今回から、愛国カルトの行動1つ1つを紹介すると言うより、愛国カルトに騙されないための防御法を考えていきたいと思います。今回は、愛国カルトの拡大解釈や独善的決めつけから身を守る方法の1つを取り上げます。
実は愛国カルトは「反日」を求めています。どういうことかと言いますと、彼らが愛国者としてまとまるためには、叩くべき「敵」が必要なのです。自分たちに同意するもの以外を「左翼」とか「反日」とかに認定することで、自分たちの「愛国心」を確認し、結束を強めるわけです。その結果、次々と「反日」に認定してしまうので、ネット上の魔女狩りと言っても過言ではないでしょう。
その一例を取り上げてみましょう。
2ちゃんねるまとめサイトでよく見られるのが、センセーショナルな見出しをつけて印象操作を施し、別段反日デモ何でもないものを反日に認定してしまうことです。例えば、「あじあにゅーす2ちゃんねる」というサイトに、こんな記事が載っています。
【韓国船沈没】
テレ朝、日本に賠償させたくてウズウズwwwww
【日本が全責任を負うべき】とクソ報道開始!!!!
予想を裏切らないテレ朝ってホント凄いなwwwwwww
2014年4月に起きた珍島沖でのセウォル号の沈没事故で、テレビ朝日が「日本が全責任を負うべき」と報道した、という見出しがついています。もし本当なら、とんでもないことですね。
もちろん捏造でした。
実際には、4月23日のテレビ朝日『モーニングバード』で、逮捕された乗員の以下のようなセリフを紹介しただけなのです。

この乗員を非難するのは理解できますが、テレビ朝日は逮捕された乗員のコメントを紹介しただけであり、それを肯定しているわけでも何でもありません。私は実際に『モーニングバード』の録画を確認しましたが、「日本が責任を負うべき」という発言は一切存在しませんでした。もちろん、テレビ朝日が日本に賠償させようとしているなどという事実もどこにもありません。
この「あじあにゅーす2ちゃんねる」は、乗員のコメントを紹介しただけで、乗員を擁護しているかのように曲解し、さらに「日本に賠償させたがっている」「『日本が全責任を負うべき』と報道した」などと、拡大解釈による嘘をまき散らしています。いえ、「嘘」というより「捏造」と呼ぶべきでしょうね。
ここからわかるように、愛国カルトは「反日」を求め、拡大解釈やデマを用いて、無理矢理でも反日認定をしてしまいます。愛国カルトの反日認定はこのような無理な拡大解釈によるものだと言えます。
ほかにも、「えん速」というサイトでは、『永遠の0』の作者・百田氏のツイートを根拠に、このような記事が掲載されています。

【速報】 テレビ朝日、「日本が悪い」と答えるよう指示して議論番組を作っていることが判明
これが本当なら、テレ朝の討論番組でやらせがあったことになります。とんでもないですね。
ところが、その根拠となっている百田氏のツイートとはこのような内容でした。

お判りでしょうか? 存在する事実は、百田氏に『朝まで生テレビ』の出演オファーがあり、その企画書に「かねてより右傾化を指摘されている安倍首相」という一文があったというだけ。
ここでのポイントは、「右傾化を指摘されている」という点。「右傾化している」と断定しているわけでもなく、そういう指摘があるという事実が書かれているだけです。なので、「右傾化を指摘されているが、それは事実ではない」という結論に持っていくことだってありえるわけです。
百田氏はこの一文を根拠に「おそらく司会者主導で『日本は悪かった』の大合唱をやるつもりなんだろう」と、それこそ偏向と言うか偏見丸出して批判しています。何の根拠もありません。
百田氏と同じく、私も番組内容を確認できていませんが、もしも結論ありきであれば、安倍首相支持派で、憲法改正や大東亜戦争肯定論を唱えることで知られている百田氏に出演オファー自体がないはずではないでしょうか。
そして、愛国カルトはこの百田氏のツイートを根拠に、「『日本が悪い』と答えるよう指示している」などと大ウソをついて、またもテレビ朝日を反日認定しています。「『日本が悪い』という番組作りをするつもりだ」というのは百田氏の推測にすぎませんし、その百田氏もそのような「指示」が出ているなどと一言も言っていません。
ところが、「反日」を求める愛国カルトは、事実を捻じ曲げ、テレビ朝日が、日本が悪いと答えるよう指示していると判明などとデマをまき散らしています。もちろん、何にも「判明」などしていません。たんなる2チャンネルまとめサイトの妄想・拡大解釈にすぎません。
2ちゃんねるまとめサイトに「~だと判明」とあったら、それはほぼ100%デマだと思ったほうがいいです。
このように、愛国カルトは「反日」を求めています。彼らは、自分たちこそが日本のことを本気で思っている愛国者であると思いたいがため、叩くべき対象を欲し、テレビ朝日でも朝日新聞でも毎日新聞でもNHKでもTBSでも韓国でも中国でも、「反日」であってほしいと願っています。しかし、彼らの反日認定の多くは、今回紹介してようなデマや拡大解釈によって支えられているのです。
愛国カルトの思考パターンは非常に単純で、「我々か敵か」「親日か反日か」という極端な二元化を用い、自分たちと考えを異にする者はすべて反日と認定します。自分たちの考え方だけが正しい愛国、親日のあり方だと思っているので、それ以外は反日に見えてしまうのです。

