<今回のデマ>
  • 文化の日は明治天皇の誕生日
  • 在位期間を更新した天皇(明治天皇・昭和天皇)の誕生日だけが祝日として残っている。
<デマ拡散者>
  • 根戸ウヨ子
<事実>
  • 11月3日が文化の日として祝日になっているのは、明治天皇の誕生日だからではなく、日本国憲法公布の日だからである。
  • 文化の日である11月3日がかつては明治節だったことは事実だが、1948年に文化の日を制定する際に、国会においてはっきりと「立法の精神から申しますと、この日は御承知のように、新憲法が公布された日でございます」「この日は、憲法において、如何なる國もまだやつたことのない戰爭放棄ということを宣言した重大な日でありまして、(略)この日をそういう意味で、『自由と平和を愛し、文化をすすめる』、そういう『文化の日』ということに我々は決めたわけなのです」と答弁がされている。
  • 当時の国会答弁を見ると、憲法の中でも、特に戦争放棄を謳った憲法9条の公布を記念して制定されたことがわかる。
  • 歴代天皇を見れば、神武天皇(在位76年)、孝昭天皇(在位83年)考安天皇(在位102年)などの方が長い
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文化の日は憲法公布の日である


11月3日は文化の日です。みなさんいかが過ごされましたでしょうか。その文化の日について、根戸ウヨ子がこんなこと言っていました。

>>文化の日って何の日?
>>答えは「明治天皇のおたん生日」です!
>>ちなみに歴代天皇でおたん生日が祝日として残ってるのは、
>>明治天皇と昭和天皇だけ。
>>在位期間を更新した天皇のおたん生日だけが
>>祝日として残ってるそうです。



おいおい、何言ってんだ、このバカ。


明治天皇の誕生日が11月3日なのは事実で、戦前は明治節という祝日でした。しかし、現在11月3日が文化の日が祝日になっているのは、明治天皇の誕生日だからではなく、日本国憲法公布の日だからです。


祝日法制定の際に中心的役割を担ったとされる山本有三は、1948年7月4日の参議院本会議において、このように述べています。
 十一月の三日を文化の日といたしましたのは、これは明治天皇がお生まれになつた日であり、明治節の祝われた日でございますが、立法の精神から申しますと、この日は御承知のように、新憲法が公布された日でございます。そうしてこの新憲法において、世界の如何なる國も、未だ曾て言われなかつたところの戰争放棄という重大な宣言をいたしております。これは日本國民にとつて忘れ難い日でありますと共に、國際的にも文化的意義を持つ重要な日でございます。そこで平和を図り、文化を進める意味で、この日を文化の日と名ずけたのでございます。平和の日といたしましてもよいのでありますが、それは別に講和締結の日を予定しておるのでございますので、それを避けたのでございます。
明治天皇の誕生日と同日ではあるものの、新憲法公布の日だから11月3日を文化の日と定めたのが立法の精神だ、とはっきりと言っていますね。しかも、戦争放棄をした日だから「平和の日」という案もあったが、講和締結の日を「平和の日」とするために、あえて「平和の日」にはしなかったと説明しているので、憲法公布以上に憲法9条の公布を記念する日だったわけですね。


また、同年6月18日の参議院文化委員会でも、同様のやり取りが行われています。
051 徳川頼貞君

 只今來馬さんからお話がありまして、十一月三日を今度「文化の日」にいたすということにつきまして、元來十一月三日は、我々の間におきましては、只今もお話のございましたように、日本國憲法の発布された日であるので、その意味において、十一月三日を記念したいというような氣持を我々は持つていたのでありまするが、衆議院の方で十一月三日を「文化の日」にして、そうして五月の三日を「憲法記念日」にしたいという話もありまして、我々の方としては、十一月三日を「文化の日」ということに、衆議院の意向を尊重しまして、そのことは延いて、結局ここにもございますように、憲法の精神たる自由と平和を愛することになる。又それによつて文化を進めることになるから、この際これを「文化の日」にするというわけでありまして、勿論これに対して異議はないのでありますが、一應我々がどういうふうに考えていたかということを、この際申述べて置きます。
052 委員長(山本勇造君)

 この日が憲法記念日だというのは、ピンと誰にでも分るのでありますけれども、「文化の日」と言いますと、どういうわけで「文化の日」だかという疑念があるようであります。併しこの日は、憲法において、如何なる國もまだやつたことのない戰爭放棄ということを宣言した重大な日でありまして、日本としては、この日は忘れ難い日なので、是非ともこの日は残したい。そうして戰爭放棄をしたということは、全く軍國主義でなくなり、又本当に平和を愛する建前から、あの宣言をしておるのでありますから、この日をそういう意味で、「自由と平和を愛し、文化をすすめる。」、そういう「文化の日」ということに我々は決めたわけなのです。併し心持からすると、本当は我々は今も尚実際憲法記念日にして置きたいのでありますけれども…。
従って、

「文化の日って何の日?」

という質問の答えは「明治天皇のおたん生日」ではなく「日本国憲法公布の日」です。
(特に憲法9条の公布を記念している)


