ざっくり言うと
- 前川喜平氏らが行った、私学教員や一般人を主な対象としたパネルディスカッションを、夕刊フジは「高校生のための講演」と嘘をつき、「参加した高校生が、前川氏の講演は時間の無駄だったと激白」したとする、卑劣極まりないデマ記事を掲載した。
- 「高校生のための講演」どころか、高校生のためでもなければ講演でさえない。
・夕刊フジ、前川氏についてのデマ記事を掲載する
「前川氏講演は『時間の無駄だった』参加高校生が激白 半分以上が安倍政権批判」
3月24日、こんなタイトルの記事がYahoo!ニュースに掲載されました。掲載元は夕刊フジ。産経新聞が発行している夕刊紙です。
本日の夕刊フジです。 pic.twitter.com/nBVIRVsN6N
— 産経新聞販売推進部 (@sankei2017) 2018年3月23日
つい先日、前川氏が名古屋市の中学校で行った公開授業について、自民党の赤池誠章参院議員、池田佳隆衆議院議員が文科省を通じて学校に圧力をかけたとして問題になったばかりです。その際に、学校長は「ポジティブな反応ばかりいただいている」「(ネガティブな反応は)まったくございません」と答えています。
おそらく、「前川氏の講演は『時間の無駄だった』参加高校生が激白」などという記事を見れば、前川氏が高校生向けの授業で安倍批判を行い、生徒から呆れらえた、と思うことでしょう。そして、中学校校長の「ポジティブな反応ばかりだった」「ネガティブな反応はなかった」という証言を疑問視することでしょう。もちろん、夕刊フジがそれを狙ったことは想像に難くありません。事実、ツイッター上ではそんな反応が多数見受けられ、「高校生かわいそう」だとか「教育基本法違反だ」だとか書かれています。
完全に違法行為。
— まっちゃむは保守です(^.^)。 (@blackdiablo4) 2018年3月23日
教育基本法第二章 第一四条二項
法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
あーこれを見る限り、思いっきり「政治的」な話をしていたようですね。
— オブジェクト@図書館はいいぞ (@oixi_soredeiino) 2018年3月23日
前川氏だけでもキツイのに、そこにゆとり教育導入朝鮮学校礼賛寺脇研氏迄ニコイチで付いてたなんて、どんな罰ゲームなの。
— のんちゃん (@CfTmp) 2018年3月24日
ここの高校生が可哀想過ぎる。
はい?
— HIRO (@HIRO_8_ORIH) 2018年3月24日
生徒が皆絶賛していたってテレビで言ってたんですけど?
そもそも中立であるべき教育現場に、片方の政治的理念を持ち出した点でアウト。NHKやマスコミが(平気で)行う印象操作に過ぎない。今の中学生・高校生はSNSに長けている。授業がどれだけ馬鹿馬鹿しいか判断できる。それよりも生徒の保護者は放っておいて良いのか?子供がアカく染まっても。
— YUUZAN@Doll Master (@yuuzantorii) 2018年3月24日
しかし、夕刊フジのこの記事は、卑怯極まりないデマ記事です。中学校での公開授業が話題になった直後に、「参加高校生が激白」などという見出しをつけた記事が載れば、誰もが高校生を対象とした授業を想像することでしょう。この前川氏の講演は、そもそも高校生を対象としたものではないのです。もちろん、教育現場での講演でさえありません。
前川氏が講演したのは、第25回授業改革フェスティバル。愛知私学の教員を中心に企画され、学校の先生を主な対象に、授業実践の紹介や、講演会などが行われるものです。公開授業なども数多く行われているものの、それらは先生たちの授業の実践発表というものであって、開催日も日曜日ですし、もともと高校生を対象としたものではない、参加自由の公開イベントなのです。
教員・一般人向けの討論会を「高校生のための講演」と嘘をつく夕刊フジ

そもそも「授業改革フェスティバル」という名前からもわかる通り、これは先生たちが学びあって、より良い授業をしていくための研究発表や懇談会などで構成されています。こちらのパンフレットを見てもらえばわかりますが、公開授業とか、「養護教科懇談会」とか「授業改善の困りごととなんでも相談会」とか授業レポートとか、教師の研鑽のための催しがメインになっています。HPの冒頭にも「先生だけでなく、生徒や父母、市民など関心をお持ちの方ならどなたでも参加できます」と書いてあることからも、先生がメインの対象であることがわかります。

そして、前川氏の講演というのは、「これからの日本、教育、私学!」というタイトルのパネルディスカッションであり、「これからの日本と教育、そして私学の進むべき道を徹底討論する」という内容であって、もともと「高校生のための講演」などではないのです。というか、高校生のため以前に、これは討論会であって、講演でさえない。

