<ざっくり言うと>
  • 前回の続き。
  • 丸山穂高が国会で述べた「2015年7月の生活保護受給世帯数は44965世帯」というのは年次調査の数字であり、2015年7月31日の1日だけを調べたもの。一方、2019年1月の外国人生活保護受給世帯数が46475世帯というのは、2019年1月1日~2019年1月31日までの1か月間に保護を受けた世帯の数字。
  • 丸山は、1日だけを調べた調査と、31日間を調べた調査とを比較して、「生活保護受給世帯数が増えている」と言ってしまうという愚を犯していた。統計のトの字からやり直さないといけない。
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今回の一連の記事↓

~丸山穂高の「2015年7月44,965世帯」発言の謎~


先日アップしました、「丸山ほだかの『日本全体の生活保護受給世帯数は減っているのに外国人の受給世帯数は増えている』は嘘」という記事への続報です。前回記事への追記の形にすると、あんまりにも記事が長くなるので、新記事として分割しました。


前回記事で、今年4月24日に丸山穂高が「平成27年(2015年)7月には、44,965世帯だった。外国籍受給者は増えてる!」と言っていたのに対し、私は「実際の数字は46,750世帯で、外国籍受給者は減っている!」と反論しました。


↓ネトウヨ代表格DAPPIが、丸山が言った数字をもとに「厚労省が印象操作をしている」と非難。


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↑実際の数字。丸山穂高が言及した2015年7月の外国人の被保護世帯数は、実際には46750世帯だった。(平成27年の生活保護に関するデータ一覧はこちら。上の表は→EXCELデータから抜粋)


はたして、丸山が言った、2015年7月の外国人生活保護受給世帯が44,965世帯だったという数字はどこから来たのでしょうか?



~違いは年次調査と月次調査:この2つは比較できない~


最初、丸山穂高が参照した年を勘違いしているか、単純にメモの数字を書き間違えたか、なにかそういうことが起きているのかと思いました。


しかし、国会審議をHPから検索したところ、平成29年(2017年)2月22日の予算委員会第五分科会、確かに丸山穂高が、外国人生活保護について質問し、厚労省職員から下のような回答をもらっています。


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>>平成二十七年七月末現在でございますけれども、
>>世帯主が外国籍である生活保護世帯数は、
>>四万四千九百六十五世帯でございます。
>>また、その世帯主が外国籍である生活保護世帯の世帯人員数、
>>こちらには日本国籍の世帯員も含まれる数でございますけれども、
>>六万九千九百十四人となっております。



つまり、これについて、丸山穂高は確かに国会で質問し、厚労省職員から返答を得ていました。丸山穂高自身が、数字を間違えたわけではないようです。丸山穂高が単純にミスったんじゃないかという疑惑については、そうではなかったので、そこは訂正して謝罪します。丸山君、疑ってごめんね。


さて、そうなると、私の方が見る数字を間違えたのか、見るべき表と違う表を参照していたのか、とビビってしまったわけですが、4月24日の国会審議での厚労省職員の出した数字をもとに計算しても、私が出している数字に間違いはありませんでした。そうなると、「平成27年(2015年)7月末現在、外国人世帯の生活保護受給世帯数は44,965世帯、69914人」という数字は一体どこから出てきたんでしょう?


色々調べて、厚労省にも直接確認して、ようやくわかりました。これのズレの原因は、月次調査と年次調査の差です。


厚労省が発表している数字は、月次調査と年次調査の2つがあり、月次調査は毎月、年次調査はその年の7月31日時点の数字が発表されます。そして、2015年の年次調査では、確かに被保護外国人世帯数は、44,965世帯でした。(これの1-26参照。EXCEL

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(↑クリックで拡大できます)


どういうことかと言いますと、毎月生活保護を受け始める世帯や生活保護から外れる世帯があるわけですが、月次調査では、7月1日から7月31日までの31日間に、1日でも生活保護を受ければカウントされます。その数字が、46,750世帯だったわけです。


一方、年次調査は、7月31日の1日だけの数字を調べています。そのため、1ヶ月間に保護を受けた全世帯の数である月次調査より低い数字が出ます。それが44,965世帯だったわけです。つまり、差し引き1785世帯が、この1ヶ月の間に保護から外れたり保護に入ったりしたわけですね。


