化情報や親族の国籍情報について、公開している議員もいるが、公開する義務はない。
  • スイスでも帰化や二重国籍で議員資格を制限したり、国籍情報を公開する義務は存在しない。
  • もしも親族情報まで公開しなければならないとなると、親族が情報公開を拒んだ場合、議員に立候補できなくなってしまう。そんな変な規定がある民主主義国家があるとは考え難い。
  • 丸山は「(他国では)二重国籍で辞職もある。日本では帰化や二重国籍が曖昧でチェック無しで意味不明」と発言しているが、オーストラリアなど議員の二重国籍を禁じている国がある一方、少なくとも米・英・加・独・仏・瑞にはそのような制限はない。
  • 「他国」という言葉であたかも議員の帰化情報の公開や二重国籍の禁止が世界的な常識であるかのようにミスリードする丸山穂高は実に卑怯。
  • どんな政治主張があろうと、選挙の時には、せめてこんな嘘つきの卑怯者だけには投票しないようにしなければならない。
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4回にわたって、「日本全体の生活保護受給世帯が減っているのに、外国人の生活保護受給者が増えている」という丸山穂高の発言が嘘であることを見てきました。


一連の記事↓

今回も下衆すぎる国会議員、丸山穂高についてです。今回はこのツイートを取り上げます。

これはネット上で少し話題になったようで、この一連の流れがいくつかのサイトにまとめられています(サイト1サイト2サイト3)。主張内容の是非以前に「こんな腐った人間が国会議員かよ!」と吐き気がするような内容ですので、閲覧にはご注意ください。本当に、丸山穂高という男については、議員の資質なんて問題じゃなく、人間として最低最悪の下衆な男だと思わざるを得ないです。


では、果たして、丸山の言う「国会議員は他国でも議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開される」「日本では帰化や二重国籍が曖昧でチェック無しで意味不明」という発言は、事実なのでしょうか?



~「他国では国会議員の国籍情報は親族も含めて公開される」はデマ~


結論から言いますと、これはデマです。まあ、そもそもまともな神経があればこんな妄言信じないと思いますが…。


丸山は「国会議員は他国でも議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開される」と言っていますが、そもそも「他国」がどこの国を指しているのかが全く謎ですね。こういう時には、まず「『他国』とはどこの国のことか?」と聞いてみましょう。ちなみに、この質問をしているユーザーが既にいましたが、当然丸山穂高はこの質問はスルー! さすが丸山穂高! 議員以前に人間として卑怯すぎ!
↑この質問はスルーする、卑怯すぎる国会議員、丸山穂高

~アメリカの場合~


実に曖昧な「他国」という言葉で誤魔化す丸山穂高。とりあえず、「他国」代表として、アメリカを見てみることにします。


アメリカの場合、議員になる要件は「上院では9年以上米国市民であること、下院では7年以上米国市民であること」参照)であり、帰化の詳細や親族の国籍を公開する義務はありません! ちゃんとアメリカン・センター・ジャパンに問い合わせて確認いたしました。


「アメリカ国外生まれの上院議員」というリストはあるのですが、このリストには米国人の親から生まれた議員も含まれていますし、逆に米国生まれであれば両親が移民でも掲載されていません。まして、帰化の詳細や親族の国籍など掲載されているはずもありません。米国議会図書館で閲覧できる議員情報でも、帰化の詳細や親族の国籍など掲載されておりません。


アメリカにおいては、「議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開される」なんて事実は存在しません。

~スイスの場合~


スイスの事例も見てみましょう。スイスでは国会議員の二重国籍を禁止する法律はなく、2017年にスイスで外相に立候補したイグナツィオ・カシス氏とピエール・モデ氏は、両者とも二重国籍でした(カシス氏はイタリアと、ピエール氏はフランスとの二重国籍)。

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↑スイスの外相に立候補したイグナツィオ・カシス氏(左)とピエール・モデ氏。両者とも二重国籍だった

この2人は外相に立候補するにあたり、多重国籍を放棄すると表明しましたが、それは右派の支持を得るためであって、そのような義務があるわけでなく、逆に国籍放棄に対する非難も上がっているとのことです。

