<ざっくり言うと>
  • 「推定無罪」は刑事裁判において警察や検察といった強権から弱者を守るための仕組みであり、権力者の権力行使に適応される原則ではない。
  • 今回の法案について、「検察が信頼できないのか」などと言っている人がいるが、全くの的外れ。
  • 今回の問題は、ルールを捻じ曲げることはおかしいという至極明快な問題であり、黒川検事長個人の人格の問題ではない。
  • 安倍晋三はじめ、誰一人として、この法改正が必要な理由をできている者がいない。
CL1x9gpVAAAxCPk
(スポンサードリンク)

これまでの検察庁法改正案関連記事

前回記事に、こんなコメントが来ました。
2020y05m14d_191140584

この記事の疑問点 2020年05月14日 17:17

そもそも、

①黒川氏が政権に忖度している証拠は?
(そう言われているからとかは理由にならないと思うけど?)

②黒川氏が政権に忖度しているならなぜさっさと検事総長にしなかったの?
(さっさと出世させずに、わざわざ法改正までして出世させる理由は?)

③検察官は独任制(担当検事が起訴すべきだと判断すれば起訴される)じゃないの?
(黒川氏が検事に圧力を加えられるの?その権力の源泉は何?)

④なぜ今回の法案に反対する人は検察庁の組織改革を提案しないの?
(①~③に問題があるなら必要なことは定年延長云々ではなく組織改革なのでは?)

⑤①~④までの論点に言及せず、いろんな人やメディアが批判する意味は何?
(法治国家なので黒と証明されない限り、有罪ではありません。グレーは白です。)

安倍政権が好きかといわれると微妙ですが、的外れなメディアは一番嫌いです。断定的な口調なので確固とした証拠をお持ちだと思います。次の記事では上記の矛盾を解決する記事を期待しています。
正直、「は?」みたいな内容で、これだけ的外れなこと言いながら「的外れなメディアは一番嫌い」とかどの口が言うんだと思わされます。しかし、もしかしたら、この人が政権支持かどうかは知りませんが、安倍政権を支持している人にはこういう認識の人も多いのかなあと思ったので、新しく記事を作って回答したいと思います。

>>①黒川氏が政権に忖度している証拠は?
>>(そう言われているからとかは理由にならないと思うけど?)


現在黒川氏が実際に政権に忖度していようがいまいが、ルールを捻じ曲げてるのが駄目だって話なんですよね。そして、「ルールを捻じ曲げてまで黒川を検事総長にしようって動きには、変な思惑があるんじゃないか」「検察まで政権に支配されてしまうんじゃないか」と、検察が国民からの信頼を失ってしまうことが問題なんですけどね。

>>②黒川氏が政権に忖度しているならなぜさっさと検事総長にしなかったの?
>>(さっさと出世させずに、わざわざ法改正までして出世させる理由は?)

これは正直「ええ!? それぐらい自分で調べられないの!?」と思ったんですけど、過去の検事総長を見てもらえばわかるんですけど、戦後の検事総長のほとんどは東京高検検事長を経て検事総長になってるんですよね。法務事務次官、仙台高等検察庁検事長、東京高等検察庁検事長を歴任してきた稲田伸夫をすっ飛ばして黒川弘務を検事総長にするなんてできなかっただけでしょう。

>>③検察官は独任制(担当検事が起訴すべきだと判断すれば起訴される)じゃないの?
>>(黒川氏が検事に圧力を加えられるの?その権力の源泉は何?)


むしろ、検事長や検事総長が検事に圧力を加えることができないと考える理由がわからん…。「社長が社員に圧力をかけられるわけがない」と言うのと同じぐらい謎。

>>④なぜ今回の法案に反対する人は検察庁の組織改革を提案しないの?
>>(①~③に問題があるなら必要なことは定年延長云々ではなく組織改革なのでは?)


