以前も言いましたが、愛国カルトは中国や韓国のことを意識するあまり、他の国の状況が目に見えないと言うことがよくあります()。中韓しか見えず、他国と比較することもなく中韓だけが特別だと思い込むのです。

具体的例を一つ上げましょう。小学校の国語の教科書で韓国の原作(正確には在日朝鮮人の原作)の物語が載っていることを問題視する声に、多数の賛同者がいました。
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このツイートが1732リツイート、お気に入り313。賛同している人が沢山いることが想像できます。反応も「狂ってる、日教組!」なんてよくわからないものも。

しかし、この考えは視野が狭すぎです。韓国を意識するあまり、全体を全く見渡せていないです。

この教科書は光村図書の3年生の国語教科書です。この光村図書の教科書では、毎年1つか2つ、外国の読み物を入れていて、この韓国の『三年とうげ』はそのうちの一つに過ぎないのです。

具体的にこの教科書で扱っている外国の読み物は、以下のようなものです。
1年生:
『ずうっと、ずっと、大すきだよ』(ハンス=ウィルヘルム、西ドイツ⇒アメリカ

2年生:
『スイミー』(レオ=レオニ、オランダ
『お手紙』(アーノルド=ロベール、アメリカ

3年生:
『三年とうげ』(李錦玉、朝鮮
『とらとおじいさん』(アンドレ=トレセルト、アメリカ

4年生:
『本は友達』(ニコライ=スラトコフ、ロシア
『三つのお願い』(ルシール=クリフトン、アメリカ

5年生:
『のどがかわいた』(ウーリー=オルレブ、ポーランド
『幽霊をさがす』(マーガレット=マーヒー、ニュージーランド

6年生:
外国物なし

ごらんのように、合計9つの外国の読み物があり、朝鮮(韓国)のものは1つだけです。全く特別扱いでも何でもなく、これを問題視するのは理にかないません。

このツイートでは「なぜ日本の民話、民謡を教えないんでしょうか?」なんて言ってますが、全く的外れな批判であり、もちろん日本の民話も教えられています。日本のものをたくさん教えて、その中に少し外国物が取り入れられているだけで、9つの外国読み物の中にたった一つ朝鮮のものがあるだけで、「教育現場は汚染されている」だの「狂ってる」だの、この批判の方がよっぽど排他主義に汚染されていると言えるでしょう。

「音楽で韓国の民謡を歌わされている」というのは、どの教材なのかわかりませんが、外国の民謡を歌うことなど何にも珍しくありません。例として有名な「みんなのうた」の収録曲目を見れば、

「グリーングリーン」(アメリカ)
「おお牧場はみどり」(チェコ・スロバキア)
「大きな古時計」(アメリカ)
「線路は続くよ、どこまでも」(アメリカ)
「星かげさやかに」(フランス)
「ほたるの光」(スコットランド)
「トレロ・カモミロ」(イタリア)

など、多くの外国の民謡が収録されています。その中に1つ2つ韓国の民謡が入っていて、何かおかしいでしょうか? それを問題視するのは全く論理的でなく、単に個人的に韓国を嫌いだというだけにすぎないでしょう。(アメリカのものが圧倒的に多いのに、アメリカものの批判はめったに見ない)

勘違いされないように言っておきますが、私は別に韓国のものが入っていることを積極的に支持したり反対したりしているわけではありません。アメリカものなんかは批判しないのに、韓国ものが入ってるというだけで批判したり、あたかも日本のものが教えられていないかのような批判をするのが、非論理的だと言っているのです。

愛国カルトは、このように別に論理的に見れば何にもおかしくないのに、「汚染」「洗脳」「狂ってる」だの激しい言葉で相手を煽り、現実と全く異なる印象を与えて判断を誤らせようとしてきます。彼らは自分たちが信じる結論に持っていくためなら、事実くらい平気で捻じ曲げます

こういう愛国カルトのデマに騙されないためには、全体を見渡すことです。今回であれば、その教科書の全体の構成をみることです。すると、ちゃんと日本のものは教えられているし、韓国のものが1つくらい入っていても全然おかしくないということが解るはずです。

全然おかしくないものを、情報の一部だけをクローズアップして煽情的な解説を加えることでおかしいものに見せてしまう。

これが愛国カルトがよく用いるデマの作り方です。

全体を見回したり、比較したりすることで、このようなデマから身を守ることができます。

===愛国カルトに騙されないための心得===
・全体像を把握しよう。
 (中国韓国が特別扱いされているなんてのは大抵嘘だ)

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