ざっくり言うと
  • 愛媛県が国会に提出した文書に記載されていた、2015年2月25日の安倍・加計面会を、「首相動静に載っていないから捏造だ、フェイクだ」と騒ぎ立てる人が多数発生。
  • 実際には、首相動静に記載されない面会の存在など政界の常識であり、具体的には、2012年2月25日の野田・谷垣会談や、2015年6月26日の安倍・逢見会談などが存在する。
  • 「首相動静に載っていないから捏造だ」などという発言は、政治的な常識を知らない人だという判断材料になる。そのような人の政治発言は信用するに値しない。
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愛媛県が総理答弁と矛盾する新たな文書を提示

5月21日、愛媛県が新たな文書を国会に提出しました。そこには、2015年2月25日に、安倍晋三が加計考太郎と会い、獣医学部新設計画について聞かされていたという加計学園側の証言が記載されており、これまでの安倍晋三の国会答弁と矛盾するものとなっています。

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(↑フジテレビのニュースより)

しかし、2015年2月25日の「首相動静」には、加計孝太郎との面会は記録されておらず、まとめサイトや、それを鵜呑みにする人たちは、「捏造だ」「朝日終了(笑)」と囃し立て、「首相動静」がtwitterトレンド1位になるほどでした。

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(↑まとめサイトは、「フェイクニュース」「捏造」「朝日終了」などと囃し立てた)


ジャーナリスト気取りで『正論』に頓珍漢な記事を書く宮脇睦も、「首相動静に書いてないから愛媛県文書はフェイク」という主張を展開しています。(いい加減『正論』は『曲論』とでもタイトルを変えたらどうだろう)

これは愛媛県が国会に提出した文書であって、朝日新聞の独自調査でもスクープでも何でもなく、各マスコミが一斉に報じたのに、どうして朝日新聞が終了になるのか完全に意味不明ですが、論理性という言葉は彼らの脳内には存在しないので仕方がないことです。「論理」という言葉から、この世で最も遠いところに存在しているのが彼等であると言っても過言ではないでしょう。


さて、たしかに、当時の首相動静には、加計孝太郎との面会は記録されておりません。


しかし、「首相動静に載っていない=会っていない」ではないのです。過去にも首相動静に載らない面会など山ほどあったのです。

「首相動静に載っていない」=「会っていない」ではないのは政治の常識

立憲民主党の枝野氏はこう述べています。
これは事実で、時事通信は、首相動静では確認できなかったとしたうえで、このように述べています。
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首相動静に表れない「密会」が日常的に行われているとの証言もある。官邸や公邸に記者の目に触れないように出入りするのは容易とされており、動静だけで判断するのは難しい。

(時事通信5月21日)
首相動静に載らない形での密会の存在については、去年、あの安倍晋三総理大プッシュの夕刊フジさえもが言及しています。
新聞各紙の政治面に前日の「首相動静」が掲載されている。だが、時の首相が公にしたくない人物との面会の場合、公邸でひそかに会えば、「首相動静」に載らない

では、安倍首相の場合はどうなのか。公邸泊まりが実に多いのだ。(2017年)6月は、通常国会最終盤であったにしても、何と11日間も宿泊している。
2017年8月1日夕刊フジ

具体例として、みのもんたが、「総理首相と会ったのに首相動静に記載されていなかった」と怒ったということもありました。
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みのさんは時期や相手の名前を明らかにしなかったものの、あるとき「総理大臣と言われる方」から、「一度会ってお話がしたい」と連絡があったのだという。みのさんは自分の行きつけの店で、という条件でこれを承諾し、実際に会食をした。

翌日、みのさんが自分の名前が出ているだろう、と思いながら新聞各紙の首相動静欄を読んだところ、そこにはなぜかみのさんの名前はなく、「蓮舫(参院議員)と飲んだ」とのみ記されていた。
「(私と会ったことを)消してるんです。失礼ですよ」とみのさんはふくれっつらを作り、 「あそこに出ている首相行動というのは絶対に信じられないなと思いました」 と述べた。

(略)

政治評論家の有馬晴海さんも、こうした表ざたにならない会食は、四六時中番記者に張り付かれている首相にもやはり存在すると話す。
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他にも、野田首相(当時)は、2012年2月25日に、当時野党だった自民党の谷垣氏と密会していますが、それも当時の首相動静には出ていません

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 2012年2月25日。当時の野田佳彦首相は、東京都内のホテルで昼食をとりました。相手は藤村修官房長官とされ、翌日の「首相動静」にも、「日本料理店で官房長官と食事」と載りました。

 ところが、実は野党・自民党の谷垣禎一総裁と密会していたのです


 与党の代表である首相と、野党第1党の総裁が、秘密会談……。政治的にとても重要なことが話し合われたのは、間違いありません。後になって、この2人が会っていたことがわかり、総理番たちは地団太踏んで悔しがったものです。(withnews2017年7月30日
野田、谷垣両氏は密会を認めていませんが、多くの人は事実だと受け止めていることでしょう。


