<ざっくり言うと>
  • 高橋洋一のコメントを載せた夕刊フジの記事は、検察庁法改正案のうち、国家公務員全体の定年引上げだけについて述べ、問題となっている勤務延長については一切触れずにミスリードしている。
  • 高橋洋一は、法案批判者を「法案を理解せずに批判している」などと批判しているが、高橋洋一は法案を理解せずに擁護している。
  • 高橋洋一は、問題点を本当に理解できていないなら頭が足りなすぎるし、本当は理解できているのに誤魔化しているのなら卑怯すぎる。
  • 高橋洋一のようなデマゴーグに騙されてはいけない。
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↑本日のデマゴーグ、高橋洋一
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目次

デマ新聞・夕刊フジの頼りは、デマ屋・高橋洋一


検察庁法改正案についての高橋洋一のデマについては先日も記事にしました。



ところが、この高橋洋一如き愚物を『夕刊フジ』が「識者」扱いしてそのデマ見解を紹介し、困ったことにYahoo!がそれを転載して拡散するという事態が起きています。(高橋洋一のどの辺が「識者」なのか意味不明ですが。単に夕刊フジにつって都合のいい人物ってだけでしょ)



『デイリースポーツ』なんかも「高橋洋一が一石を投じる」とか書いてますが冗談じゃありません。


改めて高橋洋一のどこがデマか指摘しておきます。これまでの記事と重複する内容を多分に含みますがご容赦ください。


おさらい:2つの「定年延長」 

もう何回も同じことを書いているので耳タコの読者もいらっしゃるかもしれませんが、今回の検察庁法改正案の「定年延長」には、2つの意味があります。

A)検察官全員の定年を65歳に引き上げる。(定年引上げ)

B)内閣が必要と認めた場合に、定年を迎えたものでも最長3年間引き続き勤務に当たらせることができる。(勤務延長)


Aは全員の定年が引きあがるだけですが、Bは、例えば65歳で定年を迎えたはずの人物を、最長で68歳まで継続して勤務させることを可能にするものであり、全くの別物です。Aは大した問題ではなく、今大問題になっているのはBの方です。


詳しいことは全部↓この記事に書いておいたので、これを読んでください。



検察官の勤務延長は違法

さて、これまた何度も書いていることですが、上述の定年延長B(勤務延長)は、国家公務員法第81条の3に定められており、これは一般の国家公務員には適応可能ですが、検察官に適応することは認めれていません。政治家やその関係者を起訴する権限がある検察は政治的な中立性・独立性が求められるため、内閣の恣意的な介入が起きにくいように抑制されているのです。


ところが、今年1月、安倍政権は「官邸の守護神」とまで呼ばれる黒川検事長の定年を延長しました(勤務延長)。これは明白な違法行為なのですが、内閣は「法解釈を変更しました」などと言って合法だと言い張っています。「法解釈を変更しました」で昨日まで違法だったものがいきなり合法になるなど、法的安定性を脅かす行為であり、法治国家としてあるまじき行いことですが、安倍政権は自分に都合がよければそんなことはお構いなしです。辞書にも「法の恣意的な運用や主観的な解釈などは避けなければならないとされる」とありますが、安倍政権は自分の都合で法を都合よく解釈して運用しており、法治国家の政府じゃありませんね。安倍政権の統治システムは200年ぐらい時代遅れです。


「夕刊フジ」と高橋洋一のここが大嘘!


さて、またもや前置きが長くなってしまいましたが、「定年引上げ」ではなく「勤務延長」が問題なんだというところをちゃんと理解したうえで、夕刊フジの記事を読んでみましょう。
「#検察庁法改正案に抗議します」俳優、歌手らが多数ツイートの違和感 識者「法案をよく理解していないのでは」

国家公務員法改正案の審議が8日、衆院内閣委員会で始まった。同案には、検察官の定年を延長する検察庁法の改正部分も含んでおり、野党議員や著名人らが9~10日にかけ、「安倍政治の横暴だ」「三権分立が壊される」などと抗議意思を示すツイートを相次いで発信した。

(略)

ただ、今回の国家公務員法改正案は、年金支給年齢の引上げに応じた改正であり、検察官に限らず公務員全体の定年を延長させる法案である。黒川氏の定年延長とは直接関係ない。一部メディアや政党の説明不足・誘導を感じる。
はい、大嘘ですね。

いや、正確に言うと、「検察官に限らず公務員全体の定年を延長させる法案」であることは事実なんですが、問題はそこじゃない! 批判されているのは検察官の定年を65歳に引き上げること(定年延長A)ではなく、定年になって検察官を、さらに最長3年継続して勤務させることができる勤務延長(定年延長B)のほうです。夕刊フジは、法案の問題ないところだけを取り上げ、問題であるところには一切言及しないで「一部メディアや政党の説明不足・誘導を感じる」などと言っているのです。実際には説明不足の誘導をしているのは高橋洋一と『夕刊フジ』のほうです。


