<ざっくり言うと>
  • 相手の主張を捻じ曲げて反論する藁人形論法に気をつけよう。
  • 「専門家の意見を聞かずに休校を決定したのはおかしい」を「じゃあ、何もしなくていいと言うのか」と捻じ曲げるようなことが、藁人形論法の典型である。
  • 我々は、常に主張と反論がかみ合っているか、藁人形論法になっていないか意識する必要がある。
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目次

藁人形論法とは何か

いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれるような人たちの最も基本的な性質は頭が悪いことに尽きると思います。彼らは自分が頭が悪いことも自覚できないレベルの頭の悪さを平気で見せつけてくれるのですが、その一つが「藁人形論法」と呼ばれるものです。これは「相手の主張を捻じ曲げて解釈して反論して論破したつもりになる」というものなのです。簡単な例を出せば、

A:「道路でローラースケートをするのは危ないから禁止するべきだ」
B:「子どもに外で遊ぶなと言うのか! Aは子供のことを考えていない」

こういうものです。Aは「道路でローラースケートをすること」を禁止することを主張しているだけなのに、Bはそれを「Aは『外で遊ぶこと』を禁止しようとしている」と捻じ曲げて批判しているわけです。


このような藁人形論法はかなり頻繁に行われており、ちゃんと気を付けていないとうっかり言い負かされないとも限りませんので気をつけましょう。

藁人形論法の具体例


一つネトウヨさんの具体例を示します。


安倍晋三が全国の学校の一斉休校や中国韓国からの入国の制限やビザの停止を発表しましたが、安倍晋三は専門家会議に相談していなかったことを認めています。これについて、池上彰氏が自身の番組内で加藤厚労大臣と直接対面し、「専門家の意見を聞いて方策を決定してくれなくては困る」と批判しました。


これに対し、ネットでは「『対策が後手だ』と非難しながら、対策したら『根拠を示せ』とはおかしい」とか「専門家に決めさせるのはおかしい」とか言うバカな非難が溢れました。例えば下のようなものです。
>>池上はバカか?
>>専門家が何でもかんでも決めるんだったら政治家は要らない。

いやあ、本当にどうしてこんなに日本語理解力が欠如しているんですかね、この手の人たちって。「専門家に決めさせろ」じゃなくて「専門家の意見を聞いて決めろ」なのに「専門家が決めるんだったら政治家は要らない」とか意味不明すぎますね。逆に専門家の意見を聞かないんだったら何のための専門家会議なわけ?


そして、藁人形論法の典型なのがこの発言。
>>何もしなくていいんでしょうか?
>>それこそエビデンスを示して反論してください



絵にかいたような藁人形論法です。


池上彰は「専門家の意見を聞いて方針を決め、実行すべきだ」と言っているのであって、「何もするな」と言っているのではありません。ところが、頭が悪いネトウヨさんは「池上は、政府は何もするなと言うのか! この非常時に池上はおかしい!」と反論するわけです。藁人形論法の典型です。本人は自分の論理展開がおかしいことに気づいていないのだから全く話が通じない無敵君となるわけです。全く困ったものです。


政治家は薬を出す人で、専門家は医者に喩えることができるでしょう。ただし、本来の病院と違い、政治界では医者にはどの薬を出すかの意見を言うことはできても、決定は薬を出す人にゆだねられています。薬と同じで、政治の方策も効いたり効かなかったりしますし、効いた場合でも副作用があったり、場合によっては病状をさらに悪化させてしまうことさえあり得ます。ですから、専門家の意見を踏まえて、どれが一番適切な効果を生むかを考え、決定するのが政治家の仕事です。


ところが、もしも政治家が専門家の意見を聞かなかったらどうなるでしょう。


安倍「この薬が効くんじゃないかと思うんで、出しときますね」

国民「ちょっと待ってください。本当にその薬が効くかどうか、医者に確認をとりましたか? 副作用とか大丈夫ですか?」

安倍「確認してないけど、多分効くと思う」



これが今回実際に起きたことなわけですよ。


誰も「何もするな」なんて言っていません。「専門家の意見を聞いて、適切な薬を出してくれ」と言ってるだけなんです。今回の人は「医者に確認もしないで薬を出すな」という意見に対して「じゃあ治療しないでいいと言うのか?」と反論しているわけですから、「道路でローラースケートをするな」という意見に対して「外で遊ばせないなんてひどい」と反論するのと全く同じ。まさに絵にかいたような藁人形論法と言えます。なんでネトウヨさんってこんなに日本語理解力に乏しいわけ?

