<ざっくり言うと>
  • 「佐藤浩市が安倍総理を揶揄」「病気を笑いものにしている」「首相を貶める政治的な目的で首相役を演じている」などの非難は、どれも佐藤氏のインタビュー記事を読んでもいないバカの曲解妄言にすぎない。
  • SNSで流れてきた情報を鵜呑みにすることなく、ニュースソースを確認する癖をつけるべきである。
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この話題が出てから数日がたちましたが、いまだにYahoo!のトップページにニュースが出るぐらいネットが沸いている佐藤浩市の「安倍総理を揶揄」騒動。前回記事でも書いた通り、おそらくこれで喚いているやつのほとんどは、インタビューの元記事を読まずに、ツイッターで流れてきた噂だけで騒いでいるのでしょう。インタビュー原文を呼んでも「安倍総理を揶揄している!」とか言っているのなら、読解力が無さすぎる。


こんなに大きな騒ぎになった原因の一人に百田尚樹がいることは間違いないと思いますが(おそらく百田もインタビューの元記事を読んでいない)、見城徹という、幻冬舎の社長のツイートがこれまたすごい。見城という男のことは私は今回初めて知ったのですが、今回の一連のツイートはあまりにすごいので、「原文を読まずに騒ぐとこんなに恥ずかしいことになるぞ」という教訓として取り上げてみたいと思います。


さて、前回記事でも書いた通り、原文は以下のようなものです。

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ーー総理大臣役は初めてですね。

佐藤:
最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね。でも、監督やプロデューサーと「僕がやるんだったらこの垂水総理をどういう風にアレンジできるか」という話し合いをしながら引き受けました。そしてこの映画での少し優柔不断な、どこかクジ運の悪さみたいなものを感じながらも最終的にはこの国の形を考える総理、自分にとっても、国にとっても、民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理にしたいと思ったんです。

ーー総理は漢方ドリンクの入った水筒を持ち歩いていますね。

佐藤:
彼はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だからトイレのシーンでは個室から出てきます。

ーー劇中では名実ともに「総理」になっていく過程が描かれます。

佐藤:
これはある政治家の人からきいたのですが、どんな人でも総理になると決まった瞬間に人が変わるっていうんです。それぐらい背負っていくものに対する責任を感じる、人間というのはそういうものなんですね。

ーーこの映画からどのようなものを受け取ってもらいたいですか。

佐藤:
僕はいつも言うんだけど、日本は常に「戦後」でなければいけないんです。戦争を起こしたという間違いは取り返しがつかない。だけど戦後であることは絶対に守っていかなきゃいけない。それに近いニュアンスのことを劇中でも言わせてもらっていますが、そういうことだと僕は思うんです。専守防衛とはいったいどういうものなのか、日本という島国が、これから先も明確な意思を提示しながらどうやって生きていかなきゃいけないのかを、ひとりひとりに考えていただきたいなと思います。
どういうわけか、登場する総理を「彼はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらった」というだけで、そこだけ切り取った百田尚樹を始めとするバカウヨ達が、「安倍総理への揶揄だ!」とみっともなく喚いたわけです。


そもそも、「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまう」という設定だけで安倍晋三を連想するというのが私はちょっと驚いたんですが、仮にこの設定が安倍晋三をモデルにしたいたとして、それでみっともなく情けないクズ総理が描かれているのならともかく、「自分にとっても、国にとっても、民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理」が描かれているのであれば、揶揄どころかむしろ称賛と読むことさえできます。百田らがインタビュー原文を読んでいないことは確実でしょう。(読んだうえで「安倍総理を揶揄している!」「病気の人に失礼!」とか言っているのなら、本当に知能がどうかしていると思う)


百田の妄想も強烈だったのですが、この見城氏もこれまたすごい。この一連のツイートは驚きの連続です。
なんというか、ツッコミどころが多すぎて、逐一ツッコんでいられません。


特に意味不明なのがこの部分。


>>佐藤浩市さんの真意は[安倍首相を演じるのに抵抗感があった]ということだと思う。


………。


ちょっと何を言ってるかわからないです。


本当に、見城氏は何を言っているのだ…? 見城氏の脳内では、映画『空母いぶき』に出てくる総理は安倍晋三ってことになってるのか………???? この映画に出てくる総理は垂水慶一郎という架空の人物で、安倍晋三ではないのだが…。


見城氏は、どこをどう曲解して、「佐藤浩市は安倍首相を演じるのに抵抗感があった」などと考えたのだ? もしも佐藤氏が「安倍首相を演じることに抵抗感があった」のであれば、架空の人物である垂水総理を演じることに抵抗などないはずなのだが…? 見城氏の発言は、全く意味が解らない。


そして、今回の騒動を起こしたバカッターらの共通認識が、おそらくこれだと思います。


>>脚本変更を要求して、病気を笑い者にするように演じたなら、
>>黙して語らないことだ。
>>そんな悪意のある演技を観たくもないよ。



あのさあ、あのインタビュー記事のどこをどうを読めば、「病気を笑いものにするように演じた」とか糞下らないバカげた悪意のある曲解ができるの?


