<今回のデマ>
  • 悪夢の民主党政権が公務員の国籍条項を撤廃した。
<事実>
  • 国家公務員の国籍条項が撤廃されたことは一度もない。
  • 地方自治体は外国人職員を採用しているところもあるが、民主党政権誕生前の90年代から始まっており、民主党が国籍条項を撤廃した事実など一切存在しない
  • 地方公務員として外国人の採用を認めているところでも、「公権力の行使又は地方公共団体の意思の形成への参画に携わるもの」になることはできない
  • ネットで見かける「悪夢の民主党政権」が行った悪夢の政策の殆どは、このようなネトウヨの根も葉もない妄想にすぎない。
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先日、「民主党政権が司法試験の国籍条項を外した」というデマを取り上げました。



この時は司法試験についてでしたが、なんと司法試験のみならず「民主党政権が公務員の国籍条項を外した」というデマも出回っているようですね。

>>公務員の国籍条項撤廃 これは民主党政権時代に行われたこと. >>民主党が国籍条項はずしたせいで、裁判官はじめ司法にどんどん外国人が。 >>公務員の国籍条項撤廃は民主党政権時代に行われたことです。 >>国家公務員の国籍条項の廃止というのは本当に狂気の沙汰だ。
>>よくもまあそんなのが国会を通過したな。
>>民主党政権下か。
>>民主党時代、国家公務員の国籍条項がなくなったって何?
>>外国人でも国家公務員になれるの?
>>悪夢の民主党政権が
>>国籍条項(国家公務員や地方公務員は日本人のみ)を
>>取っ払ってしまったので、
>>外国人が続々と
>>国家公務員や地方公務員になっていますよ(;´д⊂)

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参照

こいつら、どうして自分の脳みそ使って調べるってことを覚えないですかね? どうしてどっかの誰かが言ってた情報ソースのない内容を鵜呑みにしちゃうんですかね? このブログ初めて9年にもなりますが、なんで情報ソースもなしに、どこの誰が言ったかもわからないようなことを信じちゃう人がいるのか、本気で全く理解できない。


詐欺事件の報道で、時々「なんでこんな明らかにおかしい話を信じたんだ!?」と驚くことがありますが、こんなデマに騙されるって、この人たちどんな詐欺にでも騙されちゃうんじゃないでしょうか?

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国家公務員には外国人はなることができない


まず、日本国籍を持たない人は国家公務員になることはできません。外国人が国家公務員になっているとか、ましてや民主党が国籍条項を外したとか大嘘です。


こちら人事院が出している2023年度国家公務員採用試験の概要です。ここに「日本の国籍を有しない者」は、試験を受けることさえできないことが明記されています。

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国家公務員採用試験を受けられない者
(1)日本の国籍を有しない者
 ※日本国籍を有する者であっても外国の国籍を有する者は外務公務員になることができません

というわけで、「外国人が国家公務員になっている」とかいうのは大嘘中の大嘘。なんで調べないで「外国人が次々と国家公務員になっている」なんてデマを恥ずかしげもなく口にできるんですかね? 調べないで発言するって、本当にその神経、全く理解ができない。



地方公務員の国籍条項は民主党政権以前から存在しない


地方公務員には外国籍の人はいますが、それは民主党政権以前からで、民主党政権が国籍条項を撤廃したなんて事実は全く存在しません。


地方公務員の国籍条項は各自治体の判断に委ねられており、政令指定都市で最初に国籍条項を撤廃したのは1996年の川崎市です。

先月13日、川崎市が職員採用試験の受験資格から「日本国籍に限る」という国籍条項を撤廃することを決めました。全国の都道府県や政令指定都市としては初めてのこの決定に、国は反発している。(1996年6月5日、NHK『クローズアップ現代』)

その後、複数の自治体が続き、民主党政権成立のはるか前、2001年の段階で、9つの政令指定都市、11の都道府県で国籍条項が撤廃されていました。



つまり、地方公務員の国籍条項撤廃に、民主党政権は何ら関わっていません。


なんでこんなデマが信じられるのか、心底理解不能です。



地方公務員でも「公権力の行使」にかかる職種に就くことはできない


しかし、これでもネトウヨさんたちは、「地方公務員でも、外国人がなれるなら、その町が乗っ取られてしまうじゃないか」と言う事でしょう。


職員になれたって、市長や知事や議員にはなれないんだから、乗っ取られるなんてことはあり得ないでしょうし、全国の人口比にして2%程度、最も外国人比率が高い大阪市でさえ5.6%にしかならないのに、それで乗っ取られるって彼らの頭の中では日本人はそんなにも無能なのかと思ってしまいますが、それはさておき、外国人は地方公務員にはなれても「公権力の行使又は地方公共団体の意思の形成への参画に携わるもの」にはなれないという見解を国が出しています。


1994年~95年にかけて保健婦として東京都に採用されていた在日外国人職員が管理職への受験を拒否されたことで訴訟を起こしましたが、その時の最高裁判決は以下のようなものでした。

 「地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの」(「公権力行使等地方公務員」)については「国民主権の原理に基づき、原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべき」であり、「我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない」

だから日本国籍を有しない外国人が公権力の行使をする公務員に就くことはできません。大阪市広島市愛知県岩手県などのHPを確認してみましたが、外国籍職員は「公権力の行使又は公の意思の形成への参画に携わる職」には就けないことが明記されています。





「公権力の行使」をする職員とは、何らかの認可、承認、命令、取り消しなどの権限を持つ職員のことで、「公の意思の形成への参画に携わる職」とは課長以上など幹部や管理職のことを指すようですが、外国籍の人は地方公務員にはなることができますが、「公権力の行使又は公の意思の形成に参画する公務員」になることはできない以上、外国籍の職員によって町が乗っ取られるなんてことはないのです。


というわけで、何から何まで大嘘でした。


ホント、「悪夢の民主党政権」って言葉を使う人たちが言う民主党の悪夢の政策って、ほとんどすべてデマですね。こういうデマを吐く連中の存在こそ悪夢です。


なぜググればすぐに調べられることを調べようとしないのか、心底全く理解ができませんが、皆さんはちゃんと調べられることは調べる、広める前に事実を確認するという、人間として最低限度の知性ある行動をとるようにしましょう。

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