<ざっくり言うと>
  • 日弁連が外国人に支配されているというのは妄想。
  • 日本の弁護士で外国籍はごく僅か。
  • 現在の日弁連執行部に外国籍はゼロ。
  • 「〇〇は外国人に支配されている」は差別主義者の最後の砦。
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↑現在の日弁連執行部に外国人はいない
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これまでの検察庁法改正案関連記事
目次

法案に反対する日弁連と、「日弁連は反日!」「外国人に支配されている」と妄想するネトウヨ 


日弁連も検察庁法改正案を批判する声明を出しています。

↓日弁連の声明


↓報道

しかし、ネトウヨはむしろこれを安倍政権支持の材料に使います。「日弁連は反日!」「外国人による侵略!」などとも言って、「日弁連が反対しているから賛成」というわけです。 >>外国籍の弁護士が蔓延
>>日弁連の上層部に入り込み
>>最近、外国人に甘い判決がやたら多いでしょ?
>>外国人の巣窟だぞ >>日弁連を筆頭に、いくつもの弁護士会が、在日外国人に乗っ取られている >>日弁連って、外国人も理事になれますよね?
>>外国人の意思が反映された政治的発言って、外国人の政治介入ですよね?
>>世界的に普通の国なら許されません。
>>中国だったら、間違いなく速攻で逮捕監禁です。
(↑こいつの脳内では、独裁国家の中国が普通の国なのかよ…。なんつーご都合主義。なお、外国人が政治的発言したって外国人の政治介入にはなりません
>>司法も乗っ取られている
>>驚くべき政治介入
>>判決内容が日本人の神経を逆撫でするモノばかりな事は周知の事実
>>「日弁連」という外国人部隊
>>日本人の意に沿う判決は期待できません



「判決内容が日本人の神経を逆なでするモノばかりなことは周知の事実」の具体例は書いてありませんが、おそらくはヘイトスピーチ裁判などのことを指しているのでしょう。彼らは「在日朝鮮人は悪い奴らで、その事実を日本人に伝えようとしているだけなのに、差別だなんて判決が出るのはおかしい。こんな判決を出す奴は在日朝鮮人に違いない」と考えています。「ヘイトスピーチ反対」=「非日本人」というのがネトウヨの脳内での日本人観です。


別に私は日弁連を素晴らしくて立派で正しい意見しか言わない組織だなんて言うつもりは毛頭ありませんがが、少なくとも「外国人に支配されている」というような妄想は否定しなければ議論になりません。ちゃんと検証してみましょう。



外国籍弁護士は日本全体のほんの僅か


さて、ネトウヨの脳内では日弁連は外国人に支配されているわけですが、実際はどうなのでしょう。まず、現在日本にはおよそ41000人の弁護士がいます(日弁連製会員数)。外国籍弁護士の統計を見つけることはできなかったのですが(多分統計がないんだと思いますが、どこかに統計があれば教えてください)、在日コリアン弁護士協会という組織がありまして、そこには現在130人ほどの会員がいます。日弁連41000人に対し、在日コリアン弁護士協会130人ですから、0.3%に過ぎません。


これはあくまで在日コリアン弁護士協会に所属している数なので、実際の外国籍弁護士の数ははっきりしませんが、仮にこの10倍の外国人弁護士がいたとしても、弁護士全体から見たら3%。言うまでもないことですが、日本の弁護士のほとんどは日本人です。


日本に暮らしている外国人って、全部含めても日本の人口の2%ほどで、そのうち永住者や定住者となると、日本全体の1%ほどなんですよね。ネトウヨはよく「〇〇は外国人に支配されている」とか妄想垂れますが、人口比1~2%程度の外国人に支配されているとしたら、日本人無能すぎですよね。


現在の日弁連執行部に外国人はゼロ

現在の日弁連執行部の顔ぶれを見てみると、外国籍と思われる人物は一人もいません。

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2020年4月1日~の執行部

昨年4月1日に白承豪という弁護士が日弁連の副会長に就任しましたが、これが日弁連の外国籍の副会長なので、逆にこれまで外国籍の人は会長はおろか副会長にさえなっていなかったわけです。

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(↑産経新聞2019年3月8日

さらに、ごらんのとおり、副会長は15人もいます。そのうちの一人に、去年外国人が初めてなったうえに、彼はすでに任期の1年を終えて副会長の座を退いています


ネットでは「日弁連の副会長は韓国人だー!」とか言って日弁連を批判して安倍政権の擁護をしているウヨさんたちがいますが、任期1年というのも、彼が初の外国人副会長であることも、副会長が15人もいることも、彼がすでに辞任していることも知らないのでしょう。「外国人がいる」=「外国人に支配されている」と妄想する、とてつもなく単純な思考回路の持ち主です。 ↑すでに彼が副会長でないことも知らず、「多様性を優先して国民性や民族性を蔑ろにする」という意味不明な発言に加え、「検察庁法改正案に賛成します」と言っても賛成理由を述べることは決してできないネトウヨさん


日弁連の会長に、外国籍の者がなったことはない


副会長さえ、去年初めて1人外国籍の者がなっただけで、しかも15人の1人に過ぎない。そのうえ彼は任期を終えてすでに退いている。


これでよくもまあ、「日弁連は外国人に乗っ取られている」だの、今回の声明が「外国に支配されたもの」だとか妄想できるものです。どうして会長になったこともなく、副会長さえ歴史上1人が1年間なっただけなのに、外国人が日弁連を支配できるのやら。


「日弁連は外国人の巣窟」なんて言っている人たちは、何ひとつ自分で調べることをしない人だと言ってよいでしょう。こういう人たちを信じてはなりません。



各地方の弁護士会も反対声明発表


さて、日弁連声明について「日弁連の意見は弁護士全体の意見ではない」という人がいます。それはまあそうでしょう。弁護士も多種多様であり、いろいろな意見があります。安倍政権の意見が日本人全体の意見ではないのと同様、日弁連の意見が弁護士の意見というわけでもありません。


しかし、日本全国には、日弁連のほかに各地方に計52の弁護士会があります。5月13日時点で、そのうち38の弁護士会が黒川氏の定年延長や検察庁法改正案に反対する声明を発表しています。その後、仙台弁護士会愛媛弁護士会も反対声明を出しており、52の弁護士会のうち、少なくとも40の弁護士会が反対声明を発表しています。これもネトウヨは「外国人に支配されている」とか言って無視するのでしょうか?


さらにはもと検事総長を含む検察OBも反対の意見書を提出しています。これもネトウヨたちは、「外国人に支配されているんだ」とか「バカが反対しているんだ」とか言うんでしょうか。



「〇〇は外国人に支配されている」という被害妄想はいい加減やめよう


外国で活動する日本人弁護士だって大勢います。ニューヨーク州弁護士の資格を取った日本人なんてのもテレビによく出てるし、結婚するとかしないとかよくわからない小室圭氏も、ニューヨーク州弁護士の資格を取るために勉強してるって話です。


それなのに日本で外国人が弁護士になると「外国人に支配される」とか妄想するネトウヨ連中のなんと情けないことか。彼らのこの被害妄想の源泉はなんなんですかね。


ナチスが「〇〇はユダヤ人に支配されている」という妄想を利用したように、「〇〇は外国人に支配されている」系妄想は人の判断を狂わせます。そんな妄想ではなく、誰が何を言っているのか、冷静に聞いて自分の意見を構築しましょう。

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