<ざっくり言うと>
- 坂東忠信、名古屋でのBlack Lives Matter運動のチラシを、「中国のフォントが使われている!」「中国の工作」「腐れた中華のにおいがする」「ギンバエ」と罵る。
- 実際にはAdobeとGoogleが共同開発し、日本人がデザインしたSource Han Sansというフォント。米国製である。
- 主催者は中国人ではなく、アメリカ人の母とハーフの娘と思われる2人である。
- 英語が母語の人が、AdobeとGoogleが共同開発したフォントを使うことも、漢字の書体の微妙な差異を気に留めなかったことも、何もおかしくない。
↑本日の思考停止・脊髄反射差別主義デマゴーグ、坂東忠信
目次
1.坂東、Black Lives Matterデモを「腐った中華のにおい」「ギンバエ」と中傷三昧
何故かはよくわからないのですが、ネトウヨさんというのは、Black Lives Matter(BLM)運動にも反対します。人権という概念自体が嫌いなんじゃないかとさえ思える彼らですが、あの自称元通訳捜査官の坂東忠信が、名古屋で企画されているBLMデモについて、こんなことを言っています。
日本に住む外国人の皆さん、騙されて変な運動で叫びだしたりしないように。
— 坂東 忠信 (@Japangard) June 14, 2020
世界を混乱に陥れることで優位を得ようとする特定の国と、そのカネに群がるハエどもに注意してください。
この集会は腐れた中華のにおいがします。
ギンバエとミツバチは集まる場所が違うのです。 pic.twitter.com/RMwngRSQ1w
日本の漢字と似て非なる文字です。
— 坂東 忠信 (@Japangard) June 14, 2020
普通の日本人が使わない、混在し得ないフォントが混在しています。
中国の工作は大雑把すぎるし詰めが甘い。
こんなビラ作っておいて、どんなバカがどのツラ下げて集まるやら(笑) pic.twitter.com/J9Ebk7sEOc
正直、よくもまあここまで悪辣なツイートできるなあと思って、呆れを通り越して感心してしまいます。デマと差別というウンコを食べて生きている坂東忠信こそギンバエと呼ばれるべき存在だと思いますが、この坂東のツイートを鵜呑みにして、「中国製ポスターだ!」だのなんだの言ってる奴がごろごろいるので困ってしまいます。
— Chan Villa (@villachan2) June 16, 2020
今回は、この坂東のツイートが、完全に間違っているデマであるということを取りあげましょう。
2.フォントはAdobeとGoogleの共同開発で、デザイナーは日本人
坂東が名古屋のBlack Lives Matterデモと中国を結びつける唯一の根拠がフォントです。「混在し得ないフォントが混在してい」るから、中国人が日本語でフォントを作ろうとしてミスを犯した、というのが坂東の脳内で行われているシナリオです。
たしかに、坂東が指摘した文字は日本の通常のフォントとは異なります。しかし、中国人が書いたという証拠にはなりません。何故なら、このフォントは普通に誰でもどこでも手に入る人気フォントだからです。
このチラシに使われているのは、アドビーとグーグルが共同開発したSource Han Sansというフォントです。坂東は中国中国騒いでますが、米国製のフォントなんですね。実際に試してみましたが、完全に一致しました。
このフォントは無料で誰でも手に入れることができます(ここからダウンロードできます)。
Source Han Sansは、Extra Light から Heavy まで数段階の太さが選べるうえ、アルファベットはもちろん、簡体字・繁体字・新字体・韓国漢字も同じフォントファミリーで使い分けができるため、便利で人気のフォントです。
↑数段階の太さを選ぶことができる
↑簡体字・繁体字・新字体・韓国漢字の4種類の字体を選べる
簡体字フォントはSource Han Sans SCという名前で提供されています(いくつか異名あり)。簡体字フォントと言っても、普通にひらがなもカタカナも打てますし、ほとんどの漢字は日本の新字体と同じ形で打てます。なので、普段は何も気にせず問題なく使えてしまい、簡体字フォントを使っていると気が付きさえしないでしょう。
↑Source Han Sans SCで実際に打ってみた例。普通に日本語が打てるので、簡体字フォントを使っていると気が付きさえしない。
つまり、坂東は「混在し得ないフォントが混在」とか言っていますが、Source Han Sans SCで混在しているフォントなわけです。(疑う人はダウンロードして試してみてください)
坂東は「中国の工作は大雑把すぎるし詰めが甘い」とか言っていますが、脊髄反射的に「混在しえないフォントが混在している」「中国の工作だ!」とか言ってしまう坂東こそ、大雑把すぎるし詰めが甘すぎです。こんなのが警察官をやっていたなんて、恐ろしい事実ですね。
