<ざっくり言うと>
  • 門田隆将、自衛隊派遣反対の野党を批判しているが、軍隊を海外に派遣することの意味を根本から理解できていない低レベルなトンデモ主張をする。
  • 加藤清隆は、国会審議を経ないで自衛隊派遣を決めた自民党を批判する野党に対し、「野党が特措法を出せばよかった」とデタラメな批判をする。どうして自衛隊派遣に反対している野党が、自衛隊派遣のための特措法を提出するのか。
  • どんな意見を持つにしても、門田隆将や加藤清隆のような破綻しまくった主張に惑わされることなく、事実に基づいて冷静に考えることが必要である。
horumuz

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目次

門田隆将の驚くべきトンデモ発言


門田隆将が、驚くべき発言をしています。
>>立憲枝野氏が「(危険な)中東に自衛隊を行かせて良いのか」と会見。
>>それを言うなら「それ程危険な地域に石油タンカーを行かせていいのか」ではないか。
>>ついでに「石油に頼らず日本は石器時代の暮しに戻れ」と言いなさい。
>>他国に日本船を守らせて通用すると思う根拠をまず示せ。



いやはや、驚かされました。主張内容はとことん滅茶苦茶で、自衛隊の中東派遣のことも何も、根本から何にも理解していません。よくもまあこんなんでジャーナリスト面できるものです。こんな信じがたいレベルの低レベルな発言をRTしている7000人もの人や、「いいね」した2万以上の人たちは、こんな発言を本当に支持してるわけ?


どうやら門田の脳内では、枝野が単純に「中東は危険だから行っちゃダメ」と言っていると思っているらしいですね。なんと短絡的で幼稚な理解力でしょう。もちろん、根本から間違えまくっています。


門田の主張を一つ一つ見ていきましょう。 



民間船と自衛隊派遣の持つ意味の違いも理解できない門田隆将


本来、こんなことわざわざ言わなくたって小学生だってわかると思うんですが、民間船が外国に行くのと軍隊が外国に行くのでは全く話が異なります。


民間の石油タンカーが航行しても、相手国がそれを敵対行為とみなすことはありません。むしろ石油を買ってくれれば嬉しいわけですから、イランからしても望ましい行為です。


しかし、自衛隊を派遣するということは、相手からすれば全く望ましくない行為なわけです。当たり前ですよね。自分の国の周りを他国の部隊がうろつくのは嫌に決まっています。しかも、今回の派遣はアメリカからの要請を受けてのものです。もし日本の自衛隊派遣がアメリカと一体化した行動とみなされれば、イランが日本を敵とみなすかもしれません。つまり、自衛隊派遣自体が、地域の緊張を高めたり、日本の危機を高めたりする恐れがあるのです。


民間船と違い軍隊の場合は、武力行為をしなくても派遣すること自体が敵対行為とみなされる恐れがあるということを、門田は全く理解していない。自衛隊派遣に反対の人たちは、単純に「危ないから行くな」と言うより、自衛隊が行くこと自体がリスクを高めることになるから反対しているのです。


だからこそ、自衛隊の活動は法律上「非戦闘地域」限定されています(守られているかどうかには疑問符が付きますが)。戦闘地域で自衛隊が活動することは、憲法が禁じた武力による威嚇や武力の行使になりかねません。中東で戦闘が始まった場合、民間の石油タンカーが戦闘地域に行くことは法律違反や憲法違反にはならず「危ないからやめてくれ」というだけの話なんですが、自衛隊が戦闘地域に行くことは法律違反であり、憲法違反なのです。「自衛隊に行くなと言うなら民間船にも行くなと言え」と言う門田は、自衛隊の活動が非戦闘地域に限定されているってことさえ知らないのかもしれません。


民間のタンカーがイランと貿易しに行くのと、アメリカの要請でイラン近辺に自衛隊を派遣するのとでは、全く意味合いが違うんですが、門田隆将はそんなことも理解できていないんですね。こんなんでジャーナリスト面しないでいただきたいものです。呆れて開いた口がふさがりません。



派兵しない国はみんな石器時代に戻るのか?


さらに、自衛隊派遣に反対すると「石油に頼らず日本は石器時代の暮しに戻れ」とは、ほんとうに驚愕の主張です。ここまで幼稚な主張はなかなか聞きませんね。


こんな主張は、「自衛隊を中東に派遣しないとどうしても石油が入ってこない!」っていう状況で初めて言えるものであって、現状そうなっているかと言ったら、そうではないわけです。この時点で門田の主張は完全に崩壊しています。


アメリカの有志連合に加わったのも米国とオーストラリア、バーレーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、英国、アルバニアなど、親米・もしくは反イランの7カ国だけ。米国の有志連合とは関係なく独自に派遣している国もありますが、門田の頭の中だと、中東に軍を派遣しなかった国は、みんな石器時代に戻らないといけないんですかね。門田の主張は崩壊しすぎなぐらい崩壊しています。


さらに、門田は「他国に日本船を守らせて通用すると思う根拠をまず示せ」とか言っていますが、「通用する」とか「通用しない」とかって、どこに通用したりしなかったりするんですかね? アメリカ以外に「日本は中東に自衛隊を派遣しろ」なんて言ってる国があるんでしょうか? 門田の脳内では、自衛隊を中東に派遣しなかったら、日本は世界からつまはじきにされるんですかね? 門田の脳内の世界情勢ってどうなっているんでしょう?


