<ざっくり言うと>
- 和田政宗、検察庁法改正案を、「国家公務員法改正に合わせて定年を65歳に引き上げる長い議論の結果のもの」と説明するが、都合の悪い「勤務延長」については隠している。
- コロナの緊急事態宣言中に、このような不要不急の、国民のためではなく政府の自己都合のための法案を強行する安倍政権は、国民のための政府では決してない。

↑今日の大ウソつき卑怯者、和田政宗
これまでの検察庁法改正案関連記事
目次「#検察庁法改正案に抗議します」がトレンドになる中、加藤清隆とか高橋洋一とかから、そのカウンターとも言える動きが出てきています。今回は、これまでこのブログでも何度も取り上げてきた、自民党のトンデモ議員、和田政宗の発言を見てみましょう。
「勤務延長」については決して触れない卑怯な法案擁護派
今回の検察庁法改正案を擁護している高橋洋一とか加藤清隆とかは、「65歳定年とする」というところだけを述べ、決して「勤務延長」について述べません。なぜ述べないか、都合が悪いからでしょう。それはこの和田政宗も同じです。国家公務員の65歳定年延長案は、平成20年の国家公務員制度改革基本法で「検討すること」と明記され、平成23年の民主党政権時に人事院より法律改正を求められた。長い議論の結果のもの。
— 和田 政宗 (@wadamasamune) May 11, 2020
国家公務員法改正案に併せ、検察庁法と自衛隊法でそれぞれ定年を定める検察官と防衛省事務官も65歳定年とするもの pic.twitter.com/hEd7GbkdmK
すでに別の記事でも述べましたが、今回の問題は、「定年延長」という言葉の2つの意味がごっちゃになって使われているのでわかりにくくなっているのです。「定年延長」には2つの意味があります。
A)全員の定年を63歳から65歳に引き上げる
B)内閣が認めた場合に、定年を迎えても最大3年間引き続き勤務させることができる
和田政宗も、高橋洋一も、加藤清隆も、そのほかこの連中を鵜呑みにしている連中も、絶対にAにしか触れません。しかし、定年延長Aは大した問題ではなく、問題は定年延長Bの方なのです。Aは「定年引上げ」Bは「勤務延長」などと呼んで区別したほうが分かりやすいんですが、困ったことにメディアでもネットでも、AもBも「定年延長」と呼ばれてしまっているので、ここでは区別のために「定年延長A(定年引上げ)」「定年延長B(勤務延長)」としておきます。
(「役職定年制」とも呼ばれるが、それもまた別の意味があるのでここでは「勤務延長(定年延長B)」と呼びます)
違法な勤務延長(定年延長B)を正式な法律にしようとする安倍政権
さて、高橋洋一についての記事でも、加藤清隆についての記事でも触れましたが、この勤務延長(定年延長B)は、一般の国家公務員には適応されますが、検察官には適応されないとされてきました。絶大な権力を持つ検察官は、他の公務員以上に政治的中立性・独立性が求めらえれるため、内閣が都合のいい人材を最大3年も勤務が延長しうるこの制度は認められてこなかったのです。これは、1981年の立法当時の国会答弁でも明らかなことです。
(そもそも、検察官の定年は特別法である検察庁法で定められており、一般法である国家公務員法よりも優先されることは法律上の常識でもある)
ここは長ったらしくなるので次回にでも書きたいと思いますが、安倍政権は今年1月にこれを犯す閣議決定をして、「官邸の守護神」とまで呼ばれるほど政権と近いとされる黒川検事長の定年を、閣議決定によって半年間延長しました(勤務延長(定年延長B))。検察官の勤務延長は認められていないので、本来これは違法行為なのですが、安倍政権はそんなことお構いなしです。
この違法行為を、正式なものにしてしまおうというのが今回の検察庁法改正案です。検察官の勤務延長(定年延長B)を議論したいのならば、まず現行法で違法である黒川検事長の勤務延長(定年延長B)を撤回し、そのうえで改めて議論を開始すべきであるのに、違法行為を放置し、それを後付けで正式な法律にしてしまおうというのが、現在行われている検察庁法改正案なのです。法治国家としてあまりにもあり得ない手続きです。
検察官の勤務延長は検察の政治的中立性・独立性を脅かす
そもそも、なぜ国家公務員には認められていた勤務延長(定年延長B)が、検察官には適応されないことになっていたかというと、上述のとおり、起訴権を持つ検察官は、政治的中立性・独立性が強く求められるからです。