「強力な薬を出して病気を治した」は薬が正しかったことを意味しない


小中高の一斉休校についても、「小学生の感染者が出た。休校は正しかったんだ」と言っている人もいますが、全く論理的ではありません。


社会活動を止めれば感染抑止になるのは当たり前です。大げさなことを言えば、電車もバスも飛行機も何もかも全部止めて、会社も閉鎖して、スーパーなども全て閉めてしまえば感染拡大はかなり制限できるはずです。じゃあ、感染防止のためにそこまでやるかと言ったら、できないでしょう? 薬が強力だとその分副作用が大きいので、それで母体が死んだら元も子もないからです。


つまり、何をどこまで制限するか、効果と副作用を考えて、「これぐらいの副作用なら我慢できるはずだ」とか「もう副作用を気にしていられるレベルじゃない。一か八かやらなくては」とか決定するのが政治家です。そして、その方針を決定するために必要になるのが専門家の意見です。


強力な薬を出せば病気が治るのは当たり前。しかしその薬の副作用でさらに体に害があったら困るのです。「病気は完治した。しかし患者は死亡した」じゃ話になりません。強力な薬が病気を治したということは、その薬の選択が正しかったことを必ずしも意味しません。「安静にしていれば治る」という段階で強力な薬を出しても駄目ですし、「これはもう思い切った手術が必要だ」という段階で咳止めを出しても駄目なわけです。


学校の一斉休校について批判している人たちも、もしもそれが専門家会議で議論したうえのものであったり、何らかの形で専門家に相談しての結論であれば、批判をすることはなかったでしょう。一斉休校した場合としなかった場合のシミュレーションを行ったうえで決定したのであれば、ほとんど批判は出なかったはずです。


問題は、専門家による科学的な知見に基づいた決定ではなく、専門家の意見を踏まえていない政治的な判断によるものだったという点です。そこを間違えてはいけません。

藁人形論法に騙されないために


藁人形論法の基本は

「一部だけを取り上げる」

「誇大に解釈する」

などです。「道路でローラースケートをするな」「外で遊ぶな」に変換して反論するようなものです。脳内で一人伝言ゲームが行われ、「道路」→「外」、「ローラースケートをするな」→「遊ぶな」に変わってしまうんですね。しかも伝言ゲームなので、本人の脳内では話が繋がっていて、話がすり替わっていることに、ほとんどの場合本人は全く気付いていません。


正直小学生の国語の時間にこの程度の正しい読解は身に着けておくべきだと思いますし、こういうことをする人は現代文のテストによくある「本文の内容と一致するものを選べ」という問題で悉く間違えてたんだろうなあと思ってしまいますが、この低レベルな論法が、ネットに限らず国会を含めた様々なところで多用されています。今回のように「政治家は専門家の意見を聞いて方針を決めろ」というのを「専門家に全部任せろと言うのか」と捻じ曲げたり、「専門家の意見を聞かないで休校を決定した安倍の手法はおかしい」を「批判している人は、何もしなくていいと言うのか」などと反論するのは、まさに藁人形論法の典型例です。


自分自身が藁人形論法の被害者である時は、騙されることはあまりないと思いますが、第三者はうっかりすると、藁人形論法を使って反論している人間の方が、相手を論破しているように勘違いしてしまうことがあります。自分が議論するときも、他人の議論を見る時も、元の主張と反論とがちゃんとかみ合っているかいないか、常に意識して気を付けておく必要があるでしょう。何より、自分が藁人形論法をしてしまわないように気をつけましょう。

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