<ざっくり言うと>
  • 陸上自衛隊、最高裁に差別主義者認定と言っても過言ではない判決を受けた竹田恒泰を講演に呼んで愛国講義をさせる。
  • 陸上自衛隊は裁判所から「まさに『差別主義者』との評価を受ける余地があるものというほかない」「(竹田の主張を鵜呑みにすると)自国の肯定的な側面のみを強調する一方で、他国民・他民族への否定的な側面を強調し、これを劣等視する思想に繋がりかねないというほかない」と断じられた男を講演に呼ぶことが適切だと本気で思っているのだろうか?
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↑公僕たる自衛隊が竹田恒泰のような裁判所からも差別主義者認定同然の判決を受けた男を講演に呼ぶことが正しいと思っているのだろうか?


正直驚きました。今年2月に竹田恒泰の名誉裁判で、最高裁によって竹田恒泰の全面敗訴が確定したにも関わらず、自衛隊はまだこの男を呼び、幹部候補生の前で「日本はなぜ世界で一番人気があるのか」なんて講演をさせているのです。

陸上自衛隊は、本当にこの男が自衛隊幹部の前で講演するにふさわしい男だと考えているのでしょうか? 改めて、竹田恒泰の全面敗訴に終わった名誉毀損裁判での判決文を見てみましょう。


竹田恒泰は最高裁に差別主義者認定されたと言っても過言ではない。


この裁判は竹田恒泰が「差別主義者」「人権侵害常習犯」などと呼ばれたことで起こした名誉毀損裁判でした。今年2月、「竹田恒泰を『差別主義者』『人権侵害常習犯』と呼ぶことは論評の範囲内だ」という判決が確定したのですが、この判決内容はなかなか興味深く、単に「竹田恒泰を差別主義者と呼んでも違法ではない」というだけでなく、ほとんど「裁判所が竹田恒泰を差別主義者と認めた」と言ってもいい内容になっています。ちょっと引用してみましょう(判決文40ページから)。
 原告(※竹田恒泰)は、「中国の話」において、中国について、その政治体制等を批判するにとどまらず、中国人または中華民族(漢民族)について、未熟な文化しか持たず、欲望を剥き出しにした、民度の低い憐れむべき民族である旨を述べ、「同じ人間であることすら疑わしく思えます」とまで述べている。

 また(略)「韓国の話」においては、中国人につき、近代ソフトも伝統文化も存在しない「精神的根なし草の状態にある人々」と評し、韓国人につき近代のソフトは中途半端にしかなく、前近代的価値観の拘束力が強い「中途半端な近代人」と評したうえで、これらと対比したうえで日本は近代のソフトと伝統文化のエッセンスが調和しており、日本人は「世界で最も秩序とマナーを重んじる民族」であるとして称賛していている。

 さらに、原告は、韓国人につき「理性が働かない民族」「民族まるごとモンスター・クレイマー」「韓国の人たちは、ゆすり・たかりの材料があると、後先考えずに利用してしまいます」などと記述したうえで、これらの記載に関して、繰り返し、韓国人につき「民度が低い」旨の記載を繰り返している。
 さらに、原告は、そのツイートにおいても韓国について、「ゆすりたかりの名人」であるとか、ある殺人未遂事件で容疑者が実名報道されなかったことを受けて、そのものが日本国籍を有しないものと推察する旨を発言しており、さらに、本件ネット講演においても、外国人ないし外国人に対する否定的な評価を加えつつ、日本国ないし日本人に対する肯定的な評価を述べている。
 原告は(略)各著書からは自国優越思想を読み取れず、「中国の話」及び「韓国の話」はいずれも理由を示して政治批判をしたものであり、中国人や韓国人一般をその一事をもって単純に蔑視する者ではないなどと供述し(略)
 しかしながら、(略)「中国の話」及び「韓国の話」の内容は、国の政治体制またはその指導者等に対する批判にとどまらず、中国人および韓国人全体を対象として、その国籍または民族に伴う属性を指摘し、その「民度」の低さを主張したものというほかはない。また、これらの著書において、原告は(略)中国人について
「中国人につけるクスリはない」
「民度の低い憐れむべき方々」
「同じ人間であることすら疑わしく思えます」
「悪い方にばかり頭を働かせる」
韓国人について
「パクるしかない」
「前近代の尻尾をぶら下げた中途半端な近代人」
「理性というものが働かない民族」
「民族まるごとモンスター・クレイマー」
「ゆすり・たかり病」等、
あえて不穏当で侮蔑的ともとれる表現を多数用いている。さらにこれらの書籍の表題が「笑えない」「笑える」との文言を含み、その序言部分に今後紹介するエピソードにつき「椅子から転がり落ちる」「アホらしさを笑い飛ばしてやろう」等の記載があること等を併せ考えると、これらの書籍からは、自国を優越的にとらえた上で、他国民・他民族を劣位に置き、笑いの対象とする意識が看取されるというほかない。
ここで引用されている竹田の発言だけでも胸糞悪くなる差別発言のオンパレードですが、裁判所は竹田が「自国を優越的にとらえた上で、他国民・他民族を劣位に置き、笑いの対象とする意識」を持っていると述べているわけですから、竹田が自国優越思想の持ち主で、他国民・他民族を劣位において笑いの対象にする差別主義者と認めたと言っても全く過言ではないでしょう。


