<ざっくり言うと>
  • 坂東忠信、関東大震災時の朝鮮人虐殺は「歴史的裏付けがあやふや」でそれを学校で教えることは「憎しみを植え付け民族自虐を迫るもの」と頓珍漢なことを言い出す。
  • 関東大震災の際に朝鮮人虐殺があったことは、当時の内務省の調査記録などからも明らかである。
  • 「被害者数など詳細が曖昧だ」という理由で否定する人は、天安門事件も同様の理由で否定するのか。
  • 負の歴史を認めない者は、同じ過ちを繰り返す愚人である。
  • 原因を「民族」に求めるから物事を直視できなくなる。善も悪も原因を「民族」に求めてはいけない。
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「外国人犯罪が増えている」とデマを吐く坂東忠信


坂東忠信という男がいます。元警視庁翻訳捜査官と名乗っていますが、警視庁に所属していたくせに外国人犯罪について嘘八百を並び立てている絵に描いたようなデマゴーグです。


このブログでも、外国人犯罪について、
「来日外国人の犯罪数しか発表されておらず、在日外国人の犯罪数は隠されている」だの
「外国人犯罪が増加している」だのの、坂東忠信が流した大嘘についての検証記事を書きました。在日外国人の犯罪数は隠されてなどいませんし、外国人犯罪は増加しているどころかこの10年間ほぼ一貫して減り続け、過去20年間で最低になっています。

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↑外国人犯罪の検挙件数の推移

そもそも「日本人の犯罪は構わないけど外国人犯罪はダメ」とか「日本人に襲われる心配はないけど外国人は襲ってくるかもしれない」とかそんなことはあり得ないわけで、犯罪の中の「外国人犯罪」を特別警戒する必要などないはずです。普通に「犯罪には気を付けましょう」でよいのに、わざわざ「外国人に気を付けましょう」などと言うのは全くのナンセンスです。


・関東大震災での朝鮮人虐殺はただの歴史的事実

さて、「外国人犯罪がー!」などと大嘘を吐き続ける坂東忠信、今度はこんなことを言っていました。

彼によると、関東大震災での朝鮮人虐殺は「歴史的裏付けがあやふや」で、それについて学ぶことは「小学生に憎しみを植え付け、民族自虐を迫る」ものだそうです。


何を言っているんだ、こいつ。


既に数回記事にしていますが、関東大震災の時に多数の朝鮮人が虐殺されたことは、ただの歴史的な事実です。


このことは、当時の内務省が編纂した『大正震災志』にも書かれており、現在の内閣府のHPにも、中央防災会議による「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」というものが掲載されており、そこに朝鮮人虐殺について書かれています。
 関東大震災時には、官憲、被災者や周辺住民による殺傷行為が多数発 生した。武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった。殺傷の対象となったのは、朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人も少なからず被害にあった。加害者の形態は官憲によるものから官憲が保護している被害者を官憲の抵抗を排除して民間人が殺害したものまで多様である。また、横浜を中心に 武器を携え、あるいは武力行使の威嚇を伴う略奪も行われた。

(略)

  軍や警察の公的記録では作業量が大きかった朝鮮人の保護、収容が強調されるが、特に3日 までは軍や警察による朝鮮人殺傷が発生していたことが東京都公文書館所蔵の「関東戒厳司令 部詳報」の「震災警備ノ為兵器ヲ使用セル一覧表」(『関東大震災政府陸海軍関係史料』第二巻 に翻刻、以下「兵器使用一覧表」と略称。東京都公文書館所蔵の原本は現在公開が停止されて いるが、同館の協力により個人名を抹消した電子複写を閲覧して校合した)から確認できる。 戒厳司令部が陸軍各部隊からの報告に基づいて作成したこの史料では、軍隊の歩哨や護送兵の任務遂行上のやむを得ない処置として11件53名の朝鮮人殺害が記録されている。一方、警察の記録で警察関係者による朝鮮人殺傷は確認できない。しかし、「兵器使用一覧表」には次のよう な叙述がある。3日午後に野戦重砲兵第一連隊の兵卒3名が洲崎警察署の要請で巡査5名とと もに朝鮮人約30名を移送中、永代橋付近で彼らが逃亡した。隅田川に飛び込んだ17名を巡査の依頼で兵卒が射殺したが、この際飛び込まずに逃亡しようとした他の朝鮮人は「多数の避難民 及び警官の為めに打殺せられたり」。これにより、巡査と民間人が共同しての殺傷行動があり、 それは警視庁の公刊の記録に記載されなかったことがわかる。 
参照) 
「朝鮮人が略奪をしていたんだから正当防衛だ」とか言う、頭が100年ほど遅れている人間もいまだにいるみたいですが、報告書は、朝鮮人の略奪や暴動がデマであったことも記されています。その辺は以前詳しく記事にしておりますので、こちらこちらをお読みください。


