<ざっくり言うと>
  • 外国人の生活保護に関するデマを纏めてみた
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↑外国人の生活保護に関するデマがいつまでも生産され続けている



かなり信じられないことですが、安倍晋三の国葬反対への反対として、「#国葬反対よりも外国人生活保護反対」という信じがたいタグがツイッターに溢れています。国葬と外国人生活保護という、税金が使われているという以外一切何の接点もない2点を結び付けていることに驚愕せざるを得ません。


このタグでツイートしている人は、もうそれだけで人間としておぞましいですが、そこに数々のデマが加えられているのですからさらに許しがたい。これまでこのブログでは外国人生活保護について何度も記事にしてきましたが、改めて纏めます。
外国人生活保護デマ

「外国人の生活保護には違憲判決が出ている」というデマ


「外国人の生活保護に最高裁で違憲判決が出た」というデマを信じている人は多いです。おいおい、もし違憲判決が出ていたら、まだ外国人生活保護が続いてるわけないだろうが…。こいつらその程度のことを判断する知能もないのか…。


もちろんデマ。そんな判決出るわけがない。詳しくは以前こちらに記事にしました。



2014年に最高裁で出た実際の判決文は以下のとおり。

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>>外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により
>>事実上の保護の対象となり得るにとどまり、
>>生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、
>>同法に基づく受給権は有しない

確かに外国人は「生活保護法に基づく保護の対象」にはなりませんが、「行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護対象となり得る」とはっきりと言っているのです。つまり、最高裁は現状を追認しており、決して違憲判決など出していないのです。

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(↑最高裁判決はこれまでの行政措置を追認したものだった

外国人生活保護に最高裁での違憲判決が出たなんて大嘘です。


何でこの人たち、現状外国人の生活保護がまだ続いているのに「最高裁で違憲判決が出た」なんて信じられるんでしょうね。「最高裁で違憲判決が出たのに、違憲状態を行政はずっと続けている」って言いたいんですかね。この判決が出たの安倍政権の時なんで、もし最高裁で違憲判決が出たんだったら、安倍政権は最高裁判決を無視して違憲行為をず~~っと続けていたってことになっちゃうんですがね。


何なんですかね、この頭の悪さ。ちったあ調べろっつーの。

「外国人に生活保護を与える国は日本以外にない」というデマ


このデマもめちゃくちゃ多い。元航空自衛隊幕僚長の田母神俊雄や、元豊島区議の沓沢亮治も言ってますね。
>>外国人に生活保護費を出す国は日本だけだ。
>>生活できない外国人は本国送還が世界の常識だ。
>>日本人の生活を保護してる外国は無い

もちろんデマ


国立国会図書館HPにある「人口減少社会の外国人問題 総合調査」の中の「外国人と社会保障」という項目には、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカの状況が書かれています。


まず、イギリス。
イギリスの公的扶助に該当するカウンシル税給付(Council Tax Benefit)、住宅給付(Housing Benefit)、所得補助(Income Support)及び所得調査制求職者手当(income-based Jobseeker's Allowance)には、1990 年代に常居所調査(Habitual residence test)(給付担当者が、外国人に、職業に対する素質や継続の 可能性、居住期間、イギリスに来た理由、本来の目的と将来的な見通しの確認を行う。)が導入され、相当長期間居住することが受給要件となった。また、2004年からは、出生証明書、旅券又は身 分証明書を保有することが必要となっている。
相当長期間居住することが生活保護(Benefit)の受給要件となったとありますが、逆に言えば、長期間イギリスに居住していれば、外国人であっても生活保護を受けられるわけです。


次に、ドイツ。
 年金、医療保険等の社会保障制度では、社会法典の規定に基づき、原則としてドイツ人と適法滞在外国人労働者を区別しない。これは、各州においても同様である。(略)
 不法滞在者は、 社会保障制度から排除される。 公的扶助は、就労可能であるが仕事のない人を対象とする求職者に対する基礎保障法(社会法典第 2 編)と就労不能な人を対象とする社会扶助法(社会法典第12編)の二本立てである。いずれも、国籍要件はない。ただし、社会法典第 2 編は、就労を禁止されていない外国人のみを対象とする。一方、社会法典第12編は、ドイツ国内に滞在する外国人を対象とするものの、庇護申請者給付法(Asylbewerberleistungsgesetz)による受給者や社会扶助受給目的でドイツに入 国した外国人は排除される
つまり、ドイツでは、就労を禁止されていない適法滞在の外国人は、生活保護を受けることが可能です。


次に、フランスです。
 社会保障制度においては、原則として、フランス人と外国人の適法滞在者を区別しない。
フランスで生活保護に相当するのは、積極的連帯所得手当(RSA)という制度で、その前身が「社会参入最低所得手当(RMI)」だとか「単親手当(API)」だとか色々あって複雑なんですが、とにかく、2004年のデータでは、受給者の1割強が外国人です。

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独立行政法人労働政策研究研修機構


最後にアメリカですが、アメリカには日本の生活保護に当たる制度がありませんが、それに代わるサービスを受けることができます。

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この表にある「有資格外国人」とは、「永住者、難民、少なくとも 1 年間は移民局や国土安全保障省 によって臨時入国許可を受けている者、キューバ・ハイチ人の入国者、暴力を受けた移民やその子ども」ですので、永住資格を持っている外国人は、フードスタンプなどの保護を受けることが可能です。


つまり、少なくとも、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカでは、外国籍であっても日本の生活保護に相当する制度を受けることができます。つまり日本人でも、当該国の永住資格を持っていれば、生活に困窮した場合生活保護を受けることが可能です。


