<ざっくり言うと>
  • 改憲派は護憲派を平和ボケ扱いするが、実際に平和ボケしているのは改憲派の方。
  • 憲法9条は戦争直後に二度と同じ愚行を繰り返さないために生まれたものであり、平和ボケとは完全に真逆の代物。
  • 日本がベトナム戦争にもイラク戦争にも参加せずに済んだのは、憲法9条が武力の行使や武力による威嚇を禁じてきたからである。それを無くしても日本がこれまで通りに平和でいられると思っている人の方こそ平和ボケである。
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↑「日本が侵略することはない」と無邪気に信じている改憲派。これぞ平和ボケである。


「平和ボケ」という言葉があります。ちゃんとした定義があること言葉ではありませんが、強い軍隊だの核武装だのを主張する人たちが護憲派を批判するためによくこの言葉を用いているように思います。でも、果たして平和ボケしているのは一体どっちなのでしょうか。



「日本は侵略戦争をすることなんかない」という平和ボケ思考


このブログにこんなコメントが来ました。

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>>(9条は改正して)「他国に対する侵略は行わない」の1行だけでよい

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>>9条は日本以外全員良い国って前提なら意味あるがね。
>>今そうじゃないわけで、寧ろ日本以上に善良で穏やかな国はないから
>>日本が侵略することはないし、メリットが皆無。
>>他国がせめてきた時むしろ足かせになる可能性あり



「日本が侵略することはない」から9条を変えようとの主張。まさにこれこそ平和ボケだと言えましょう。


「日本が侵略戦争をすることはない」と無邪気に信じている。ほんの数十年前に満州事変から始まる侵略戦争を行ったのに。


なんでこの人は「日本が侵略することはない」と無邪気に信じていられるのでしょう?


答えは簡単。戦後、日本は一度も侵略戦争を行っていないからです。ベトナム戦争にもイラク戦争にも参加しませんでした。


では、日本はどうして一度も戦争に参加しなかったのでしょう。


答えは簡単。憲法9条があったからですよ。


ベトナム戦争には、韓国、タイ、フィリピン、オーストラリア、NZといったアメリカの同盟国が参加しています。もしも日本に憲法9条がなければ、日本は間違いなくアメリカの要請でベトナム戦争に参加していたことでしょう。イラク戦争も当時の首相の小泉純一郎は支持していましたので、9条がなければ自衛隊を参加させていた可能性は高いです。


「『他国に対する侵略は行わない』と書いておけばいい」なんてのは平和ボケそのものです。どの侵略戦争も自ら侵略戦争だなんて言うことはなく、今のロシアも、ウクライナに対する侵略行為を、「侵略戦争」ではなく「特別軍事作戦」と呼んでいます。「戦争」とさえ言っていないのです。


「侵略戦争は行わない」なんて文言は何の歯止めにもなりません。


この手の平和ボケをしている人たちは、日本が他国から攻められることしか想像していない。日本が他国を攻める側になることを全く想像さえしていない。


この機会に北方領土に攻め込もうとか、

「戦争しないとどうしようもない」とか、

「『戦争に行きたくない』は自分勝手、究極の利己的考え」とか

こんな発言する奴が、議員を目指していたり、実際に議員をやっていたり、それどころか与党の国会議員だったりしてるんです。それなのに


「『他国に対する侵略は行わない』の1行だけでよい」

「日本が侵略することはない」


こんなことを平然と言えちゃう奴こそ平和ボケです。他国から攻められない限り、自分たちは何もしなくても平和が保てると思ってる。自分たちが平和を脅かす側になるなんてことを想像させしていない。


日本だってプーチンのような奴が総理大臣にならないとは限らない(私は安倍はプーチンと完全に同類だったと思っている)。そんなとき、国際紛争解決の手段として「武力の行使」も「武力による威嚇」も行わないとしている憲法9条がなければ、国際紛争解決の為に武力を使う判断をすることは十二分にある得るでしょうね。


9条が無くなっても日本が自ら戦争を起こすことはないなんて無邪気に信じられちゃう奴こそ、平和ボケの典型です。



「自衛隊が壊滅したら武器を取って戦う」というヒーロー気取りの呆れた平和ボケ


さらに、こんなコメントもありました。

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>>管理人さんたちは日本有事の際、
>>ウクライナ国民のように
>>武器を取って戦ってくれるんですかね?
>>今のリベラルを見てるととてもそうは思えませんが


もちろん、武器を見たことも触ったこともない私が武器を取って戦うなんてできるわけがない。仮に武器を取ったところで、敵に遭遇してビビってるうちにマシンガンでハチの巣で、死体処理で自衛隊に迷惑かけるだけです。


「国を守る」と言うと武器を取って戦うしか考えられない人がしばしばいますが、ちゃんと自分の仕事をすることだって国を守ることの一つです。そう私は返しました。

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そしたらこんな返信が。

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>>私が話しているのは自衛隊が壊滅した後の話ですよ…

げげげ! 正気かこいつ?
バカにもほどがあるだろ!!
本気で驚きました。「え? この世にこのレベルのバカがいるの?」と信じられない気持ちでした。どこどうやったらここまでバカになれるのか全く分かりませんが、これこそまさに平和ボケでしょう。戦争ってものがどういうものかまるでわかってない。