検察官の定年退官は検察庁法第22条に規定されており,検察官の職務と責任の特殊性に基づいて,国家公務員法の特例を定めたものとされています(検察庁法第32条の2,国家公務員法附則第13条)。そのため,国家公務員法第81条の3第1項は,これまで検察官に適用されたことはありません。検察官は,ときには政治家をも捜査の対象とし,起訴をして処罰を求めることがあることから,検察官の人事に政治が恣意的に介入することを排除し,検察官の政治的中立性と職務の独立性を確保する必要があります。これは憲法の基本理念である権力分立の考え方に基礎を置くものです。検察官の政治的中立性・独立性を保つために、政権による検察官の勤務延長はできないとされてきたにも関わらず、安倍政権はこれをひっくり返し、定年を迎えて今年2月に退職するはずだった黒川検事長の勤務を延長しました。検察官の政治的中立性・独立性を保つためのルールを破壊したわけです。つまり、これは、検察官の政治的中立性・独立性が担保できなくなったことを意味します。
(鳥取県弁護士会HP)
今回の検察庁法改正案は、検察官の政治的中立性・独立性を脅かす大変に危険なものなのです。検察は行政に属してはいますが、検察が起訴しなければ、そもそも裁判を始めることさえできません。もしも検察に政権の影響力が及ぶようになれば、政権に不利になるような裁判は、そもそも始めることさえできなくなる恐れがあります。例えば、今、自民党の河合夫妻の公選法違反を検察官が取り調べている真っ最中ですが、こういうことを検察がしなくなる恐れがあるわけです。これが、今回の検察庁法改正案が三権分立を脅かすと言われている所以です。
「長い議論の結果のもの」という和田政宗の説明は大嘘だ!
和田政宗は、今回の検察庁法改正案は「長い議論の結果のもの」と言っています。確かに、63歳定年を65歳に引き上げる定年延長Aについては、そうかもしれません。しかし、検察官の定年を政権が延長できるようにする勤務延長制度(定年延長B)については、全く議論などなされておりません。
検察官の勤務延長(定年延長B)については、今年1月31日の黒川検事長の勤務延長の閣議決定後、突如盛り込まれたのです。
「検察庁法改正案が、黒川検事長の勤務延長の違法を誤魔化すため改変された証拠」の内閣法制局資料。
— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) May 10, 2020
昨年、内閣法制局で審査終了していた法案には勤務延長の条文は全く無かった。
しかし、黒川氏の解釈変更と一緒に「全検察官の勤務延長の条文」が追加されている。#検察庁法改正案に抗議します pic.twitter.com/Cnl6ItRX8O
内閣法制局の内部資料にも、黒川検事長の勤務延長の後に、突如勤務延長(定年延長B)を法案に盛り込んだことがはっきりと記されています。

今回の法案を擁護している連中を見てみてください。私が知る限り、和田政宗と同様に、定年延長Aについてだけ話して、勤務延長(定年延長B)については全く触れていません。都合が悪いから触れないようにしてごまかしているんでしょうが、卑怯極まりない。
切り取りご都合主義の卑怯な和田政宗
和田政宗は、弁護士の徐東輝氏のHPを引用して、このようなツイートをしています。徐東輝弁護士が「#検察庁法改正案に抗議します」に対し、『いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか』を投稿。
— 和田 政宗 (@wadamasamune) May 10, 2020
黒川氏定年延長がこの法律で決まる
→決まりません
黒川氏を検事総長にするための法改正である
→誤りです
政権への捜査を免れるための人事介入である
→誤りhttps://t.co/lggIcMrlOA
黒川氏の定年延長がこの法律で決まるわけではないのはその通りです。なぜなら、今回の法律の成立いかんにかかわらず、黒川氏の定年延長は、違法な閣議決定によって、今年1月にすでに決定してしまっているからです。
黒川氏を検事総長にするための法改正でないというのも、その通りです。なぜなら、この法律が成立しようがしまいが、1月の違法な閣議決定によって、安倍政権が黒川氏を検事総長にする道はすでに開かれてしまっているからです。
政権への捜査を免れるための人事介入であるかどうか、ここは議論の余地がありますが、この法律が成立すれば、それに近いことが可能にはなるでしょう。
さて、和田政宗は、この3点を引用し、この法律があたかも問題がないように印象操作していますが、徐東輝弁護士はこの法律を認めているわけではありません。むしろその問題点を指摘しています。
