「愛国無罪」という言葉は、中国の反日デモの際に暴動や略奪を正当化する言葉として用いられたことで日本でも一気に知られるようになりました。しかし、この思想は国を問わず「愛国カルト」たち共通の思想なのです。

自分の生まれ育った国を愛すること自体は決して間違っていませんが、「愛国のためなら何をしてもいい」「愛国のためならデマを広めてもいい」「愛国心のない奴は敵だ」みたいになったら、それはもう愛国を免罪符に掲げただけのただのカルトです。

うっかり気づかないうちに「愛国無罪」の思想を持つ中国の反日デモ連中や、日本のデマばら撒き愛国カルトたちの仲間入りをしないよう、実際の例を確認して免疫をつけておくことが大切です。

このブログで取り上げている愛国カルトの典型例には、井上太郎山際澄夫の2人がいます。彼らは自ら自分たちが愛国無罪の精神を持っていることを宣言しています。
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>>日本に危機が迫れば、法律だろがなんだろうが関係ない
>>やってしまえばこちらのもの

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>>デマでもいいです

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まさに愛国無罪そのものですね。「法律なんか関係ない」とまで言い切るあたり、法治国家の人間の発言ではありませんし、自分たちが信じることのためなら「デマでもいい」などまともな人間の発言とはとても言えません。


特に井上太郎なる正体不明の人物は、言う事のほとんどがデマばかりというとんでもない人物です。軽く例を挙げるだけでも、
「在日の強制送還が始まる」(参照)だの、「国連の世界民度ランキングで日本が30年連続1位」(参照)だの、「安倍総理が司法に総連捜索を指示」(参照)、アンネの日記破損事件について「犯人は男女7人」だの、「ネットの噂」を根拠に「犯人は在日」(参照)だのバカなデマを吐きまくり、「NHKが竹島を韓国領扱いした」(参照)だの「日本は水爆を落とされた」「アメリカはまだネバダ州で地下核実験をしている」(参照)だのと無知をさらけ出したりと、彼のデマや虚言は留まるところを知りません。彼は私が知る限り、ネット上最低最悪のデマッター(デマをツイートする人)です。


しかし、井上太郎を信じてしまう人は、デマを指摘されても、それがデマだと認めません。例えば、私は以前井上太郎のこのツイートを批判しました(参照)。

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輸出入について、井上太郎は「日本は韓国への依存度は全体の1%にも及ばない」「韓国は輸出入の20%を日本頼り」と言っていますが、これは完全なデマで、実際の数字を見てみると、2013年の場合は、韓国は日本にとって輸出3位(7.9%)、輸入6位(4.3%)、全体だとおよそ6.0%の貿易相手国です。1%未満なんて大嘘もいいところですね。

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JETROのHP

一方、韓国にとっての日本は輸出6%、輸入12%。全体で約8.9%の貿易相手国です。井上がどこから20%なんて数字を持ってきたのか不明です。

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(外務省アジア大洋州局日韓経済室)

しかし、こういうデマを指摘されても、井上太郎を盲信する愛国カルトは、これをデマでないと言い張ります。

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>>韓国の日本への依存度が
>>日本から韓国の依存度より高いことは読み取れます。
>>となれば、井上氏の主張と大きくは違わない状況が見て取れます。



そんな状況が見て取れるなら、眼科か脳外科に行ったほうがいい。


井上の主張する貿易依存度は

・日本⇒韓国:1%未満
・韓国⇒日本:20%近く

ですが、実際は

・日本⇒韓国:6.0%
・韓国⇒日本:8.9%


日本⇒韓国については井上の主張の6倍もあり、韓国⇒日本については井上の主張の半分以下です。しかしここまで違う数字でも、愛国カルトは自分が思う結論に持って行けさえすれば平気でデマを許容します。本来根拠がおかしければ出る結論もおかしいはずなのですが、そんなことはお構いなしに、デマであっても「愛国者」が行ったものであれば許容し、自分の好きな結論に無理矢理持っていく。実に醜悪なカルト丸出しの思想だと言えます。

似たような意見はこのブログのコメント欄でも頂戴しました。以前「韓国からのキムチについていた寄生虫で死亡事件まで起きている」というのがデマで、実際には健康被害は出ていないと紹介しましたが(この記事です)、こんなコメントを頂きました。