なんで今回の法案に反対する人は検察庁の組織改革を提案しろなんて発想になるのか全く分からない。組織改革とおかしな法案と何の関係があるねん。

>>⑤①~④までの論点に言及せず、いろんな人やメディアが批判する意味は何?

そもそも①~④までが的外れすぎる。こんなの最初っから論点にさえなってないんだけど。たぶん、ルールの捻じ曲げが問題なのに、黒川個人の資質の問題と勘違いしているんだろうけど、的外れもいいところ杉。


「推定無罪」は「黒じゃなきゃ権力者は何やってもいい」という意味じゃない!


で、ここまでは単に問題を理解していない的外れなコメントって話なんですが、私が一番問題ある認識だと思うのはこの部分です。


>>法治国家なので黒と証明されない限り、有罪ではありません。グレーは白です。


前々から書いているんですけど、「推定無罪」は刑事裁判の原則です。権力者の権力行使について、「黒じゃなければOK」とかいう発想するのやめようよ…。正直、本当に飽き飽きしてるんですよね、この「推定無罪」の誤用。


推定無罪は刑事裁判の話であって、弱い人間を警察や検察といった権力から守るための原則。権力者を守る原則じゃないからね。推定無罪の原則がないと、警察が検察が「あいつは怪しい」って言っただけで犯人にされて有罪にされかねない。一般市民が圧倒的な力を持つ警察や検察に太刀打ちできるわけはなく、そういう権力から弱い市民を守るのが推定無罪の原則です。


一方、警察とか検察とか政治家とか、権力者側は「推定無罪」で守られる側じゃありません。強大な権力を一般市民から委任されているのですから、その権力の行使は透明性が求められ、一般市民の疑惑を招くようなものであってはなりません。権力者の権力行使が、「推定無罪」(有罪と証明されない限り何やってもいい)って、そんな危険な国家に誰が住みたい?

実際、この人、この後さらに

>>行政や司法は憲法や法から授権された範囲内なら何をやってもよい

とか言い出すんですが、そんなわけがないことくらい子供でも分かると思うんですけどね。


第一、今回はその「法から授権された範囲内」を超えたから問題になってるんですけど。検察の定年延長は違法ですからね。


行政や司法が信頼できない国に住みたいですか? もういい加減、権力者から一般人を守るための原則である推定無罪の原則を、一般人から権力者を守るために使う誤用はやめましょうよ。何度でもいいますが、推定無罪は権力者の権力行使を擁護する原則では決してありません。


「検察が信頼できないのか」という愚


この問題に対して、例えば公明党の政調会長は「そんなに検察が信頼できないのか」とか言っていますし、「検察官には職業倫理がないの?」とか言っていますが、完全に的外れ。
「信頼できないのか」じゃなくて、わざわざ信頼できなくさせるようなことすんなってことがわからないんですかねえ…。


大体、そもそも検察を信頼しろというのが間違いです。「障害者郵便制度悪用事件」の時なんて、検察は証拠のでっち上げまでやって、何人もの無実の人間を陥れようとしました。現実に、こういうことが起きるんですよ。だから権力というものはできる限り縛るのが当然であり、わざわざおかしなことが起きるような土台を作ろうとする法改正など許してはならないのです。



「黒川の不正を証明しろ」というあまりにも的外れな反論


さらにこのコメントくれた人、こんなことを言い出します。
2020y05m14d_210233167
>>黒川氏があなたが考えるような人だったとして、第2の黒川氏を出さないためにも(検察の組織改革は)当然必要な議論じゃないの? それを無視して議論するのは単に政権批判をしたいだけだからなんじゃないの?

>>黒川氏に問題があるなら、黒川氏と政権のつながりに問題があるなら、その証明が必要ですよね?不正の存在が推定すらできないのに黒川氏の信頼を勝手に貶めて、「信頼感に問題がある」っていうのはフェアな議論なの?
 また、問題があるなら当然再発防止策が必要なのにその議論を行わないのは、その前提の議論を避けるためじゃないの? やり口が陰湿だよね?
正直、よくもまあここまで的外れなことは言えるなあと驚かされたんですが、こういう認識の人、ほかにもいるんでしょうか?