↑Source Hans Sans SCを使った例。「差」と「坂」のみ日本の新字体と異なるが、後は全て日本の新字体と同じ。「混在しえないフォント」などではない。
しかも、このSource Han Sansをデザインしたのは西塚涼子という日本人なんですよね。
もしもチラシに使われているフォントが、中国企業が開発した中国のパソコンにデフォルトで入っているフォントとかなんだったらともかく、AdobeとGoogleが共同開発し、日本人がデザインした、オープンソースのフォントを使っているのに、「腐れた中華のにおい」「混在し得ないフォントが混在」「中国の工作」なんて言えてしまう坂東忠信には呆れてしまいます。
所詮坂東の主張なんてこのレベルの根拠しかないってことです。
3.主催者は日米ハーフ
この名古屋でもBLMデモのfacebookを見てみると2人が管理者となっています。おそらくこの2人がデモの主催者と言うことなのでしょう。
この2人のfacebookの写真を見てみると、この2人は明らかに白人です(顔写真の無断転載はまずいと思うので、ご自分でリンク先からご確認ください)。どうやら2人は母娘のようで、彼女たちのfacebookはほとんど全て英語で、時々日本語という感じです。チラシを作ったのが、英語が母語の人であれば、アメリカ製のフォントであるSource Han Sansを使うことも、漢字の差異を気にしなかったことも、何もおかしくありません。
坂東はフォントだけを根拠に「中国の工作だ!」とか言っていますが、果たしてこの2人が中国工作員なんですかね?
どうしてチラシのフォントだけ見て脊髄反射で「中国の工作だー!」とかいう前に、主催者のfacebookチェックしようとか思わないわけ? 先ほども言いましたが、坂東は「中国の工作は大雑把すぎるし詰めが甘い」と言うものの、坂東のデマこそ大雑把すぎるし詰めが甘いです。
この2人や主催に加わっているメンバーの人たちが信頼できる人達かどうかまでは知りようがありませんが、少なくともフォントを根拠に「中国工作員だ」など言う坂東の主張には、一切の信頼性がないことだけは確かです。
4.フォントがおかしいと思えるのは、中国語学習者のみ
そもそも、よく考えてみましょう。どうして坂東はこのフォントを見て、「中国のフォントだ」とわかったわけでしょう? それは、坂東が中国語学習経験があるからに他なりません。中国語の学習経験があるから、「中国の字だ」と気が付いたわけです。
もしも中国語の学習経験が一切ない人が、少しだけ違う字体を見て、中国の時だと思うでしょうか? 「こういう字形もあるんだ」程度にしか思わないのではないでしょうか?
実際、簡体字じゃなくても、日本のフォントで字形が違う例はいくつもあります。たとえば、同じゴシック体であっても、「さ」や「き」はフォントによって大きく字形が異なります。
↑左から「BIZ UDゴシック」「小塚ゴシック」「MSゴシック」。同じゴシック体でも形が異なる。
「噂」や「北」などの字も、フォントによって字形が異なります。
↑左から「BIZ UDゴシック」「MSゴシック」「DFG平成ゴシック」。どれも簡体字ではなく日本の漢字だが、「尊」の部分の形が異なっている。
↑左:MSゴシック、右:UDデジタル教科書体。
このように、日本語用フォントでもフォントによって字形が異なることは多々あります。
では、改めて下の字を見てみましょう。
中国語を習ったことがない人が、左の字を「日本の字じゃない」「中国の字だ」と思うでしょうか? 私は、思わないと思います。「さ」「き」「噂」「北」の字形がフォントによって異なるように、簡体字と新字体の違いではなく、単にフォントの違いだとしか思わないことでしょう。
上述のとおり、AdobeとGoogleの共同開発であるSource Han Sans SCは、ひらがなカタカナはもちろん、ほとんどの漢字も、日本の新字体と変わらない字を打つことができます。「反」「曜」「差」「所」の字が少々他で見る形と違っても、「さ」「き」「噂」「北」と同様、フォントの違いだとしか思わなくても、何ひとつ不思議なことはありません。チラシ作成者の母語が英語であれば、なおのこと気にすることはないでしょう。
今回の件は、Source Han Sansの存在を知らなかった坂東の無知と偏見と差別意識が引き起こした、明らかなデマです。
米国人の母と日米ハーフの娘が、AdobeとGoogleが共同開発して日本人がデザインした米国製フォントを使って作ったチラシを見て、「腐れた中華のにおい」を感じ取ってしまった坂東忠信。
坂東という男の人間としてのレベルの低さがよくわかります。
5.そもそも、中国人だと何か問題か?
