言うまでもありませんが、デモというのは民主主義国家で認められた正当な活動です。そして、ベトナム反戦運動など、デモによって世界が動いたことも歴史上少なくありません。


とことが、昨年の日本の反安保デモを破壊活動であるかのように罵った者も少なくなく、netgeekという有名ウェブサイトの記事の卑劣さは驚くべきものがありました。民主主義も言論の自由も理解しない人間の心の貧しさがよく表れている記事だと思うので、紹介してみたいと思います。

(スポンサードリンク)

デモを「頭が悪い」とする頭の悪いnetgeek


netgeekは、「SEALDsが考案の監視対象になった」として、今年8月29日にその活動内容を批判する記事を掲載しました。しかし、その内容はもはや「批判」ではなく、ただの口汚い中傷となっています。実際に引用しながらどれほどひどい内容であるか見てみましょう。


まず、SEALDsメンバーが頭が悪い集団であったと中傷します。


2016y09m04d_221637238

>>SEALDsの活動はあくまで良心に基づくもので正論を吐いていただけと主張している。だが、SEALDsについては極めて偏差値が低い者たちが集まっており、代表的存在の奥田愛基ですら基礎知識が不足していることが明らかだった。

まず、「SEALDsについては極めて偏差値が低い者たちが集まっており」などと中傷していますが、代表の奥田氏は明治学院大学から一橋大学の大学院に進んでおり、極めて偏差値が低いなどとは全く言えません。(奥田氏の卒業した明治学院大学国際学部は、これによれば入試の偏差値は55らしい)


このnetgeek記事は結びでも「偏差値28」と中傷しており、ネトウヨの言説をそのまま使っている頭の悪さをさらしているのがnetgeek側であることは明白です。


==補足==

ネットでささやかれているこの「偏差値28」という数字ですが、これは奥田氏の出身高校であるキリスト教愛真高校の合格偏差値が、トライ教育情報センターの調べで「28」とされていたことに基づいているようです。


しかし、はっきり言わせてもらって、これで「SEALDsの偏差値は低い」と笑っている人たちこそ、偏差値がいくつなのか疑わしくなります。


そもそも、合格偏差値が28だというのは、そこの生徒の偏差値が28であることを意味しません。定員割れしている場合、仮にそこの生徒の平均偏差値が50でも、合格最低点の生徒の偏差値が28であれば、合格偏差値は28と出てしまうからです。


さらに、この学校の公式HPを見てみると、この学校が全寮制の高校であるうえ、受験資格に

・ 聖書を学ぼうとする意志のある者

・本校を第一志望とし、合格した場合必ず入学する者


という条件が書かれています。


この学校が、他の多くの高校のように、自分の偏差値に合わせて選ぶような学校ではなく、親から離れて全寮制でキリスト教を学ぼうという、かなり特殊な子供が集まる学校であることは明らかですね。偏差値28というのは、入学者の中で最も偏差値が低かったものが偏差値28であったというだけで、この学校の生徒の平均的な学力が偏差値28でないことは間違いないでしょう。


また、奥田氏の父がキリスト教の牧師であるという事実を考えれば、奥田氏が偏差値で進学先を決めたのではないことぐらいは容易に想像がつきます。事実として、奥田氏の私学先である明治学院大学国際学部は偏差値55であり、その後一橋大学大学院に進んでいるわけですからね。


さらに、このブログによると、全校生徒数わずか50人。先生も同じ敷地内に住んでいるという驚きの学校です。普通の高校とは全く異なるものであることがわかりますね。奥田氏は中2の時に不登校だったらしいですが、そういう普通の学校に馴染めなかったような子供を預かるような高校なのかもしれませんね。


netgeek含め、奥田氏の高校の合格偏差値が28になっていたというだけで「SEALDsの偏差値は28」と笑いの種にしている人たちこそ、この程度のことも頭が働かないおバカさんたちなのでしょう。

=======

さて、「偏差値28」などと中傷するぐらい頭が悪いnetgeekは、自分の頭の悪さは棚に上げて、あたかもSEALDsは頭が悪いから安保法案に反対したかのように書いていますが、昨年8月30日のデモには10万人も集まっており、世論調査でも国民の半分は安保法案に反対し、9割が「説明不足」であり「今国会での成立は見送るべき」という意見でした。


CKcGw5KVEAA8Ij_
参照

(※ネトウヨさんたちの中には国会前に10万人も集まったというのを「捏造だ」とかたくなに信じている人もいるようですが、そういう人はこちらこちらの記事をどうぞ。)


さらに、憲法学者の95%以上が安保法案を「違憲」としているというアンケート結果も出ています。

2015y06m20d_235302461
弁護士ドットコム参照


立憲主義という考え方に従えば安保法案には反対する方が当たり前の行為であるし、安倍晋三総理大臣のあまりにもデタラメな答弁を聞けば、「これはおかしい」と思うのは当然のことです。あたかもSEALDs偏差値が低いから安保法案に反対していたかのように述べるnetgeekの頭の方がよほど心配になるレベルです。


デモを「暴走」と呼ぶ民主主義精神の欠片もないnetgeek


これだけなら、ただの低能な誹謗中傷ですが、その次の文言に至っては、netgeekがもはや民主主義や言論の自由さえ理解できていないとことが明白になります。

>>それゆえ、間違った解釈で勝手に「安倍総理が戦争をしようとしている」などと思い込んだのだ。リテラシーがないからSEALDsメンバーの誰も自分たちの過ちを正すことができず、活動はデモへと暴走していった。

なんとデモを「暴走」と呼んだ!!