月次調査と年次調査は結構差があって、例えば同じ2015年7月の日本全体の被保護世帯は1,628,888世帯ですが(これの統計表3。EXCEL)、7月31日時点の年次調査ですと、1,602,551世帯で(これの統計表1-1。EXCEL)、26000世帯以上のずれがあります。これだけの世帯が1ヶ月の間に生活保護を受け始めたり外れたりしているのですね。


年次調査は、7月31日の1日だけを調べるために、偶然数値が低く出たり高く出たりという可能性がなくもないです。そのせいか、一般的にマスコミなどで引用されている生活保護世帯数は月次調査の方を用いていますね。


つまり、今回、丸山は月次調査と年次調査を比較する愚を犯したわけです。まあ、厚労省が前回は年次調査の方を答え、今回は月次調査の方を答えたので、丸山も少々気の毒ではあるんですが、丸山がちゃんと自分で調べることをせずに、月次調査と年次調査を比べ、「3年前より増えている」などと言ったことに間違いはありません。丸山は私に「統計のトの字から勉強しなおせ」とか言っていましたが、そもそも調査方法が違う2つを比較して「数が増えている!」とか言ってしまう愚を犯した丸山こそ、統計のトの字、いや、小学校の算数からからやり直さないといけませんね。
↑このブログの記事に対し、「統計のトの字からやり直せ」と言う丸山穂高。調査方法が違う2つの統計を比較していたお前こそ、小学校の算数からやり直せ! 



DAPPI、Share News Japan、夕刊フジの愚


これで、どうして厚労省職員が、2015年7月31日の数字ではなく、2014年1月の数字と比べたのかもわかりました。ここで職員が言及している最新のデータ(2019年1月)のものは月次調査であるため、年次調査である2015年7月31日のものと比べられるわけがなかったんですね。DAPPIは「聞いた3年前でなく5年前と比較し数が減ってるような印象操作をする厚労省」などと言っていますが、実際には印象操作なんかではなく、厚労省は月次調査と月次調査を比べる正しい比較をしておりました。月次調査と年次調査を比べる愚を犯したのは丸山だけ。
間違ってるのは厚労省ではなく丸山穂高の方だったわけなので、このDAPPIの発言はデマだったわけです。


ところが、Share News JapanがこのDAPPI発言をそのまま鵜呑みに記事を作成して拡散。自分で何にも調べられない程度の低さを晒してくれていますね。Share News Japanは以前も「外国人生活保護は違憲」というデマを拡散していましたし、Newsでも何でもありませんね。ただのデマサイト。

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(↑DAPPIのツイートを引用して記事を作成するShare News Japan。低レベルさがよくわかる)


さらに、産経新聞系のデマ新聞『夕刊フジ』は、この丸山の質問を「切れ味鋭く質問する丸山穂高氏」とか「どこの国の代表かわからない政党や政治家が見受けられる中、改革政党らしい論戦を披露した」とか、手放しで絶賛していましたが、月次調査と年次調査をごっちゃにしてデマを吐いた丸山穂高のどの辺が「切れ味鋭い」のやら、どこが「改革政党らしい論戦」なのやら(笑)。『夕刊フジ』の記者の三流具合がよくわかりますね。新聞記者でも何でもない。ただのデマネトウヨと完全に同列。

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(↑丸山の主張が事実かどうか、自分で裏付け取材もせず、手放しで絶賛する『夕刊フジ』。記者の程度の低さがよくわかる)


新聞記者になろうなんていう人は、最初は何か志を持っていただろうに、どうしてこんな愚かなことになるのか…。産経新聞社内はどうなっているのか…。


というわけで、結論としましては、丸山は月次調査と年次調査を比較してしまうという、統計のトの字もわかっていない愚をやらかして、国会やツイッターで「外国人生活保護受給者が増えている!」とか言っていたわけです。オチが分かれば、丸山穂高の愚かさがさらにはっきりしてしまいましたね。


これで「44965世帯」発言の謎は解けました。それでは改めて、この1年、「日本全体の生活保護受給世帯数は減っているのに外国人の受給世帯数は増えている」のかどうか見てみたいと思います。


記事が長くなりすぎたので分割します。次回へ続く!!

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