1.役職定年制に対する特例を設ける場合の運用指針・基準は何なのか「役職定年制の特例」とは、この記事で言っている「勤務延長(定年延長B)」のことで、徐弁護士は勤務延長ができる特例を設けること自体には反対していますが、その基準があいまいで恣意的な運用がなされる余地があることには疑問を呈しています。当然コロナのこの時期にこんな不要不急の法案を審議することにも否定的ですし、なぜ昨年秋の改正案には入っていなかった勤務延長(定年延長B)が突然盛り込まれたのかの説明がないことにも批判的です。
2.なぜ「この時期に」検察庁改正案の審議をするべきなのか
そもそも法務大臣が定める準則という文言もある中で、なぜ法務大臣が答弁の場に現れないのかも多分に疑問
3.なぜ昨年秋の当初の改正案からの変更が行われたのか
国民に誤解や疑心を与えたまま進めてしまってよいのか
検察庁は、行政府の一員ではあるものの、国会議員や内閣総理大臣、閣僚に対しても捜査権限、起訴権限を持つ組織、官庁であり、政治の安定性、信頼性を担う重要な機構です。その信頼を揺るがしているということ自体はファクト
(徐東輝氏HP)
和田政宗は卑怯にも、徐弁護士のHPの開設から、自分に都合のいいところだけを切り取って、自分に都合の悪いところは隠すことで、この法案に反対している人たちを「誤解しているだけだ」としているのです。どこまで卑怯なんだ、和田政宗!!
果たして誰のための法律、誰のための政府なのか
安保の時の憲法解釈変更にしろ、今回の黒川検事長の勤務延長の閣議決定と法改正にしろ、日本の政治機構を守るために先人たちが守ってきたルールをいともたやすく自己都合で破壊していく安倍政権。そして、和田政宗のように、都合が悪いことは隠してごまかす卑怯ぶり。
よく考えましょう。果たして、今回の検察庁法改正案は、誰のための法律なのか。本当にこれが国民に資する法律なのか、それとも政府の自己都合による法律なのか、ちゃんと考えてください。答えは明白です。(もしもこれが政府の自己都合でなく国民に資する法律だというのであれば、どう国民に資するのか答えられるものなら答えてみてほしい)
果たしてこんな連中が、こんな政党が、果たして国民の自由と民主主義を守ることに資する存在であるのかどうか、彼らが本当に国民のための政府なのか、それとも自己都合のための政府なのか、ちゃんと考えてみてもらいたいと思います。





にほんブログ村 政治 ブログランキング
コメント
政権に近いインフルエンサーがタグに反応して
・「何もわからないまま、雰囲気に流されただけの○○が政治を語るのは愚かだ」と罵倒する。
・『#検察庁法改正案に興味ありません』タグをカウンターとして、政治への無関心と追従こそが日本におけるマジョリティであると訴える。
・「2年後だから安倍政権擁護には当たらない」「公務員一律だから安倍政権子飼いの黒川個人を優遇するというのは当たらない」という詭弁を垂れ流す。
・加藤某というおなじみのデマ屋が「中国と繋がってる連中が言い出した」という『陰部論』を掲げた翌日に『尖閣周辺への中国船侵入に抗議します』というタグが拡散される。
この流れに喜んで乗っているフォロワーを眺めていると、24億の効果が出ていることを実感しますが、喜んで発言しているフォロワー諸氏が――恐らくは無給で――脳内麻薬を垂れ流しながら政権擁護に勤しんでいるのを見ていると、「こんなベイビー・サブミッションに24億もいるか?」と思わざるを得ません。
こんな政権を擁護するのは、いくら積まれても俺は御免です。
黒川氏については仮に稲田検事総長が退官を拒否し続ければもう一度延長が必要になるがそれすれも政府は平然とするのだろうか
どちらにしても林氏の芽を潰したということは人事に介入はできたというわけで
「あえて、このコロナ禍でこれを進めないといけないのであればその説得的な理由が説明されるべきです。」
「現時点で私がこの問題の本質と考えるのは、国民に誤解や疑心を与えたまま進めてしまってよいのかという点です。」
という問題提起があり、安倍政権はこれらのいずれに対しても合理的で納得できる答えを示せていません。81年の政府見解を覆すだけの論拠を持ってこい!って話なんですが、安倍政権は法務大臣すら出さず、行政府の長としての安倍晋三も全く質問に答えていません。これで法案を通させてしまうと議会も国会議員も必要ないということになってしまいます。
既に先進国ではありませんが「普通の国」ですらなくなる文字通りの瀬戸際にある。国益を損ねているのは誰だ!って話です。