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 二重国籍について、両氏が出馬前に敢えて公言することはなかった。カシス氏の意志表明は、右派政党のティチーノ同盟が発行している地元の無料新聞が、記事の中でカシス氏に公式の声明を求めたことによる。

 歴史家で複数の書籍を出版しているハンス・ウルリヒ・ヨーストさんは、「国民党は二重国籍の所持者を悪いスイス人、あるいは二等のスイス人と見なしている。キャリア志向の政治家の多くが他国籍の所持を自発的に口にしないのはそのためだ」と言う。

 しかし、左派と中道派からは、このような圧力に抗しなかった両氏を非難する声も上がっている。キリスト教民主党の前党首クリストフ・ダルブレー氏は「自分のアイデンティティを放棄するなど痛ましいことだ」と話す。また、自身もスイスとイタリアの両国籍を持つ社会党のアダ・マラ氏は、「何年間も母国のために働いてきた2人を、裏切り者として訴えようとするのか?」とツィッター上でコメントした。

 スイスには重国籍の国民が9万人近くおり、全体の約17%を占めている。「社会の鏡」である連邦議会にも、フランス、イタリア、スペイン、トルコなど、親の国籍を受け継ぐ二重国籍の議員は少なくない。(swissinfo.ch
この2人は多重国籍の放棄を公言しましたが、「二重国籍について、両氏が出馬前に敢えて公言することはなかった」「キャリア志向の政治家の多くが多国籍の所持を自発的に口にしない」ということからも、少なくともスイスにおいては、丸山の国会議員は他国でも議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開される」という発言は当てはまらないことがわかります。

~親族の情報まで公開するなんてあり得ない~


上で見た通り、少なくとも米国やスイスにおいては、議員本人の国籍情報さえ「きちんと公開される」わけではないんですが、丸山は本人のみならず親族の国籍情報まで「きちんと公開される」と述べています。


しかし、ちょっと考えればすぐわかることなんですが、本人の情報だけならまだしも、親族の国籍まで公開しなければならないとなると、親族が公開を拒んだ場合、議員に立候補できなくなってしまいます。はたしてそんな変な義務を課す民主主義国家が本当に存在するのでしょうか? 丸山議員、そんな国があるのなら、ちゃんと具体例を挙げて教えてください。(第一、「親族」ってどこまでが「親族」なんだ?)


でも、こういうこと言うと、卑怯すぎる国会議員・丸山穂高のことですから、「『公開される』と言っただけだ! 『公開が義務だ』なんて言ってない!」と反論されるかもしれませんね。でも、義務じゃないってことは、公開するかどうか本人にゆだねられているってことですよね。だったら、公開するかどうか本人にゆだねられている日本も、全然問題ないはずですよね、丸山センセ?


言っておきますけど、「オバマは父親がケニア人であることを公開している!」とか「フランスのバルス首相はスペイン移民であることを公開している」とかいう個人の事例をいくら上げたって無駄ですよ。そんなんだったら、日本だってツルネン・マルテイ議員はフィンランド出身であることを公開していましたし、白眞勲議員も韓国から2003年に帰化したことを公表していますからね。「公開している議員もいる」というのは、「議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開される」ことにはなりませんからね。


まして、維新の会は、公開を法的に義務付けようとしていて、その主張を補強する根拠として「他国ではきちんと公開される」と述べているわけですから、本人の帰化情報の公開が義務である国、さらには親族の情報まで公開の義務がある国の具体例を挙げてみてください。挙げられるものならね。


丸山は、一体どこから「親族の情報まで公開」なんて変な話を持ってきたんでしょう? 調べてみたら、このブログでもバカの代表として何度も取り上げてきた八幡和郎が、『夕刊フジ』で全く同じ発言をしていましたので、その記述を鵜呑みにしたのかもしれませんね。

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(↑『夕刊フジ』掲載の八幡和郎の嘘。「親族」「きちんと公開」という言葉遣いが一致するので、丸山穂高はこの記事をそのまま鵜呑みにしたんじゃなかろうか?)


