<ざっくり言うと>
  • 高須克弥、「署名の個人情報保護は憲法15条が保障している」と発言するも、デマ。
  • 憲法15条が保障しているのは秘密選挙であり、署名ではない。
  • 署名は当然選管は確認できるし、有権者なら一定期間縦覧が可能。高須克弥は何らか制度自体を勘違いしているものと思われる。
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愛知県でのリコール署名不正のことは3週間前にも記事にしました。その際、「高須は『反リコール派が妨害の為にわざと書いた』という根拠のない発表をする」と予言しましたが、予想通りの展開になりました。



高須克弥本人が不正にかかわっていたかどうかはともかくとして、前回記事で書いた通り、反リコール派が妨害の為にわざと書いたということだけは絶対にありえないと断言しておきます。



「署名の個人情報保護は憲法が保障」は大間違い


さて、そんな高須克弥がこんなこと言っています。

高須は以前、町山氏が「リコール署名は不正を防ぐために閲覧される」とツイートしたら、それを署名妨害だとして刑事告訴していましたが、どうやらその根拠は「署名した方々の個人情報の保護は憲法15条4項で保証されている」というものであったようです。


もちろん、これは言うまでもなく嘘です。実際の憲法15条を見れば明白です。
第十五条

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。
選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
ご覧の通り、第15条第4項が保障しているものは、選挙における投票の秘密です。署名における個人情報ではありません。


当たり前ですが、選挙と署名は全くの別物です。選挙では投票用紙に投票者の名前を書きませんので(書いたら無効になる)、誰が誰に投票したか、選管にも誰にも決してわからないようになっています。一方、署名は署名者の名前や住所を記し、押印までするものです。選管はそれをチェックするので、少なくとも選管には誰が署名したかわかるわけです。全然秘密になっていません。


さらに、リコール署名は、選管だけでなく、一定期間一般にも公開されます。個人情報保護には配慮するものの、署名簿全体を見たいと言う者がいれば断ることはできないそうです。



このように、署名簿の閲覧は最初から制度に組み込まれているわけで、「署名した方々の個人情報の保護は憲法15条4項で保証されています」という高須の主張は100%間違いです。


高須は町山氏に対し、「裁判所で申し述べてください。町山先生のなさったことは明確なリコール妨害です」と言っていますが、ここで断言しておきましょう。リコール妨害で町山氏が起訴されて刑事裁判になることは絶対にないと。そもそも署名が公開されないと言うのが高須の勘違いなのですから。


それにしても、高須は町山氏がどの法律のどこにどう触れると思って刑事告訴したのでしょう? よくわかりません。



不正署名の費用は1000万円以上?


高須や支持者は、不正署名を「リコールつぶしの陰謀」であり、反リコール派のスパイがやったことだなどと言っていますが、絶対にありえません。


署名数が必要数に達していないことを理由に、「もしもリコール事務局が不正をするんだったら必要数まで集めるはずだ。だからリコール事務局の不正ではなく妨害側の陰謀だ」という陰謀論を唱えている人もいますが、署名が必要数に達していない理由は2つ考えられます。


1つは単純に「不正までしたけど、必要数を集められなかった」というもの。正規の署名は7万ほどしかなく、リコール成立のためにはあと80万近い署名が必要になります。80万筆も集められなかっただけというのが可能性①ですね。


2つ目の可能性は、「選管に調査されないために、わざと必要数まで集めなかった」というもの。今回は前代未聞の大規模不正が予測されたために選管も調査に乗り出しましたが、普通は必要数に達しなければ選管は署名をいちいち調査しません。したがって、選管に調査されることなく、水増しした署名数で、「リコール成立とはいかなかったけど、こんなにたくさん集まりました」という政治アピールに使うことが可能です。これを狙っていたというのが可能性②です。


いずれにせよ、選管が無効署名をちゃんとチェックしなければ「こんなに集まりました」という宣伝に使われるだけになるのに、リコール反対派がそんなことするわけないですね。もしも反対派が妨害するのであれば、署名を減らしてリコールが成立しないように動くはずで、署名の水増しなどするわけがありません。


さらに、驚きなのは費用です。偽署名を書くためにアルバイトが時給900円~1000円で雇われたと報道されています。『BuzzFeed』のインタビューに答えた男性は、「8時間で250人書き写した」と証言しています。



CBCのインタビューに答えた女性は、「5時間で600人くらい写した」と言っています。



8時間で250人と5時間で600人だとえらい差がありますが、間を取って、1人書くのに平均1分かかると仮定します。選管によると、36万2000件の無効署名(不正署名)が確認されているので、これを全てバイトが書いたとすると、延べ36万2000分、およそ6000時間かかります。バイト代900円を払うと、540万円かかります。バイト代が1000円だと600万円かかります。交通費も500円~1000円支給されたそうなので、総額はさらに増えます。


東海テレビの報道によれば、アルバイトの総額は1000万円を優に超すようです。この点からもリコール反対派がやった可能性は限りなくゼロだと言っていいでしょう。



金の出どころはまだわかりませんが、現在愛知県警が動いているので、それも明らかになることでしょう。


少なくとも、今回の問題で「反リコール派がリコールを貶めるためにやった陰謀だ」なんて主張している奴にまともな思考力はないと言っていいので、そういう輩の言うことは今後信じないようにしましょう。

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