国土交通省は、観光立国に向けた政策の一つとして、駅標識等の多言語表示を進めています。しかし、これに反対する人もいまして、中国語・韓国語の併記に反対する人がネット上では多数見受けられます。この主張について考えてみましょう。

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参照)(参照)↑英語以外の表記は必要ないという意見の例

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「泥棒朝鮮人に道案内は危険」なんていう明らかな人種差別発言は無視するとして、この手の人の主張を大きく分けると2つになります。

1.韓国語(朝鮮語)のようなマイナー言語は必要ない
2.日英以外の文字が入ると小さくなって表示が見づらい


それぞれ見ていきましょう。

==1.韓国語はマイナーか==

1については、世界的なマイナー度と日本におけるマイナー度とをごちゃごちゃにしていると言えます。

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このように、中にはスペイン語だのフランス語だの言う人もいるようですが、日本なので日本の状況を見ないと意味がありません。

(※この湘南ご意見ボーイさんの意見の迷走ぶりはこちらからご覧いただけます。彼らが論理ではなく個人の思い込みだけで意見を言っていることがよくお分かりいただけると思います)

2012年、2013年の訪日外国人の割合を見てみましょう。

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日本政府観光局HP

ごらんのとおり、国別では韓国が一番多く、23.7%を占めています。中国、台湾、香港の中国語圏を足すとおよそ40%になります。つまり、言語別にみると中国語と韓国語だけで全体の65%を占めるのです。日本の状況を見れば、英、中、韓の併記は何もおかしくありません。


それでも強行に「中国人、韓国人も英語がわかるだろうから英語だけでいい」と主張する人もいます。

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(↑


しかし、果たして中国人、韓国人が本当に英語がわかるでしょうか? 日本人に英語を分からない人が大勢いるのと同じだと思うんですが。Departure, Restroom, Baggage Claim, Left Luggage、こういうのわからない人なんて結構いるんじゃないですかね?  


貴方が外国に行ったことを考えてみてください。例えば韓国に行かなければならないとしましょう。地下鉄に乗ります。しかし、そこの標識には
「국회의사당」
「National Assembly」

の文字しかありません。National Assemblyで何のことかわかりますか? 


答えはこれです。

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國會(国会)議事堂」ですね。


この「國會議事堂」の文字は別に日本語として描かれているわけではなく韓国の漢字として書かれているだけではありますが、日本人なら100%こっちに目がいき、こっちで理解することでしょう。韓国の国会のことを「Assembly」と呼ぶことを知っている人が日本にどれだけいるでしょうか。


ローマ字表記にしたって、我々は日本人なので日本語のローマ字を見て容易に理解できますが、日本のローマ字の読み方を知らない人が果たして日本のローマ字を正しく読めるでしょうか? 例えば
Chongqing
Daegu
Versailles
どれも日本で有名な地名ですが、何かわかります? 答えは重慶、大邱(テグ)、ベルサイユなんですが、こういうのが読みづらいのと同じだと思ういますよ。


私は英語は得意な方ですが、海外で日本語表記があるとすごく助かりますが、そう思いませんか? ヨーロッパの空港なんかでも多言語表記は当たり前なんですけどね。

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↑タイ

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↑カンボジア

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↑ベトナム

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↑韓国

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↑3ヵ国語表記(仏英独)のフランスの北駅(Gare du Nord)


==文字が小さくなって見づらいか==


この「日本語が小さくなって見づらい」という主張をよく見かけるのですが、私はただの言いがかり以上のなにものでもないと考えています。実際の写真を見ればわかります。

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さてはて、日本語見づらいですかね? それに、これらの韓国語表記、中国語表記を消して、日本語の文字が大きくなって見やすくなるでしょうか? このちっちゃい中国語表記、韓国語表記を消したところで何も変わらないと思うんですが。


そして、これについては、「見づらい」という証明のためにしょっちゅう出てくる、ある画像があります。

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この画像はこの手の問題の時にかなり頻繁に貼られる画像です。確かに一見すると、日本語が小さくて読みづらいですね。「これはいかん!」と怒る人もいることでしょう。

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(↑この画像を使って騒いでいる人たちの一部。(参照
彼ら本当にコピペが好きですね)


しかし、よく見てみましょう。この看板、裏ですね。となると、表はどうなっているのでしょう?


グーグルのストリートビューで探してみました。

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日本語しか書いてない!



つまり、この標識は、表側に日本語、裏側に外国語を表記しているわけですね。全然見づらくもなんともなかったわけです。


つまり、「中国語や韓国語の表記のせいで見づらい」なんていうのは、こんな風にずるい写真を使わないと主張できない程度のものだということです。いやあ、最後の写真は、捏造でもデマでもありませんが、裏側だけ見せるとは実に卑怯ですね。


論理的に数字を見たり、海外の事情と比べたり、冷静になって写真を見たりして、正しい情報を得てから判断を下すことが何よりも大事ですね。


最後に、『中国嫁日記』で有名な井上純一氏の言葉を引用したいと思います。

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Togetter参照


私はこの井上純一氏の言ってることは本当に正しいことだと思います。このブログをやっていて思うのですが、日本には、自分が中国や韓国を叩くために、韓国や中国に「反日であってほしい」と思っている人が大勢いるようです(参照)。反日だから叩くのではなく、叩きたいがために反日を求める人が確かにいるのです。実に残念なことですが。その代表例が、このブログで繰り返し取り上げている井上太郎ですね。

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↑韓国を叩く正当性が欲しいがために、「嫌われることを喜ぶ」井上太郎。
ちなみに「1%」とか「20%」とか「80%」とか、これらの数字は全て
井上太郎がでっち上げた大嘘です。彼は嘘しか言いません。詳しくはこちら



中国語や韓国語の表記に反対している人たちには、「中韓を叩きたい」「中韓には反日であってほしい」とまで思っていなくても、「中韓に親切にしたくない」という思いがあるように感じられます。


しかし、そういう人たちは、相手の立場にたって考えるという想像力が足りないのではないでしょうか? もし自分が日本を訪れる外国人だったら、と想像すれば、小さくでも自国語表記があるのは助かるとわかるはずです。そうなれば、日本語表記に影響を与えない大きさで書いておくことに、反対する理由はないはずです。


基本的に、差別や偏見やいじめには、裏に想像力の欠如が潜んでいます。障害者だったり外国人だったり女性だったりするだけで、いわれのない非難を受けたりしたらどれだけ嫌な事か、想像してみれば、自分でそんなことできるはずがないのです。例えば女性だというだけで職業の自由を制限されたり、被災者なのに不当な扱いを受けたりすれば、本人からしたらどれだけ嫌な事か、想像する力があれば田母神俊雄のようなこんな発言は出来ないはずなのです。また、逆に親切にしてもらったらどれだけ嬉しいことか想像してみれば、親切にしてやろうと思うはずです。


日本語表記に問題がない大きさで外国語表記をするくらいの親切心は持ち合わせたいと私は思います。

==愛国カルトに騙されないための今日の心得==
・数字を見よう。
(こういう問題なら、せめて訪日外国人の数くらい見てから発言しよう)

・比較しよう。
(海外の日本語表記を考えてみよう)

・想像ではなく、実際に確かめてみよう。
(「韓国語中国語のせいで日本語が小さくなって見づらい」という想像ではなく、実際に表記を確かめてみよう)

・想像力を持とう。
(「自分がもし外国人の立場だったら…」と考えてみよう。これは、いじめや差別について、何にでも言えることです)
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