上述の通り憲法違反の疑いが濃い法案に反対することは何もおかしくなく、全く「過ち」ではないし、最初に述べた通り、デモは民主主義国家で認められた正当な活動です。暴力的であったり、差別など社会通念上許されないことのためにデモを行うならまだしも、国会前でデモを行うことは民主主義国家の主権者として何一つおかしな行為ではなく、「暴走」などという文言が当てはまるわけもありません。この執筆者は、そもそも主権者が国民であるという意識さえないのではないでしょうか。


選挙で選ばれようと、権力者は暴走します。その顕著な例がブッシュ政権のイラク戦争でしょう。そのような暴走する政権に対し、反対の声を届けるためにデモを行うことは民主主義国家の当然の行いです。ベトナム戦争の終結と反戦デモの広がりが切り離せない関係にあることは言うまでもありません。


私の観点からすれば、安倍政権こそ暴走以外の何物でもありませんでした。日本で法案を提出さえする前に「この夏までに安保法案を成立させます」と米国議会で約束すること自体、自国の国会を軽視する暴走でしたし、法制局長官をこの法案のために挿げ替えたのも暴走と言っていいものでした。その後の強行採決のひどさは言うまでもありません。


選挙が終われば後はすべて政治家に任せて何も言わない、というのは民主主義国家の主権者のあり方ではありません。イラク戦争やベトナム戦争の反戦デモのように、デモがその後の政治や世界を変えることだってあります。デモは決して暴走ではありません。それを暴走などと呼ぶnetgeek執筆者は、民主主義や言論の自由という概念さえ持ち合わせていないように思えます。


・SEALDsを赤軍やオウムに例える卑劣なnetgeek


netgeekはさらに信じがたい中傷を行います。SEALDsを赤軍やオウムに例えたのです。

2016y09m04d_230132620

歴史に学べば連合赤軍やオウム真理教も初期は決して危険行為をする団体ではなかった。それにもかかわらず、世間が気づかないうちに組織が変質し、事件が起きてから表面化するということが度々起きた。今のSEALDsは過去に危険行為を犯した団体の初期に非常に似ているのだ。

あまりにもひどいデタラメである!


「歴史に学べば」と言っていますが、「連合赤軍やオウム真理教も、初期は決して危険行為をする団体ではなかった」なんて歴史を学んでいるとはとても思えない発言です。SEALDsの偏差値を批判し「基礎知識が欠けている」と言いながら、netgeekの頭の悪さと基礎知識の欠如は言葉を失います。


確かに連合赤軍のメンバーも学生運動に端を発していますが、当時の学生運動の過激さは、一切暴力的ではなかった国会前デモとは比べるまでもなく、当時は「学園紛争」なんてものが起きていました。そして、当時は共産主義に対する強いあこがれがあった時代であり、ソ連や毛沢東主義の影響から「暴力革命を起こそう」という連中が作り上げたのが赤軍です。


日本赤軍や連合赤軍は、作られた当時から暴力による共産主義革命を目指していた組織であり、「初期は決して危険行為をする団体ではなかった」なんて、大嘘もいいところです。「歴史に学べば」などと偉そうに言っていますが、連合赤軍とSEALDsの共通点など、「大学生」以上のものではありません。


さらに、オウムを持ち出してくるのはあきれるばかりです。そもそもオウムは設立した当初から麻原彰晃を絶対視する宗教団体であり、麻原は最初から「解脱して超能力を得た」とか「自分はシヴァ神の化身だ」とか言っていた非常に怪しい団体であり、宗教法人として認可される以前にすでに教団内で信者の死亡事件や殺害事件が起きています。オウムが「初期は決して危険行為をする団体ではなかった」なんて、いったいどう歴史に学んだのでしょう? 


オウムとSEALDsの類似性など、何一つ見出すことはできません。事実、netgeekも「非常に似ている」などと言いながら、全く具体的に何が似ているのか述べていません。明らかにnetgeekはSEALDsを貶めるがために、何の関係もない連合赤軍やオウムと、根拠なく自分の偏見だけに基づいて「非常に似ている」と中傷しているだけのことでしょう。この記事の執筆者には、知性というものが欠片ほども感じられません。


(※念のため言っておきますが、私はSEALDsのメンバーではありません。そこまで若くないです)


さて、わずか10行程度の短い文章で、驚くほどの無知と卑怯さをさらし、民主主義や言論の自由を理解できない人の脳内をのぞかせてくれたnetgeekの記事ですが、この後さらに明後日の方向に展開します。次回に続きます。


にほんブログ村 政治ブログへ 
にほんブログ村 政治 ブログランキング
(スポンサードリンク)