<今回のデマ>
  • 安倍晋三は最も国民に支持され、愛された総理であったから、国葬にふさわしい。
<事実>
  • 国政選挙において、安倍自民は大敗した2009年よりも票数を落としている。安倍晋三に対する国民の支持は多いどころかむしろ大敗した2009年の麻生政権より低かった。
  • 安倍政権が選挙に勝ったのは、どんな時でも変わらず自民党に入れる自民党岩盤支持層によるものであり、国民から愛されて続いた長期政権ではなかった。
  • 世論調査による政権支持率も、2017年6月以降は一度も支持が5割を超えたことはなく、不支持は常に3割を超え、末期には4カ月連続で不支持が支持を上回り辞任した。
  • 安倍長期政権は、自民党岩盤支持層に支えられたうえで、党内批判を強権で一掃し、プーチンや習近平のような独裁者の如く自ら任期を延長してなしえただけのものである。自分の支持者だけを見る安倍晋三は、一部から圧倒的な支持を得ただけで、国民の分断を煽り続けた。決して国民から最も支持されたわけでも愛されたわけでもなかった。
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↑国政選挙で安倍政権はむしろ得票数を落としている。決して国民から愛されたり支持されたりしたことで得た長期政権ではなかった。



主要メディアの世論調査全てで安倍晋三国葬反対が多数になったにもかかわらず、岸田政権は国葬を強行しようとしています。そして、岸田を始め、安倍支持者の多くが言うのが「最長の政権だった」とか「最も長く国民に支持された」とかの主張です。

はっきり言ってデタラメ。


今回は、岸田を始め、国葬賛成派のよりどころになっている「長期政権」について考えてみましょう。

2009年の大敗よりも得票を落とした安倍政権


2009年の衆議院選挙で自民党は大敗して下野し、2012年に政権に返り咲きます。ところが、安倍政権前後の自民党の得票数を調べると、こんな風になるのです。

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ご覧のように、安倍自民党が行った3回の選挙で、3回とも自民党の得票は大敗した2009年を超えられていないのです。さらに、安倍が辞めた2021年の選挙(岸田政権)の方が安倍政権時よりも得票数が上がってる。


これのどこが「国民に最も愛された」「国民に最も支持された」政権なんですかね?


2009年の大敗の時よりも得票を落としているこの事実からは、安倍政権は結局、いい時でも悪い時でも関係なく自民党に票を入れる自民党の岩盤支持層の票で勝っていたに過ぎないことが分かります。


選挙に強い安倍だのなんだの言っていましたが、全然そんなことはない。安倍晋三が辞めて岸田政権になって得票が上がっていることを考えると、むしろ総裁が安倍晋三じゃなかった方が選挙にはもっと強かったんじゃないですかね?


野党が支持を獲得できなかったのは確かですが、安倍晋三も自民党というブランドの上に乗っかってただけで、安倍晋三自身が支持を広げてはいなかったわけです。

過半数の得票を得たことは一度もない安倍政権


安倍晋三だろうが福田だろうが麻生だろうが岸田だろうが、自民党岩盤支持層は自民党に入れ続けますので、安倍晋三が大きな支持を受けたわけないことは上記の通りです。


野党が支持を伸ばせなかったことは事実ですが、それでも「自民公明」「他党」の枠で見ると、安倍政権が過半数の得票を得たことは一度もありません。

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このように、安倍政権は一度だって投票数の過半数を取ったことはないのです。半数は常に自民・公明以外に入れていました。これが「国民に最も愛された総理」だとか「国民に最も支持された政権」ですかね?


さらに、安倍政権下では投票率自体が大きく低下しています。

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すなわち、政治不信が高まり、投票に行く人自体が減ったために、岩盤支持層を持つ自民党が勝ち続けてきたにすぎないと言えます。


安倍政権が強大な力を持ち続けてきたのは、45%程度の得票で70%の議席が獲得できてしまう小選挙区制によるものであり、国民からの支持が高かった、愛された政権などでは全くないのです。



政権支持率も不支持が増えた末に辞めていった


さらに、政権支持率を見ても、安倍政権は決して国民から愛されていた政権ではなかったとわかります。


こちらはNHKの世論調査における安倍政権支持率の推移です。黄色の個所は不支持が支持を上回った個所です。

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(クリックして拡大できます)


不支持が上回ったことも何度もありますし、2017年6月以降は、一度も支持率が50%を超えることはなく不支持率も常に30%を超え、最後は支持34%、不支持47%となって退陣しました。
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これが本当に国民から愛された総理ですかね? 国民から最も支持を得た総理ですかね?


