<ざっくり言うと>
  • 「首里城は本当は赤くなかったのに、再建時に中国におもねって赤くされてしまった」というのはデマ。
  • ネットで出回ってる「戦前のカラー写真」は、モノクロに手彩色したもの。
  • 赤い屋根瓦で彩色された写真も存在し、手彩色から本当の色はわからない。
  • 赤瓦は沖縄の伝統文化であり、中国に阿ったものではない。
  • 琉球時代の記録から、壁や柱が朱塗りや赤土塗りだったことは確実。
  • 朱塗りは日本中の神社仏閣等にも使われており、中国に阿ったものではない。
  • このデマに騙されている奴は、日本文化にも沖縄文化にも無知な似非愛国者である。
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目次

坂東忠信も加藤清隆も西村幸祐も八幡和郎も、「首里城は中華風にされた」デマにやっぱり乗っかる


「首里城はもともと赤くなかったのが、再建時に中華風に赤くされた」というデマがネットで猛威を振るっています。
>>中華風ではない首里城で、ぜひ再建してもらいたいです(^o^)
>>別の写真だと、昔の首里城は柱のみ赤、瓦は黒。
>>古い写真では首里城も中国式に赤い色に塗られていない。 >>再建で首里城は本来と違う朱色になった。

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>>過度に中国風であるという批判がされてきた(八幡和郎
焼けた首里城はわざわざ中国風に、かつデラックスにして中国との接近を意図したものでした。
また、公式のHPには守礼門の守礼の邦の意味を中国の皇帝への忠義という本来の意味でなく礼儀を守る国という意味だとか嘘も書いてました。韓国が守礼門と同様の位置づけにある迎恩門を壊して独立門を建立したのと比べ呑気すぎ。
復元には賛成ですが、政治的な歪曲の姿をそのまま復元するのは慎重であるべきです。
八幡和郎のfacebook

坂東忠信加藤清隆西村幸祐八幡和郎など、いつもの連中ですね。こいつらを鵜呑みにして、「本当は赤くなかった首里城を、中国におもねって赤くした」とか言ってる奴のなんと多いことか。
もちろん、坂東忠信加藤清隆西村幸祐八幡和郎らが言う「本来赤くなかったのを中国式に赤くした」なんてのは大嘘です。本当に平然と嘘をつくな、こいつら。基本的にこいつらの言うことは一切何一つ信じないのが賢明です。「信じるものは救われる」という言葉がありますが、こいつらの場合、「信じるものは足を掬われる」と言ったところですかね。八幡なんて、再建された首里城の姿を「政治的な歪曲の姿」とか妄言たれていますが、八幡のやってることこそ、首里城に現在の日中関係を持ち込む政治的な歪曲以外の何物でもないだろうに。


以前書いた記事の内容と重複しますが、今回は以前紹介しなかった資料も紹介します。



「戦前のカラー写真」の正体はモノクロ写真の手彩色


彼らが言っている「古い写真では首里城も中国式に赤い色に塗られていない」とは、おそらく、次の2枚の写真のどちらかでしょう。(実際、坂東忠信は写真①を、西村幸祐は写真②を引用していますね)

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(写真①)

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(写真②)

ネットで検索すると、「戦前は赤くなかった!」「中国におもねって赤くなった!」「首里城の色は偽もの」と言ってる人たちが出してくるのは、ほぼ間違いなくこの2枚のどちらかです。


しかし、どちらも戦前のカラー写真などではありません。今回は、それをより詳細に解説しましょう。

写真①は琉球大学ブール文庫所蔵のモノクロ写真の手彩色


まず、写真①について。20世紀初頭に沖縄に来ていたアメリカ人宣教師、アール・ブールという人がおりまして、その人が収集した数多くの記録が琉球大学で「ブール文庫」として収められており、この写真はそのうちの一枚です。



そして、琉球大学のHPでは、ブール文庫の写真について、「色は撮影後に人手で着色されたものであり、実際とは異なる場合があります」と書かれております。

↓琉球大学HP
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実際、このブール文庫の他の写真を見てみますと、同じ守礼門なのに、瓦が赤く塗られているものと黒く塗られているものがあります。手彩色の色からは本当の色がわからない証拠です。

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また、屋根が青緑っぽい変な色で塗られているものもあります。こんな色の瓦の存在は聞いたことがないので、これらの写真の着色が必ずしも実際の色を反映していないことがわかります。

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というわけで、この写真の色は手彩色であり、本当の色ではありません。この写真を「新たに見つかった戦前のカラー写真!」とか言ってる人もネットで散見されますが、デマです。そんなこと言ってる奴を見たら、琉球大学のHPを見せつけてやってください。

写真②は絵葉書&赤い屋根の絵葉書が存在する


次に、写真②ですが、こちらはブール文庫にはなく、那覇市歴史博物館のものです。



歴史博物館のHPには詳細が記載されていないのですが、写真の左上に「アサヒ寫眞舘發行」と書かれており、当時発行された絵ハガキであることがわかります(「アサヒ写真館」で検索すると、手彩色と思しき写真が数多くヒットする)。