この夕刊フジで紹介されている高校生がどういう生徒なのか知りませんが、記事を見る限り、団体で参加しているようなので、自分で興味があって参加したのではなく、学校の課外授業のような形で参加させられたのでしょう。そりゃあ、「これからの日本、教育、私学!」なんてタイトルで、「これからの日本と教育、私学の進むべき道を徹底討論する」なんて内容のパネルディスカッションは、大半の高校生にとっては興味がなく、時間の無駄なのは当たり前でしょ。
にもかかわらず、夕刊フジは、「高校生のための講演だったはずが、『出席した多くは教職員や一般人だった』」という明白なデマを堂々と記載。恥知らずこの上ない。もともと教職員や一般人のためのものだし、講演じゃなくて討論会だっつーの!

↑夕刊フジの記載。「高校生のための講演」というのは完全なるデマ
討論会が行われたのが日曜日であることを隠し、中学校での講演と同じく授業の一環で行われたとミスリードする卑怯な夕刊フジ
自民党議員が圧力をかけた名古屋市の八王子で行われた前川氏の公開授業は、金曜日に学校の総合的な学習の時間として行われました。つまり、正規の授業の一環で行われています。夕刊フジで紹介された講演も、そのような授業の一環で行われたものと間違ってしまいそうですが、これが行われたのは日曜日です。
「日曜日に行われた」という情報があれば、通常の学校の授業中に行われたものではないことはすぐわかるので、「高校生のための講演」というデマがバレやすくなります。それを見越してか、夕刊フジは、前川氏の講演が行われたのが日曜日であることを隠しています。しかも、中学校での公開授業の情報と並列させて説明し、「私立高校で開かれた」と書くことで、まるで中学校の授業と同じように、高校でも授業の一つとして講演が行われたかのようなミスリードをしています。

(↑日曜日という情報を隠し、中学校の講演と同じような公開授業であるかのようなミスリードをする夕刊フジの記載)
授業の一環として行われた公開授業と並列し、日曜日という情報を隠し、「私立高校で行われた」「高校生のための講演」と書かれれば、高校生相手の授業として行われた講演で、安倍政権批判を行って高校生からそっぽを向かれた、と誰もが思ってしまうでしょう。しかし、実態は全く異なり、もともと高校生のための講演でもなければ、授業の一環でもなく、教員を主な対象とした、自由参加のイベントだったのです。
先日も、足立康史が謝罪・撤回した野田中央公園についてのデマをデカデカと掲載するという頭の悪さを恥ずかしげもなくさらした夕刊フジですが、今回もそれに負けず劣らずの恥知らずな下劣さで、夕刊フジや産経新聞という存在が、どれだけ下劣であるかよくわかります。
Yahoo!もこのデマ記事を掲載して前川氏の名誉棄損に貢献しておきながら、「記事内容はうちは関係ない」という態度です。Yahoo!にもデマを拡散した大きな責任がありますね。