このチラシを作ったのは、おそらく上述の米国人の母と日米ハーフの娘であり、中国人じゃなかったわけですが、仮に中国人だとしたら、いったい何が問題なのでしょう? 在日中国人がBlack Lives Matter運動をやっちゃいけないんでしょうか? 「中国人=ギンバエ、腐ってる」などと考える坂東の精神の方が、よほど腐っていると思います。
6.BLM運動は「世界を混乱に陥れる」ことなのか?
坂東の主張の最も意味不明なところが、「世界を混乱に陥れることで優位を得ようとする特定の国と、そのカネに群がるハエどもに注意してください」というところです。Black Lives Matter(BLM)運動は、アメリカで起きた白人警官による黒人殺害事件がきっかけで、アメリカから始まり、各国に波及しているものです。
一部のデモが暴徒化したことは事実ですが、ほとんどのデモは平和的に行われているそうですし、そもそもこの運動は人種差別反対運動です。いったいどの辺が「世界を混乱に陥れる」ことなのでしょうか? しかも、「世界を混乱に陥れることで優位を得ようとする特定の国」とはどこなのでしょうか? もしかして、坂東の脳内では、BLM運動は中国がアメリカの国力を削ぐために扇動していることにでもなっているのでしょうか? もしもそんな風に思っているのだとしたら、坂東は今すぐ精神治療を開始したほうがいいと思います。
7.デマと差別で食べている坂東忠信こそギンバエである
坂東はどのフォントか調べることもせず、一部の字体が違うだけで「中国の工作」と決めつけ、AdobeとGoogleが共同開発したフォントであるSource Han Sansを使えば普通に混在しえるものを「混在しえないフォント」と決めつけ、「この集会は腐れた中華のにおいがする」「ギンバエ」などと罵った坂東忠信。
デマをばらまき差別を煽ることで優位を得ようとする坂東忠信と、それに群がる脳みそ停止ネトウヨどもに注意してください。
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コメント
直しました。有難うございます。
自分でもよくフォントまで調べたと思います。ちゃんと調べるところが、坂東ごときとは違うところです。
私が使っているAdobeの画像処理ソフトで、Adobe Fangsong Std とか Adobe Heiti Std とかいうフォントが入っていて、そのフォントだと時々漢字が変な書体になることがあったんです。また、私は普段英語学習のためにスマホの言語設定を英語にしているんですが、そっちでも表示される漢字の書体が変な書体になることがあって、それらの経験から、「米国製フォントで、一部の文字が変な書体になることがある」と知っていたんです。
それでAdobeのフォントでこれと同じフォントはないか探していたら、見つけちゃったんですよね。無料でインストールして確かめることができたのも幸運でした。
この坂東とか言う奴が言ってる事がさっぱり理解できない…
中国語だといいたいんでしょうか
と思ってグーグル翻訳で「差別反対」を中国語(簡体)で翻訳してみたんです。
「反對歧視」になりました…。
そもそもなんだよ、存在しえないフォントって。
中国とか台湾とか旅行すると、怪しい日本語見かけることがありますからね。似た文字が間違って使われてることが多く、これまでで一番笑ったのは、「ランチ」が「うンチ」になってたこと。
そういうもののお仲間で、「このチラシは中国人が作った証拠だ!」って言いたいんだろうけど、単にSource Han Sans を使っただけなんだよなあ。
素直に感心するわ。
余談になりますが
香港で見た「足つぼマッサージ」が「足つばマッサージ」になってた
ぺっぺってつば吐いてマッサージですかね(笑)
とにかくいろんな国に行って日本語見つけるのは楽しいです。
逆に日本で使われてる英語(Tシャツなどのプリント)の方が
笑ってすまされる海外の日本語よりかなりひどいと感じますね。
外国につながる立場として,気になる記述がございました
>米国人の母とハーフの娘
「ハーフ」という表現には,さまざまな議論があると同時に,人種差別との関連性が指摘されていますが,今回の記事においては,どういった認識のもとで,「ハーフ」という言葉が使用されたのでしょうか?