判決文はさらに踏み込みます。(43ページ)
 「韓国の話」の末尾における原告の主張は、要するに、韓国の「民度」が低いことを「言わずもがな」と明言した上で、これが韓国の歴史に起因するものである旨を主張し、一方で「人」については「誰でも白紙で生まれてきます」などとして、国家や民族の歴史から切り離された個人の存在を仮定し、さらに、人種差別の定義についても、「その生まれ持った条件」(肌の色や出生地)に基づく差別として、歴史や文化を捨象した限定的な解釈を主張している。このような原告の主張は、韓国の歴史や文化を自らのアイデンティティとして考える人々の立場から見れば、むしろ、歴史を理由として自らの文化や「民度」を劣等視することを正当化するものともいい得るものであって、まさに「差別主義者」との評価を受ける余地があるものというほかない。
「まさに『差別主義者』との評価を受ける余地があるものというほかない」。これはもう裁判所が「竹田恒泰は差別主義者だ」と認定したと言ってもよいでしょう。


さらにこうも言います。
 原告のツイートには、韓国の元従軍慰安婦の像に関連して自らを元従軍慰安婦と主張する人々につき
「ゆすりたかり」
「韓国はゆすりたかりの名人で、暴力団よりたちが悪い国」
「そもそも韓国に、毀損されるような名誉があるのか」
「韓国が世界に誇れる偉人は、テロリストと売春婦だけ」等、
韓国につき敢えて攻撃的で侮蔑的ともとれる表現を多数、少なくない頻度で用いており、その一部(ゆすりたかり)は「韓国の話」における韓国人全体に関する記述とも同旨である。このような記載に鑑みれば、単に韓国の国家体制や政治に関する報道を受け、これらを批判するのみに止まらず、読者に対し、韓国や韓国人を劣位に置く意識を与えるものと認めるのが相当である。
 また、在日外国人に関するツイート及び動画は、具体的な根拠を知すすことなく、報道における「自称」との表示のみから犯罪に関わる容疑者を在日外国人と推定し、在日外国人が実名報道を免れる特権を得ている旨を示唆するものは、「反日的」な在日韓国人・朝鮮人の排除を主張するものであり、後者の動画全体の論調(帰化の促進や長期的な混血による同化等)を考慮しても、在日韓国人・朝鮮人の立場から見れば、日本社会への同化を迫るとともに、これに応じない「反日」的な人々の排除を主張するものであり、自らに対する偏見や差別を助長するものというほかない。
 原告の上記の主張は、これを無批判に受容した場合には、自国の肯定的な側面のみを強調する一方で、他国民・他民族への否定的な側面を強調し、これを劣等視する思想に繋がりかねないというほかなく(略)
竹田の書籍やツイートは、韓国や韓国人を劣位に置く意識を読者に与えて偏見や差別を助長するものであると完全に認めています。


裁判所は竹田の過去の発言について

「自国を優越的にとらえた上で、他国民・他民族を劣位に置き、笑いの対象とする意識が看取されるというほかない」

「まさに『差別主義者』との評価を受ける余地があるものというほかない」

「読者に対し、韓国や韓国人を劣位に置く意識を与えるものと認めるのが相当である」

「偏見や差別を助長するものというほかない」

「(竹田の主張を鵜呑みにすると)自国の肯定的な側面のみを強調する一方で、他国民・他民族への否定的な側面を強調し、これを劣等視する思想に繋がりかねないというほかない」


とまで言っているのですから、裁判所が竹田恒泰を差別主義者だと認定したと言って過言ではありません。


また、今回も竹田恒泰は自衛隊で「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」という講演を行ったようですが、この講演の演題と同名の竹田の著書の中には、「人類の調理の起源は縄文日本」という驚くべき日本起源説が書かれています。



こんなとち狂ったことを堂々と言う自国優越主義者の差別主義者の人権侵害常習犯を呼んで幹部候補生の前で講演させるとは、いったい自衛隊は何を考えているのでしょう?


判決文にある通り、竹田恒泰の講演なんぞ聞いたら「自国の肯定的な側面のみを強調する一方で、他国民・他民族への否定的な側面を強調し、これを劣等視する思想に繋がりかねないというほかない」です。


愛国心と自国優越主義は別物です。竹田恒泰の講演がもたらすものは愛国心ではなく、自国を他国より有利に置く自国優越主義に他ならないでしょう。


こんな人物に講演させるようでは、自衛隊がまるで戦前の軍隊のような自国優越主義に染まりかねません。


「(竹田恒泰は)『差別主義者』との評価を受ける余地があるものというほかない」

「(竹田の主張を鵜呑みにすると)自国の肯定的な側面のみを強調する一方で、他国民・他民族への否定的な側面を強調し、これを劣等視する思想に繋がりかねないというほかない」

と断じた確定判決を以って、自衛隊に抗議をするべきでしょう。




追記


実際に自衛隊に抗議しました。代表→広報→今回の講話の担当部署に繋いでもらいました。

担当者に竹田恒泰の裁判のことを知っているか聞いたところ、裁判自体は知っているが判決文までは読んでいないとのことだったので、判決文を引用し、このような人物を自衛隊の幹部候補生の前で講演させることが適切であると本当に思っているのか尋ねたところ

「返す言葉もありません」

との返事をもらいました。

今後竹田恒泰を講話に呼ぶかどうか話し合い、結論が出たら折り返し連絡をくれるとの約束をいただいたので、その結論をもらったらまたご報告いたします。

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