↑「世の中なんて反日か親日かのどっちかだろ」と頭の悪いことを平気で言えちゃう人
そして、ひとたび反日と認定したら、デマを用いて無理矢理でも相手に反日のレッテルを貼り続けていきます。私もそのようなレッテル貼りをしばしばされます。これまで井上太郎の批判を繰り返し行ってきましたが、それで「反日ドサヨク」などと呼ばれてしまいましたよ(笑)

しかし、ここで「反日ドサヨク」などと罵られた記事を呼んでもらえれば解りますが、井上太郎のデマを指摘し、批判はしても、私自身の左翼的発言や反日的発言は一切ありません。安倍総理が靖国に行くことを肯定も否定もしていません。ところが、愛国カルトに愛されている井上太郎の批判を行うと、それだけで「反日ドサヨク」に認定されてしまうのです。
ほかにも、あるサイトで在日韓国人批判に用いていたデータに間違いがあったので指摘したら、「在日を擁護する反日め! お前の一族郎党皆殺しにしてやる」と書き込まれたことまであります。私はデータの間違いを指摘しただけなのですが、彼らからすれば、「『自分たち』以外は反日」と考えているので、愛国者である自分たちの用いたデータの間違いを指摘することさえ、反日行為に見えてしまうのです。
最初に述べましたが、反日認定は現代の魔女狩りです。かつてヨーロッパで、社会の不安から目をそらし、自分たちの正義を肯定するためにでたらめな理由で魔女をでっち上げ、被害者を擁護する者までをも「魔女の味方をする者は魔女」としてしまったように、でたらめな理由で反日をでっち上げ擁護者も反日扱いします。このような考えがどれだけ危険かは、魔女狩りの歴史が証明しています。
愛国心を持つことは決して悪いことではなく、むしろそれ自体はいいことです。しかし、そのために他者を「反日」や「非国民」と見なしたり、他国を敵視するのは非常に危険なことであり、ましてデマを用いてそのようなことを行うのはカルト宗教と変わりがないでしょう。
反日認定を見たら、「そうなのか!」と飛びつかずに、冷静に内容を判断しましょう。そのほとんどは、今回紹介したようなデマであるはずです。ほんの少し冷静に見るだけで、愛国カルトの世界に引きずり込まれることを防げます。
===愛国カルトに騙されないための心得=== |


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コメント
誰かのせいににしているとか、何かのせいにして自分は悪くないと言っているのではなく、何か一つの問題に対しての情報が多く、根拠もない情報であっても思いたい方に思うという思考停止に至ってしまうのです。
私はよくネトウヨと認定されます。安倍総理を応援しているが、政策によっては反対もすると発言すると、それこそが売国奴だとも言われます。「良い在日などいない、皆殺しにしろ」という方にそれはおかしいと意見をすれば、「おまえは日本人に成りすました朝鮮人だったんだな」と言われブロックされました。
私の知り合いの善良な在日の人は一生懸命日本の文化に馴染んで周囲と上手くやっていると発言したら、「知り合いの在日と言ってるところがうそ」「善良な在日という表現が差別」と言われました。そしてプロフに嫌韓と書いてある事が差別主義のネトウヨと言われました。「自民党の工作員」と書かれた事もあります。 ①
徐々に、ネトウヨ認定で結構。何でも差別差別とまくし立てる人よりはマシ。という考え方が自分の中に根付いているのも自覚しています。
そういう言い合いの中で、後に削除したくなるようなひどい差別的なことばを発信している自分に気づきます。
冷静になりたいと思った時に、桑原さんのブログやtwを読んで、頭の中を整理します。
誰かの影響で、偏っていた自分の考え方が変わったり、自分とは逆の考え方を理解する様になるのは、自分にとって良い事だと思っていますが、どちらの側からも、否定と批難を浴びるとかなり心も折れますね。
最近は、マイノリティとマジョリティについて深く勉強しています。
自分の今までの解釈では、全く足りてない事を知ったからです。
ただ、理解をしても感情論で受け入れられないところに、葛藤があります。
「日本人が在日や韓国人を侮辱するのは差別だが、彼らが日本人を侮辱しても差別ではない、ゆえにその場合は許される」と言われてから、私をネトウヨと認定する側に、何か憎悪的なものを感じる様になったのです。
「少数派は多数派に何を言っても差別として成立しないから良いのだ」と、カウンター等の活動をしている人に聞いた時も衝撃でした。
桑原さんに「何が言いたいのか分からないよ」と言われそうな書き込みになってしまいましたが、 これからも桑原さんのブログを読みながら、考えていきたいと思っています。 ②
おっしゃっていること、よくわかりますよ。発言の一部や、断片的な情報だけで判断したくないし、されたくもない、ということですよね。僕も同じです。
感情に関しては、僕もあまりにも話が通じない相手に罵りの言葉をかけてしまうことがあります。気を付けようと思います。