よって、「日本人の生活を保護してる外国は無い」とか「他の国では自国民以外の人には出さない」とか「日本以外の国に外国人の生活を助ける制度なんてない」とかは、全て嘘です。こいつらが碌に何も調べていないことは明らかです。

「外国人の生活保護受給者は200万人」というデマ


日本の知能欠如クズデマゴーグの代表、海乱鬼がこんなこと言っています。
>>無職の外国人約200万人が、
>>所得税、住民税、国民年金、固定資産税、
>>軽自動車税、国民健康保険を免除され、
>>のびのび毎日お休みを満喫しております。


そんなに生活保護受給者がうらやましいなら、家も財産も仕事も全て捨てて極貧生活になれば生活保護を受けられるんですから、何でやらないですかね。生活保護を受けなければいけない状況がそんなにうらやましいんですかね。


もちろん「無職の外国人約200万人」なんて大嘘。そもそも日本に外国人は282万人しかいません。海乱鬼の脳内では日本に滞在している外国人の70%が生活保護を受けているんですかね。海乱鬼という生き物はどこまで脳みそが足りないんでしょうね。


この記事執筆時点で手に入る最新データが2019年のものなので、それを参照しますと、生活保護受給者は全体で2,047,645人。そのうち外国人は65,096人です。全体の3.2%です。


200万人というのは生活保護受給者全体の数なのに、生活保護を受けている外国人が200万人とか、どれだけ頭悪いんですかね。差別意識が先行して、何も調べなかったんでしょうね。


まだまだあるぞ、外国人生活保護デマ


過去にアップした記事を紹介しておきます。

「在日韓国朝鮮人の生活保護に2兆3000億円使われている」というデマ

20年近くも前に作られたチラシに書かれていたデマ。実際に使われているのは2兆3000億どころか、その2%にも満たない。実際の額を50倍も多く見せかけたデマ。いまだにこの20年前のデマチラシを拡散するバカが絶えない。



「在日韓国朝鮮人64万人中46万人が無職」というデマ

これも上記チラシに書かれていたデマで、今でもよく馬鹿どもに引用されます。



在日朝鮮人が64万人もいたのは20年も前の話で、現在は41万人ほどに減っており、そのうち特別永住者は30万人にすぎません。


20年前に民団の調査で46万人無職という表が公表されたのは事実ですが、それは子供もお年寄りも学生も専業主婦もパートタイマーも全て「無職」としてカウントしたものです。一家4人で子供2人、母親が専業主婦なら無職率75%として計算したものなので、全く異常な数字ではありません。

「生活保護の不正受給の95%が在日」というデマ


これまた頭が悪すぎるデマ。



平成30年の不正受給件数は37,287件。同年の在日韓国朝鮮人の受給世帯数は全部合わせて29,414世帯なので、もしも不正受給の95%が在日によるものだったら、在日全体の受給件数を上回ってしまいます(笑)。このデマを吐いた奴が何一つ調べず妄想に基づいて流したことに疑う余地はありませんね。


不正受給における国籍別の統計は存在していませんし、そもそも不正受給の大半は「子供のアルバイト代を申告していなかった」という程度のものです。国籍に係らず、「不正受給=悪質な詐欺」という考えは間違いです。

「安倍総理が生活保護の在日韓国朝鮮人の強制送還に着手」というデマ


これもネットでかなり広まりましたが、もちろんデマ。



デマ発信元もわかっています。ヘイトデマ本ばかり売っている青林堂というおぞましい出版社で本を出している井上太郎というデマゴーグです。

「外国人生活保護受給者の割合が増えている」というデマ


あの元維新の会の丸山穂高などが拡散したデマです。



増えているどころか明確に右肩下がりです。

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2019年のデータでは外国人受給者は全体の3.17%ですので、さらに減っていますね。


元葛飾区議の鈴木信行は、この事実を隠して「外国人生活保護が急増している」と言っていました。卑怯ですね~。



「来日直後でも生活保護が受給できる」「悪質な外国人が押し寄せて日本が食いつぶされる」というデマ


元葛飾区議の鈴木信行が流したデマです。



平成22年に大阪で来日直後の中国人46人が生活保護を受給した事件がありましたが、すぐにおかしいと気づいて支給が停止され、生活保護対象から外れました。鈴木信行はその事実を隠して、来日直後でも生活保護を受給できるかのように見せかけ、「外国人が押し寄せて日本が食いつぶされる」と主張しました。クズですね~。


日本で生活保護の対象になるのは、永住者や定住者のみです。

外国人に税金を使うのが嫌なら外国人から税金取るなよ


このように、外国人の生活保護に関するデマをばら撒く連中は、口癖のように「日本人の血税がー」と言います。


しかし、税金を払っているのは日本人だけではありません。外国人も税金を払っています。


税金を取るときは外国人からも取るのに、使うときには日本人に限定しろって、人間として腐りきってると思うんですけどね。


そして、海乱鬼のように生活保護受給者を「所得税、住民税、国民年金、固定資産税、軽自動車税、国民健康保険を免除され、のびのび毎日お休みを満喫しております」なんて言うクズ野郎は、そんなにうらやましいならさっさと職も何もかも捨てて生活保護受給者になればいいのに。なんでやらないんですかね。


どんな議論やどんな主張をするにしても、事実に基づいて話さなければなりません。


国葬反対に対する反論として、全く国葬と関係ない外国人生活保護を持ち出してくるだけでも異常ですが、こんな風にデマをばら撒く連中は人間として最低です。

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