八幡和郎は『夕刊フジ』のこの記事で、「海外では、帰化も含めて、政治家や先祖、親族の『国籍』情報はきちんと公開されている」証拠として、米国のオバマやフランスのバルスが本人や両親の出自を明らかにしていることを挙げていますが、上述の通り、それは「公開している議員もいる」というだけであって、「海外では、帰化も含めて、政治家や先祖、親族の『国籍』情報はきちんと公開されている」ことを全く意味しませんから。


ちなみに、この八幡和郎という男は、「石破茂は極左」と言ったり、「大坂なおみの全米オープン優勝は生粋自国民の何十パーセントか分だけ喜ぶのが正しい」など、超絶意味不明なことを言う、このブログで取り上げてきたバカの中でも特にバカな男です。(百田尚樹や石平あたりは非常に下衆な男だと思いますが、八幡和郎はちょっとベクトルが違う。特に大坂なおみ発言あたりは、思考回路がどうかしているとしか思えない)



~日本では帰化や二重国籍が曖昧でチェック無しで意味不明」という意味不明な主張~


次に、「(他国では)二重国籍で辞職も」「そもそも日本でも国会議員は国籍必須だが、帰化や二重国籍が曖昧でチェック無しで意味不明」という発言について見てみましょう。


国会議員の二重国籍が禁じられている国があることは事実です。日本でも、オーストラリアで二重国籍が発覚した議員が、上院下院合わせて10人辞職しました。このことは日本でもニュースになりましたね。


でも、二重国籍が発覚して上院下院合わせて10人が辞職したということは、「議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開され」ていなかったということだと思うんですけど。あれれ~? 丸山議員、わずか2行の間で、言ってることが矛盾していますよ~? もしも「議員本人や親族の国籍情報含めきちんと公開され」ていたら、ベテラン議員が二重国籍で辞職なんてことにならないと思うんですけど?


オーストラリアの場合、もともと移民大国で、国民の1/4が外国生まれであったり、出生地主義で日本よりはるかに簡単に国籍が取得出来たりという事情があり、二重国籍が極めて簡単に起こりうるため、あえて二重国籍保有者が議員になることを禁止しているのだと思いますが、その一方で、二重国籍の議員がいる国もいくつもあります。


例えば、アメリカでは、共和党の大統領候補に立候補していたテッド・クルーズ上院議員は、カナダとの二重国籍でした(2014年に放棄)。オーストリアとの二重国籍のままカルフォルニア州知事に就任したシュワルツェネッガーはさらに有名ですね。


イギリスの外務大臣まで務めたボリス・ジョンソン氏も、アメリカとの二重国籍です。


カナダ首相にまでなったジョン・ターナー氏も英国との二重国籍でしたし、ステファン・ディオン議員も、フランスとカナダの二重国籍でした(参照)。


ドイツでも議員の二重国籍を禁じる法律はなく、英国との二重国籍のデイヴィッド・マカリスター氏がニーダー・ザクセン州首相になっています。


フランスにも議員の二重国籍を禁じる法律なく、ナジャット・ヴァロー=ベルカセム氏がモロッコとの二重国籍のまま教育大臣になっています。


イタリアの議員の規定は見つけられませんでしたが、イタリアでは二重国籍自体は認められています。(どなたかイタリアの国会議員の二重国籍が禁じられているかどうか情報をお持ちでしたら教えてください。)

上述の通り、スイスでも国会議員の二重国籍を禁じる法律はなく、そのことを公開する義務もありません。参照

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↑二重国籍を持つG7の国会議員たち。テッド・クルーズ(米&加)、ボリス・ジョンソン(英&米)、ジョン・ターナー(加&英)、ステファン・ディオン(加&仏)、ナジャット・ヴァロー=ベルカセム(仏、モロッコ)



とりあえず、今回調べたところでは、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、スイスでは、議員の二重国籍を禁じていないことがわかりました。


