<今回のデマ>
  • 民主党政権が司法試験の国籍条項を外した。そのせいで外国人犯罪の不起訴や無罪が相次いで司法が歪められている。
<事実>
  • そもそも司法試験に国籍条項は存在しない。
  • 外国籍の人は、司法試験に合格しても弁護士にはなれるが検察官や裁判官にはなれないので、外国人のせいで不当な不起訴や無罪が相次いでいるなどという事実は存在しない。
  • 司法修習生には国籍条項があったが、その基準を作るのは最高裁判所であり、法律ではないので政権は関係ない。
  • もともと、1977年以降、国籍を理由に司法修習生の採用を拒否されたケースは存在しない。
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↑何から何まで全て嘘。民主党が司法試験の国籍条項を外したこともないし、外国籍の検察官や裁判官は1人もいない。



民主党政権に対する大嘘だらけの批判の数々


国会で118回も嘘をついた虚言癖の異常者
が「悪夢の民主党政権」と言い続けたせいか、ネトウヨ界隈では民主党政権と全く関係ないものまで民主党政権のせいにされたり、そもそも全く事実無根の妄想話で民主党政権を非難したりする連中が後を絶ちません。


例えば「男女共同参画を成立させたのは悪夢の政権だ」とか
(男女共同参画基本法が成立したのは平成11年(1999年)の小渕政権)

「民主党政権がメガソーラーを推進したせいで土石流が起きた」とか
(メガソーラー推進は2008年の福田内閣の「福田ビジョン」の段階ですでに決まっていた)

「民主党政権下で経済が悪化して自殺者が増えた」とか
(民主党政権下でも自殺者は減り続けていた)

「『桜を見る会』は民主党政権で例年より相当多く招待していた」とか
(桜を見る会は小泉純一郎のころから招待客は例年約1万人。民主党政権でも全く増えていないが安倍政権下で18000人にまで急増した)

「『桜を見る会』で鳩山政権は1万人呼んだけど安倍晋三は850人呼んだだけ」とか
(850人は安倍後援会の人数であり、実際に安倍が招待したのは民主党政権時の約1.8倍にもなる18200人)

「民主党がスーパー堤防を止めたせいで洪水被害が起きた」とか
(スーパー堤防は完成までに400年かかるし、洪水が起きた場所とスーパー堤防予定地とは全然違う)

「民主党が潰した八ッ場ダムを安倍政権が復活させたおかげで台風被害を抑えられた」とか
(民主党時代に一度は中止が決定した八ッ場ダム建設だが、それを撤回して建設再開を決定したのも民主党政権。安倍政権は関係ない)

「民主党が国立メディア芸術総合センターを設立させていれば京アニの原画や資料は無事だった」とか
(国立メディア芸術総合センターが保存するのは「失われるおそれがある貴重な関連資料」であり、現役の民間アニメ会社の財産である原画や資料が展示されるわけがない)

「野田中央公園を、当時国交副大臣だった辻元清美が多額の補助金をつけて豊中市に格安で売り渡した」とか
(野田中央公園の売却も、その額を決めたのも麻生政権)

これら全部嘘ですからね。

さて、今回取り上げるのは、民主党政権デマと差別主義者のコラボ。「民主党政権が司法試験の国籍条項を撤廃したせいで反日的な判決が出るようになった」という妄想です。


「民主党政権で司法試験の国籍条項が撤廃された」はデマ


私、つい最近までこのデマの存在を知らなかったのですが、「民主党政権 司法試験 国籍条項」で検索すると山ほどヒットしますね。


なんでこいつら自分の脳みそ使って調べるってことができないんですかね。ネットで流れてきただけの情報を鵜呑みにできる生き物の思考回路が、本当に私には全く理解できない。


司法試験に国籍条項なんてもともとありません!


