高須克弥院長(70)とは、famousでありinfamousでもある高須クリニックの院長ですが、ナチス大好き人間で「アウシュビッツは捏造だ」と言っている人としても有名なのです。アウシュビッツの話は次の機会にしますが、そんな高須院長は、当然のごとく、自分の都合のいいデマにはあっさり騙される御方なのであります。
 
(スポンサードリンク)

世界的に有名な、ナチスによるユダヤ人迫害の象徴とも言える『アンネの日記』。高須院長は、この日記が捏造だというのです。

2016y05m06d_214335088
本人のツイート

「子供にあんな名文は書けません」と言っていますが、こういう「子供だから無理」なんていう思い込みを持ち出すあたり、流石高須先生です。僕らの予想を軽く超えてきます。「子供だから無理」なら、大谷翔平が高校生で162キロ投げたのも捏造ですし、石川啄木が16歳で中央歌壇にデビューしたのも捏造ですし、モーツァルトが12歳でオペラを作曲したのも当然捏造なのであります

(なお、『アンネの日記』は、父であるフランクによる編集が加えられています。原本にある性に関する描写や(原本には「ファーストキスしちゃった、幸せ♥」みたいな内容がある)、母親に対する不満、批判がカットされています。現在ではオリジナルテキストも出版されています)

さて、『アンネの日記』が捏造だ、というのは、高須氏のようなナチス大好き人間の好むネタの一つであり、高須氏が挙げている筆跡もその一つです。高須氏は「サインと日記の文字は全く違います」なんて、見てきたような事を言いますが(高須氏は筆跡鑑定でもできるのか?)、そんな検証もとっくの昔になされていますし、ボールペンについても同様です。

ここで、ニューヨーク・タイムズの記事を引用してみましょう。

2016y05m06d_220945662
ニューヨーク・タイムズ、1989年6月8日

After years of detective work, the Dutch Government has for the first time proved the authenticity of Anne Frank's diary down to the last detail.
(長年の調査により、オランダ政府はアンネ・フランクの日記が、細部に至るまで真筆であることを初めて証明した)


2016y05m06d_221605693


Miss Frank's handwriting was closely analyzed by experts, as were specimens of her writing and those by 78 of her classmates. The experts took into account that sometimes Miss Frank used normal cursive lettering and sometimes a disconnected printing style. This is a common characteristic ''applicable to the writing of young people,'' the experts said. Samples of her writing are included in the book to support their conclusion that the diary was indeed written by Anne Frank alone.

(アンネの筆跡は、彼女と彼女のクラスメート78人の手書きのサンプルとともに、専門家により詳細に調査された。専門家は、アンネが筆記体と楷書体の両方を使っていることに注目した。専門家によれば、これは若者の筆跡によく見られる特徴であるという。(アメリカで新たに出版される版に収録されている)アンネの文字のサンプルは、日記がアンネ・フランク一人によって書かれたものであるという結論を裏付けるものであった)


というわけで、専門家の筆跡鑑定により、アンネの日記はアンネの真筆である、という結果が出ています。高須氏がどういう根拠を元に「アンネのサインと日記の文字は全くちがう」なんて言っているのか分かりませんが、素人の意見と、専門家の筆跡鑑定と、どっちが信用できるか、言うまでもありませんね。なお、この鑑定結果が出たのは1989年のことであります。

高須氏は「当時ボールペンはない」とも言っていますが、それも『アンネの日記』否定論者の定番です。そして、ニューヨーク・タイムズの記事は、そこにも言及しています。

2016y05m06d_223147352

The Forensic Science Laboratory report also points out that the paper, ink and glue in the diary and some of her accompanying loose sheets all existed in the early 1940's, before Miss Frank and her family were betrayed in their hiding place in Amsterdam and sent away to concentration camps.
The glue and fibers used in the binding of the diaries were analyzed by infrared spectrometry. Both were found in common use when Miss Frank wrote her diary. After 1950, a different kind of synthetic glue came into use. Similarly, the paper used in the diary was examined by X-ray fluorescence and found to have been manufactured between 1939 and 1942.