別に軍事力で日本船舶を守らないと日本に石油が入ってこない状況なわけでもなく、自衛隊を派遣しないと日本が国際社会からつまはじきにされるわけでもありません。なのにどうして自衛隊の中東派遣に反対しただけで、「石油に頼らず日本は石器時代の暮しに戻れと言え」「他国に日本船を守らせて通用すると思う根拠をまず示せ」とかいう批判ができるのか。門田の主張は崩壊の極みです。


それに、安倍政権も名目は「調査・研究」としていて、イランへの配慮からホルムズ海峡には派遣しません。石油ルートの肝心かなめのホルムズ海峡に派遣せず、さらに「自衛隊で日本の船舶を守ります」と言って出ていくわけでもないので、門田の理屈なら、安倍政権に対しても「ホルムズ海峡に派遣しないなら、『石油に頼らず日本は石器時代の暮しに戻れ』と言いなさい」「他国に日本船を守らせて通用すると思う根拠をまず示せ」と批判を向けないといけません。門田の理屈はとことん破綻しまくっています。


いやあ、まさか「自衛隊の中東派遣に反対なら石油を使うな」なんてことを恥ずかしげもなく言える人がいるとは驚きました。すごいよ、門田隆将。


時々いますよね、こういうとてつもない破綻したこと言う奴。例えば、温暖化に警告を発すると、「CO2排出を批判するなら、電気を使わず石器時代に戻れ!」みたいなこと言う奴。門田隆将はそのレベル。再生可能エネルギーに移行したり、植林をしてCO2吸収量を増やしたり、炭素税を導入したり、そういう努力が求められているのに、「CO2排出を批判するなら電気を使うな」みたいな極端なことを言ってそういう努力の邪魔をする奴。私から見たら、あまりにも幼稚すぎて話にならないんですが、門田隆将はジャーナリスト面しながら、その程度の議論レベルなんですね。心底呆れます。


それに、多分、こいつの脳内だと、「中東情勢が悪化しているからこそ自衛隊を派遣して日本の船舶を守れ!」ってことになってるんでしょうけど、それだと戦闘に参加することになっちゃうんだよなあ。本当に中東情勢がさらに悪化して安倍政権が自衛隊派遣を中止したとしたら、こいつはどう反応するんでしょうね。



加藤清隆の恐るべきエクストリーム野党批判


門田隆将の主張の余りの幼稚さとバカらしさには本当に驚かされましたが、これを引用している加藤清隆にはさらに驚かされます。
>>立憲・枝野氏が「国会審議もなしに自衛隊を中東に派遣したのは問題」と噛み付いているが、それならなぜ「桜を見る会」などという些末なことに固執せず、特措法を提出しなかったのか?


加藤清隆は、自分が何言ってるの理解してるんですかね? 立憲民主党は自衛隊の中東派遣自体に反対なのに、なんで自衛隊派遣を可能にするための特措法を提出するのでしょうか。加藤清隆の脳内では、自民党のサポートをするのが野党の仕事なのでしょうか。何なんでしょう、この信じがたいエクストリーム野党批判。


言うまでもなく、派遣を考えている政府や自民党が特措法を提出して審議するのが当然なわけで、どうして「野党が特措法を出さないのがいけない」とか意味不明な批判ができるのか、私には全く理解不能です。


しかも、安倍政権は国会が閉会した後に、閣議決定で中東派遣を決めてしまっています。「本来こういう問題を話し合う外交・防衛委員会」って言うのなら、どうして安倍政権は外交・防衛委員会で特措法を提出しなかったんでしょうか? 国会でもめて派遣できなくなるのが嫌だから、閉会後に閣議決定で決めちゃったようにしか見えないんですが。


それに、桜を見る会は全然些末な問題じゃなく民主主義そのものに関わるですし、そもそも自民党や安倍政権がさっさと名簿や見積書などを提出しちゃえば1日や2日で済んでしまう問題でした。それを引き延ばしたのは正面から答えない与党です。それに、『ハーバービジネスオンライン』によれば、「桜を見る会」に使われた審議時間は、第200回臨時国会の審議時間の全体のわずか2.8%にすぎません。



加藤清隆の主張は、もう根本から全く成立していません。ここまで激しいエクストリーム野党批判をよくもま恥ずかしげもなくできるものです。


自衛隊の中東派遣について色々意見はあるでしょうが、いくら何でも「中東派遣に反対なら石油に頼らず石器時代の暮しに戻れ」とか「野党が特措法を出せ」とかデタラメで全く筋の通らないことを言えちゃう人間の言うことに惑わされては、まともな議論になりません。どんな意見を言うにしても、こういう人間に惑わされないように気をつけましょう。

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