このブログでも産経新聞はすでに何度も取り上げていますが、どこまでバカなんでしょうか、あの新聞社は。


籠池淳子氏(森友学園元理事長籠池氏の妻)と安倍昭恵氏(安倍晋三の妻)のメールの中に、「辻元清美が幼稚園に侵入しかけ 私達を怒らせようとしました」「嘘の証言した男は辻本と仲良しの関西生コンの人間でした」と書いてあったため、産経新聞は「辻本清美の『3つの疑惑』」と題した記事を掲載しました。

 

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その記事だけ見ても、「忖度」という言葉の使い方がおかしく、「産経は頭悪いなあ」と思ってしまう記事ですが、 それについてはスペースの関係で割愛します。産経の報じた「3つの疑惑」とは以下の通りです。


1・辻本清美が塚本幼稚園に不法に侵入しようとした 

2・辻本清美が 「関西生コン」の人間をスパイとして建設作業員の中に送り込み、「掘った土を埋め戻した」とうその証言をさせた

3・民主党政権時代、国有地だった野田中央公園を14億円値引きして豊中市に売り渡した



しかし、1つ目の疑惑については、後に籠池夫人本人が「まゆみ(娘)がそう言っていた。事実を確認したわけではない。私は見ていない」と証言しました(参照)。そもまゆみ氏も「2階にいた」と言っているので、直接目の前で見たわけではなかったようです。これで、1つ目は、事実はともかく、根拠が崩れました。


2つ目の疑惑は、TBSラジオがその作業人本人にインタビューを行い、全くの事実誤認であり、そもそも生コンの会社でさえないと証言しています(参照)。そもそもの話として、仮に辻元氏がスパイを送り込んでいたとしても、どうして籠池夫人がそれを知っているのでしょうか? 籠池淳子氏が伝聞でメールを書いていたことは、まともな思考力があれば瞬間的にわかることでしょう。


3つ目の疑惑は、民進党は「野田中央公園の用地取得に関する補助金等は、麻生政権下の平成21年第一次補正予算で決定されたものを鳩山政権下で引き継いで執行したものです」と回答しています(参照)。


つまり、1つ目と2つ目の疑惑は根拠がなく、「疑惑」ではなくせいぜい2ちゃんねるレベルの「噂」に過ぎないことが示され、3つ目は単純な事実関係の問題で、しかも国有地を私人に売り渡した森友問題と異なり、公園という公共施設にするために市に売却しているので、かなり問題の質が違います。


以上のことから、「3つの疑惑」はどれも根拠がないものであったと言えるわけです。民進党は産経新聞対し、法的措置も辞さないと強く抗議しました。しかし、それに対し、産経新聞の反応は予想を超えたとんでもないものでした。



デマを流して逆ギレする産経新聞

3月31日、産経は民進党の抗議に対し、「恫喝と圧力に屈しない」と題した反論記事を掲載しました。

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産経新聞HP

産経の反論はこのようなものでした。全文をそのまま引用します。

 民進党の皆さんは、なぜ政権を失い、なぜ今も国民に見放されたままなのか、まだお気づきになっていないようだ。

 学校法人「森友学園」(大阪市)問題で民進党の辻元清美衆院議員に関する本紙記事「辻元氏 3つの『疑惑』」(28日付)について、民進党は29日夕、柿沢未途役員室長名で抗議文を出した。30日付紙面に全文を掲載しているのでご参照願いたい。

 抗議文では、本紙記事を「ネット上に流布している流言飛語をあたかも根拠ある疑惑であるかのように報道した」と批判した。そもそも「根拠ある疑惑」というのは意味不明だが、続いて記事は「裏取り取材をすれば、容易に事実でない事が判明するものである」という表現は看過できない。

 言うまでもないが、担当記者は十分に取材した上で記事化している。辻元氏にも取材を申し込み、27日午後1時半すぎに質問書を事務所に送付、午後5時までの回答を求めた。ところが、事務所側は午後5時23分に「明日、確認が取れた段階で返答する」とFAXを送付してきたので、やむなくその経緯を入れて記事化した。翌28日午後5時23分、辻元氏側は回答書を出したので、その全文を29日付紙面に掲載した。

 回答書や抗議文の全文掲載は極めて異例な対応だといえる。にもかかわらず抗議文は、本紙記事を「流言飛語」「著しく公正を欠いた報道」「報道取材の基本を欠いた記事」などと罵倒しており、本紙は名誉を毀損された。撤回願いたい。

