私は生まれも育ちも葛飾柴又、ではないですが日本生まれ日本育ちの日本人の両親から生まれた日本人です。私はもちろん日本を愛していますが、私が愛しているのは民主主義国家である日本国です。自由に意見を言うことができ、職業選択や信教などの自由が認められ、納税や教育などの義務を除いて何かを他人から強要されることのない、この日本が好きです。

この民主主義国家である日本では、当然政府を批判することも認められています。というよりも、政府を批判することこそ民主主義の根幹です。 批判をすることを許されない政府とは、ソ連政府であり、中国政府であり、北朝鮮政府です。政府への批判を認めない国、それは独裁政権であり、民主主義国家日本と真逆の存在です。

ところが、自称愛国者の中には、自分たちの考えこそ正義であり、国のために絶対正しい守るべき意見だと考えるあまり、自由な思想や、政府への批判を許さない人たちが大勢いるのです。

例えば、2015年1月24日現在日本が大騒ぎになっているイスラム国の邦人人質事件ですが、 イスラム国周辺国への2億ドルの援助を留保することで人質解放を求めることを政府に要求する署名活動がネットで行われていました(詳しくはこちらをご覧ください)。これに関し、ある愛国者はこのように発言しています。

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 (参照
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どうもこの人は、捕まったジャーナリストの後藤氏や、その解放のために2億ドルの援助を留保する署名活動をしている人を、 「反安倍政権」と認識したようです。私からするとわけのわからない発想ですが、恐らく彼は、

・自分は安倍政権支持である
⇒自分(と安倍総理)は人質解放のために2億ドルの資金援助を留保するのは反対である
⇒2億ドルの資金援助留保を求める人は、私と逆の考えである
⇒私と逆で、アンチ安倍政権に違いない

という連想ゲームが働いたんだと思います。別に人質解放のために2億ドルの資金援助 の留保を求めて、それが安倍総理の発想と異なるからって、イコール「アンチ安倍政権」には ならないと思うのですが、このように「我々か、そうじゃないか」という二元論を用いるのも、愛国カルトの大きな特徴です。実際には、安倍政権支持だけど2億ドル支援留保に賛成、という人や、反安倍政権だけど、テロに屈しないために2億ドル支援の方針を変えるべきではない、と考える人なども色々いると思うのですが、愛国カルトな方々は、想像力が貧困なのか、「自分の考え」と「真逆の考え」の2つしか存在しないかのように語ります。言い換えれば、意見の多様性を認めていないわけです。意見の多様性も民主主義の最重要ファクターの一つですから、それを理解できないような人には気をつけないといけないですね。

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(↑世の中が「反日か親日かのどっちか」に二分できると思っている愛国カルトさん(参照))

さて、この愛国太郎さん、アンチ安倍政権でありながら、安倍政権に要求を出す人を批判しています。

>>政府批判して政府に依頼し政府のやることにケチつけるのか?
>>お前らは何様だって感じだな


「政府批判は許さない」「政府に要求するなら政府の批判をするな」ってことですね。

民主主義国家日本を真っ向から否定する、素晴らしい発言ですね

先ほども申し上げました通り、政府批判とは民主主義の根幹をなします。そもそも、政府に不満があり、要求があるから、政府を批判するわけですよね。政府支持者しか要求を出してはいけないという考えは、政府批判を認めない考えであり、民主主義に相反する考え方です。もし政府支持者しか政府に何か要求してはいけないなら、選挙が成り立ちませんね。

さらに、「朝鮮人なら朝鮮がすればいい」などと言っています。政府が公式発表で「日本人」と呼んでいるのですから、人質になった後藤氏と湯川氏が日本人であることに疑いをはさむ余地はないはずなのですが、どうもよっぽど朝鮮がお好きなのでしょうか?(笑)