実は、同じところから発行された絵ハガキで、屋根瓦が赤く塗られた手彩色の写真が存在するのです! (自分で言うのもなんだけど、よう調べたな、オレ)

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(写真③:那覇市歴史博物館HP

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(写真④:那覇市歴史博物館HP

写真③と写真④は、どちらも写真②と同じく「アサヒ寫眞舘發行」となっています。写真②と写真④を比べてみると完全に一致しますので、おそらく同一のモノクロ写真に、別の彩色を施したものでしょう。

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↑写真②

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↑写真④

なぜ同じ写真館から全く色が違う2バージョンが発行されたのかわかりませんが、屋根瓦が赤く塗られた写真がある以上、黒い屋根瓦が正しい根拠もありません。


坂東忠信や西村幸祐のように、黒屋根瓦の彩色の写真を「どや! 黒瓦やんけ!」と偉そうに言ってる奴には、この赤瓦の首里城の写真を見せつけて黙らせてやってください。(本当に西村幸祐って奴は、ジャーナリストを自称しながら、写真の出典さえまともに調べやしないでSNS情報を鵜呑みにするんだな)



赤瓦は沖縄文化


このほか、2014年に見つかった米軍の空撮映像や、再建の際に赤瓦を作った職人のインタビューについては、前回記事をご覧ください。



「戦前のカラー写真」としてネットで出回ってる画像は手彩色であって本当の色じゃないですし、少なくとも、「中華風にするために赤くした」なんてのは嘘です。赤瓦は沖縄の伝統であり、沖縄に行けば一般民家にも使われています。

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(↑竹富島

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(↑沖縄本島。重要文化財「中村家住宅」)



首里城再建の際にも、中華風にするためではなく、沖縄伝統の赤瓦が使われたのです。赤瓦の起源は中国だとしても、もはや沖縄文化の一部なので、「赤瓦なんて中華風だ」と言う奴の主張は、「漢字なんて中華風だからやめろ」「箸を使うなんて中華風だからやめろ」と同レベルです。



「中国=赤瓦」でも「赤瓦=中国」でもない


言うまでもありませんが、「中国=赤瓦」でもなければ、「赤瓦=中国」でもありません。中国にも赤瓦でない歴史建築はいくらでもありますし、逆に、赤瓦文化は沖縄だけでなく本州にも存在します。ついでに言えば、ヨーロッパでも瓦は赤いです。「赤瓦=中国」とか短絡的すぎです。

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↑石川県の赤瓦

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↑島根県の赤瓦

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(↑ディンケルスビュール(ドイツ)

さらに、韓国では屋根瓦は赤くありません。王宮の屋根瓦も黒です。
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(↑韓国の王宮、景福宮

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(↑ソウルの南大門

首里城が黒い屋根瓦を採用したら、今度は「韓国風だ!」「韓国に阿ってる!」とか言う奴が出てきそうですね…。

壁や柱が朱色でないのは色が剥げたから


瓦の色については以上のように、黒という明白な根拠はないし、赤瓦は沖縄の伝統であり、中国に阿って赤瓦を使ったなんて事実はありません。では、壁や柱はどうでしょうか。上で紹介した写真①~④では、壁や柱の色は全てほぼ同じ色で塗られていました。

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↑左から順に写真①~④

このことから、「やっぱり本当の壁や柱は赤じゃなかったんだ!」と言う人もいるかもしれません。しかし、それも間違いです。仮にこの手彩色の色が正しかったとしても、それは漆が剥げたからに過ぎないからです。


写真①も収められているブール文庫の写真達には、ブール自身が書いたと思われるメモが残っているのですが、この↓写真⑤についてのメモには以下のようにあります。

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↑写真⑤

この大きなむき出しの木でできた宮殿の建物はかつて朱と金の漆で覆われていましたが、今や急速に老朽化しています。中央入口上部の木の彫刻はまだ綺麗で研究する価値があります。正面入口両側の石の彫刻は1477年にさかのぼるものだと言われています。この宮殿は1660年に火事によって焼失し、現在の建物は1712年に完成しました。
撮影した本人が、本当は朱と金の漆で覆われていたのが老朽化して剥げてしまい、木がむき出しになっていると記述しています。仮にこの手彩色が正しい色を反映しているとしても、それは漆が剥げて木がむき出しになってしまっただけなのです。


また、前回の記事でも書いた通り、18世紀の改修記録『寸法記』に、「朱ぬり」「赤土ぬり」という記述があるので、壁や柱が赤だったことは疑いようがありません。

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(画像はNHK『プロジェクトX』「炎を見ろ 赤き城の伝説 ― 首里城・執念の親子瓦」(2002年2月5日放送)より)



そんなに赤が嫌いなら寺も神社も嫌いなの?