2015年6月26日には、連合の逢見直人副会長(当時)が、公邸でひそかに安倍首相と会っていたことも明らかになっていますもちろん、首相動静には記載されていません

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次期連合事務局長に就任する見通しの逢見直人副会長(UAゼンセン会長)は14日、連合本部での三役会で、先月26日に首相公邸で安倍晋三首相とひそかに会っていたことを明らかにし、陳謝した。古賀伸明会長は「軽率だとの指摘が来ている」と苦言を呈した。
日経新聞2015年7月15日

首相動静に載らない面会の存在など、はっきり言って政界の常識なんですよ。それを、「首相動静に載っていないから、愛媛文書は捏造だ」なんて言う人たちは、ちょっとこの手の常識を知らなすぎです。


問題の2015年2月25日、朝日新聞の首相動静を見ると、以下のようになっております。
2015-02-25 首相動静(2015年2月25日) 朝日新聞
 【午前】7時49分、官邸。50分、加藤勝信官房副長官。 8時53分、国会。9時、衆院予算委員会。
 【午後】0時6分、官邸。55分、国会。1時、衆院予算委。
2時5分、官邸。
33分、米シンクタンク外交問題評議会のハース会長。
3時、毎日新聞のインタビュー。
4時9分、谷垣禎一自民党幹事長。
5時30分、戦後70年談話に関する有識者懇談会。
6時28分、公邸。各府省庁の副大臣と食事。菅義偉官房長官ら同席。
8時18分、東京・富ケ谷の自宅
確かに加計氏との面会は書いてありませんが、0時6分に官邸についてから55分前の国会までの間や、8時18分に自宅に戻ってからの時間に会うことは可能です。


また、午前に加藤官房副長官と会っていますので、そこに加計理事長が同席していた可能性もあります事実、加藤官房副長官は、2月14日に加計学園側と会っていることを認めています。同席者の名前は首相動静には書かれないことも多いようなので、この場合、加計氏には「密会」という意識も全くなかった、ということも考えられます。

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(↑2017年2月14日に加計学園と会っていたことを認め、問題の2月25日に安倍総理と面会している加藤官房副長官(当時))

この首相動静から、安倍・加計面会を否定することなどできるわけがないのです。これぐらいは、政治に少しでも関心がある人ならば、言うまでもなくわかることです。


他にも、「異なるフォントが混じってる」などと言って、文書の信憑性を否定するネット民もいるようですが、「総理のご意向」文書にも全く同じことを言って捏造扱いして、後で存在が確認されたことをもう忘れたのでしょうか?

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↑フォントが違うことを問題視するネット住民
↑「フォントが違う」とか「日時がない」とか言って、フェイク扱いした文書が後から本物と確認されたのは記憶に新しい。


彼らはいい加減学習したらどうですかね。「総理のご意向」文書も、前回の愛媛文書も、フォントがどうとか、日付がどうとか、「首相」か「総理」かとか、そういうことで捏造扱いしてから、文書の存在が確認されるということを繰り返してるじゃないですか。一連のモリカケ問題で、文書を捏造したのは安倍政権だけなんですよね。むしろ加計学園側と利害を共有しているはずの愛媛県が文書を捏造する意味は全くないわけですし。


何にせよ、「首相動静に記載がないから安倍・加計面会は捏造だ」なんて主張には、全く説得力の欠片もありません。というか、この人たち、普段は「マスゴミ」とか言ってバカにしてるくせに、どうしてこういう時には、マスコミは首相の行動をすべて把握できてる有能機関であるかのように言うの? 

 
こんな主張をしている人は、多分普段新聞もテレビのニュースもまともに目を通していない人なのではないかと思うのですが、こういう主張をしている人たちには、この2012年2月25日の野田・谷垣会談や、2015年6月26日の安倍・逢見会談など、首相動静に載らない密談の存在を教えてあげてください。


それにしても、ただの一般人ならともかく、宮脇陸のように、曲がりなりにも記事を書いて原稿料を貰っているような人間が、こんなことも理解していないという事実には驚きを禁じえません。宮脇睦を始め、今回の件で、「首相動静に載っていないから愛媛文書は捏造だ! フェイクだ!」と言っている人間は、政治的な常識を持ち合わせていない人間であるという一種の判断材料になりますね。そういう人の言うことは、信じないようにしましょう。

==追記==

安倍晋三が、愛媛県の文書に書かれた面談を否定しましたが、なんと、そこには驚きの発言が!

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 安倍晋三首相は22日朝、首相官邸に入る際、愛媛県が国会に提出した文書に学校法人「加計(かけ)学園」の加計孝太郎理事長と2015年2月に面会したと記されていることについて、「ご指摘の日に加計理事長と会ったことはない。念のため、昨日、官邸の記録を調べたが、確認できなかった」と説明した。
朝日新聞
記録を調べた!!??
記録が保存されてるってことじゃねえか!!!!


柳瀬と加計・愛媛・今治職員の面会について、これまでずっと「官邸訪問者の記録が保存されておらず、確認できない」って言い続けてきたのはなんだったんだ? 官邸の記録を調べて、加計と会っていないというのなら、官邸は訪問者の記録を保存してるってことじゃないか!


一つの嘘を守るために、前の嘘がバレる。安倍晋三の黄金パターンですね。

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