<ざっくり言うと>
  • 首里城再建に向け、集まった寄付金の用途について沖縄県が県民にアンケートを実施することを発表。
  • 『Share News Japan』が「基地反対に渡る」「中国に流れる」「詐欺だ」などと拡散。
  • 実際には、文化財修復や収集、中城城跡や円覚寺、御茶屋御殿などの再建など、広義の首里城再興事業への使用が検討されており、基地運動などに使うことが想定されているわけではない。
  • 『Share News Japan』は新聞記事の冒頭だけを引用し、「基地反対に渡る」などのコメントを付け加えることでミスリードをする卑怯なことをしている。
  • 寄付金の使い方をチェックすることは必要だが、SNSのデマを鵜呑みにすることなく、事実を見極めることが必要である。
shuri
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デマサイト『Share News Japan』がこんな記事を掲載していました。

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「首里城再建の寄付金の使い道をアンケートで決定へ」と見出しを付け、「基地反対に渡るワケか」「龍柱を増設」「詐欺だなこれ」となどと書き、あたかも寄付金が首里城以外に流用されるかのような書き方をしています。


そして、この記事に乗っかり、有名ネトウヨ黒瀬深や坂東忠信などが、またもや沖縄ヘイトをしています。
>>どうせ中国か反基地活動家に渡すんでしょう、この知事の事だから。

>>首里城じゃないところに使われる可能性が出てきたってことか?
>>行政が寄付金詐欺の伏線張ってんじゃねえよ。

>>活動家に声を挙げさせて、「辺野古の海を守ろう!」とすることも可能なのだろう。

>>やはり辺野古の基地反対派の日給でしょうか

>>なんか中華に何割かいきそうな感じやね。

このように、反基地に使われるとか、中国に渡るとか言ってるやつがゴロゴロ。まあ、そういう反応になるように『Share News Japan』が誘導してるわけだけど。


しかし、これは完全に意図的なミスリードです。


『Share News Japan』は、琉球新報の記事の一部を抜き取ることで、あたかも首里城再建の寄付金が首里城以外に使われるかのようにミスリードしているのです。


『琉球新報』の実際の記事を見てみましょう。

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『Share News Japan』は冒頭1段落しか引用しておりません。
 沖縄県は30日までに、首里城再建へ向けて県に寄せられた寄付金の使い道について、県民の意見を踏まえた条例を制定することを決めた。アンケートで広く一般県民から意見を集めるほか、関係団体や寄付者らからの意見も聴き、広い範囲で使い道を検討した上で条例化する。アンケートのためのホームページ設置も検討している。那覇市は、同市に届けられた寄付金を県に託す方針。27日までに県と那覇市には県内外や国外から計約12億4千万円の寄付金が集まっている。
ここだけ読むと、たしかに首里城以外に金が回るかのように思ってしまいます。変な流用をされるのではないかと思ってしまうことは当然の懸念と言えるかもしれません。


しかし、『Share News Japan』が引用していない、この直後の文を読めば、そうではないことがわかります。
 寄付金を首里城再興にどう生かすかについて、県幹部の一人は「広い範囲で練り、どこまで使途として認められるか、アンケートを通じ、県民の意見を踏まえて決めたい。寄付者は正殿本体に使ってほしいところもあると思うので、関係団体や高額寄付者らの意見も聴いた上で条例化を目指したい」と述べた。

(略)

 首里城は、城郭内は国営公園であるため政府は、県と連携し国の責任で対応する方針を示している。一方、県は「首里城再興の基本的な考え方」で、琉球文化の再興や、琉球文化を体現できる場として周辺地域の整備検討、風格ある歴史的環境の創出などを盛り込んだ。


 那覇市議会や地元からは中城城跡円覚寺御茶屋御殿の復元を期待する声も強い。県民の間には、組踊や古典音楽といった琉球文化などソフト面の強化や、日本軍第32軍司令部の地下壕跡の公開を求める声もある。県によるアンケート実施や寄付金使途の条例化は、こうした意見を踏まえ、首里城再興事業へ県民の幅広い意見を反映させる狙いがある。
沖縄県の「首里城再興の基本的な考え方」を見てみると、焼け落ちた建物そのものの再建以外に、

・防火体制の強化

・文化財の復元および収集

・伝統技術の活用と継承

・世界遺産としての首里城を中心とした歴史的環境の創出


と言ったことが書かれています。こういうことも含めて、首里城再興としているわけですね。


また、記事にある円覚寺日本軍第32軍司令部は首里城公園内の施設ですし、御茶屋御殿は首里城の付属品みたいなもので、中城城跡は沖縄の世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の中の一つです。


つまり、「アンケートや関係団体等の意見を踏まえて、寄付金の使用範囲を広い範囲で練る」とは、焼けた建物そのものの再建以外に、文化振興や首里城の関連施設などに寄付金を使っていいかどうかを検討するということであり、基地建設反対運動などに流用するわけではないのです。


『琉球新報』の記事の2段落目以降を読めば、アンケート等を踏まえて「広い範囲で使い道を検討する」というのがどういうことを指しているのかわかるんですが、『Share News Japan』は、第1段落だけを引用し、しかも「基地反対に使われる」「詐欺」などのコメントを載せることで、あたかも首里城と全く関係ない基地反対運動とか龍柱とかに使われるかのようなミスリードをしたのです。卑怯ですね~。


『Share News Japan』は、本当に卑劣で卑怯なデマサイトです。管理人はこんなことやっていて恥ずかしくないのでしょうか? まあ、こいつらからしたら、とにかく「玉城知事は反日だ!」「玉城は中国と繋がっている!」とか言いたいだけなんで、デマだろうがなんだろうがなんでもいいんでしょうね。恥という概念があったら、そもそもデマサイトなんて運用できません。


もちろん、寄付金がおかしな使われ方をしていないかどうかは、チェックする必要があるのは間違いないのですが、こういうデマを許してはなりません。寄付金となるとデマが頻繁に流されますが、何の根拠もない、どこの誰が書いたかもわからないSNS情報を見ただけで、「知らなかった!」「そうだったのか!」「もう募金しない!」「募金しないでよかったー」などと鵜呑みにしてしまう連中が大勢いますが、SNS情報を鵜呑みにすることなく、事実関係を確認しましょう。




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