でも、日本人の父とアメリカ人の母との間に生まれた子供について、「ハーフ」以外に表現のしようがありますか?
コメントありがとうございます
ひとりの当事者として,「ハーフ」の使い方について質問いたしました
以下のように説明することができるものと思います
・日本人の父とアメリカ人の母をもつ人物
・日本とアメリカの両国につながりをもつ人物
上記の表現については,すでに日本の教育界において使用されている,「外国につながる子ども」という表現がもとになっております
したがって,「ハーフ」という言葉を使うことなく,当事者の尊厳を傷つけることなく,当事者の存在について言及することは可能です
「ハーフ」という言葉を差別的ニュアンスで使っているケースは見たことがありませんし、実際にハーフの人が「『ハーフ』と呼ばれたくない。『日本とアメリカの両国につながりを持つ人物』と呼んでくれ」なんて言っているのでしょうか? どうにも、ただの言葉狩りに思えてなりません。
すでに日本においては,「ハーフ」という表現が差別的であるという指摘がされています。この点においては,作家のサンドラ・ヘフェリンさん,社会学者の下地ローレンス吉孝さんなどの著書を読んでくださると,あなたの反論が単なる言葉狩りではないことがおわかりになるかと思います。
一方,歴史的,社会的な文脈をよく理解せずに「ハーフ」という言葉を用いる当事者が少なくないので,あなたのように,「ハーフ」という言葉を使うべきではないと主張される方々(わたしを含めて)の意見が,単なる言葉狩りのように思えてしまうのだと思います。
わたし自身,外国につながりをもつ立場なので,「ハーフ」とよばれることにたいして,差別の意図を感じます。ブログの記事を書かれる際には,政治的な正しさについても,配慮してくださると幸いです。政治的な正しさを追求することは,決して,表現の自由を制限することにはつながりません。
今でも「ハーフ」という言葉はメディアで差別的ニュアンスなくつかわれていますし、
https://e-talentbank.co.jp/news/149627/
https://wws.tv-asahi.co.jp/ametalk/backnumber/0543/
https://toyokeizai.net/articles/-/318844
https://www.excite.co.jp/news/article/Edamame_105599/
https://smart-flash.jp/sports/72482
http://npn.co.jp/article/detail/65319617/
自らを「ハーフ」と自認している人もいます。
https://twitter.com/mxmx37564/status/1272655193885208578
お笑い芸人のぶらっくさむらいは、自らを「日本とカメルーンのハーフ」と称しています。
http://www.sunmusic.org/profile/black_samurai.html
お笑いコンビのぱろぱろは自ら「フィリピンハーフ」と言っていますし、「ハーフの方々」という言葉も使っています。
https://is.gd/Z7aodl
マテンロウのアントニーは『これがハーフ芸人の生きる道』という本を執筆し、インタビューでも自らを「ハーフ」と呼んでいます。
https://is.gd/uDnE1f
ハーフタレントで「ハーフ会」というのも作っていて、ローラ、ベッキー、SHELLY、ウエンツ瑛士などが参加していました。「ハーフ」という言葉自体が駄目なら、会をこのような名前にはしないのではないでしょうか。
https://is.gd/jDotPI
この本でも筆者は自らを「日独ハーフ」と称しています。
https://is.gd/5atB9h
この人は自分を「日仏ハーフ」と呼んでいます。
https://www.elite-network.co.jp/voice/741.html
坂東忠信をはじめ、外国人はもちろん、ハーフの人に対しても排他的・差別的な意識をいまだに持っている人がいるのは事実ですし、ハーフの人が日本人扱いされないという差別を受けているのも事実ですが、今のところ、私は「ハーフ」という言葉自体に問題があると認識していません。「のうち変わるかもしれませんが、今のところはそういう認識です。
「ハーフ」という表現が日本社会においてどのように受容され,使用されているかについては,当事者のあいだでも,認識に違いがみられます。差別的な意図を含むことを,逆手にとって,あえて「ハーフ」という表現を使用する人々もいます。(あなたが指摘したように。) あえて「ハーフ」という言葉を使い,一般大衆のもつ「イメージ」を利用して,日本社会において要領良く振舞うという考えです。そういった人々の存在を考慮すると,「ハーフ」という言葉を使用することについては,特に問題はないだろうと考える人々が少なくないのは,当然のことです。