他にも勘違いしている人がいるんだったら言っておきますが、黒川が不正をしたなんて誰も言ってないからね!! 今回の問題はそこじゃなくて、安倍政権がルールを捻じ曲げたことだからね。黒川をどうにかすりゃいい、黒川じゃなければいいなんて問題じゃないからね。相手が誰だろうが、ルールを捻じ曲げて誰かを権力の座につかせようなどあっていいわけがない。


なお、黒川氏個人の問題についてですが、黒川氏が安倍政権の疑惑をもみ消したという疑いは前から言われていました。
 16年1月、「週刊文春」は安倍政権の屋台骨を支えていた甘利明経済再生相の口利き疑惑を当事者の生々しい証言で詳細に報道。あっせん利得処罰法違反の疑いは明白だったが、特捜部は甘利事務所への家宅捜索さえ行なわず、不起訴処分とした。

 「14年の小渕優子元経産相への捜査ではハードディスクを電動ドリルで破壊する悪質な隠蔽工作まであったが、議員本人までは立件せず。いずれも黒川氏による“調整”と囁かれました。そして政権中枢の疑惑を立件しなかった論功行賞といわんばかりに、官邸は同年夏に黒川氏の事務次官昇格人事をゴリ押しするのです」(同前)

 法務検察は、黒川氏と同期の林氏を将来の検事総長候補と位置付け、黒川氏を地方の検事正として転出させ、林氏を事務次官とする人事案を作成。ところが官邸側はこれを蹴り、露骨に人事に介入してきたのだ。

 「官邸は過去3度廃案になっている『共謀罪』の成立を見越して、黒川氏の調整能力が欠かせないと判断し、彼の次官昇格を求めたのです。翌年の共謀罪の国会審議では答弁が心許ない金田勝年法相に代わり、刑事局長だった林氏が矢面に立ち、法案成立のために粉骨砕身した。ところが、17年夏の人事では再び官邸が介入。裏で汗をかいた黒川氏の留任が決まるのです」(同前)
文春オンライン
甘利と小渕が碌に操作されないまま不起訴になったときは「なんで!?」と思いましたが、もしもそこに黒川氏が関与していたというのが事実なら、とんでもないことです。


しかし、今回の問題は安倍政権がご都合主義でルールを捻じ曲げたって話であって、黒川氏個人の人格の問題じゃありませんからね。黒川だから駄目、黒川じゃなければいいみたいな自話じゃないですからね。


一言でいえば「ルールを捻じ曲げるな」、これに尽きます。やっぱり、これでもこの法案を擁護しようとしている人は、この法案の何が問題なのか理解していないか、自分に都合がよければ「ルールなんて捻じ曲げたっていいじゃん」と思っているかのどっちかじゃないですかね。賛成にしろ反対にしろ、それはルール内で行われるから賛成反対があるんであって、そもそもルールを捻じ曲げてしまう奴は賛成反対の枠組み以前の、純然たるです。


こちら↓に私なりに問題点を書いておきましたが、自分の都合ルールを捻じ曲げる連中が国民のための政権かどうか、考えてみてください。


そして何より、安倍晋三も自民党員も支持者も、誰一人として、この法案が必要な理由を全く述べることができていない事実を考えてみてほしいです。必要性が説明できない法律が必要ですか? 必要なわけがないです。「今回の改正で三権分立が侵害されることはもちろんありませんし、恣意的な人事が行われることは全くないと断言したい」とか言ってますが、なぜ断言できるのか、理由は何一つ欠片ほども一切述べることはできません。


そんなものを、これだけ反対がある中、強行採決しようとしている連中が、国民のことを考えている政府と言えるかどうか、考えてみてください。

このエントリーをはてなブックマークに追加 

にほんブログ村 政治ブログへ 
にほんブログ村 政治 ブログランキング
(スポンサードリンク)