一色正春のような人物は、安倍政権を「最悪の政権」という人を「多くの日本国民の敵」とまで言っています。

しかし、もともと安倍政権の支持率も得票率も5割に満たないし、仮に安倍政権が国民の9割の支持を得ていたって、それを「最悪の政権」と評することが「多くの国民の敵」なわけがありません。「多数派=正義」ではないのです。


こういう風に政権批判する者を「日本国民の敵」などと言うような風潮は安倍政権以前にはないものでした。このような風潮を生み出したことが、私が安倍政権を「最悪の政権」と呼ぶ理由の一つです。


強権で党内を押さえつけて築いた長期政権


上で見たように、安倍晋三は自らの力によって支持を伸ばしたことはなく、自民党の岩盤支持層に乗っかって選挙に勝ってきただけでした。総裁が安倍晋三だろうが何だろうが、自民党の得票数は殆ど変わらなかったことでしょう。


しかし、安倍晋三はそれまでの自民党政権と違い、自民党総裁の座に居続け、総理大臣であり続けました。かつての自民党であれば、モリカケ桜のようなことがあれば、党内から必ず批判が起き、総裁の座を追われていたはずです。ですが、安倍政権ではそれが起きず、総裁の座を追われなかった結果、安倍晋三は自民党総裁であり続けました。


この大きな理由の一つが、安倍晋三が自らに権力を集中させた独裁的強権にありました。


安倍政権の大きな特徴の一つが、自分を支持する者を厚遇し、自分に批判的なものを冷遇するところにあります。


その代表的なものが内閣人事局の設置です。これにより人事権を内閣に握られた官僚は、国民のためではなく安倍政権の為に働くようになり、国民の財産であるはずの公文書を隠蔽したり改竄したりするようになります。こんなことは安倍政権以前にはありませんでした。福田康夫は、2017年のインタビューで、安倍政権による内閣人事局の設置について「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいていると痛烈に批判しています。

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東京新聞2017年8月3日

人事を握られた官僚は公文書は改竄するし、データは捏造するし、国会では虚偽答弁をする存在になり、福田の言う通りまさに国家を破滅に導く存在に成り下がりました。



安保法制の時も、安倍晋三は内閣法制局長官を挿げ替えました。それまで数十年間集団的自衛権は違憲だと自民党自身が言い続けてきたのに、法の番人と呼ばれる内閣法制局のトップを自分に都合のいい人物にすることで、法の番人はただ政権にしっぽを振る犬のようになりました。安倍政権以前であれば、今回の国葬についても、内閣法制局は苦言を呈していたことでしょう。


さらに、総裁選で自分と対立した石破茂に、憲法審査会で発言さえ許さないなんてこともありました。



こうして自分の味方を重用し、批判には耳を傾けない「お友達内閣」が組織されていきました。



自分に批判的な者には刺客まで差し向けます。あの選挙違反で有罪となった河井杏里は、かつて安倍晋三を痛烈に批判したことがある溝手顕正に対し差し向けられた刺客だと言われています。



しかも、河井杏里には1億5000万円もの資金が投入されました。


こうやって、敵は攻撃し、味方には恩賞を与えるというやり方は功を奏し、自民党はまるで金日成を崇拝する北朝鮮のように、安倍個人崇拝が行われるようになってしまいました。池田佳隆なんて

本物の指導者! 救国護国の本物の指導者を、心から求めております。その本物の指導者こそ、私たちが敬愛してやまない安倍晋三先生でございます!」

なんて言っていました。完全に北朝鮮です。こんな個人崇拝が安倍政権以前にあったでしょうか。




安倍長期政権は、こうして反対派を黙らせるという形で築き上げられたものでした。



自ら総裁任期を延長して得た最長政権


強権により党内批判を黙らせた安倍晋三は、ついに自らの総裁任期を延長します。



それまで自民党総裁の任期は2期6年だったのに、自らの任期を3期9年に延長したのです。かつて小泉純一郎も、支持率が高くても総裁任期切れで総裁から降りたのに、安倍晋三は自らの任期を延長しました。


