7月2日、東京都議選の応援で秋葉原に来た安倍晋三は、「安倍辞めろ!」というコールをした人たちに対し、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫びました。しかも、国会で「人を指差さない方がいいですよ」と言っていたくせに、自分は指差しながら、国民を「こんな人たち」呼ばわり。これがこの国の首相だとは実に情けないことです。

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↑民衆を指をさして「こんな人たち」と言う安倍。何がどう間違ってこんなのが首相になったんだ。

私は、「安倍辞めろ!」コールをした一般民衆を指差して「こんな人たち」と呼んだ安倍晋三の総理大臣としての資質を批判する記事を書きましたが、それに対して、こんなコメントが届きました。


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>>パヨクさんにはあの連中が「一般民衆」に見えるんだwww


このたった27文字の短いコメントに、愛国カルト(ネトウヨ、ネットモブ)さんがどうして愛国カルトになってしまうのか、その理由を見ることができます。


・「一般民衆」について語りながら「一般民衆」の定義を避けるネトウヨさん


「パヨクさんにはあの連中が『一般民衆』に見えるんだ」ということは、このコメントをした人物には、「安倍辞めろ!」と叫んだ人たちが「一般民衆」には見えていないわけです。だったら、一体どういう人が「一般民衆」なのでしょうか。質問してみると、こんな答えが返ってきました。


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>>首相の演説中で、しかもその演説を聞いている人が多数いるにも関わらず、その内容に耳を傾けることなくただ喚いてる連中を、「一般民衆」ではないと言っているだけ。


全く回答になっていませんね。どうして首相の演説に野次を飛ばすと「一般民衆」ではなくなるのでしょう。本来、「一般民衆」の定義があるからこそ、「この人たちは『一般民衆』ではない」と言えるわけです。なので、「一般民衆」の定義を繰り返し尋ねると、このような回答が返ってきました。


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>>逆にどういう定義をしたら、演説者とその聴衆たちを妨害し、自らの主張(しかも、一切中身のない罵詈雑言)を繰り広げる連中が「一般民衆」になるんですか~桑原クン


「一般民衆の定義は何か」と聞いているのに、逆に質問をし返してくる人。幼稚園や小学校で、質問に質問で返すな、ということを教わらなかったのでしょう。この人の中に「一般民衆」の定義がないことがわかりますね。それでも繰り返し「一般民衆」の定義を聞くと、このように返ってきました。


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>>一般民衆に厳密な定義があるんなら教えてくれよ桑原クンよ~。
>>私の周囲には、演説者と聴衆を妨害して、プラカード掲げて、「安倍、菅、監獄」なんて騒いでいるやつ一切いないんですよね~



これを読んで、私はこの人物を、典型的なネトウヨ脳だと判断しました。「自分勝手な思い込みで結論出しちゃうクン」です。別の言い方をすると、「辞書を引く知性さえない人」です。愛国カルト(ネトウヨ)は、自分でまともに調べることなく、自分の都合のいい情報だけ集めて思い込みで結論を出すから、デマに騙されるしデマを拡散するような人間になってしまうのですが、彼らは辞書を引くという知性さえ持ち合わせていない、ということが言えます。



・「一般民衆」の辞書的な定義は存在する


このコメントをしてきた人物は、明らかに「一般民衆」を、自分の考える「性格的に普通な人」や「激しい行動をとらない人」や「多数派」という意味で使っています。ところが、実は、「一般民衆」とはそんな意味ではなく、ネットで引けば、あっという間に辞書の定義を見つけることができます。


『weblio類語辞典』では「権力者から見た一般市民のこととあります。


『デジタル大辞泉』では、「特別の地位や権力をもたない普通の人々」としています。


こちらは信頼度は落ちますが、ニコニコ大百科にも「一般人」という項目があり、「1.人及び有名人や専門職従事者ではないこと。2.オタクの対義語」とあります。2はオタク界隈での語用でしょうが、1の意味は『weblio類語辞典』や『デジタル大辞泉』の定義とほぼ同じです。つまり、一般人とか一般民衆とか一般大衆とかの意味は、「公人でない」「特別な権力を持たない」といった意味であり、恣意的に決めた「性格・性質が普通の人」という意味ではないのです。