このことは、当時の国会答弁以外でも、日本国の公的機関のHPで確認できます。
日本国憲法が「公布」されたのは、1946年11月3日です。また日本国憲法が「施行(しこう)」されたのが1947年5月3日です。それぞれ11月3日は「文化の日」、5月3日は「憲法記念日」となっています。(平成24年3月現在)※「公布」(一般に広く知らせること)「施行(しこう)」(実際に行うこと)(首相官邸HP
文化の日とは、日本国憲法が「公布」された日を由来とする祝日で、「自由と平和を愛し文化をすすめる」ことを主旨としています。(在シアトル日本国総領事館
【文化の日】
1946年(昭和21年)に日本国憲法が公布された日。国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)によって制定されました。同法によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としています。また、この日を中心とした2週間が読書週間になっています。(国会図書館
昨日、2月11日は建国記念の日でした。神武天皇の即位の日が西暦に直すと 紀元前 660年2月11日にあたることから、戦前には紀元節として祝われていま した。また、大日本帝国憲法は、2月11日を期して発布されたので、現在の 「文化の日」(現行憲法の公布日)に相当する祝日でもありました。(国土交通省HP
『広辞苑』を引いたって、
【文化の日】
国民の祝日の一つ。11月3日。自由と平和を愛し、文化をすすめる日。新憲法公布の日。
と書いてあります。小学館の『日本国語大辞典』にも
【文化の日】
国民の祝日の一つ。一一月三日。昭和二一年のこの日に新憲法が公布されたことを記念して、同二三年に制定。文化勲章の授与などが行われる
と書いてあります。


てか、こんなの小学校で習うはずなんだけど。ま、根戸ウヨ子はまだ小学校を卒業していない少女(という設定)のようだから仕方ないんですかね?


(※『新明解国語辞典』など、辞書によっては「もとの明治節に当たる」などと書いてあるものもありますが、あくまで明治節と同じ日であるという話であり、明治天皇の誕生日が祝日として残っているわけではありませんので、根戸ウヨ子の説明は明らかな間違いです)


ちなみに、豆知識ですが、手塚治虫の誕生日も11月3日でして、明治の「治」から「治(おさむ)」と名付けられました。また、日本漫画家協会が定めた「まんがの日」でもあります。



「そうなんですね!」と根戸ウヨ子を絶賛するネトウヨたち


上述のとおり、11月3日はかつての明治節ではあるものの、現在この日が祝日になっているのは明治天皇の誕生日を祝うためではなく、日本国憲法、特に憲法9条の公布の日を記念して、その憲法の精神に則り「自由と平和を愛し、文化をすすめる」という日となったわけですね。


ま、憲法大嫌いなネトウヨさんたちは認めたくない事実でしょうけど、残念ながら立法の際にはっきりとそう言っちゃっているので、否定のしようがありませんね。


「明治天皇の誕生日だから祝日」というわけではないので、当然

「在位期間を更新した天皇のおたん生日だけが祝日として残ってる」

という根戸ウヨ子の説明もです。誰から聞いたんだ、こんなバカなこと?


こんなの、天皇について少しでも知っていれば、すぐに嘘だってわかるでしょう。確かに継体天皇あたり以降の信頼性のある記録の上だと、昭和天皇(在位63年)と明治天皇(在位45年)の2人が最長ですが、設定上は天皇家は2600年以上続いていることになっていて、神武天皇は76年間、孝昭天皇は83年間、考安天皇に至っては102年間も在位していたことになっています。もちろん、この辺は神話レベルなので歴史的には全く信頼に値しませんが、一応神武から続いていることになっているのに、在位45年や63年で「在位期間を更新」とか言うわけないでしょ。


前述のとおり、文化の日が日本国憲法公布日であることなど、小学校で憲法について勉強する際に絶対に習っているはずなんですが、頭の悪いネトウヨさんたちは、脳みそを停止して、根戸ウヨ子の説明に「そうだったんですね!」「知らなかった!」バカ丸出しの大絶賛。


本当に、いっつも思うんだけど、なんでこいつら情報ソースの全くないネット情報を鵜呑みにできるわけ? なんでこんなにメディアリテラシーの欠片もないの? どうしてそこまで脳みそ停止して自分に都合のいいことを鵜呑みにできるの? なんでそんなに「ネットde真実」で生きていられるの? 本当にわけわかんねえ。


別にさあ、明治天皇を尊敬しようが、日本国憲法が嫌いだろうが、それは個人の思想信条の自由だろうけど、こういう間違いを流す奴に、その間違いをなんも調べず鵜呑みにする奴って、いったいどうなってるわけ? 何で事実を調べようとしないわけ? なんで情報ソースが全くないものを鵜呑みにできるわけ?


「情報ソースのないSNS情報を信じるな」っていうことは、ネットを使うのなら最低限度の倫理として身に着けておいてほしいですね。



追記


「11月3日が明治節だから、その日に合わせて日本国憲法を公布した」という話を信じてる人もいますが、それもデマです。こちらに詳しく書いておきました。



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