 一連の疑惑は十分に報道に値すると考えている。

 まず「幼稚園侵入」疑惑に関し、辻元氏は「入ろうとした事実もございません」と回答したが、2月21日の大阪府庁の記者会見で「塚本幼稚園に行ってまいりました」と明言しているではないか。

 「作業員派遣」疑惑に関しても、学園の籠池諄子氏が安倍昭恵首相夫人とのメールで何度も指摘しているだけでなく、生コン業界から政治献金を受け取っている。いずれも辻元氏には説明責任がある。メール問題などをただすべく、昭恵氏の証人喚問を要求しながら、現職衆院議員が書面回答だけで済ましては筋が通らない。

 個々の案件でこれ以上反論しても仕方あるまい。もっとも問題なのは、民進党の隠蔽体質であり、恫喝体質である。

 自民党が昭恵、諄子両氏のメール内容を公開した際、民進党役員室は「メディア各位におかれては、このような誤った内容を拡散しないよう強く求めます」と文書で要請した。今回の抗議文も「他の新聞社は『疑惑』という書き方はせず、辻元議員側の否定コメントを淡々と報じているのみである」とわざわざ記した上で、本紙に対して「法的措置も含めた対応を検討する」と結んだ。

 蓮舫代表も30日の記者会見で「辻元さんに対する言動のファクトチェックは極めて容易にできる。にもかかわらず、疑惑と報道した新聞社に対しては抗議文と法的措置も含めて対応を考えている」と述べた。

 旧民主党政権時に恫喝ともとれる政治圧力を繰り返したあげく、人心が離れていったことをすっかりお忘れのようだ。自由で民主的な社会を守るためにも屈するわけにはいかない。蓮舫氏の「二重国籍」疑惑も含めて今後も政界の疑惑は徹底的に追及していきたい。


さて、私はこれを読んで、「何だこりゃ!?」と、産経政治部長石橋文登とやらの頭の悪さと、産経新聞の低俗ぶりに驚かされたのですが、皆さんはどう思われたでしょうか。私にはこれは「逆ギレ」としか読めません。



「根拠のある疑惑」を「意味不明」という産経の意味不明さ


産経は、民進党の「ネット上に流布している流言飛語をあたかも根拠ある疑惑であるかのように報道した」という批判に対し、


>>そもそも「根拠ある疑惑」というのは意味不明


だと述べています。しかし、短い一文だけでも、産経新聞がジャーナリズムとして失格であると言える問題が詰まっているように思われます。


「そもそも『根拠のある疑惑』というのは意味不明」と述べているということは、産経はおそらく「そもそも疑惑というのは根拠のないものだ」と思っているのでしょう。しかし、疑惑にだって根拠のあるものとないものがあることぐらい、幼稚園児だってわかりそうなものです。例えば、「Aさんは人相が悪い。犯人はAさんじゃなかろうか」と言うのは、根拠のない疑惑。一方、「Aさんの犯行を見たという証言者が多数いた。Aさんは事件直前に被害者と激しく口論していた。犯人はAさんじゃなかろうか」というのは根拠のある疑惑。本当に、幼稚園児でもわかる話です。


にもかかわらず、「そもそも『根拠のある疑惑』というのは意味不明」ということは、産経がいかに「根拠」というものを軽視しているかがうかがえます。「根拠のない疑惑」は、それはせいぜい「噂」や「想像」もしくは「妄想」にすぎません。産経は「疑惑」と「噂」の区別もつかないのでしょう。



杜撰すぎる産経の「十分な取材」


「『根拠のある疑惑』とは意味不明」という、全く持って意味不明なことを言う産経は、一方で「担当記者は十分に取材した上で記事化している」と述べています。ところが、その取材というのが杜撰極まりない。


まず、辻元氏本人に対する取材ですが、「27日午後1時半すぎに質問書を事務所に送付、午後5時までの回答を求めた」とのこと。平日の1時半すぎに事務所に質問書を送り、午後5時までに回答しろ、という取材のどこが十分なのやら。直接インタビューを行ったわけでもなく、質問状を事務所に送っただけで、それもたった3時間強しか待たない。こんな取材が「十分な取材」というのなら、普段産経は一体どれだけ杜撰な仕事をしているんでしょうか。



杜撰な取材でなんの根拠のない「疑惑」を記事にした産経


そのあとの産経の説明は、目も当てられないほど酷い言い訳が並んでします。


まず「幼稚園侵入」疑惑ですが、産経は「辻元氏は『入ろうとした事実もございません』と回答したが、2月21日の大阪府庁の記者会見で『塚本幼稚園に行ってまいりました』と明言しているではないか」と述べています。