当然、私も安部批判の記事では、「公人ではない」「政治的権力を持たない市民」という意味で「一般民衆」という言葉を用いました。ところが、愛国カルトさんは、辞書を引くこともなく、「一般民衆」の定義も自分の中で定まらないまま、その意味を「性格・性質が普通である人」だと思い込み(しかもその「普通」も自分の恣意的な感覚に過ぎない)、「安倍辞めろ!」コールをした人たちを「一般民衆ではない」としたわけです「一般民衆」の意味をネットで引きさえすれば、こんなことは回避できるはずなのに、それをしない。辞書さえ引かないで、自分の脳内の思い込みに従って勝手なことを言う、これが典型的なネトウヨ脳だと言えましょう。



ちなみにこの人、よっぽど頭が悪いらしく、辞書の説明をされても内容を理解できませんでした。「一般民衆」の定義は権力の有無だということを理解できず、性格や性質の事だと思い続け、「連中は明らかに『特殊』に分類される」とか、「『特殊』な人間は含まないのwww」とか言い続けました。どういう教育を受ければここまで頭が悪くなれるのか、私には想像もつきません。この人が彼らを「特殊」と思うかどうかなんて、彼らが「一般民衆」であるかどうかには一切関係ないんですが、なぜかこの手の人にはそれがわからないんですね。辞書を引かない、引いても勝手な解釈をする。救いようがありません。

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・「強行採決」の意味も知らずに「強行採決ではない」と言う人たち


この「辞書を引かない」という性質は、愛国カルトの広く共通してみられる特徴です。というより、ちゃんと辞書を引いたり情報ソースを確認したりする人は、カルト化なんてしないんだろうけど。


例えば、安保法案や共謀罪が強行採決された際、「強行採決」という言葉に噛みついた愛国カルトが大勢いました。









安保法案や共謀罪を支持していた人たちは、安倍自民党による強行採決が行われても、「民主主義の多数決だ」などと言って、「強行採決ではない」と主張しました。


ところが、「強行採決」はちゃんと辞書に定義が載っています。


「与野党による採決の合意を得ずに,委員長や議長の職権の下で突発的に行なう採決」
ブリタニカ国際大百科事典


「国会などで、少数派が審議の継続を求めているにもかかわらず、多数派が一方的に審議を打ち切り、採決を行うこと」
デジタル大辞泉


なので、安倍政権支持者がどう言おうが、安保法案や共謀罪は疑いようもなく強行採決です。


法案の内容の是非とか、採決方法の妥当性の議論とは別として、辞書の定義に従い、あれが「強行採決」であったということは同意しないと、議論が成り立ちません。言葉の意味がズレたまま議論をしてもかみ合わないのは当然です。



・「内政干渉」の意味も知らずに「内政干渉だ」と言う人たち


「内政干渉」という言葉も同様です。外国人が政治的発言をすると、「安倍辞めろ!」と言うだけでも、すぐに「内政干渉だ!」と言う人がいます。




しかし、そんなことが「内政干渉」に当たらないことは、辞書を引けば明らかです。内政干渉とは、以下のように定義されています。


他国の政治外交に介入して、その国の主権束縛・侵害すること。
(デジタル大辞泉)

ある国家他国の行動に強制的に介入して,ある事態維持または変更しようとする行為軍事力行使通商制限禁止,外交関係の断絶ゲリラへの援助など干渉形態はさまざまである。
(マイペディア)

ある国の国内管轄事項に対し,他国が権限を侵犯して強制的に介入すること。干渉の形態はさまざまだが,一般に,軍事力の行使や軍事力による威嚇,通商・金融の制限や禁止,外交関係の断絶,賄賂などによる政治的工作,ゲリラへの援助,政府転覆などは内政干渉になるとされる。他方,単純な説得や勧告は内政干渉とはならない。そもそも,いかなる独立国も自己の主権保持をめざす以上,他国の内政,外交に干渉すべきではないのであって,国家は他国の管轄事項に対して広く〈不干渉の義務〉を有するとされる。
(世界大百科事典)

他国が、ある国の内政問題に強制的に介入し、主権を侵害すること。
(大辞林)