上で見たアール・ブールのメモにもある通り、木がむき出しになっているのは漆が剥げたからにすぎないのに、再建された首里城の朱塗りを「中国風だ」の「けばけばしい」だの言う奴のなんと多いことか…。
>>燃えた毳毳しい朱塗りの物 >>元々黒屋根で朱塗りじゃ無かった
>>中国様〜って龍塔なんか建てるなよ
>>元は瓦は黒色、柱なども朱塗りでは無かったとの話があります。
>>どうも後ろに中国がとも言われています
>>首里城を中国好みの「朱塗り城」にさせず、
>>元の色で再建させる >>中華思想被れが妄想彩色
>>あんなに中国仕様のケバケバしかったのでしょうか



朱塗りが「中国好み」だとか「けばけばしい」とか言ってる連中って、こいつら本当に日本人ですかね? 日本の神社仏閣の朱塗りを見たことないわけ?

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↑平等院
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↑京都御所
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↑伏見稲荷
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↑厳島神社
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↑赤城神社
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↑平安神宮
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↑浅草寺
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(↑東大赤門(元は加賀藩の藩屋敷))


日本で暮らしてれば、朱塗りの神社仏閣ぐらい嫌でも目に付くだろうに、朱塗りを「けばけばしい」だの「中国風」だの「中国好み」だの言ってる奴らがいかに日本文化に興味がないかよくわかりますね。


結局、この輩は、日本文化にも沖縄文化にも何の興味もないくせに、「中国風だ」「反日だ!」「敵だ!」って何でもいいから理由をつけて、気にくわないやつを攻撃できればそれでいいんですよ、こいつらは。「反日」だから叩くんじゃなくて、叩きたいから相手を「反日」ってことにするんです。人間としてあまりにも卑劣だと思います。


実際、上で紹介したツイートでも、「中国様~って龍塔なんか建てるなよ」って言ってるやつがいますよね。「龍塔」は、まず間違いなく「龍柱」の間違いでしょう。柱」を「龍塔」って言っちゃうぐらい、沖縄文化には興味がないくせに、ただ叩くことだけに興味があるわけです。ちなみに、「龍柱は中国侵略の象徴」とかいうデマについては、下記の記事を参照してください。







「首里城は赤くなかったのが中華風に赤くされた」なんて言ってる奴は、日本も沖縄も愛してなどいない、自己愛だけ強い無知な似非愛国者


以上をまとめますと

1.出回ってる「戦前のカラー写真」は手彩色

2.屋根瓦が赤く塗られた手彩色も存在し、手彩色の色からは本当の色はわからない

3.赤瓦は沖縄文化であり、本州にも赤瓦文化は存在する

4.戦前の首里城が木肌がむき出しだったのは、漆が剥げていただけ

5.壁や柱が朱塗りや赤土塗りだったことは、琉球時代の資料から明らか

6.朱塗りは日本本土も含めた東アジア共通文化


であり、「本当は赤くなかった首里城を、中国風に赤くした」なんてのはデマだと断言できます。


「戦前のカラー写真」とされたものをモノクロに手彩色を施したものだと見破れないのは仕方がないとしても、赤瓦が沖縄文化なのは沖縄を少しでも知っている人には常識ですし、朱塗りが日本の神社仏閣に広く使われているのは、普通に日本に暮らしていれば知らないはずがありません。


それにもかかわらず、「首里城は中国に阿って赤くされた」「そっち系の息がかかった人達の思惑で中国寄りになった」「捏造だ」「反日の知事のせいで赤くされた」なんてデマと妄言をまき散らしている連中は、沖縄文化にも日本文化にも全くの無知だし興味も皆無であることがわかります。


「中国だー」「韓国だー」「反日だー」と言って嫌いな奴を反日認定することで、愛国者面して気持ちよく他人を叩く口実を作り、「日本を守ろうとしているオレ」「日本の敵と戦うオレ」に酔っていい気分になりたいだけ。実際は日本文化も沖縄文化も首里城も実際のところは知りもしないし興味もない似非愛国者であり、「日本が好きなオレ」が好きなだけの醜いナルシシストにすぎません


たいして興味もない。調べる努力もしたくない。でも愛国者面はしたい。「愛国」という印籠を持って、嫌いな奴を存分に叩きたい。だから脳みそを停止して、SNS情報鵜呑みでお気軽愛国者。デマを流すだけの簡単なお仕事です。


そういう似非愛国者に騙されないようにしましょう。


首里城の一日も早い再建を心より望みますが、自分では何も調べずにSNS情報を脳味噌停止させて鵜呑みにしてるだけのくせに、「本当は赤くなかったのに、中国風に赤にしちゃったんだぜ」なんて知ったかぶりの糞くだらないゴミのような妄想で、前回の再建時の人たちの真剣な努力を平然と侮辱する、下劣で卑劣で卑怯で醜悪な似非愛国者様たちは、どうせ何の役にも立ちやしないんだから、せめて邪魔だけはしないでもらいたいものです。

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