そして、そんな夕刊フジが頼りにするのが高橋洋一。
「#検察庁法改正案に抗議します」俳優、歌手らが多数ツイートの違和感 識者「法案をよく理解していないのでは」

(略)

元内閣参事官で嘉悦大学教授の高橋洋一氏は「反対派は、法案をよく理解していないのでは。検察官が『年金難民』になりかねない」と指摘している。

(略)

高橋氏は「反対する人たちは法案を読んだ方がいい。人事院の意見具申を受けて、2008年から進めてきた国家公務員法の一部改正の最終段階にすぎない。民主党政権(09~12年)も経ており、党派にも黒川氏の人事にも関係がない。『検察庁法改正案に反対』という人は、検察官OBが年金難民になってもいいのか。著名人らも、法案の詳細を知らずに発信していると考えられる」と語っている。
法案をよく理解せずに、法案の詳細を知らずに発信していのはお前の方だ、高橋洋一!!


「人事院の意見具申を受けて、2008年から進めてきた国家公務員法の一部改正の最終段階にすぎない」だの「民主党政権(09~12年)も経ており」だの「党派にも黒川氏の人事にも関係がない」だの「『検察庁法改正案に反対』という人は、検察官OBが年金難民になってもいいのか」だの言っていますが、これは全部定年引上げの話であり、今問題になっている検察官の勤務延長の話ではありません。


「2008年から進めてきた」だの「民主党政権も経ている」だの「黒川人事と関係ない」だの言っていますが、定年引上げ(定年延長A)についてはそうですが、勤務延長(定年延長B)については、去年作られた法案の草案ではひところも触れられておらず、今年1月に黒川検事長の勤務延長の違法な閣議決定後に、急遽加えられたものです。

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内閣法制局資料。今年1月31日に閣議決定で勤務延長制度が検察官にも適応されるということにしたから、「勤務延長制度を踏まえた新たな修正」を行うことになったとはっきり書いてある。


検察官の勤務延長は、2008年から進められてきたものでもなければ、民主党政権を経てもいなければ、思いっきり黒川人事を受けて急遽加えられた条文です。高橋洋一は、国家公務員全体の定年引上げの話がこの法案のすべてであるかのようにをつき、問題になっている検察官の勤務延長の方には一切触れないで誤魔化しているのです。


もしも本当に法案の何が問題なのか理解せずにこんな発言をしているのなら頭が足りなすぎだし、もしも本当はわかっているのにわざと問題部分を隠して発信しているのなら卑怯すぎる。どっちにしろ碌なもんじゃありませんね。


事実を隠すデマゴーグを信じるな

Yahoo!が無批判にこんなデマ記事を載せるから、高橋洋一に騙されて「そうかー。検察庁法改正反対ってやつらは、法案を知らずに誤解してるのかー」と誤解してしまう人が大勢出てしまいました。まさにこれこそ高橋洋一が狙っていたことなんでしょうが、本当にこういうデマゴーグは日本にとって害悪です。


高橋洋一は、加計学園の時には「『広域的』は隣接自治体という意味」とデマを吐いたり、公文書改竄の時には、完全に意図的な改善なのに「官僚のミス」と出鱈目な擁護をしたり、日本は韓国を「併合」したんであって植民地じゃないという歴史用語も知らないデマを吐いたり、桜を見る会のデータ復元問題の時には「国会に求められていちいちデータ復元をしていたら業者が大変だからしなくていい」という意味不明すぎる発言をしていました。






高橋洋一って男は、自分に都合がよければ、どんなデマだろうが、どんな出鱈目だろうが、へっちゃらで言える男です。よく生きてて恥ずかしくならないなと、ある意味感心します。


何かに賛成するにしろ反対するにしろ、事実に基づいて議論しないと正しい結論は出ません。


その事実を記した書類をシュレッダーにかけて隠蔽するやつ。

その事実を記したデータの復元を拒むやつ。

その事実を記した公文書を改竄するやつ。

その事実をデータを捏造して捻じ曲げるやつ。

ごはん論法で質問に答えず事実を隠蔽するやつ。

「口頭決済」で済ませて事実を書類に残さない奴。

自分が法案の何が問題とされているのかを全く理解していないくせに、他人に対して「法案を読んでいない」「法案の詳細を知らずに発信している」などと恥ずかしげもなく言えるやつ。



こういう奴らは、絶対に信頼してはなりません。

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