(また、法科学研究所の報告書は、日記に使われた紙、インク、糊およびルーズリーフは、全て1940年代前半に存在していたと指摘している。(略)
日記に使われた紙は、X線検査にかけられ、1939年から1942年の間に作られたものであることが判明した


2016y05m06d_224018963

During a criminal trial for defamation against neo-Nazis held in Wiesbaden, West Germany, in 1980, Mr. Barnouw said, the defendants maintained that the diary was a fake because corrections had been made in black, blue and green ink with a ballpoint pen and that such pens were not produced until 1951. The defendants could not produce any examples of such corrections, however. Mr. Barnouw noted that changes in the diary by Otto Frank, Anne's father, were made in pencil.
Although the ballpoint theory was discredited, it continued to be used by neo-Nazis in Europe and the United States. Anti-Semitic pamphlets cited in the book show that the neo-Nazis had a larger aim in trying to discredit the diary as a hoax: to ''prove'' that there had never been a ''final solution'' plan to exterminate the Jews.

((『アンネの日記:校訂版』の編集者である)バーナウ氏によれば、1980年に西ドイツで開かれた、ネオナチによる中傷についての刑事裁判では、被告人であるネオナチは、日記の訂正箇所は黒・青・緑のボールペンを使って書かれており、そんなものは1951年まで存在しなかったのであるから、日記は偽書である、と主張した。しかし、被告人は、そのような訂正箇所の例を示すことは出来なかったのである。アンネの父、フランクは日記に変更を加える際に鉛筆を用いたことも、バーナウ氏は指摘した。
ボールペン理論は崩れたにも関わらず、未だに欧米のネオナチによってこの捏造説は唱えられ続けている。反ユダヤ主義のパンフレットは、ネオナチがアンネの日記を捏造として貶め、ユダヤ人絶滅計画などというものはなかったのだと証明しようとしていることを示している)


というわけで、『アンネの日記』捏造説は、もう30年も前に論破され、高須氏が主張しているボールペンについても、『アンネの日記』にボールペンで書かれた箇所などないことははっきりしているわけです(このへんのことは、日本のwikipediaにも載っています)。


30年も前に論破されたことを今更堂々とツイートするあたり、高須氏が自分に都合のいいことを簡単に鵜呑みにする人間であることがよくわかります。概して、陰謀論というものは、こういう人が信じ、広めるものですね。「9.11はアメリカの自作自演だ」とか「アポロは月に行っていない」とかが陰謀論の典型例ですが、「ホロコースト否定説」も陰謀論の典型例の一つです。高須院長は、見事なまでに、30年も前に論破されている陰謀論に未だにしがみついています。きっと、こういう人は、いかなる証拠をいかなる研究機関が示そうと、自分に都合のいい証拠しか認めないので、いつまでも陰謀論にしがみくことでしょう。

基本的に、こういうものは、専門家の意見に耳を傾けましょう。素人の勝手な陰謀論は、多くの場合、ごくわずかな根拠を元に、勝手な思い込みで展開されています。専門家も間違ったり意見が異なったりすることは多いので鵜呑みにするのは危険ですが、素人に比べれば間違う可能性は遥かに低いですし、まして欧米の研究機関の複数の専門家によるものであれば、その信頼性は素人とは比較になりません。多くの専門家の意見を差し置いて、都合のいい素人の意見に耳を傾けてはいけません。

==愛国カルトに騙されないために==

① 専門家の意見に耳を傾けよう。

② 自分に都合がよいからといって、素人の意見を鵜呑みにするのはやめよう。

③ 上記2つが実行できない高須院長のような人を信じてはいけない。

(スポンサードリンク)

にほんブログ村 政治ブログへ 
にほんブログ村 政治 ブログランキング