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>>必要は事柄は、その後のデマがひどいかどうかではなく
>>「(寄生虫が)実際に入っていた」という事実だけです
>>それ以外の尾ひれ情報なんて目くそ鼻くそです



書き込み主の名前が「アホな日本人」なだけのことはあり、自分が言っていることのおかしさに気づいていないようです。「寄生虫が実際に入っていた」という事実だけが必要なら、「寄生虫が入っていた」とだけ言えばよく、「死人が出た」とか「さまざまな種類の寄生虫がいた」だの嘘をつく必要などありませんよね。デマを吐く人間にとって、それだけでは自分の望む結論にもっていくのに不十分だったからデマを吐いているわけです。デマとはそういうものであり、この「必要なところ以外は目くそ鼻くそ」という理論が成り立つなら、どんなデマでも言えます。


例えば所謂南京大虐殺について、中国は「30万人が虐殺された」と言っていますが、これは相当誇張された数だというのが日本の一般的な見方です。しかし、こういう誇張も「南京で日本軍による死者が出たのは事実だから、大きくは違わない」「死者の数など目くそ鼻くそ」と言えてしまいます。


所謂従軍慰安婦についても、現在強制性の根拠となっていた吉田証言が虚偽だったとして大きな話題になっていますが、この愛校カルト理論が成り立つなら、「必要な事柄は『慰安婦が実際にいた』という事実だけ。強制性なんて目くそ鼻くそ」と言えてしまいます。


問題になった『美味しんぼ』の原発描写も「原発が危ないのは事実なんだから、後のことは目くそ鼻くそ」「美味しんぼに描いてある状況と大きくは違わない」と言えてしまいます。


ところがそういうことは考えずに、愛国カルトたちは自分に都合がよければデマも平気で許容してしまいます


そして彼らは自分たちがデマを吐いている事実を認めず、逆にデマを指摘する人を批判し始めます。


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>>井上太郎のツイにデマは1つもなかった


2014y09m15d_003540193
>>井上太郎は「日本が好きなだけ」


冗談ではない。日本が好きなだけの人があんなにデマを吐きますか


日本が好きで、日本のためを想うだけならば、デマなど吐く必要はありません。現実のデータを根拠に、現実の日本をよくする方法を考えればよい。デマを吐くのは、デマ抜きでは自分が望む結論に持っていけないからです。


結局のところ愛国カルトたちが好きなのは彼らの脳内にある彼らの理想の日本であり、現実の日本ではありません。その彼らの理想の日本とは、愛国カルトが支配し、彼らが認める形の愛国だけが容認され、それ以外は「反日」として切り捨てるような思想統制が行われた北朝鮮のような国です(詳しくはこちらをご覧ください)。そして、そんな国に近づけるためなら、デマでも平気でつくのです。


日本が好きだろうでついたデマだろうが、デマはデマ。日本が好きでやったことだからってデマが正当化されるはずがないのに、愛国カルトたちは「愛国無罪」の精神でデマを正当化します。彼らは彼ら自信が批判する中国や韓国の反日的なデマを吐く連中と何一つ変わらないのです。


何故彼らがデマを容認するか。いくつも理由はありますが、根本的な理由の一つとして、彼らが原因と結果を混同しているということがあるでしょう。原因と結果の混同については以前も取り上げたことがありますが(これ)、本来は原因があるから結果があるのに、彼らは自分が求める結果のために原因を持ってきます。根拠が間違いなら結論も間違いのはずなのに、彼らは結論が正しければ根拠が間違っていてもかまわないと考えるますし、自分の求める結論のためには根拠を平気で捏造します。


この「結論のために根拠を捏造する」というのは、愛国カルトだけでなく、吉田証言も、『美味しんぼ』の原発表現もそうだったのでしょう。いずれにしろ、許容されることではありません。


結論は根拠に基づき、根拠が間違っていれば結論も間違っています。そんな当たり前のことを認識すれば、デマを許容するカルトにならないですみます。


==愛国カルトに騙されないための今日の心得==
・根拠が間違っていれば結論を信じてはいけない。

・結論はデマを正当化しないと認識する。
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上記2つは、愛国カルト対策だけでなく、他のデマに対する対策としても、心に留めてほしいと思います。

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