議員の国籍に関する条件は国によって異なります。上述の通り、議員の二重国籍を認めていない国もあれば、禁じてない国もあります。「他国」などという曖昧な言葉で、あたかも二重国籍を認めないのが世界的な常識であるかのように言う丸山議員の嘘つきぶり、卑怯ぶりには呆れて開いた口がふさがりません。


丸山の言っていることは、デタラメもいいところです。議員本人や、親族の国籍情報まで「きちんと公開」する他国ってどこですか? 「帰化や二重国籍がチェック無し」だと意味不明なら、スイスやG7各国も意味不明なんですか? 「チェック無しで意味不明」って、公選法で禁じられていないものをチェックするほうがよほど意味不明ですが。


丸山穂高はこのツイート↓に対して「意味不明」だと非難をしたわけですが、丸山穂高の方がよほど意味不明ですし、自分の主張の強化のために嘘も平気でつく、議員以前に人間として卑劣な卑怯者です。

そもそもなんで帰化情報を公開する必要があるんですかね? それって、「本人の人格や政治主張じゃなく、出自で投票するかどうかを決める。維新はそれを推奨する」と言ってるに等しいと思うんですが。丸山議員をはじめ、維新の会のみなさん。議員の帰化情報の公開が、国民の利益にどう資するんですか? あなた方の主張って、結局「帰化人なんか信用できない」という差別意識の表れ以外の何物でもないと思うんですけど。



~「海外では」と言う、同じく卑怯な産経新聞、アゴラ、夕刊フジ~


丸山は「他国では」という曖昧な言葉で、どこの国かの具体例も挙げていないわけですが、同じようなことをしたのが産経新聞です。「政治家の二重国籍問題、海外では厳しい反応」という見出しで、オーストラリア、フィリピン、インドネシアの事例を挙げています。

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(↑産経新聞2017年7月27日

でも、上述の通り、オーストラリアは国会議員の二重国籍が認められておらず、フィリピンでも同様です(インドネシアに議員の二重国籍を禁じる規定があるかどうかはわからなかった)。「二重国籍だから辞任、辞職」というより、公選法違反だからってことでしょう。日本では国籍法では原則的に二重国籍を認めていませんが、公選法に二重国籍を禁じる文言はありません。(外交官については二重国籍が禁じられている。わざわざ外交官だけ特別に二重国籍を禁じる規定が設けられていると言うことは、他の公務員については二重国籍でも資格要件に問題がないと考えられる)


産経はこの3か国の事例を根拠に、「政治家の二重国籍問題、海外では厳しい反応」などと報じていますが、上で見た通り、少なくとも、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、スイスは議員の重国籍を禁じていません。産経さん、オーストラリア、フィリピン、インドネシアの3か国でのことを、「海外では厳しい反応」って報じるのはミスリードじゃないですかね?


『アゴラ』でも、オーストラリアの事例を根拠に、「海外では、多重国籍を認めている国であっても、国益とリンクする政治家の帰属については厳しく問うている」とか言っていますが(参照)、あなた方の脳内では、「海外」ってのは、オーストラリア、フィリピン、インドネシアの3か国のことなんですか? 「左派の的外れを再確」とか書いていますが、オーストラリアでも国籍情報を世間一般に公表する義務なんか別にないんですけど。的外れなこと言ってるアホはあんたの方ですよ。


『夕刊フジ』で八幡和郎がアホなこと言っているのは、上で書いた通りです。



~帰化人だろうがそうじゃなかろうが、卑怯者の議員はいらない~


まあ、二重国籍禁止法案を主張しようが、国籍公開法案を主張しようが、それ自体は意見の一つですが、その裏付けに「他国では」などという曖昧な言葉を用いて具体例も出さず、しかも「親族の情報まで公開」などとあからさまな嘘を吐き、さらに議員の二重国籍禁止が国際的な常識であるかのようなミスリードをする丸山穂高に、国会議員たる資質などないと言わざるを得ません。


政治主張はいろいろとあると思いますが、投票するときは、帰化人だとかそうじゃないとかそんなことではなく、本人の人格や資質で人を選ぶようにしたいものです。少なくとも、丸山穂高のような嘘つきの卑怯者だけは選ばないようにしなければなりませんね。

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