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コメント
最近のネトウヨや日本会議、そして産経や夕刊フジのデマ・ミスリードは目に余りますね。あまりこういう言葉は使いたくないですが、彼らの行動を見て「下劣」か
続き
「下劣」や「卑劣」という言葉が頭に浮かんでしまいます。
私もいつか、前川さんの講演を聞きに行きたいです。(〃ω〃)ポッ
もう政権がサンケイグループに金を流し込んで、前川氏の人生を潰そうとしているんじゃないかとか、言論弾圧をしているんじゃないかと勘繰ってしまいます・・・。
この考えが正しいとすると、もう怖くて怖くて仕方ないんですが・・・。
こういうしょーもない知能の欠片も感じられないピンポンダッシュ
残念ながらイライラすらできんよ、あんまりのバカさに失笑してるわw
まあ、それが最高教育なら仕方ありませんが。
知識も発言もデマで埋め尽くされた日本になりつつありますね。
これでもネトウヨはアサヒをデマ、捏造と卑下するので呆れて開いた口が塞がらないです
最も、産経新聞自体経営状態がかなり悪化しており、売り上げの一部を夕刊フジから融通してもらっている(らしい)状況では「産経新聞が書けない下劣なことを夕刊フジが代わりに書いている」のかもしれませんが・・・。
夕刊フジの取材を受けた高校生(WEED氏)については、夕刊フジのこの記事について検索をす
るとTwitterでの投稿が出てきますね。WEED氏が前川氏の講演を聞いた際の感想については
2月18日につぶやいていますね。
愛知県高校生フェスティバル公式アカウントで2月19日につぶやかれている記事で紹介され
ている新聞記事(おそらく中日新聞と思われます)によると、前川氏は基調講演(報告)をされ
たようです。基調講演はシンポジウム等で議論の発端となる問題提起をするものですので、
ただ講演をしたものではないと思われます。この時点で夕刊フジの記事には「?」となるわけですが。
WEED氏はその基調講演において、前川氏が森友問題・加計問題等にばかり言及して、天下り
斡旋問題について触れなかったことが気に入らなかったようです。シンポジウムの基調
講演である以上テーマに関係ないことについては触れないことは何ら問題はないのですが、
彼には許せなかったのでしょうね。
夕刊フジはWEED氏のコメントをもって、(中日)新聞の報道を否定するのでしょうか?
(スガ官房長官は「恋々と」と言った!ということに無理クリなっていますが、スガさんはあの時ハッキリ「連綿と」と言った。
「れんれん」を「れんめん」と言い間違えるワケがないです、唇の動かし方から考えて(逆はあるかもしれないが)。
ま、国語辞典にない言葉の意味を閣議決定しちゃう安倍政権ですからね、「恋々はれんめんという読み方もある!」という閣議決定くらい、オチャノコサイサイでしょうがね┐( ̄ヘ ̄)┌)
安倍政権の反知性ぶりがここにもさりげなく顕れていたなあ、という関連で。
嘘でも一万回言えば誰かは信じるというのも、あながち間違いでは無いのが困りものですね
デマをばらまく側としては、事の真偽なんてどうでも良いのでしょう
私は、スガさんは絶対「連綿と」と、意味を間違えて言った、と確信しています。
だってさ、オッサン(それもオジイチャンに近い)がオッサンの仕事を記者会見の場で公開処刑して罵るのに、「恋」というパーソナルでポエジーな言葉をチョイスするなんて、キモチワルくありません?
スガ官房長官に「恋」って、メチャメチャキモチワルイ取り合わせだと思う、
まだ「連綿と」の意味勘違いしていましたーテヘペロ、と言うほうが、マシ。
「恋々と」と言った、ちゅう、恥の上塗りっぽい言いわけが、
安倍政権の、森友問題の公文書改竄にも繋がる、アカン雰囲気を醸し出しているよな~シミジミ、と、思います。
(官僚さんはカシコイから、そんな間違いはしないと思うけどね??あるとしたらスガさんの側近筋?)
その官僚さんの、首が飛ぶんですかね……?
スガさんに恥をかかせて、逆鱗に触れた、とかで。
東大まで行ってガンバったのがすべてパー、
こう考えると、内閣人事局、というのは実にアカン仕組みな気がしますね。。。
……以上、すべては妄想かもしれません、悪しからず。
私みたいな愚か者がどういう捉え方してたかと言うと、まず中学での授業と先生向けのイベントの二つあった事自体を認識してませんでした。
つまらなかったと呟いた人が高校生だってのもスルーして、最初から言われてた中学での授業に参加した生徒の呟きだったとばかり思ってましたよ。
ここまで薄ぼんやりした馬鹿はそうそういないでしょうが、まあフジの狙いはこういう馬鹿を騙すのが目的だったんでしょう。
そのことについて、記事の中ではっきりと書いてますよ。
「自分で興味があって参加したのではなく、学校の課外授業のような形で参加させられたのでしょう」
って。ちゃんと読んでください。
あなたの考えるようなことは、先回りしてちゃんと書いているのに、「決めつけが多いですね」とか言わないでいただきたいです。
今時そんな教師いますか?
大昔の話されてます?
ムキになってなどいませんよ。あなたの低レベルな言論に呆れているだけですよ。「忖度」の意味も解ってないようですしね。「私学でも中高の担任は権力者だから、私も忖度しました」とか「変な担任に当たれば、忖度しますよ」とか、日本語レベルで意味不明ですよ。
教師が生徒を強制参加させたかどうかなんて、何の関係もない。それはその教師と生徒の問題です。夕刊フジの記事の問題は、このイベントがそもそも「高校生のための講演会」ではないにもかかわらず、デマを書いて前川氏の講演を貶めたことです。それぐらいわかりませんか?
あなたの会社がブラック企業だとか、あなたの先生が変な担任だったとか、貴方個人の問題などクソどうでもいい。まずは記事の内容を理解する程度の知性を付けてから書き込んでください。
>>23
自分の見落としを指摘されて、ムキになるなと話を逸らす辺り、お察しの知性。ムキになってるのはどちらだか。
たとえその昔ばなしが本当だとして、そんな忖度(笑)に従わなければ内申が危ういほど、成績もズタボロだったのでしょうね。
ブログでの主張や意味不明な反論への対応や切り返し、まさにお見事です。
『木村草太先生』のような『簡潔な主張』、『適切な語彙』、『適切な解釈』、素晴らしいです。
色々な方に絡まれて疲れる事も多いと思いますが、このブログを参考にしてますので、今後もビシッと続けて下さい。
産経は訂正記事出すべきです。