<今回のデマ>
  • 民主党政権時代に失業率が大幅上昇して、自殺者が増えた。
<事実>
  • 民主党政権時代、麻生政権で上昇した失業率は改善し、自殺者も減っている。
↓民主党政権時代失業率が上昇した事実はない。発足当初の5.5%から4.0%ほどまで改善している。
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↓民主党政権時代に自殺者が増えたなんてこともない。
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「悪夢の民主党」と言いたがる人たちがよく出してくるのが、「民主党政権下で経済が悪化した」、さらにはそのせいで「自殺者が増えた」という主張です。
>>失業率を大幅に上げて >>失業率を大幅に増やし自殺者を増やす >>民主党政権では失業率の上昇

嘘です。

民主党政権下で失業率は上がっていません。こちら厚労省のデータです。

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民主党政権は2009年9月から2012年12月ですが、民主党政権発足直前の2009年7月までに急速に失業率が上昇し、5.5%に達します。(主にリーマンショックのせいだと思われる)


しかし、民主党政権発足以降、完全失業率は下降し、新規求人倍率、有効求人倍率、正社員の有効求人倍率も上昇に転じます。


こちらのIMFの統計を見ても、2009年に5.08まで上昇した失業率は、2012年には4.33まで下がっています。

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民主党政権下で失業率が上昇した事実はないのです。


もちろん、「失業率が改善した」=「経済状態がよかった」とはなりませんし、政府の政策の影響だとも限らないので、「失業率は改善していたけどその実態は…」って話をするならわかります。しかし、少なくとも「民主党政権下で失業率が上昇した」なんてのはデマだと言わねばなりません。


また、当然、自殺者が増えたなんてこともありません。こちら、厚労省の統計ですが、民主党政権時代自殺者は減っています。

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もちろん、自殺者の減少も、経済だけではなく人権意識の向上だとかカウンセリングの充実だとかいろいろ要因があるので、短絡的に原因と結果を結び付けることはできませんが、少なくとも民主党政権時代に経済悪化によって自殺者が増えたなんて事実はありません


何を言うにしても、最低限事実に基づいて話すようにしてほしいです。


補足:景気が良くなったと「思い込ませた」アベノミクス

株価は上がっても庶民の生活はむしろ悪化した安倍政権


さて、今自分で「『失業率は改善していたけどその実態は…』って話をするならわかりますが…」と申し上げましたので、民主党政権以降の失業率についても語っておきましょう。


先ほどのグラフを見てもわかる通り、民主党政権下で失業率は改善していますが、その後の安倍政権でも失業率の改善は続きます。これは「アベノミクスの効果だ」と主張する人もいれば「団塊の世代の大量退職の結果にすぎない」とか「非正規拡大によって結局雇用を壊した」とか主張する人もいて、経済の専門家でも大きく意見が分かれています。


アベノミクスの目に見えるはっきりした効果は株価の上昇と円高の是正です。民主党政権時代に株価が下落し、円高が進行したのは事実ですので、これが「悪夢の民主党政権」扱いされる最大の要因でしょう。ところが、安倍政権時代、株価は上昇したにもかかわらず、実質賃金指数は民主党政権時代よりも悪化しました。

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参照

安倍政権では、民主党政権時代に比べて、約5%も実質賃金が低下しています。また、安倍政権下では生活必需品の支出が約10万円伸びる一方、それ以外の支出は1万円減少しています。

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つまり、給料は伸びずに物価は上がり、生活に金がかかり余裕が小さくなったわけです。


さらに、「貯蓄ゼロ世帯」は安倍政権下で急激に上昇しました(参照)。

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別に民主党政権時代に貯蓄ゼロ世帯が改善したわけではないですが、安倍政権時代は明らかに貯蓄ゼロ世帯が増えています。


こういう数字を見ると安倍政権時代、結果的に一般庶民の生活は民主党政権時代よりもむしろ悪化したように思います。少なくとも「悪夢の民主党政権に落ち込んだ経済をアベノミクスが立て直した」なんて言える数字ではありません。

宣伝が上手かった安倍政権


それなのに何で「民主党政権で最悪に落ち込んだ経済をアベノミクスが立て直した」みたいなイメージが植え付けられてるのか考えると、宣伝の仕方が上手かったんでしょうね。安倍政権が行ったアベノミクス宣伝方法には3つの大きな特徴があります。


まず、「アベノミクス」とか「三本の矢」とか「異次元の金融緩和」とか名前を付ける(「アベノミクス」という名前は自民党の中川秀直が第一次安倍政権の時に作った言葉らしい)。名前を付けることで、「これもアベノミクスのおかげだ」と宣伝しやすくなる。


次に、人の目に見える数字に注力する。先ほどの実質賃金なんて日々の生活で目に触れませんからね。民主党政権が「コンクリートから人へ」を掲げた一方、安倍政権は毎日報道される株価と円相場に注力しました。一般市民の生活は全く改善されないどころか、むしろ実質賃金が目減りさえしたにもかかわらず、大企業を優遇し日経平均株価を引き上げられれば、人々の目は毎日報道される株価に目が向きます。自分の賃金は実質むしろ下がっているにもかかわらず、「日本の景気が良くなっている」と思い込まされるわけです。


そして、「民主党をこき下ろす」です。これが最高にうまく機能しました。先ほど見たように、民主党時代に失業率が悪化したことはなく、ほとんどどの数字を見ても麻生政権時代よりも改善していますし、実質賃金も安倍政権よりも高かったのですが、安倍晋三は「悪夢の民主党政権」と繰り返しました。


これが最大の効果を発し、「民主党政権時代は酷かった」というイメージが形成された結果、今回見たように
「民主党政権時代に失業率が大幅に上昇した」だとか
「民主党政権時代の経済悪化で自殺者が増えた」だとか、
明らかに間違った情報まで独り歩きして拡散されていきました。実際には失業率は下降していますし、自殺者も減っています。これまで何度も見てきましたが、「悪夢の民主党」と言う人たちが主張する、民主党政権が行った「悪夢」の多くは、全くのデタラメか民主党がやったものじゃないものでした。

↓「悪夢の民主党政権」デマの例




別に民主党政権時代に景気がよかったわけじゃないですが、「失業率が上昇した」だの「自殺者が増えた」だの全く事実に反するデタラメを根拠に非難するのは間違っていますし、アベノミクスで市民生活が向上したとも言い難いでしょう。


もちろん、経済は専門家でも評価が正反対に分かれることが多いので、「この見方が正しい」「この見方は間違ってる」なんてことは言い難いですが、少なくとも「失業率が上昇した」だも「自殺者が増えた」だの、事実に反することを根拠にしてはいけません。

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