起訴に至った事件だけで、最低でも233人の朝鮮人が殺されており、この数字はあくまで全体の被害の「一部にとどまる」ことも明記されています。正確な数ははっきりしませんが、当時の朝鮮総督府は800人超を朝鮮人の被害者数と見積もっており、「在日本関東地方罹災朝鮮同胞慰問班」は6600人としています。当時の調査方法の信憑性がわかりませんし、殺害されたのか別の理由で亡くなったのか不明の人や行方不明の人が大勢いたはずですので、被害者数の正確な数字はもはや知りようもありませんが、数百から数千に及ぶ多数の朝鮮人が虐殺されたというのは、歴史的な事実です。


坂東忠信は、朝鮮人虐殺について子供に教えることを、「憎しみを植え付け民族自虐を迫る」ものだと言っていますが、国の負の歴史を学ぶことは、国の未来を考えるうえで最低限必要な教養です。



・朝鮮人虐殺否定は天安門事件否定と同じこと


朝鮮人虐殺を「民族自虐」などと言う坂東忠信のような人間の脳内では、都合の悪いことは教えないのが愛国のつもりなのでしょうが、それでは中国や北朝鮮とまるで同じです。


現在中国では天安門事件のことは教えません。都合が悪いからです。関東大震災の朝鮮人虐殺について「民族自虐だ」とか言って「教えるな」というのでは、それと寸分変わりません。


朝鮮人虐殺を否定する奴の中には、「被害者数がはっきりしないから、朝鮮人虐殺があったなどと認められない!」と言うバカもいます。

しかし、それを言うのなら、天安門事件の被害者数も全くはっきりしていません。


中国共産党は事件の死者数を319人と発表しているらしいですが、「最大3000人」とか「最低10000人」とか、関東大震災時の朝鮮人の虐殺数以上に、全くはっきりしていません。


被害者数が曖昧だという理由で事件そのものを否定しようなどという奴は、天安門事件も同様の理由で否定するんでしょうか。同じことは南京大虐殺などについても言えますね。


「真っ向から対立する説があることを学校で一方の側から教えるのはまずい」「日本が悪いと刷り込む黒い意図がある」などと、坂東忠信に賛同する人もいました。

しかし、すでに見てきたとおり、関東大震災の時にデマが流布し、それにより多数の朝鮮人の虐殺が行われたことは歴史的事実です。


「真っ向から対立する説がある」などと言っていますが、その「対立する説」とは、当時の記録も無視したただの妄言にすぎません。


これで「対立する説があるから学校で教えるな」などと言うのは、

「進化論には、対立する説(創造論)があるから学校で教えるな」

「信長は生き延びたという説があるから、本能寺で死んだなどと教えるな」

「9.11はアメリカの自作自演と言う説があるから、ビン・ラディンが犯人だなどと教えるな」

「アポロ11号は捏造だという説があるから、月面着陸など教えるな」

「天動説があるから、地動説など教えるな」

というのと寸分変わりありません。カルトですね。これが愛国のつもりなのですから、愛国カルトと呼ばざるを得ません。


・善も悪も原因を「民族」に求めるからいけない

虐殺事件は何も日本特有の現象ではなく、ルワンダ虐殺やらナチスやら世界中に例があるわけです。宗教対立だったり民族対立だったり政治対立だったり原因はいろいろありますが、「虐殺を行った側が残酷な劣等民族だから虐殺が起きた」なんてことはないわけです。ナチスが極悪非道を行おうと、ドイツ民族が残虐な民族だってわけではないでしょう。