その証拠に、日弁連副会長を務めていた白承豪(はくしょうごう、ペク・スンホ)という在日韓国人1世の弁護士が司法試験に合格したのは1990年です。在日コリアン弁護士協会が設立されたのは2001年。その代表の金哲敏氏が弁護士資格を取ったのは2004年。副代表の金奉植氏と宋惠燕氏は2006年に弁護士登録をしています。民主党政権成立(2009年)のはるか前から、外国籍の弁護士は大勢いたのです。日本人もニューヨークで弁護士資格を取ったりしていますよね。


また、「不起訴がー」とか「無罪がー」とか言ってるやつもいますけど、司法試験に合格しても外国籍の人は検察官や裁判官にはなれません。


弁護士はフリーで仕事ができますが、日本の検察官や裁判官は国家公務員です。「公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍を必要とする」という見解が1953年(昭和28年)3月25日に内閣法制局より示されており、外国籍の人は弁護士にはなれても国家公務員にはなれません。(外国籍でも、公権力の行使にならない事務職員の地方公務員などは存在する)


なので、外国人のせいで不起訴になったり無罪になったりするということはありません。(こういうこと言ってるやつらって、起訴を決めるのが検察だってことも知らないんじゃないかな)


もうとにかくでたらめのいいところ。「外国人犯罪が不起訴になったり無罪になったりする件が増えている」とか言うバカは、実際に外国人犯罪の不起訴や無罪が増えているというデータと、それらに外国籍の弁護士がかかわっているという証拠を見せてみろ。



司法修習生の国籍条項撤廃は民主党政権関係なし


とはいえ、今回のデマは、一応元ネタがあります。司法試験に合格してもそれだけでは空手形であり、その後司法修習というものを終える必要があります。この司法修習生になるためには日本国籍が必要とされていたのですが、この国籍条項が撤廃されたのが2009年で、民主党政権と時期が重なっていたのです。


しかし、この決定に民主党政権は関係ありません

司法試験採用基準は最高裁が決めるものであり、法律じゃないから政権は関係ない


まず、そもそも司法修習生の国籍条項は法律で決まっていたわけじゃありません。司法修習生は最高裁判所が任命することになっています。司法修習生採用基準は最高裁判所が決めることであり、政権が手を出せる話じゃないんです。


最高裁判所が司法修習生の選考要項に記載してきた国籍条項を撤廃しただけのことであり、民主党政権が行ったわけじゃありません。


次に、民主党が政権を取ったのは2009年9月です。司法修習生の採用は11月ですので、そのわずか2カ月後です。当然採用要件の変更は何カ月も前から決まっていたことでしょう。国籍条項撤廃後の最初の司法修習生の採用が民主党政権成立後だっただけで、民主党が政権を取ったから国籍条項が撤廃されたわけじゃありません。

そもそも国籍を理由に採用を拒否されたものはいなかった


1977年に在日韓国人の金敬得氏が司法修習生に採用されて以降、司法修習生の採用基準には「日本の国籍を有しない者(最高裁判所が相当と認めた者を除く)」となっていました。そして、民団のHPによれば、1977年以降「国籍要件を理由に司法修習生の採用を拒否された者はいない」ので、国籍条項が文言から実際に撤廃される前から国籍条項はないも同然だったわけです。


司法修習生採用基準の変更は最高裁判所が行ったものであり民主党政権が行ったものじゃありませんし、もともと国籍によって採用を拒否された人もいませんでした。


だから、どの点から見ても、民主党政権によって司法試験の国籍条項が撤廃されただの、司法修習生の採用基準から国籍条項が撤廃されただの、民主党政権のせいで外国人犯罪に対する不起訴や無罪判決が増えただの、全部大嘘です。


なんで自分で調べずにネットデマを鵜呑みにできるのか、私には彼らの思考回路が全く理解できませんが、とにかくに気に食わないことは「悪夢の民主党政権がやった!」ってことにして偉大なる安倍首領様のヨイショができればそれでいいんでしょう。安倍晋三自身が国会で118回も嘘をつく虚言癖の異常者でしたが、政治においては、事実に基づかない発言は悪です。称賛するも批判するも、すべて事実に基づかなければなりません。今回のような妄想はいい加減にしてもらいたいものです。



補足:朝鮮大学校出身者は司法試験一次試験免除だというデマについて


司法試験関係では、「朝鮮大学校出身者は司法試験一次試験が免除。在日特権だ」というデマも存在しますが、これは以前も取り上げたことがあります。朝鮮大学校に限らず、四年制大学出身者は全員一次試験免除でした。なお、現在は司法試験自体の制度が変わり、旧司法試験で存在した一次免除は、現在の新司法試験では存在しません。



また、朝鮮大学校のような各種学校でも、大学卒業相当と認められる場合は一次試験免除で、防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、気象大学校、職業能力開発大学校などの学校の卒業生も一次試験免除でした。


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