また,あなた自身は,インターネットにおける誤情報などを専門としているわけで,人種や民族にかんする知識を専門とされているわけではありません。そういった立場の人々にたいして,わたし(人種や民族にかんする知識をもっている立場)がこのような指摘をするのは,非常に酷なことなのかもしれません。
「ハーフ」という言葉の背景には,「混血児」,「あいのこ」といった,明確な差別を意図した言葉があったことを,理解してほしいと思います。前者のような表現がNGならば,「ハーフ」は良いだろうと,そう思う人々は少なくなかったと思います。しかしながら,わたし自身のことも含めて,「ハーフ」という言葉をみたり,聞いて傷ついた人々がいることも理解してほしいと思います。あなたは,「そのうち変わるかもしれない」とおっしゃいましたが,すでに日本社会は民族や人種にたいする認識という点においては,過渡期にはいっているものと思います。
外国につながる人々にかんする言説について,補足しておきます。管理人さんのみならず,このサイトを訪れる多くの人々にとっては,人種や民族にかんする議論については,知る機会がなかった人々が少なくないものと思います。(なお,このメッセージにたいするレスは不要です。)
「ハーフ」という言葉については,当事者が,自分達のことを語るために使用するのであれば,特に問題はないと,わたしは思います。管理人さんは,おそらくは,当事者が使っている「ハーフ」という言葉を,たんに引用しているのだと思います。
ただし,それは,あくまでも,当事者だからこそ,許される行為であると,わたしは思います。たとえば,これは絶対にありえないことですが,わたしが,「わたしは日台ハーフです」といえば,それは当事者の尊厳を傷つける表現にはならないと思います。(そういった言葉を使ったとして,わたしを批判する当事者は必ずいると思います。) 一方,管理人さん,そして,このサイトをご覧になっている皆さんの多くは,日本人であり,「生粋の日本人」および「純日本人」という言葉で表現される,外国につながりをもたない存在だと思います。(別の言い方をすれば,いわゆる「単一民族」というくくりで語られる,極めて限定的な日本人というカテゴリーに属する存在です。) そのような立場の人々が,「ハーフ」という言葉の社会的背景,社会的文脈を適切に理解せずに,ただ単に当事者が使っているのだから,自分達も使って大丈夫だろうという意識で「ハーフ」という言葉を使うことは,当事者の尊厳を傷つける行為になると思います。
管理人さんについては,その点については,注意を払っているものと思いますが,人種や民族にかんする議論については,デリカシーをもって語る必要があると,わたしは思います。以上です。
人種や民族についてはかなりセンシティブにやっているつもりで、「ハーフ」という言葉を否定的にとらえている人がいるのも知っています。その意見を間違ってるとか言うつもりはないんですが、そういうのを知ったうえで、今のところ、自分はその意見に賛同していません。
例えば、「インディアン」を「ネイティブアメリカン」と言い換えるのが現在の日本では主流になっており、映画でも "Indians!!" と言ってるシーンで「ネイティブアメリカンだ!」と字幕がついていたりします。でも、インディアンたちがインディアンという言葉を嫌っているかといったらそういうわけでもなく、自らをインディアンと自認している人も多いと聞きます。私はインディアンをネイティブアメリカンに言い換える必要性を感じていません。ネイティブアメリカンという呼称は、インディアンじゃない人たちが、インディアンが差別されているのを見て、インディアンという言葉自体を差別語として腫物のように扱ってしまった結果だと認識しています。
「百姓」も差別語扱いされることがありますが、荒川弘の『百姓貴族』では、「自分たちは普通に自分たちを百姓と呼んでいる」と書かれていました。
ハーフの人たちの多数が「ハーフと呼ぶな!」と言っているならともかく、本人たちが「ハーフ」と呼んでいるのに、周囲が彼らを「ハーフ」と呼んではいけないという意見には、今のところ私は賛同しかねます。
これは現在の私の個人的な感覚であり、ほかの意見を否定するわけでもないですし、私自身の認識も変わることがあるかもしれません。しかし、今のところは、「日米ハーフ」とか「日台ハーフ」という言葉に問題を感じていません。今回の記事で「アメリカ人の母とハーフの娘」と表現することがおかしいとは、今のところ思いません。もちろん、本人が「私をハーフと呼ぶな」と言ってきたのなら別ですが。