これについて、民進党は、21日の「塚本幼稚園に行ってまいりました」という主語は「調査チーム」であり、辻元氏は調査チームと同行していたが、本人は車で待機していた、と反論しています。(参照


民進党の反論が事実かどうかは、私には確かめようがありません。しかし、仮に辻元氏本人が調査チームに同行して塚本幼稚園に行っていたとしても、辻元氏の「幼稚園に近づいてもいない」という発言と矛盾するという問題はあっても、それは辻元氏が幼稚園に侵入しようとしたということを意味しません。「幼稚園に行った」=「幼稚園に侵入しようとした」ではないのですが、産経はそこがまるで分っていないようです。産経の脳に「論理」の二文字はないとしか思えません。


そもそも、籠池夫人は別のインタビューで、あのメールに辻元氏についての記述に根拠がないことを告白しています。産経はメールを書いた本人である籠池夫人に事実関係を聞くこともしていないわけです。これが産経の「十分な取材」だそうです。


さらに笑わされるのが、「生コンスパイ」の「疑惑」についての産経の言いわけです。産経の根拠とは、以下のようなものです。


① 学園の籠池諄子氏が安倍昭恵首相夫人とのメールで何度も指摘している

② 生コン業界から政治献金を受け取っている



はっきり言って、バカすぎだろ、産経!!

・2ちゃんまとめサイトレベルの産経新聞


①は、上の方でも述べた通り、常識的に考えれば、仮にスパイが事実だとしても、籠池夫人が「辻元清美がスパイを送り込んだ」ということを知っているわけがないです。まともな頭があれば、籠池夫人が単なる憶測や伝聞で書いているのだろうことは想像がつきます。業者や辻元氏本人のメールにそのような記述があれば大問題ですが、第三者である籠池淳子氏が安倍昭恵氏に送ったメールに、何回そんなことが登場しようが、全く何の根拠にもなりはしません。


ちなみに、籠池淳子氏のメールでは、辻元氏を「共産党」と書いています。産経の言うように「籠池夫人のメールに書いてある」というのが根拠になるのなら、「辻元清美は共産党員だった!?」というのも「疑惑」として浮上してしまいます。ンなバカな(笑)


籠池夫人が自身の直接の体験を述べたものなら、メールに書いてあるだけのことでも十分「疑惑」の「根拠」となりうるでしょうが、籠池夫人が「辻元氏がスパイを送り込んだ」と書いてあることを根拠にするなんて、ツイッターや2ちゃんねるでネトウヨが「犯人Aは在日だ」と言っているのを根拠に「犯人Aに在日疑惑」と報じるようなものです。つまり、産経新聞の思考力は2ちゃんねるまとめサイトレベルと言っても過言ではありません。


産経は本気で「学園の籠池諄子氏が安倍昭恵首相夫人とのメールで何度も指摘している」というのが疑惑の根拠になりうると思ってるんですかね。だとしたら新聞社を名乗るのは辞めるべきだっていうぐらいの頭の悪さですが。


根拠②ですが、辻元氏が生コン業界から政治献金をもらっている、というのが、どうして辻元氏が生コンスパイを送り込んだ根拠になるねん!! アホすぎだろ、産経新聞。「生コン業界から政治献金を受けている」と「生コン業界のスパイを送り込んだ」との間にはものすごい断絶があります。「パンダが好き」と「パンダを密輸してペットにしてる」ぐらい開きがあります。こんなものが根拠になるのなら、自民党なんてゼネコン業界からも自動車業界からも金融業界からも石油業界からも献金を受けているので、疑惑のデパートになってしまいますがな。


また、「生コンのスパイ」と指摘された作業員はTBSラジオのインタビューでそれを否定しています。産経新聞は彼に直接聞き取りしていないわけですが、これが産経の言うところの「十分な取材」なんでしょうね。


さらに、産経は「3つ目の疑惑」について、反論記事で言及さえしていません。言い訳できないから逃げたんでしょうね。


結局、辻元氏の「疑惑」は、3つとも根拠がなく、2ちゃんねるの噂レベルのものでしかなかったわけです。そして、産経は

>>個々の案件でこれ以上反論しても仕方あるまい。

と言って逃げました。「十分な取材」をして、「報道に値する」と思ったのなら反論しろよ!! デマがほぼ確定で反論できなくて逃げただけだろ、これ。しかも3つ目の疑惑は反論さえしてないし。