「戦争が始まったら自衛隊に志願する」ならわかりますけど、「自衛隊が壊滅した後」に武器を取って戦うの? どうやって? 太平洋戦争敗戦時だって日本軍が壊滅したわけじゃないから、自衛隊壊滅ってそれ以上の状態だけど、それでもまだ戦争が続いてるの? その状態でいったいどんな武器が手に入るの? そんな自衛隊を壊滅させられるぐらいのスゴイ軍備の相手に、一体何処でどうやって戦うの? 自衛隊が壊滅している状態なんて、もう竹槍さえ手に入らないんじゃないかって気がしますが。


もう、想定している状態がわけのわからんことになってますが、この一言は更にスゴイ。


>>平和ボケしてるから殺す覚悟も出来てないなんて言える


おお、どうやら平和ボケしていない自分は殺す覚悟が出来ていると言いたいようです。


でも私に言わせればこれこそ平和ボケそのものでしかない。戦争ってものが殺し合いだとちゃんと想像できていないのでしょう。自分が人を殺すことや、自分が殺されることを碌に想像することもできていない。戦争を『ドラゴンボール』とか『僕のヒーローアカデミア』のような、正義が悪を倒すかっこいいバトルヒーローもののようなイメージで戦争をとらえているのでしょう。


ましてや、自衛隊が壊滅した状態でも、自分が武器を持って戦って日本に平和を取り返すことができると思ってるなんて、中二病にもほどがある。まるで映画のヒーローのような想像をしているんでしょうね。


実際には何もできずにハチの巣か木っ端みじんかだと思いますが、平和ボケした中二病脳には、自分が木っ端みじんになって人生がその瞬間に終わるなんてことをリアルに想像できないのでしょう。戦場に出ても自分は死なないで生き残って映画のヒーローのようになれるように妄想しているのでしょう。


自衛隊経験でもあるならまだしも、武器を持ったこともない、触ったこともない、何の訓練も受けてない人が軽々しく「戦争になったら殺す覚悟が出来ている」なんて言うことほど平和ボケした発言もありません。



9条は戦争から生まれたものであり、平和ボケと真逆


上で見たような人たちは、9条護憲派を「平和ボケ」扱いします。しかし、そもそも憲法9条は満州事変~日中戦争~太平洋戦争と10年以上続いた戦争の結果、二度と同じ愚行を繰り返さないように生まれたものです。平和ボケどころか、戦争の直後に生まれたものであり、平和ボケとは真逆です。


一方、80年間の日本が平和だったことを当たり前のように思っている平和ボケした連中は、「日本が侵略戦争をすることはない」なんて平気で言える。


ロシア人だって、「自分たちが侵略戦争をすることはない」って思ってたでしょうよ。そして、プーチンを支持しているロシア人は、みんな「ロシアは侵略戦争なんてしていない」と思っているでしょうよ。


「日本は侵略戦争をすることはない」なんて言う奴は、平和を当たり前のことだと思っている平和ボケ脳の典型です。


さらに、武器を持ったこともないような奴が「自衛隊が壊滅した後」に「武器を持って戦う」と言うなんて、戦争が殺し合いだってことを理解さえできていない、これ以上ないほど平和ボケした頭です。


百田尚樹なんかも、戦後日本人が虐殺もされずスムーズに平和国家に移行したことで「戦争に負けても大したことはない、という意識が日本人の中に生まれた」なんてバカ丸出しの発言をしています。



どうやら、百田尚樹の平和ボケした脳みその中では、日本中焦土になって、原爆を2発も落とされて、沖縄も壊滅して、千島などの領土も失って、300万人も死んだあの戦争が「大したことない」ことだったらしいです。どういう頭してんだ、このバカ


もちろん、あの戦争で日本人が学んだことは、「戦争に負けても大したことない」ではなく、「戦争は悲惨だ」という教訓です。もしも百田の言う通り「戦争に負けても大したことない」と思っているなら、その後も何かあれば「じゃ、戦争すっか」となっていたことでしょう。そうではなく、「何があっても、戦争だけは絶対にしちゃいけない」というのが日本人が学んだことです。


百田尚樹はあたかも憲法9条が「負けても大したことない」という気持ちから生まれたものであるかのように言っていますが、100%真逆。憲法9条は「何があっても戦争をしてはいけない」という、悲惨な戦争の教訓から生まれたものです。百田尚樹のような人物こそ平和ボケの典型です。


西村幸祐なんて奴になると、「(日本人がすべきは)不戦の誓いでなく、次は勝つという誓いでなければならない」なんて言い出します。



平和ボケして、戦争ってものをちゃんと想像できていないからこんなこと言えちゃうんです。私は西村幸祐のことは人間のクズの究極進化系ぐらいに思っていますが、こいつもまさに平和ボケ。戦争して自分や自分の家族が木っ端みじんになって死ぬなんてまるで想像できてない。


改憲派は護憲派を平和ボケ扱いしますが、私に言わせれば改憲派の方が何百倍も平和ボケしてます。現実派ぶりながら、実際には
「日本が侵略戦争をすることはない」とか、
「自衛隊が壊滅したら武器を取って戦う」とか、
なんて非現実的なことを平気で言い、
「不戦の誓いではなく次は勝つという誓い」なんてことまで言ってしまう。


何度でも言いますが、9条は戦争の直後に、二度と同じ愚行を繰り返さないために作ったものであり、平和ボケとは完全に真逆の存在です。日本がベトナム戦争にもイラク戦争にも参加せずに来られたのは、国際紛争解決の手段として武力による威嚇と武力の行使を禁じた憲法9条があったからです。それを無くしても平和でいられると思っている人の方が、遥かに平和ボケしています。

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