それに、「病気を笑いものにするように演じたなら、黙して語らないことだ」って言ってるけど、そんな風に演じてないから、黙さず語ったんじゃないの?


さらに、見城氏はこの直前に、「佐藤浩市さんの真意は『安倍首相を演じるのに抵抗感があった』ということだと思う」と言っていたはず。つまり、見城氏の見解だと、佐藤浩市は「安倍首相を演じるのに抵抗感があった」はずなのに、わざわざ自分の演じるキャラクターに、安倍首相を連想させる設定を加えたってわけ?


わけがわからん。見城氏は自分で自分の言ってることに矛盾を感じないのか? わずか140文字の中で、こうもあからさまな矛盾を言えるとはちょっと理解ができない。


まあ、そもそも『空母いぶき』の総理は安倍首相ではなく架空の垂水首相なので、「安倍首相を演じるのに抵抗感があった」という見城氏の見解は根本から的外れもいいところなんですけどね。


見城氏がインタビュー記事を読まずに、ネットで聞きかじった百田尚樹あたりをさらに聞きかじってツイートをしていることは確実です。それでも編集者かよ…。情けない。今回の騒動を起こした連中は、脳内で勝手に「病気を笑いものにするように演じた」と妄想しているのでしょう。呆れて開いた口がふさがらん。


>>自分の安っぽいイデオロギーのためにこの映画の本質をぶち壊していることに何故、想いが至らないのだろう?


映画はおろか、インタビュー記事すら読んでいないあんたが、自分の安っぽいイデオロギーで曲解して、勝手に「映画の本質をぶち壊している」とか妄想しているだけだよね。


なぜ、インタビュー記事を読んで確かめてみようと思わないのだろう? なぜ、そのことに思いが至らないのだろう? 本当に不思議だ。


多分、見城氏の脳内では、この映画の総理が、下痢してばかりの、みっともないなさけないショーもないダサいクズ人間に改編されていると言うことになっているんでしょうね。完全に見城氏の妄想以外の何物でもないんですけどね。


>>最初から首相を貶める政治的な目的で首相役を演じている映画など観たくもない。


妄想乙!! と言うしかない。


なんで見城氏の脳内では、「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまう総理」という設定が加わっただけで、「最初から首相を貶める政治的な目的で首相役を演じている」なんてことになっているのだろう? 佐藤氏は「自分にとっても、国にとっても、民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理」を演じたと言っているのに。


そもそも安倍首相ではなく垂水首相を演じているのに、それが「首相を貶める政治的な目的」になっていると考えるのがまったくわけがわからない。最初の「安倍首相を演じるのに抵抗感があった」という謎の推測からもうかがえるけど、見城氏は、この映画に出てくる総理が垂水総理という架空の人物ではなく安倍総理その人が出てきて、佐藤浩市は安倍総理を演じているのだと勘違いしているんじゃないのか? だとしたら、こんなとんでもない曲解も珍しいが。


>>自分の発言がどれだけ共演者やスタッフに迷惑をかけているか、よく考えて欲しい。


インタビュー記事さえ読まずに曲解して映画を貶め、出演者やスタッフに全く必要のない迷惑をかけているのはお前だ、見城徹!! 


編集者がもとの記事を読まずに聞きかじりで曲解を流すことの意味をよく考えろ。これが編集者で出版社の社長だと言うのだから心底呆れる。


本当のインタビュー記事と、見城氏のあんまりにもとんでもないバカげた曲解を読むと、「SNS情報を鵜呑みにしないで、もとの情報を確かめるって大切だなあ」とつくづく実感します。おそらく佐藤氏も映画スタッフもインタビューをした『ビッグコミック』も、こんなとてつもない曲解が沸き起こるとは、予想だにしていなかったことでしょう。


見城氏は自分のことを棚に上げて「安っぽいイデオロギー~」とか言っていますが、イデオロギーがどうであれ、「ネットの不確かな情報を鵜呑みにしない」「気になる話題はニュースソースを確かめる」ということぐらい、習慣づけたいものですね。


果たして公開後に「首相を貶める政治的な目的」とか「病気を笑い者にするように演じた」とか言う奴がまだ出てくるかどうか。公開後のネトウヨの反応が楽しみです。

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