こんな2ちゃんねるまとめサイトレベルの記事を書いていれば、「流言飛語」「著しく公正を欠いた報道」「報道取材の基本を欠いた記事」と罵倒されるのは当たり前で、「本紙は名誉を毀損された。撤回願いたい」とは、恥知らずこの上ないです。辻元清美の名誉棄損したのはお前ちゃうんかと。「名誉棄損された」「撤回しろ」って言うなら、名誉ある記事書いてみたらどうなんですかね。



単に民進党を叩きたいだけという意識丸出しの産経新聞


さて、個々の案件で反論できなくなった産経は、民進党の「隠蔽体質」と「恫喝体質」を批判します。


これについては、産経がいくら恥知らずなバカ新聞とはいえ、理解できなくもないです。民進党は現在野党とはいえ、政治権力側ですから、マスメディアを委縮させかねない言動は慎むべきだというのは事実です。産経はアホな記事を書いたものの、民間人の名誉棄損と違い、辻元氏は公人であるので、「公益性」ということを考えると言論の自由の範囲内に収まるものだと思います。また、辻元氏の反論を全文掲載するなどの対応もしているので、これで「法的措置を検討」というのはマスメディアを委縮させる恐れがあり、政治権力側はそのような言動は慎むべきだというのが私の考えです。


とはいえ、今回の森友学園の疑惑で、最も「隠蔽」と「恫喝」を繰り返しているのは、間違いなく自民党でしょう。


まず、野党はこれまでこの問題で26件の資料提出や調査を政府に求めていますが、驚くべきことに、「廃棄した」など言い訳をして、17件で対応しておらず、対応した9件も黒塗りでほとんどなにも読めないなど、要求通りに提出した資料はわずか4件です。これが隠蔽じゃなくてなんなんですかね。(参照



自民は当時の責任者である迫田英典氏の参考人招致を長いこと拒否しており、現在も証人喚問に呼ぶことは拒否しています。もちろん、安倍昭恵氏を呼ぶことも拒否しています。さらに、籠池氏については、長いこと参考人招致さえ拒否していたにもかかわらず、「総理への侮辱」を理由に一転証人喚問へと飛び跳ねました。これが隠蔽と恫喝でなければなんなのでしょう。産経はこういうところは全然指摘しようとしません。それでいながら、「民主党政権時代に恫喝ともとれる政治圧力を繰り返した挙句、人心が離れていったことをすっかりお忘れのようだ」と言うのだから呆れてしまいます。「恫喝ともとれる政治圧力」をあれだけ繰り返している安倍政権に好意的な産経が何を言っているのやら。


そんな産経が、「自由で民主的な社会を守るためにも屈するわけにはいかない」「今後も政界の疑惑には徹底的に追求していきたい」と言うだけでも「ギャグか?」と思えてしまいますが、その「政界の疑惑」の具体例が、森友学園問題と欠片ほども関係ない「蓮舫氏の『二重国籍』疑惑」って、お前それ政界の疑惑を追求したいんじゃなくて、単に民進党を叩きたいだけだろ(笑) ここで唐突に「蓮舫氏の『二重国籍』疑惑」に言及するあたり、「今後も政界の疑惑を追及するぜ」じゃなくて「今後も民進党を叩き続けてやるぜ」という本音丸出しです。本当に産経って頭が悪い。


産経の最初の「3つの疑惑」の記事は頭の悪い悪意ある記事ではありますが、まだ言論の自由の範囲内のものでしょう。民進党が「流言飛語」と批判し抗議をするのは当然の行為ですが、一方で政治権力側がマスコミに対してこの程度で「法的措置を検討」と言うことが問題だという反論も理解できます。


しかし、今回の産経の反論記事はあまりにも恥知らずです。2ちゃんねるまとめサイト並みの記事を書き、取材と呼べることをしたかどうかも怪しいことしか書いてないくせに「十分な取材をした」と言ってしまうことで、普段から杜撰な仕事をしていることを露呈し、「政界の疑惑の追及」ではなく「民進党を叩く」という本音を暴露してしまった産経新聞。


産経は「民進党の皆さんは、なぜ政権を失い、なぜ今も国民に見放されたままなのか、まだお気づきになっていないようだ」と述べていますが、産経の皆さんは、なぜ「ネトウヨ新聞」などと言われるのか、まだお気づきになっていないようです。産経の皆さんが一日でも早く「根拠」という日本語の意味を理解できる日が来ることを祈ります。 

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