自分で自分の任期を延長する奴に碌な奴はいません。これは独裁者の典型例です。


例えばロシアのプーチン。



中国の習近平。



ベラルーシのルカシェンコ。



自分で自分の任期を延長し権力の座に留まる。まさに独裁者の典型例ですが、安倍長期政権はこうやって築かれたものでした。



安倍政権は長かっただけで、決して国民に愛された政権ではない


このように、安倍政権は単に長かっただけで、その実態は、「国民に愛された政権」「国民に愛された首相」などでは決してありませんでした。


自分の支持者を厚遇する一方、自分の批判的な国民は「こんな人たち」扱い。

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国民の一部を自ら「反日」扱いして分断を煽る。メディアを攻撃する。




メディアへの安倍政権の圧力について、ジャーナリストの池上彰はこう証言します
最近までは権力を持つ側は「メディアに圧力をかけてはいけない」というのが共通認識でした。政治家も、メディアから批判されたからといって、いちいち文句を言ってくることはなかった。「権力は抑制的であるべきだ」と考えられていたからです。だから、たまに権力欲のある政治家がメディアに介入する発言をすると、大騒ぎになった。ところが、安倍政権になってからは、自民党はおもなニュース番組をすべて録画して、細かい部分まで毎日のように抗議し、訂正を求め、注文をつけてくる。すると、テレビ局は「面倒くさい」となる。対応が大変で、次第に「文句を言われない表現にしようか」となってしまうのです。
さらに深刻なのは『電凸』です。『電話で突撃する』という意味のインターネット用語ですが、一般の読者や視聴者が、気に食わない報道があると、スポンサー企業に一斉に抗議電話をかける。『不買運動をする』なんて言われるとビックリするんですね。昨年6月に自民党の議員が、マスコミを懲らしめるためにスポンサーに圧力をかけることを提案して、問題になりました。それも実際にはすでに行われているんです。
第1次安倍政権(06~07年)の時に、メディアへの抗議が増えたんです。ところが、安倍さんが辞めた後にパタリとなくなりました。福田政権、麻生政権、民主党政権の時は抗議が大量にくるようなことはなかった。それが第2次安倍政権(12年~)になって復活しました
メディアへの圧力も、プーチンのような独裁政権の特徴ですが、安倍政権もこれに当てはまります。こうして自分への批判を抑え込んでいきました。


批判を抑え込むだけではなく、抑え込めない批判には耳を貸しませんでした。なんと恥ずかしげもなく批判については「なるべく受け流していく」と自ら発言。とても総理大臣の言葉とは思えませんが、安倍晋三はこの発言の通り、自分に都合のいい声だけを聴く政治を続けました。



そして、国会で恥ずかしげもなく100回以上平然と虚偽答弁。



「募ったが募集していない」と、異常で意味不明な恥知らずな答弁。



普通はこんなに嘘をついたり、こんな意味不明な答弁をするなんて、恥ずかしくてできないと思いますが、安倍晋三はその持ち前の厚顔無恥さで居直り続けました。


安倍政権はただ長かっただけです。その実態は、最も国民に愛された総理でも、最も国民に支持された政権でもなく、総裁が誰だろうと関係なく自民党に票を入れる自民党岩盤支持層に支えられて、反対派を押さえつけて、自ら総裁任期を延長して、嘘を繰り返して得た政権にすぎません。


2009年の大敗時よりも得票を落としている男が国葬にふさわしいか、
国民を指さして「こんな人たち」呼ばわりする男が国葬にふさわしいか、
批判を「なるべく受けがなす」と発言するような男が国葬にふさわしいか、
国会で100回以上嘘をついた男が国葬にふさわしいか、
「募ったが募集していない」なんてデタラメな答弁を国会でやるような男が国葬にふさわしいか。


さらには外国のカルト宗教と癒着していた男が国葬にふさわしいのか。


そのカルト教団を問題ある集団と認定して全面的に手を切ると宣言しながら、そのカルト教団と癒着していた男を国葬にすることは論理的に矛盾していないか。


そして、国民の反対が5割を超えているのに行う国葬が民主主義国家として正しい行為か。


独裁国ならいざ知らず、民主主義国家ならば、答えは明白です。


結局今回の国葬は全て自民党の自民党による自民党のためのイベント以外の何物でもないです。


安倍晋三を国葬にすることで、この10年間の自民党政治を正当化しようという姑息なイベント


岸田にとっては安倍派と安倍信者を抱き込むためのポイント稼ぎ。


国民のことなど眼中になく、全て自己都合だけで動くおぞましい卑怯者が集まった自民党による、多額の税金を私物化して行う自民党の宣伝イベントにすぎません。

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