貴方は「ハーフ」と言う言葉にひっかかり「外国につながる子ども」と言う言葉を
使って欲しいのは判るし、そういった事を訴える人が一定数居るのも
理解は出来る(私もNHKか何かで、混血故に"ハーフ"と言う言葉自体を聞きたくない
と言った人のドキュメンタリーを見た)
但し…一方で「外国につながる子ども」が必ずしも世の中で認知されておらず
この種の問題に取り組む人々でも捉え方がまちまちらしい現状を見るに
貴方が管理人に要求する度合いは性急過ぎる感じを受ける。
>http://ikitanaka.hatenablog.com/entry/2015/09/28/130851
>https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaiki/20190617-00130483/
貴方の言及する下地ローレンス吉孝さんだって記事では下記の様に書いているし
管理人だって「人種」を安易に前提する立場でない事は理解していると思うのだが…
>「人種」「人種差別」「ハーフ(混血、ダブル、ミックス etc)」という言葉や概念を用いているが、固定的かつ自然的なものとして想定された「人種」という区分の実在を安易に前提する立場に立ってそうしているわけではない。同時に、実際の社会では「人種」という言葉や概念があることを前提とした差別が存在している。そうしたリアリティに即してこの言葉を用いるとともに、その概念自体が不確かで不安定であることも同時に伝えていけたらと考えている。
そもそも
>インターネットにおける誤情報などを専門としている
ここに大きな誤認識があると考えている。
だって管理人はアマチュアだよ。
これで飯食っている訳でもないし、何か報酬を得ている訳でもない。
台湾系日本人氏は「ハーフ」に代わる言葉で
どんなもんが適当である、と思ってるんだい?
いや煽り一切無しで聞くんだけど。
「差別語」のラインとその解釈は非常に興味深いテーマだと思うからね。
・「ハーフ」について知りたいのであれば,日本における国際結婚の件数を考えてください。とりわけ,1980年代以降の統計に注目してください。
・「ハーフ」にかんする言説の多くは,ごく一部の「ハーフ」とよばれる人々の存在,彼ら彼女らの限定的な語りによって形成されています。そういった言説では,ポジティヴな面ばかりが強調され,ネガティヴな面がでてくることは,ほとんどありません。
・「ハーフ」とよばれる人々の存在は,たびたび社会学などではとりあげられるものの,日本社会全体という規模においては,重要な社会問題にはなりません。そもそも,当事者の数を考えると,日本の全人口にたいして,だいたい1~1.5割程度の存在(2割にも満たないと思います)で,彼ら彼女らの存在が社会問題化したとしても,さほど深刻な問題とはみなされません。(皆さんの語るネトウヨは必ず問題視するでしょう。)
・「ハーフ」という呼称については,たとえば,「外国につながる」,「ダブル」,「ミックス」,「ハパ」という言葉を用いるべきという意見があります。そういった呼称のなかには,政治的な正しさを意図したものがありますが,日本語として浸透していないことから,「ハーフ」という言葉が現在も使われています。(当事者も含めて。) これについては,特別な呼称を使うことをやめる,という選択肢が存在します。
・「ハーフ」という前提の背景には,単一民族という言説があります。日本人が単一民族の言説に真摯に向きあわないうちは,そして日本人がみずからの社会を単一民族の社会であると認識しているうちは,「ハーフ」の問題は,これからも続くと思います。(これについては,それ自体が大変に大きなトピックなので,ここでは触れません。)
「ハーフ」にかんする言説は,とても複雑なものが多く,専門家であっても,それは容易に語ることができません。
そういった事情が存在しますが,皆さんに伝えたいことは,異質な他者を差別することは,あってはならないことです。文化が違う,習慣が違う,宗教が違うことを理由に,他者にたいして偏見のまなざしを向けること,彼ら彼女らを差別することは,絶対にあってはなりません。そして,どの文化も,等しく尊いものとして,さまざまな文化に触れてほしいとも思います。
もちろん,このサイトをみている皆さんのなかには,そういったことを適切に理解している人々が少なくないものと思いますが,管理人さんの記事を拝見しましたが,ネトウヨとよばれる人々は,基本的に差別主義者であり,差別を「区別」だと勘違いしている(そして正当化している)人々だということでもありますから,あえて,このように書いておきます。
最低限のラインとして,差別や偏見は許されないことを理解してくださると,とても幸いです。