そして、愛国太郎氏は最終的には「あんな奴は助けることはねぇ。自業自得だ」「ただのアホ」と暴言を吐いて終わりました。戦場で暮らす人々の生活実態を、命を懸けて我々に伝えてくれる戦場ジャーナリストに対し、安全な日本で、モニターの前でキーボードをたたいているだけの人が「アホ」扱いとは、彼の言葉を借りればまさに「何様だった感じ」ですね

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参照)↑安全圏から後藤氏を「ただのアホ」という愛国太郎氏。

日本の「国體」が大事だと語る愛国太郎氏にとって、日本国民の命は大した重みをもたないようです。

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↑「日本の国體」は大事だと語る愛国太郎氏。
でも日本国民の命は大事じゃないようです。

どうも愛国太郎氏は愛国を宣言しながらも、どうも民主主義国家である今の日本は嫌いであるようですね。逆に、自分の考えが公式の正義となりそれに対する反論は許されない、架空の日本国がお好きのようです。

この愛国太郎氏が特殊なだけと思われるかもしれませんが、ところがどっこい。自称愛国者達には、民主主義が大嫌いな人たちが沢山いるのです。例えば、以前も取り上げましたが、靖国参拝を義務化しようなんて言う人も大勢います。特定の施設の参拝を法的に義務化しようなんて、まるで北朝鮮の金日成献花台のようですねw(北朝鮮を訪問する外国人は全員金日成像に献花することになっている)。

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「靖国神社を参拝できない」=「日本国を守る気がない」と決めつける人の思い込みも大したものですが、テレビ番組で日の丸や竹島のポスターを貼ったり、番組前に国歌斉唱したり、毎朝マスコミが国歌を流したりと、彼らの言う通り「愛国的」な行為を義務化していったら、日本は北朝鮮のように気持ち悪い国になることでしょうね。

自分が「反日」とか「左翼」とか見なした相手を死刑にしたり、日本から追放しようなんて言う人も大勢います。誰が「左翼」か「反日」か判定するんでしょうね? 思想を根拠に国外追放とか死刑とか、ナチスか、北朝鮮か、IS(「イスラム国」)か、いずれにしろ中国並みの言論の自由さえない恐ろしい国家になりそうですね。

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そして愛国カルトの重鎮井上太郎(@kaminoishi)は民主主義も法治主義も否定します。

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>>日本に危機が迫れば、法律だろうが何だろうが関係ない

>>やってしまえばこちらのもの

法治国家の人間の
発言じゃありません。


このような人たちは、自分たちが愛国者であるかのように語りますが、彼らは決して愛国者などではありません。彼らは現実に今この目の前にある民主主義国家日本など愛してはおらず、この国を否定して、自分たちの考える思想だけが許される思想統制国家日本を築くことを目指しているのです。私はむしろこの行為を、愛国どころか「反日」とさえ呼びたいです。彼らは今のこの日本を否定しているのですから。

愛国カルトは、自分たちこそが愛国者であり、自分たちの考えこそが日本のためになるのだと考えるあまり、自分たちに反対する者を「反日」と決めつけて排除しようとします。彼らは決して意見の多様性は認められず、政府批判も許されません。彼らが理想とする日本では、政府に何か要求をできるのは政府支持者だけです。いえ、より突き詰めれば、自由や人権が認められるのは、自分たちの仲間だけなのでしょうね。

愛国を名乗りながら、民主主義国家日本を真っ向から否定する愛国カルトたちに騙されてはいけません。愛国カルトが政権を取った国がどうなるか、私たちは38度線の北側にその実例を知っています

==愛国カルトに騙されないための今日の心得==
・政府批判を認めない人に騙されないようにしよう。


・「『自分たち』か敵対者か」という二元論を用いる人を信用しないようにしよう。

・何かを強制することを主張したり、意見の多様性を認めなかったりする人を信用しない世にしよう。

・北朝鮮という愛国カルト国家の実例を見て、「愛国とは何か」を考え直そう。それは決して一つの公式の「愛国」を強制することではないはずです。
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