これらの定義に、他国の内政に「強制的に介入」とあるように、外国人が「安倍辞めろ!」と言っても、内政干渉にはなりません。


・「植民地」の意味も知らずに「朝鮮は植民地ではなかった」と言う人たち

戦前の日本を正当化したい人たちの中には、朝鮮や台湾について、「植民地ではない」と主張する人が大勢います。『マンガ嫌韓流』で「嫌韓」という言葉を流行らせた山野車輪なんかがその典型ですね。彼らは、「朝鮮は日本の一部であったのであり、搾取されるだけの植民地ではない」と主張します。ところが、「植民地」を辞書で引けば、彼らの主張が間違いであることはすぐにわかります。


「本国に対して政治的従属関係にある地域」
(ブリタニカ国際大百科事典)

「ある国からの移住者によって経済的に開発され、その国の新領土となって本国に従属する地域。武力によって獲得された領土についてもいう」

(デジタル大辞泉)


「本国の政治的・経済的支配下に置かれた地域をいい,完全に本国の主権下にある領土(狭義の植民地)のほか,自治領保護領租借地信託統治委任統治領なども含まれる」

(日立マイペディア)


朝鮮や台湾には総督府が置かれ、日本人の総督が就任し、総督府が司法も行政も立法もすべて統治しました。他の都道府県に、中央から派遣された総督がおかれるなんてことはあり得ないわけですし、台湾や朝鮮には国政選挙の選挙権もありませんでした(朝鮮で国政選挙の選挙権が与えられたのは終戦直前の1945年)。また、朝鮮から日本の内地に渡航するにも許可が必要でした。


これらのことを見ればわかる通り、朝鮮や台湾は、明らかに政治的・経済的に本国に従属しており、「植民地」であったことに疑いをはさむ余地はありません。その統治内容の是非とは別として、朝鮮・台湾が日本の「植民地」であったことさえ否定する人は、「植民地」の意味を何らか勘違いしているのでしょう。

・自分の脳内にある言葉の定義に頼ることなかれ



「一般民衆」にしろ、「強行採決」にしろ、「内政干渉」にしろ、「植民地」にしろ、辞書を引けば意味はすぐに分かります。何かを議論する際に、賛否とは別として、言葉の定義は一致させておかないと議論になりませんが、愛国カルトの皆さんは、普段から自分でまともな情報ソースを調べるということをしない人たちなので、辞書を引くことなく、自分の脳内にある勝手な定義で話を進めようとするのです。


「安倍辞めろ!」と叫ぶ人たちを「一般民衆ではない」と言う。

安保法案や共謀罪の採決方法を「強行採決ではない」と言う。

一般外国人の政治発言を「内政干渉だ」と言う。

朝鮮や台湾を「植民地ではない」と言う。


どれも共通することは、本来の言葉の定義を無視して、自分に都合のいいように言葉を用いている、という点です。このブログでずっと見てきた通り、自分に都合のいいものを、都合のいいように解釈して、都合のいいように用いる、と言うのが彼らの基本スタンスです。まことに独りよがりであり、自分勝手ですね。


正しい判断のためには正しい情報が必要です。身勝手な思い込みではなく、客観的に正しい情報を得るためには、まずは言葉の定義ぐらいははっきりさせておかないと、正しく物事の内容を読み取ったり、他人とコミュニケーションを取ったりすることができません。そのためには、最低限、辞書を引くという小学校で身に着ける程度の知性は必要ですし、逆に言えば、その程度の知性さえ持ち合わせていない人間は、信頼に足らない人間だと言うことができます。そういう人間に自分自身がならぬよう、気になった単語はすぐに辞書を引いて、定義を確かめるということが必要ですね。これだけでも、愛国カルトから身を守ったり、自分自身が愛国カルトになることを防止することに役立ちます。


余談ですが、某国の某首相は、辞書を引いてもいないくせに辞書を引いたと嘘をついて、「『そもそも』には『基本的に』という意味がある」と国会で述べ、そのことを追及されたら「『そもそも』には『基本的に』という意味がある」と閣議決定しましたね。わからない言葉や知らない言葉に出会った時に、辞書を引く知能を持ち合わせていない人間は、信頼するに全く値しないことは、ここで強調しておきたいと思います。


~~愛国カルトに騙されないための教訓~~

・わからない言葉は辞書を引こう。
 知ってるつもりの言葉も辞書で確認しよう。
 
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