関東大震災の時の朝鮮人虐殺の場合は、デマと差別が原因だったわけですから、
「噂を軽々しく信じたり拡散したりしてはいけない」
「差別はいけない」
ということを学べばいいだけなのに、虐殺の理由を「民族」に求めるから「自虐だ」なんて言い出す。まともな知能を持っていれば、関東大震災時に朝鮮人虐殺があったからと言って、「民族自虐」なんかになるわけはないんですよ。


普段からやたらと「日本すごい!」「日本人すごい!」「日本人でよかった!」「日本人に生まれたことを誇りに思う!」とか言って、日本の良いところの原因を「民族」に求めるから、負の歴史の原因も「民族」に求めてしまって、直視できなくなるんです。


自分の誇りの源泉を、「日本人であること」なんていう努力して得たものではないものに求めてるから、この程度のことで誇りが揺らぐんですよ。それで負の歴史を直視することを「反日だ」とか言い出す。見たいものだけ見て、見たくないものは見ないという典型例であり、実に情けない。坂東忠信らの場合、「見たいものを見る」どころか、「外国人犯罪が増加している」なんていう「見えるはずのないものまで見る」という姿勢ですので、なおのこと情けない。


原因を民族に求めるから、「朝鮮人は悪い奴らだ」って言って虐殺が起きるし、「ユダヤ人は悪い奴らだ」って言って虐殺が起きるし、「ツチ族は悪い奴らだ」って言って虐殺が起きるんです。


良いことであれ悪いことであれ、原因を「民族」に求めるのは間違いであり、ろくなことはありません。


坂東忠信やその賛同者たちのように、負の歴史から目を逸らし、それを学ぶことを「民族自虐」などと言うことは、同じ過ちを繰り返すことになり、結局日本にとって害悪しかもたらしません。

負の歴史を認めない者は同じことを繰り返す


以前やった失敗と同じことを繰り返すくらい愚かなこともないと思いますが、負の歴史を認めない愚かな人間は、同じことを繰り返します。それが、前回紹介した、東日本大震災や熊本地震や今回の北海道地震の際に、「外国人が強姦している」「外国人が窃盗を働いている」などというデマを流した連中です。

↓震災に乗じてデマを流す連中の例

西村幸祐は「報道されませんでしたが、特アの人間が遺体から指輪などを残虐な方法で持ち去った例も報告されています」などと言っていますが、いったいどこに「報告」されたんでしょうね…。それに、どうやって遺体から「残虐な方法」で指輪を持ち去るんだろう…。西村幸祐の脳内では、被災地は『北斗の拳』みたいな無法地帯になっていたんでしょうか…。


関東大震災で、デマに基づいて朝鮮人虐殺が行われたという歴史的事実を正しく認識している人間ならば、こんなバカなデマを流したりはしないはずです。坂東忠信のように、「民族自虐だ!」などと言って、過去の過ちから目を背けることが、どれだけ愚かで卑怯で、日本にとって害悪であるか、よくわかると思います。


真実を追及する姿勢は大切ですが、「関東大震災での朝鮮人虐殺はなかった」とか「アポロ11号は捏造だ」とか言うことは、真実追及でもなんでもありません。本人たちは「世間は騙されているが、俺は真実を知った」ってつもりになっているんでしょうけれど、彼等のやっていることは信じたいことを信じて、信じたくないことを信じないというだけであり、真実を追求する姿勢からかけ離れています。


坂東らのように、善も悪も原因を「民族」なんかに求めるから、物事をまともに見られなくなるのです。負の歴史に向き合うことは自虐でも反日でも何でもありませんし、逆に負の歴史から目を背けることは、同じ過ちを繰り返す愚行であり、日本にとって害悪以外の何物でもありません。


愛国カルトに騙されないために

・善も悪も、原因を「民族」に求めるのは間違いである。

・負の歴史に向き合うことは自虐でも反日でもない。

・負の歴史から目を背けることこそ、未来のためには害悪しかない。


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